王戦物語~聖剣抜いたのでヒロインみんなを笑顔にします~ 作:ビスマルク
またちょくちょく投下していきたいと思います。
今の俺の一押しはアンデラのショーン&ジーナです
みんなもションジナ最高と言いなさい
新『槍王』であるジュリア・デュース……恐らくもう少しで苗字の方がヤランリになるであろう少女の部屋で僕は正座をしていた。
目の前に立つのは我が『ソードリア王国』の誇る内政官達のトップに立つ男、内政大臣ガリ・レオ。彼は同じく大臣を任じられているデプロン大臣とは対照的な細身であり神経質そうな顔をしていた。
「陛下。私は貴方の臣下でありそのご命令に従うことは吝かではありません。しかしながら友好国となるとはいえ他国であるヤランリ王国の内政事情に首を突っ込むということは多くの問題を抱えるということは認識していただきたいと思います」
「はい、御尤もです……」
なおその発言は10:0であちらの方が正しいので僕としては首を引っ込めながらそのお説教が終わるのを待たなければならない。
なぜこうなったかと言えばやはりシオンとシエルさんの仲直りをさせることをジュリア達、ヤランリ王国の三人に協力を求めたからだ。
その三人の仕事は書類が彼女達の背を超える程に送られてきていた。それを処理するには専門家が必要だという判断でちょうどこの街に来ていたガリ大臣を呼び寄せて協力を頼んだのだ。
「聞いていますか、陛下。王となられて未だ半年にもなっておられぬ御身に多くを求めるのは酷だというのは理解しております。しかし最低限国家同士の関係というものを考えればこのような事は軽々しく判断できないということを私は言いたいのです」
「はい、はい……今回は僕が完全に悪いです……。僕の都合でガリ大臣が愛娘さんと愛する奥さんの待つ家に帰宅する時間を遅らせてごめんなさい……」
「……………………それは関係ありません。仕事にプライベートの事情を持ち込むのは私の主義に反しますので」
だとしたら眼鏡を煌めかせて見えなくしているその目を見させてほしい。多分滅茶苦茶動揺してると思うので確認しておきたい。
じっと見つめられていることに気付いたのかガリ大臣は「コホン」とわざとらしく咳払いをして話を変えてくる。彼は基本真面目で物凄く有能なのだが家族、特に娘さんが関わるとこうやって動揺してしまうところがあった。
「ヤランリ王国、新『槍王』ジュリア様。トーマ・ソードリア陛下のご命令により貴女方の手伝いをさせていただきます。しかしあくまで私がするのは手助け、メインの業務は貴女方に行ってもらうことになりますが、よろしいでしょうか?」
「話が早く進み過ぎてびっくりだし、剣王が配下に対して正座して素直に説教食らってるところでさらに倍率ドンだけどその提案自体は素直に受け取りたいと思うわ。よろしくお願い」
「分かりました。では部下達も連れてくるので実際の作業は明日からとさせていただきます。この場で知った情報は決して陛下相手であろうと他言しないことを誓いましょう。不安がありましたら魔法契約書も用意させますが」
「…………信頼してない訳じゃないけどあった方が安心できるからお願いしたいわ」
とんとん拍子に進む話を見ていてこういうことはやはり専門家に任せるのが一番なのだと思う。経験のない素人が手を出したら大抵は上手くいかずに問題が拡大するだけなんだ。とてつもない才能があったとしてもそれを生かせるかどうかはまた別の問題だしね。
「では陛下、私は準備を進めてきますので本日はこれで失礼します」
「うん、面倒かけちゃってごめんね。帰ったら一週間くらい休みを取っていいから家族サービスして」
「ありがとうございます。それでは」
そう言ってガリ大臣は退室した。僕もようやく正座から解放される。窓を見れば既に太陽は落ちている。道理で部屋がちょっと昏いわけだ。照明がついている事実にすら気付かないほどに濃密な説教だったなぁ……。
流石に5時間も正座をさせられると最早脚の感覚が欠片もない。多分このまま歩いたら足首をぐきっと行くのはまず間違いないと確信する。
のでゆっくり、本当にゆっくり立ち上がろうとしてやはり失敗して前に倒れ込む。
「あっ」
「ふにゃっ!?」
倒れ込んだ先にはそれを止めようとしたヒカリがいて、運の悪いことに僕の顔は彼女の胸元に飛び込んでしまった。物凄く綺麗なラッキースケベである。
「……何か言いたいことはあるかよ」
「…………僕はこれくらいが好きだよ?」
大きくはなくとも確かにある膨らみというものはいいものだ。うん、これは間違いなくセクハラなんだけどなんかもう状況を把握し言葉を選べるほどの余裕は今の僕にはない。
これが普段通りで二人きりであったのなら喜んでいたのだろうが、この場にいるのは僕とヒカリだけではないわけで。
「トーマ君、引き続き正座をしますか?もしくは……えっと、その……わ、私の胸元でよければ……」
「すみません、勘弁してください。後者も物凄く魅力的だけどそれを選んだ瞬間僕の首がへし折られると思うので遠慮させていただきます」
アリシアは怒りながら、そして自分の言葉に対する羞恥心で真っ赤になりながらプンプン怒ってますよという雰囲気を出している。が、正直怖くないし逆に可愛いのだから美少女というのは素晴らしい。
「おい、反省してんのか。人の胸の中で笑ってるとか言い度胸じゃねぇか」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!頭が割れるように痛いぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」
ヒカリに支えられている状態でアリシアの愛らしさに笑みが浮かべていることに気付かれ僕の頭は片手で持ち上げられた。ギリギリと万力のように締め付けられる頭からミシミシと鳴ってはいけない音が頭がい骨を伝って直接鼓膜を震わせてくる。
悪いのは僕なので大人しく罰は受けておく。
「最低ね。やっぱり男ってのは胸が大好きなわけ?悪かったわね、どうせ私は喜ばせれる程大きくないわよ!!!」
「落ち着けジュリア。ジュリアの胸はそれはそれは愛らしいではないか」
「…………もうこの姉は駄目、これ以上一緒にいたら私も染まりそう。剣王、私はソードリアに行きたい。私を一緒に連れて帰って」
「逃がすわけないでしょうが!!ライラは大事な私の側近!!!絶対に逃がさないし行かせない……!!!」
「…………変態と一緒に泥船に乗る気はない……!!」
アイアンクローを食らい足が地から離れている僕に縋りつこうとしているライラの脚を掴んで転ばせてその馬鹿力を発揮出来ないように拘束するジュリア。
聖剣の第二能力を鍛えていった結果、その力を使わずとも集中すればある程度周囲の様子が分かるようになってきている辺り僕もまた身体が闘争に慣れてきたのだと思う。
「なんだと?ライラ、変態がここにいるのか?私が今すぐたたき出してやろう」
「「お前だよ」」
「!?」
「…………なんでそこでそんな反応が出来るのかが心底不思議」
「お願いだからレイラ、自分の発言を一度見返してくれないかしら?」
「……特に問題ないと思うが、何かあったか?」
心の底からそう思っているのだろうレイラの言葉に深い、それはもう地獄の底から鳴り響くほどに深いため息が二人から聞こえてきた。
僕はレイラ・トレイという人間のことをよく知らないが、彼女達の話を加味するとこうなったのはつい先日なのだろう。ヒカリと戦った時に頭をうった結果こうなってしまった可能性もあるが黙っておく。もしそれが事実だったら何を要求されるか分からないからね!!
しっかし、この三人も何というか『王戦』前と比べると仲が良くなってるように見える。やはり『槍王』に身体を乗っ取られるかもしれないという状況は酷くストレスがかかっていたのだろう。そりゃ人間的に荒んでも仕方ない。
……槍王候補がみんなそんな感じだった場合滅茶苦茶面倒そうだ。ジュリアじゃないけれどヤランリ王国のこの後のことを考えたら溜息の一つや二つつきたくなる気持ちが分かってしまう。
「ジュリア……。大変だったらすぐに連絡してね?出来る限りのことはするから……」
「アンタに借りを作ったらどうなるか分かんないから嫌」
ものすっごい嫌われてる。
思わずショックを受けて止まってしまうが僕が彼女に対してやってきたことをよくよく思い返してみればそうなるのも仕方ないのかもしれない。
理由は分からないがそもそも彼女は男嫌いであるところから始まって王戦中には彼女の側近候補であるライラと割と本気でぶつかり合った。一手間違えたら死んでたし、ここら辺はお互い様ともいえるが人の感情とはそう簡単に納得できるものではないだろう。
その上彼女が『槍王』に乗っ取られたのは僕がシオンに対して色々と事前に言ってたからでもある。彼女が苦しんだ理由の一つは僕にもあるわけで。
そして『槍王』に乗っ取られた後はその場の全員でジュリアの身体をボコった。それはもう、全員が死力を尽くして倒そうとした。その結果彼女は未だに毒で祖国に帰ることが出来ない状態。
そして今回そこまでした僕に仕事を邪魔された上に変な相談を持ち掛けられた……と。これはもうスリーアウトどころではない。一発も殴られていない事実に感謝しなければいけないレベルではないだろうか?
「とりあえず土下座から始めればいいかな」
「なんでそうなるの!?ちょっ、本気でしようとするな!!」
本気の謝罪と言えば土下座。伊達や酔狂でこんなことが出来るはずもない。僕にもプライドはあるのだから。
だがそんなプライドよりも大事なことがある。具体的に言えば隣国の王様兼これから先の協力者になってくれそうな美少女に嫌われてたままなのは精神的にも政治的な意味でも辛いのだから。主に前者が。
「銀髪メイド!!アンタの幼馴染なんでしょコイツ!!何とかしてよ!!!」
「ははは、アタシが十年以上一緒にいて矯正しようとしなかったと思ってんのかよ。コイツのこれはもう不治の病みたいなもんだから諦めた方がいいぞ」
「剣王!!アンタ幼馴染にあんな目をさせて恥ずかしくないの!?」
「僕はいつだって本気だし、本気の行動を恥ずかしいとは思わない。ヒカリには迷惑をかけて申し訳ないと思うけど」
「いいから頭下げるのやめろォ!!!!」
無理矢理引き上げられてしまった。ジュリアの顔は真っ赤に上気していて物凄い怒っているようだ。よく考えなくても急に土下座してくる男って怖いな……。
「もう諸々のことはいいわ!!さっさと相談事をしなさい。シオン・エースとシエル……の仲直りだったかしら」
「ようやく本題に入れましたね」
「本当よ、なんでここまで来るのにこんな時間かかるのよ」
「トーマ君の行動に理屈を求めると頭がパンクしちゃいますよ?そういうものだって受け入れた方がいいです!!」
「アリシア、僕つい先日君に告白されたけどさ。やっぱり治したところがあれば遠慮なく行ってほしいんだけど」
「トーマ君はそのままでいいんですよ?足りないところとかは私達が支えますからっ」
「あ、うん、ありがとうね?」
アリシアの素敵な聖女のごとき笑顔に思わずそう答える。というかそれ以外に何を言えばいいのか全く分からないのだから仕方ない。好かれている理由も正直分からないが……僕が僕らしくあればいいというのであれば気にしない方がいいのだろうか。
「…………剣王達は、あの二人を仲のいい母娘に戻したい。そういうことでいい?」
「うん、そうなんだ。あの二人今すっごいぎこちないからさ」
「…………話は分かった。でもそれは非常に難しいと言わざるを得ない」
「あー、確かに難しいわね。前みたいな関係もそうだけど普通の母娘ってのも難しいわ」
「否定できないな。あの二人の関係性は複雑だし」
ライラの言葉にヤランリ王国でシオンとシエルさんを見続けてきたジュリアとレイラも肯定する。腕組みをしながらうんうん頷くその姿には仲直りは難しいという確信があるようだ。
だがそれでも僕はあの二人がまた同じように仲良くしているところを見た――――
「…………だってシエルの方がシオンより年下。年下の母親とか物凄く複雑だと思う」
「待って???」
いきなり爆弾を投下するのはやめてほしいんだけどなぁ!!!!!
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