不知火カヤ(精神的超人)   作:ふぁっしょん

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日和見主義とは機会主義とも呼ばれ、その信用の薄さから批判されることも多い。
だが消えない。なぜか。
それは短期的に利益を得ることができるからだ。
そしてそれは積み重ねれることができれば、長期的な損失を補いえる。

彼らはさまざまなものを利益として求める。
たとえば金。たとえば利権。たとえば権力。たとえば兵力。

そして、たとえば失われた面子を取り戻すことも。

連邦生徒会の庇護を失いつつあるSRT特殊学園の生徒。
かつてあったいくつもの組織の残骸が、血を嗅ぎつけた捕食者のように群がる。

カヤは、彼女たちを守る。
本来できるものよりも少し……
少なくとも、彼女たちが生き残れるように。

そしてその影を潜る。
より深く、闇へ潜るために。
闇の中を探るために。


吊された女(5)

 不知火カヤ防衛室長をのせた車が、サンクトゥムタワーを離れてゆく。

 笑み、細めた目。

 しかし窓から覗く顔は、どこか暗い。

 

 

 連邦生徒会長失踪から四か月が経過し、多くの官僚と影響し合うようになったが……

 不知火カヤ防衛室長の政治的影響力はまだ深くない。

 まだ浅い。決して懐を探れるような距離にはいない。

 

 これまでの調査で、はじめに嗅ぎつけた違和感の多くが解消された。

 これ以降の調査では、通常なら捜査できない位置を探る必要がある。

 物理的にも、政治的にも、慎重に手を伸ばしていかねばならない。

 だが懸念点はいくつもあった。

 

(連邦生徒会長を消したやつの意図が見えてこない……)

 

 不知火カヤ防衛室長の見解としてだが。

 すでに連邦生徒会内の混乱は収まりつつある。

 さまざまな行政上の問題が残っているが、業務処理自体は成功している。

 各学区に波及した混乱もだ。

 無論、治安維持活動を行うヴァルキューレや自警団などはいまだ凄まじい激務に追われているが……

 当初の悪化スピードを踏まえると、急激な負荷による破綻は起きないだろう。

 少なくとも、キヴォトスや連邦生徒会をどうこうする時期は逸しているように思う。

 

(とすれば、脚本家の狙いは、連邦生徒会ではなく、キヴォトスでもなく……

 連邦生徒会長(あいつ)自体にあったのではないか?)

 

 

 連邦生徒会長自らが管理していたものは、決して少なくない。

 そしてその内容はかなりの秘匿がなされていた。

 

 たとえば廃墟と呼ばれる地域について、防衛室長はまったく情報を持たない。

 連邦生徒会内部の実働部隊を派遣していたことは知っているものの……

 それがいったいどこの誰だったのかすらわからない。

 

 調べるには、不知火カヤ防衛室長の所属する行政委員会ではなく、七神リン行政官の所属する統括室が管理する区画に手をだす必要がある。

 

 

 七神リン行政官の派閥とその高官は、かなり親密だ。

 平時の交友関係を持って当然、といった雰囲気すらある。

 つまりメリット、デメリットで釣れる範囲を完全に逸している。

 ただでさえ対立している派閥だ。失踪事件を境に敵対している以上、穏当な手段で接することはできないだろう。

 とはいえ、まだ衝突するわけにはいかない。

 それはカヤの地盤が弱いため、だけではなかった。

 

 

 

(必ず、連邦生徒会内部に関係者がいるはず……

 もしリン行政官がシロなら、それはつまり敵が野放しになるということです。

 敵……)

 

 不知火カヤは車のなかで、傍らに置いた書類の内容と、これから会う相手を思う。

 

(カイザー。様々な手段を使い、資産価値の低い土地を漁っている企業グループ。

 かつてのどす黒いゴミどものように軽々と一線を越えないあたり、見逃されているのかと思っていましたが、アビドス砂漠の一件を踏まえると、カイザーは利益のためではなくなにか目的があって土地を漁っている可能性があり……

 それは連邦生徒会長(あいつ)のやっていたことと共通点がある)

 

 書類の中には、カイザーコンストラクションの狙う子ウサギタウンに関する資料がある。

 これを手掛かりとして、切り離しを容易に行ってくる企業複合体の、カイザーの内部に接触することができるはずだ。

 子ウサギタウンがどういったものであれ、再開発の進捗をこちらが操作できれば、狙いを探るだけの時間は用意できる。

 

 カヤは車窓から外を眺めた。

 キヴォトスの街並みは変わらない。だが人の表情は違う。

 

(なにが目的だろうが関係ない。これだけのことをした以上、責任をとるべきだ。

 なにが待っていようと、私は絶対に……)

 

 車のドアが開く。

(絶対に妥協しない)




 不知火カヤ防衛室長は外部組織と汚職をはじめました。
 それをどうにかするためのSRTも、FOXも、なにもかも動きませんし動けません。
 連邦生徒会内部のカヤ派閥(防衛室長に忠実とはいってない)は、こいつ怖いな~と思っています。切実に距離を取りたい。
 彼らも激務は激務に変わらないので、業務をこなしていると一日が終わっています。

 エデン条約が近づいていきます。
 とはいえまだ遠いです。まだちょっと余裕があります。
 連邦生徒会は学園自治区にたいしてそこまで干渉したくないという方針もあり。
 自分のやれることを精一杯やってます。

 不知火カヤ(超人)はまだ疑っています。
 実はまだ、連邦生徒会にいるのではないかと。
 もしかして、巨悪が潜んでいるのではないかと。
 多学籍マフィアとか、カルト教団とか、そういう書類にないなにかがいるのではないかと。
 考えすぎかもしれません……どうでしょうね。

 まあ次話にはわかります(真実とはいってない)。原作時系列的にそうじゃないとおかしくなるので。
 わかるのはやすぎ有能すぎですが、Vol.3の中盤以降を踏まえると……
 そこからわかる余裕はないです。
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