モンスターハンターアルカディア   作:ぷにぷに狸

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2章:新たな出会い・7話

 素材採取(主にキノコ採取)も終盤に差し掛かってきたころ、残りの本数はケイン達に任せある調合材料を採取し始めた。げどく草にアオキノコ。そう、100%の解毒作用(但し猛毒状態には無効)がある解毒薬の調合材料を集めていたのだ。今後、クエストを進めていく上で、また、ショップ上に置いて品揃えが良くなっていく行くまでの間、必ず必要になっていくだろうと踏んだでいたからだ。調合書を持っていないことから100%調合できることができない以上、ある程度数を揃えておきたかったのである。そう言うこともあってか、俺はアオキノコやげどく草の入手率が高そうなキノコ採取ポイントを見つけては、そっちばっかし採取していた。

 そうしたなか、サユリがこちらにやってくる。

 

「特産キノコの方はどんな感じですか?」

「まあな、大体は」

「あれ? アオキノコにげどく草? たくさん集めているようですが……」

「まあな。それよりも、そっちの方はどうなんだ?」

「もう、集まりました」

「そっか」

 

 もう少しで終わりそうだな。――とそこで、サユリが何やら遠くの方に視線を向けた。

 

 (なんだろう……)

 

気になって、彼女の方へと視線を移す。すると、なにやらとても小さなモンスターがいた。手早くアイテム選択から双眼鏡を取り出し覗いてみる。すると、

 

「あー、アイルーたちか」

 

 野生の獣人モンスター、アイルーが何やら諸集団を作っていたのだ。その様子から、切り株を囲って宴会をしているみたいだった。正体がアイルーだと聞いて表情がパッと明るくなったサユリは

 

「え、アイルー……」

 

 興味津津といった表情を浮かべ、

 

「お、おい! そばから離れちゃ」

 

 と俺の忠告を無視して行ってしまう。とその直後、キノコ採取を終えたケインが、立ちあがった。

 

「ん? 一体どうしたんだ? ユウト」

「いやあ、サユリがな」

「え?」

 

 ケインも俺と同じ方向を見た。そして、ややあきれ顔をした。

 

「あ~あ、何やってんだか」

「それ、俺も同感。まあ、見た限り、アイルーしかいなかったみたいだから、とりあえず危険なことはないだろう」

 

 確かに危険な感じではなかった。双眼鏡で確認したところによると。ただ、周囲に生えている雑草の辺りは気になるところではあるが。

 

「よく見えねぇけどよ。サユリの奴、なにと戯れているんだ?」

「アイルーさ」

「アイルーねえ」

 

 しばし何やら考えるそぶりを見せた後、

 

「俺も行ってみるか」

「ええ? お前もか」

「いいじゃねえか。たまにはこういった息抜きもいいと思うぜ」

「はぁ、まあ……確かに……」

 

 頭を掻き、言われるがままそういう時も必要なのかなあとどこかしら納得してしまう。こうして、ケインもサユリとアイルー達の方へ。俺はアイルー達と戯れることが苦手だったことを踏まえ、もくもくと素材採取に没頭したのだった。

 そんななか、

 

「おーい!、ユウトー!」

 

 とケインの声が聞こえてくる。多分、一緒に戯れようぜ的な感じのノリだろうと見た俺は、それを拒む。

 

「あー、いーよ、俺は」

「そんなこと言うなって。こっちに来いよ。かわいいぜぇー」

「それでも俺はいいや。そうゆうの、苦手だし」

 

 ちぇえ、といった愚痴を微かに耳にする。仕方ない。俺はそういったことには不向きだから。とはいえ、採取中、ケイン達の楽しい声が気になっていないというのも嘘である。聞いているうちに、少しずつであるが、やっぱり様子見してこようかなあと言った思いも出てきつつあるのだ。そう言うこともあってか、ある程度、採取作業を終えた後、俺は様子見に彼らのところへと向かう。

 

「この肉球、ぷにぷにしていて気持ちい~」

「できたらお持ち帰りしたいねえ~。こいつら」

 

 困り果てるアイルー達をよそに、2人でわいわい楽しんでいた。いい雰囲気なんだろうが、どうも俺にはなじめそうにない。

 

「肉球、ぷにぷに、か……」

 

 ため息を零す。

 

「ん? おー来たかユウト。こっちに来て触ってみなよ」

「柔らかくて、気持ちいですよぉ」

「はー、あのなあ……」

 

 お前ら、当のアイルーが困っているだろう。そう言おうとしたが、俺はそこで、草むらの影から何者かがこちらをみていることに気が付き、口を閉ざした。影はアイルーと同じ目つきであり、その正体も定かではない。

 

「おい、なんか厄介事増えそうだから、ここはまず行こうぜ」

「え? なんでだ?」

 

 同じくサユリも首をかしげる。

 

「いいから。ここを立ち去ろうぜ」

「もー、なんだよ。いきなり……」

 

 渋々そうな表情を浮かべるケイン。俺の言っていることが今一理解できていない様子だった。――とそんな時、サユリの悲鳴が上がった。

 

「きゃー!!」

 

 俺たちは彼女の方へと視線を移す。とそこにはなんと、あの手癖が悪いメラルーの姿があった。アイルーとは違い手癖の悪いこいつらは、何かとアイテムをハンターから奪っていく。当然ながら、サユリも何かを盗まれたに違いない。

 

「もー! なんなのよぉ」

「特産キノコを盗まれました。だって、やられたなあ」

 

 とケラケラ笑うケイン。

 

「何笑ってるんですか。もー!」

「だってよ……あっ! おいっ!」

 

 言っているそばから、ケインも近くに忍び寄っていたメラルーによって何かアイテムを盗まれたらしい。まったく、ケインも人のことが言えない。とそこで、俺は先の草むらに隠れていた奴――メラルーが飛びかかってきたのを察知。間一髪、避けるや否や、蹴りを一発お見舞いしてやる。

 

「ふぎゃー!!」

 

 くるくる回転し、その蹴られたメラルーはパタリと倒れた。こいつら、どうもアイルーの宴会を隠れ蓑にして獲物を待ち伏せしていたらしく、ここにきて10匹ほど湧いてできやがった。どうやら、蹴り一発で済む話が切り捨てて退散願うしかこれ以上の混乱は避けられそうにもなかった。

 先ほどまでメラルー達を追っ払うことに懸命になっていたケインやサユリもこれ以上対象の仕様がなく、次から次へとアイテムを盗まれて行ってしまう始末である。

 

「とりあえずだ。こいつら痛い目に合わせて何とか追っ払うんだ!」

「そんなこと言ったって……」

 

 それでも可愛いんだもんと言った感じの表情を彼女は浮かべる。

 

「そんなこと言っている場合かよ。このままだとアイテム全部持っていかれてしまうぞ!!」

「そうだぜ、サユリ。どうせこいつらは死なねえ仕様なんだ。一撃で仕留めて退散させてやるに越したことねぇぞ」

 

 ケインの意見に賛成だ。混乱の最中、しばし彼女は考え込み、そして、その目つきを変える。それはやむなしといった覚悟の表情の表れでもあった。大好きなモンスターを切らねばならないとゆう覚悟の。

 

「えーい!!」

 

 サユリは抜剣するや否や、不用意に近寄ってきたメラルーに優しい一撃をお見舞いしてやる。ブシュ―と血が吹き出し、当のメラルーはくるくると回った後、パタリ。起き上がるや否や地面を掘ってそそくさと退散してしまう。

 アイルーやメラルー。それ以外の獣人系のモンスターにも言えることだが、こいつらは他のモンスターとは違い、討伐後はその場で地に崩れるのではなく、すぐさま退散する仕様なのだ。つまり、無敵っちゃあ無敵とゆう事である。とはいえ、小型ゆえにすばしっこいから、ある意味厄介なことには変わらない。特に、今作を開始して以来まだ出会ったことはないが、チャチャブーとか言う同じ獣人モンスターは、危険極まりない。メラルーなんてまだ可愛い方であった。

 メラルーとの混戦が激しくなっていく中、アイルーも巻き込まれて、俺たちハンターとメラルー&アイルーの三つ巴戦と化してしまっていた。そうした頃、半数近くのメラルーやらアイルーを追っ払っていく中で、俺は一際大きな影が地を流れていくのを目撃。それに伴って、不吉になびく風も肌で感じる。嫌な予感が背筋を這う形でぞわぞわっと這い上がっていく。そして……

 

「っ!」

 

 俺は目撃する。その巨影の正体を。ケインやサユリはメラルーなどを追っ払うのに夢中なっていてまだ気付いていない様子であったが、俺は遠くの方で舞い降りる大型モンスター。大怪鳥イャンクックをこの目で見たのだ。

 大きな翼を折り畳み、その場に立ち尽くすイャンクック。その巨大な嘴で地面をつっついては、ゆったりとした様子を窺わせる。その様子からに、どうやらこっちの方には気付いていない様子であった。とはいえ、アプトノスが2頭ほど通れるか通れないかしかないくらい狭いこの通路でもし戦闘となった場合、突進などといった攻撃が来た際、それをかわすスペースがないゆえにそのリスクは格段に上がってしまうのだ。そう言うこともあってか、俺としてはこの場は今のうちに逃げるが無難だと確信した。

 

「おいっ!! そんなメラルー達に構っていないで、とっとと行くぞ。……おいっ、おいっ、聞いているのか?」

「そんなこと言ったって、盗まれたままじゃ気が進まねえぜ。もうちょっと待っててくれ」

「私も、もうちょっとだけ……」

「あーもぉ!!」

 

 正直、差し迫る危険に、俺はある意味余裕がなかった。危険というのは、ようするに遠方に佇んでいるイャンクックのことであり、気付いたら襲ってくるかもしれないと言った危険のことである。

 

「とりあえず、そいつらはほっとけ。なんでもいいから行くぞ」

 

 焦る様子に気付いたのか、ケインは何が何だか分からないぜと言った表情を浮かべて尋ねてくる。

 

「どうしたんだよ。そんなに焦ってさ」

「いいから。なんでもだよ」

「なんでもって言われてもなあ……」

 

 理解に苦しむケイン。俺は渋々、その理由を遠方にいるイャンクックの方へと指さした。

 

「あれを見ろよ。あれを。そうすれば分かるぜ」

「あれって……」

 

 俺のさした方を何気なく見つめる。そして、ケインはその表情を変えた。

 

「あれってまさか……」

「イャンクックだ。こちらに気付かれるとまずいから、焦っているんだよ」

 

 その表情を青ざめさせて

 

「た、確かに……」

 

 どうやら伝わったみたいだった。ケインとしてはイャンクックを見るのは初めてだろうけど、大怪鳥としてのその姿からそのやばさを実感できたのだろう。

ところが

 

「けどよ。あのくらいのサイズじゃ、こっち来ても大したことねぇんじゃね」

「大したことないって。距離感を考えろよな。こっからあそこまで結構距離あるぜ」

「う~ん……」

 

 納得しないのか、ケインは目測ではかろうとする。そうしたなか、俺たちの会話が気になってか、サユリが聞いてきた。

 

「2人ともどうしたの?」

「いやあ、何と言うか……」

 

 ケインが頭を掻く。

 

「ところでメラルーの方は?」

 

 そう聞く俺に、サユリが

 

「なんとかほぼ全て追い払うことができたよ。ねえ、何かあったの?」

 

 ここで押し黙るケイン。なんといっていいのか分からないみたいだった。一方、俺は親指で後方にいるイャンクックの方へと指す。

 彼女もケインと同じく、距離感を見誤ってか

 

「小鳥さん?」

 

 とポカーンとした表情で答える。

 

「ちげぇーよ。距離を考えろよ」

「距離?」

 

 彼女もまたケインと同じく目測ではかろうとする。そうしたなか、イャンクックがこちらに向いてくる。そして、必然とこちらに気付いてしまう。途端、!マークのアイコンが表示され、探るようにこちらに近寄ってきた。徐々に徐々に近寄っていく中で、その大きさがまじまじと実感に変わる。

 

「なんか、意外と大きいですね」

「だろう。ともかく、気付かれっちまったが、ことが大きくなる前にここは逃げるぞ」

「う、うん」

「そ、そうだな」

 

 ケイン、サユリ。両名は納得し合うと、俺についてくる形で引き返そうとする。そろりそろりとこの場を去ろうとする俺ら。大きな岩を横切りつつイャンクックの視界から消えようとしたその時、クェー!!! と、大きな鳴き声が聞こえてきた。敵対する存在(俺ら)を確認した証拠であり、空気を震わせるような大きな鳴き声を響き渡らせ、直後、低空飛行で突進してきた。

 

「ま、まずい!! 左右に散るぞ!」

「ああ」

「はい」

 

 2人は俺の合図と共に左右に散ろうとする。――が、そこでサユリが木の根っこに足を取られて「あっ」と転倒してしまう。

「っぅ……」と唸るサユリ。そして、眼前に差し迫ってくるイャンクックを目の前にして、恐怖を露わに

 

「あ、あわわわわああ……、キャー!!」

 

俺は彼女の危機に、咄嗟にイャンクックの前に立ちはだかる。頼りなさそうな楯を構え、さあこいっ! と心の中で気合いを入れる。

そして――

 

 〝ガキ―ン!!〞

 

 激しい金属音と共に火花を散らし、イャンクックの低空飛行突進を真正面からガードする。

 

「くっ」

 

 ざざざざー、と地面を滑りながら後方に退いて行く俺。さすがに大怪鳥だけあって、重い一撃の前にガードしたのにも関わらず1割程度体力ケージが減らされてしまう。態勢をすぐさま立て直し、俺はケインに呼びかける。

 

「ケイン! とりあえず今は、そいつと一緒に逃げてくれ」

「ああ、分かった。ほら、行くぞ」

 

 しかし、震えが止まらずすっかり足がすくんでしまっていたサユリは、立ち上がることができずにいた。

 

「だ、だめ。立ち上がれそうにない……」

 

 サユリの両膝が震えるが、状況が状況だけに俺はケインに一喝する。

 

「とにかく!! 何でもいいから、早くこの場を」

 

 焦る俺を見たケインは、慌ててサユリを引っ張って連れて行ことする。

 

「さ、捕まって」

「は、はい……」

 

 言われるがまま、サユリはケインに引っ張られ、そのまま連れられて行く。そして、全力疾走でその場を駆けていく。一方、サユリとケインの逃走姿を目にしたイャンクックは、そこから飛び立とうとしていた。それを目にした俺は、心の中で

 

〝させるか!!〞

 

 と叫び、全力で切りかかる。切れ味が緑ケージもあってか、血飛沫が勢いよく炸裂する。

 しかし、にも関わらず、イャンクックは微動だにせず、舞い上がる。動きを止めるべく、俺はがむしゃらに奴の両脚に飛び付く。そして、低空飛行からの突進が繰り出されようとする中、俺は広げた翼の翼膜に、そのまま剣を突きたてた。肉質が柔らかいこともあってか、剣は貫通。弱点でもあったことから、イャンクックは悲鳴を上げて勢いよく地に倒れ込む。

 俺は勢いに乗ったまま吹き飛ばされ地に転がり込むと、素早く態勢を立て直す。転んだことによる衝撃からのダメージが体力ケージを再びわずかに減らしていたことを視認すると、再び相対。〝ここから先へは通さねえぞ〞と心の中で張り合う。とはいえ、ケイン達が逃げ切るまでの時間稼ぎなのだが、正直言ってタゲ取り(ターゲット奪い)し続けるのは、きついものがある。次いつ、ケイン達の方へと向くかとひやひやしてならないのだ。しかもタゲ取りの件だけではない。地形的状況下においてもきついものがあるのだ。ここは狭い。狭すぎるのだ。ほぼ一方通行しかないこの木々のトンネル内で戦うには、ちと不利な要素が大きかったのだ。

 けれど、そんなこと言っている場合ではない。なんとしてでも、ケイン達を逃がしきる。俺はそのことだけに意識を集中。そして、立ち向かう。

 

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