モンスターハンターアルカディア   作:ぷにぷに狸

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2章:新たな出会い・9話

 クエストから無事に帰還した俺たち。視界にお知らせアイコンが点滅しているのに気付いた俺は、そこでウィンドウ画面を何気なく開いた。〝New〞がついたお知らせの項目。それを開いた俺は、そこでギルドからのお知らせだと気付く。どうやら例の猟団の居所が分かったのだろう。お知らせにはこう書いてあった。

 

―猟団捜索の件―

内容:

貴殿より依頼された件について。猟団「肉球カフェ」の団員達の現在の居所が分かりました。場所は森丘。受付嬢より、捜索クエスト「潜入!! 飛竜の巣窟」を受注してください

 

 との内容だった。

 先ゆくケインとサユリに、俺は

 

「ちょっとまってくれ」

 

 と呼びとめる。

 

「どうした?」

 

 とケイン。俺は先の届いたお知らせ内容を口頭で告げる。

 

「たった今、お知らせが来たんだ。これから送るから2人ともメールを見てくれ」

 

 そう言って、ぱぱっと操作したのち、俺は2人に上記のお知らせ内容を送信してやった。送りつけられた内容を一通り読みだす二人。

 

「これは……」

 

 一方サユリは、

 

「……」

 

 とどことなく複雑な思いを抱いていそうな表情を浮かべる。

 

「どうした? サユリ」

 

 しかし彼女は、

 

「えっ? うんうん、なんでもない」

 

 心情を述べることはなかった。俺としては、多分、彼女は自分を見捨てた団員たちを見つけるのに複雑な心境を抱いているんだろうとなんとなく察した。

 しかし、こればかりはサユリの判断に委ねるしかない。

 

「どうする?」

 

 しばし考え込んだ後

 

「……行こうと思います。どの道合流しなくちゃならないし」

「そ、そうだな。合わなくちゃな」

 

 ケインが場を取り繕う。俺はどことなく、サユリが心配だった。

 

 

 

 

 俺たち3人は受付嬢にて、例のクエストを受注することとなった。ドンドルマを後にし、目的地である森丘へ。乗ってきた飛行船から下船しBCへと降り立った俺たちは、サユリを気にかけつつもアイテムボックスからの支給品を受け取り身支度を済ませていた。

 

「準備はいいか?」

「うん」

「俺もバッチリさ」

「なら……」

 

 そう言って、生態マップを開く。マップ上では、マーカーがエリア7の湖のほとりで示されていた。

 

(ふむふむ、なるほどね……)

 

 そう納得する。

 

「よし、行こうか」

 

 場所は見当ついた。俺はそう言って早速率先して歩きだす。けれどそこで、ケインが呼びとめた。

 

「場所は分かるのか?」

「ああ、大体はな」

「大体って……」

「大丈夫だって。そっちも生態マップを確認してみろよ。ちゃんとマーカーが示されているはずだからさ」

「……」

 

 言われて、彼は何気なく生態マップを開く。

 

「ああ、ほんとだ。確かにな」

「だろう。なら問題ないさ。行こうぜ」

 

 俺とケインは歩きだす。――が、サユリはどうも何かを躊躇っているのだろうか。一緒に歩き出そうとはしなかった。

 

「ん? どうしたサユリ?」

 

 とケインが振り向く。つられて同じく、俺も振り向いた。表情からしてどこか暗そうな感じがしていた。やっぱり再会は心苦しいのだろうか。なんて思っていると、彼女は何かを振り払うかのように

 

「うんうん、やっぱりなんでもない。行こう」

 

 そう言って、サユリは歩きだした。

 

 そして……

 

 森の奥へ奥へ、マップ上に示されたマーカーを目指して歩いて行く俺は、そこで一旦立ち止まった。

 

「一応、言っておきたいことがあるんだ」

「急にどうしたんだ? ユウト」

「今回のクエストなんだけどさ。確かクエスト名に飛竜とか書いてあったじゃん」

「言われてみれば、確かに……」

 

 とその様子からしてどうやらケインは忘れていたらしい表情を浮かべてそう言った。

 

「書いてありました、確かに」

「だろう。だからさ、今回登場する飛竜は、HRからしてリオレウスかリオレイアかのどちらかが出るんじゃないのかと俺は推測するんだよ」

「ふむふむ。なるほどね。……って、リオレウス?」

 

 聞いたことないぞその呼び名、っ的な感じで、ケインは疑問符を浮かべる。

 

「リオレイアのつがいとなる飛竜の名だよ。レイアが陸ならレウスが空っ的な立場さ」

「なるほどな。……って、それってやばいじゃん」

 

 少々焦るケイン。サユリも多少なり動揺の色を浮かべる。俺は話を続ける。

 

「だからさ……」

 

 とちらりとサユリの表情を気にしつつも

 

「もし遭遇した場合、お前らだけでも全力で逃げろよな」

「ああ、それは当然だよ。ユウトもそうするよな」

「ああ。だけど、多少なり、相手するよ。完全に逃げ切るなんて難しいだろうからさ」

「おいおい、相手にするって。お前も見ただろう? あんなのが襲い掛かってくるんだぜ」

 

 そう言って、リオレイアに襲われた時のことを述べる。けれど、ケインは俺がレイアと真剣勝負(ガチ)で戦い、一度勝利を手にしてトライアルマスターになっていたことを思い出すと

 

「って、そっかあ。お前一度討伐したことあるもんな。それなら頼りに……」

 

「あー、その話はさておき。ともかく、俺が言いたいのは、もし見かけたらすぐにでもその場から逃げろと言いたいのだ。キャンプ送り(ゲームオーバー)、嫌だろう?」

「あ、ああ。まあな」

「私も……」

 

 2人とも同意見だった。俺も当然ながら彼らと同意見であるのだが、他に足止めできそうな者はいなさそうだったからということもあり、ここは本音を言わなかった。

 

「だったら、ここは自分たちの身の安全を第一にしろよな」

「へーい」

「……うん」

 

 各々は頷いた。

 

「さて。そうと決まれば、早速行くぞ」

 

 俺は率先して歩きだす。

 

 

 

 

 マップ上に示されたマーカー圏内に入った俺は、頃合いを見計らって

 

 (そろそろこの辺だとおもうが……)

 

 などと思い始めていた。木々に隠れてはいたが、遠方に湖も見える場所までやって来てそこで立ち止まる。

 

「どうした?」

 

 ケインが何気なく尋ねてくる。

 

「いやあ、圏内に入ったんだけどよ。てか入りそうなところからでも、向こう側から何か動きがあってもおかしいはずなんだよなあと思ってな」

「言われてみれば、確かに……」

 

 と顎をしゃくりながらケインは答える。

 

「サユリは何か聞こえたりはしなかったか?」

「うんうん」

「そうか」

 

 彼女の様子からに、どうも気配を感じてないみたいだった。おかしい。そんなはずはないんだけどなあ。などと不安になる。――とそんなこんなしているうちに、予想通りというやつか、どこからともなく飛竜の雄叫びが聞こえてきた。俺たちは顔を見合わせ、手早く近くの茂みに身を隠す。

 小声でケインが言う。

 

「どうやら的中ってとこだな」

「ああ」

 

 そして、しばしの間の後、遠方から声らしき声が聞こえてきた。そば耳を立てて聞いてみる。

 

「やばいよ、やばい過ぎるよ。やっぱこれ捨てて逃げた方が……」

「んなことできるかよ。クエストクリアがかかっているんだぜ」

「あ~あ、団長さえいればこんなことに……」

 

 団長!?

 

 俺はそのキーワードに注目する。もしやと思うが……

 

「ばっきゃやらおう!! もう、あいつはいないんだぜ。あいつの分までクエスト……」

 

 ここでケインが聞いてくる。

 

「ユウト。もしかして……」

「ああ。間違いない」

 

 確定であった。サユリが探していた猟団・肉球カフェの生き残りの団員で間違いなかった。そして、その声の主たちは、湖岸沿いに大きな卵、飛竜の卵を運搬しながらその姿を現すのであった。

 さらに付け加えると、彼らの背後から、飛竜が追撃してきていたのである。恐らくその飛竜――(ぱっと見た感じ深緑色っぽかったところから)リオレイアは、その盗まれた卵を取り返すべく彼らを追いかけているようであった。

 

「まずいんじゃねか。あいつら」とケインが心配して言う。俺も同じく心配してはいたが、ここで一斉に出てきたんじゃ、リスクがさらに高まるのは目に見えていた。そこで俺はこう提案する。

 

「ここは俺に任せろ。お前らはここで待っていてくれ」

「一体どうするって言うんだよ」

「ユウトさん……」

「大丈夫だ。気をそらすだけだ、奴のな」

 

 奴とはリオレイアのことであり、俺はペイントボールを手に立ち上がった。しかしそこでケインが、俺の意図するところを理解していないのか、制止してくる。

 

「おいっ、待てって。気をそらすって。誰をよ」

「決まっているだろう。リオレイアさ」

「じょ、冗談じゃねえよ。いくらお前でも……」

「無理はしないさ。気をそらしたら、手早くレイアの視界から身を隠すさ。その間に、彼らが逃げ切ってくれれば問題ないし」

「うまくいくかな……」

 

 どうもこうも心配な表情を見せるケイン。サユリもどことなく不安そうな表情を浮かばせる。俺は2人の肩に手を当て、気遣うようにして諭す。

 

「心配ないさ」

 

 そして付け加える。

 

「それより、頼みたいことあるんだな」

「頼みごと?」

「俺たちにできるそうなものなら何でも言ってくれよな」

 

 俺は目を静かに閉じてから、一拍置き見開いた。

 

「そうだ、頼みごとさ。俺が気を引きつけたその隙に、彼らを安全なところまで誘導してくれないかな」

 

 そう言って、俺は生態マップを表示させる。

 

「大体、このあたりに誘導してくれると助かる」

 

と、俺は生態マップで洞窟エリアの方を示す。それも、人がなんとか入れそうな洞窟。いわば隠れ家的な場所でもあり、リオレイアとか言った大型モンスターが入れなさそうな場所でもあった。

 依頼を受けたケインが応える。

 

「分かった。サユリもいいだろう?」

 

 どことなく自信なさげで言ったが、彼女は彼女なりに返事を返した。

 

「じゃ、頼んだよ」

 

 2人から了承を得ると、さっと立ち上がって、俺は茂みから飛び出しリオレイアと彼らの進行ルートの先回りをしに行った。

 

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