モンスターハンターアルカディア   作:ぷにぷに狸

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2章:新たな出会い・終話

 ユウトがリオレイアのところへと向かってから、大体10分程度は経っていた。そんななかで、ケインはサユリのところへと向かった団員達の様子が気になり始めていた。

 言い訳並べて手こずっているんだろうか。なーんて、勝手に想像を膨らませていくなか、ケインは暇だなあとかふと思い、あくびをする。

 耳をカポジって耳くそをふーと吹きかけ、辺りを見回す。遅いなあとか、何となく思い始めていた頃、ようやく団員達が帰ってきた。

 ついでにと言っては何だが、サユリも一緒に帰ってきた。どうも成功したと見えた。グインがややあって手を挙げる。

 

「またせたな」

「その感じだと、うまくいったみたいだいだな」

「まあ、な。一応、許してくれたのかなあってところだ」

「そうか」

「ところでよ」

 

 ここでグインは、ユウトがいないことに気付く。同じく、テツPやサユリ、それにケイまでもが彼の存在がいないことに気付いた。

 

「ユウトとか言う野郎はどこ行ったんだ?」

「ああ、それなんだけどな」

 

 ケインはユウトに言われたことを自分なりに解釈して、彼らに説明してやった。

 

「なるほどな。って、それ危なくないか」

 

 同じくして、ケイやテツPまでもが同感だと言わんばかりに頷く。しかし、サユリだけは、ユウトのことを若干知っていたことをもあって、そこまで心配することはなかった。

 

「確かに危ないけど。現状、レイアと対等に渡り合える実力があるのはあいつだけしかいないと思うし。それにユウトから伝言も扱っているんだ」

「伝言?」

 

 首をかしげる彼ら団員達に、ケインはユウトから聞かされた条件とやらを話し出す。

 

「伝言といっても条件なんだけどな。っで、その条件というのは」

 

 団員達が息をのむ中、ケインの口から発する条件とやらを待つ。そして

 

「条件というのは、飛竜の卵をここで捨てていくことだとよ」

「す、捨てて行くって……」

 

 それを聞き、躊躇いの表情を浮かばせる。無理もなかった。彼らにしてみれば、ここで卵を手放すというのは、クエスト失敗を意味していたからだ。だけど、こうなったのも自分たちのせいだと言う責任も痛感していたこともあり、条件を拒まみきれなかった。

 

「……仕方ない。ケインの言うとおりにしよう」

「お、おいっ。いいのかよ」

 

 内心決めかねていたグインが、慌てて待ったをかける。つられてケイも

 

「そうだよテツP。ここは、他の策を考える方がいいのかと」

 

 しかしテツPは、

 

「前々から思っていたんだけど、やっぱジードがいないことにはこのクエスト、俺たちには厳しかったのだと思うんだ」

 

 それを言われ、ケイたちは互いに顔を見合わせ

 

「テツP……」

 

 と言った後、黙り込んでしまう。そして

 

「ケインとか言ったけ。団員代表して言うよ。条件を飲もうじゃないか」

 

 ケインは了承を得たことに

 

「ありがとう。助かるよ」

 

 と言い、少しばかり笑みを見せた。一方、サユリの方も、団員達が了承してくれたことに安堵の表情を浮かべる。

 ところが

 

「ただし、こちらにも条件がある」

 

 意外な返事にケインは

 

「えっ」

 

 となった。サユリも訝しそうな表情をする。

 かたずをのんで見守る中、テツPはこう言ってきた。

 

「条件だよ条件。ユウトとかいう奴なんかにレイア討伐なんて任されないってこと」

「おいおい、それじゃまさか」

「そうだよ。俺たちも助太刀にいくぜ。なあ」

 

 ケイとグイン共に息を合わせたかのように

 

「ああ」

 

 と頷く。そして、そうだと言わんばかりの顔をしてケインと向き合い、早速と言わんばかりに自装備を確認し出した。

 

「おいおい、ちょっと待てって」

 

 ケインは必死で説得を試み始めた。どうもこうも、このままでは間違いなく死地に赴きかねない。そう思っての説得であった。

 ところが

 

「待てって? むしろその逆だろう。俺たちは待たないぜ」

 

 と逆に行く気概を持たせてしまう。一方、ケインだけでは説得しきれないと見たサユリも、説得に出てみる。

 

「待ってください。ここはケインさんの言うとおりに」

「サユリ、お前もいかないのか? あいつを助けに」

「私はここで待ちます。ユウトの実力を信じていますから。ですから、グインさんたちもお願いですから」

「実力って言ったって、どの程度か僕たちには分からないよ。ただ、確かに言えることは、このままでは彼が犠牲になりかねないってことだけさ。サユリも見ただろう? リオレイアの凶暴さ」

「う、う~ん……」

 

 言われて歯がゆい気持ちになってしまうサユリ。一方、ケインもこれ以上は口に出しずらくなってしまう。そんなこんなして、互いに説得しずらい気持ちになってしまう中、グインはここで切り出してくる。

 

「とりあえずここで話し合ってても仕方ねぇぜ。よし、お前ら行くぞ!」

「「おお!!」」

「ちょっと待てよ!」

「待ってください!」

 

 しかし、テツP達はケイン達の制止も聞かず、

 

「待ってられるか!」

 

 とか

 

「遅れとるなよケイ」

 

 とか言いながら、洞窟の外へと駆けだすように飛び出して行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 けたたましい怒りの咆哮が周辺の空気を震わした後、リオレイアとの激闘は激しさを増す一方だった。立ち回り方についてはトライアルマスター獲得を賭けたBT時のクエスト〝狩人と地の女王の群奏活劇(アンサンブル)〞で覚えていたから、そこのところは何とかなっていた。とはいえ、状況が状況とあってか、命欲しさに慎重に立ち回りざるを得なくなっていた。

 そうしたなか、実際にリオレイアと相対したのはこれで2度目のはずなのに、俺の心は意外にも少しばかり余裕があった。なぜだろうか。そうした疑問が脳裏をかすめている。

 戦いの間、頃合いを見計らって納刀した俺は、怒り狂い突進攻撃を避けられたリオレイアの間合いを一気に詰め寄っていく。そして、何度も両脚に2、3度の連撃を叩きつけては、一回間合いを取る戦法――ヒット&ウェイを繰り返していた。

 基本的な戦術、ヒット&ウェイ。この戦法さえ押さえておけば、大概の攻撃は避けられそうだと思っていた。そう、俺は今までの大型モンスターとの戦術戦からして、この戦法を主軸にBT期間中戦い抜いてきたからだ。今までの実績からして腕に自信はあった。今回も同じくうまくいくだろう。そう信じていた。

 心の中でそう思いながら戦っていくうち、リオレイアの怒り状態は徐々に収まりつつあった。先までの激しい動作。それが緩慢になってきたから、間違いなくそうだと思っていたのだ。俺はここぞとばかりに、手にしていた閃光玉を投げつける。

 そして、タイミングが良かったのか、閃光玉はリオレイアの眼前でピカッと激しい音響と閃光を放つと、たちまちリオレイアは気絶してしまう。

 俺は今だと言わんばかりに、懐に飛び込んで行った。両脚を中心に隙あらば頭部へと猛攻を仕掛けていく。盛大なる鮮血を迸りながら、ついにリオレイアは地面へと倒れ伏した。ダウン状態となったリオレイアはしばらく立ち上がれない。半殺しのチャンスと捉えた俺は、無我夢中で一気に畳みかけていく。

 

 食らえ!!

 食らえ!!

 食らえ!!

 食らえ―!!

 

 何度も何度も頭部を中心に切り刻んでは、鮮血を噴出させまくった。そうしたなか、再びあの咆哮の予備動作が突如としてまた来る。しまったと思った俺は、コンボ中だったこともあり攻撃の手を止めるに止められず、そのまま怒りの咆哮を食らってしまう。

 自分の腕を過信しすぎた結果がこのような事態を招いたと気付いた俺は、そのまま咆哮をまともに食らって動けなかったこともあり、尻尾回転攻撃で持って吹き飛ばされてしまった。

 

「痛っ……」

 

 眼前に表示された体力ケージが4割も削られていたことに動揺を隠しきれず、そして、吹き飛ばされたばかりで動けないでいた俺に畳みかけるようにして突進してくるレイアの姿が目に映った。やばい。このままではキャンプ送りにされてしまう。体が言うことを聞かない中、心の中に焦りと死への恐怖が込み上げてくる。

 もはやこれまでか。キャンプ送りへの覚悟を決めたその時、どこからともなく閃光玉が飛んで来、周囲を激しい閃光で包み込んだ。

 やがて、輝きが薄れると、目の前には見覚えのあるハンターたちが立っていたのに気付く。

 

「おまえら……」

 

 そう、彼ら――テツP、グイン、ケイの3人だった。正直、助かった。礼を言いたいところではあった。だが、状況が状況だけに、礼を言うところか逆に注意してしまう。

 

「何で来たんだよ!!」

「なんでって。そりゃあ助けるためだぜ~」

 

 グインが力強くそう答える。彼らの実力は未知数であったが……いや、俺はふと彼らの両脚を見た。いや、見てしまった。それはまさに震え。恐怖からくる震えであった。間違いない。俺はその瞬間確信した。彼らは間違いなく、レイアとの戦いには慣れていないのだと。これはまずい。俺は叫ぶ。

 

「助けも何も震えているじゃないか。とにかく腰抜かす前に逃げろー!!」

 

 しかし、そこで彼らのうちケイはそれは嘘だと言わんばかりに言い返してくる。

 

「俺たちがビビっているって。んなわけないだろう、なあ」

 

 お、おーと2人はそれに応える。とは言え、明らかにビビっているのは間違いなかった。とにかく俺はこいつらにさっさと逃げてくれるよう促してみる。

 

「だーも!! ともかくだ。とっととここの場から逃げ――」

 

 その矢先、未だに怒り状態であったリオレイアがめまい状態である中唸り声を荒げる。その様子を見ていたテツPが、俺の催促を無視して号令を発する。

 

「今がチャンスだ!! 畳みかけろー!!」

 

 それを聞いた二人が、それに乗じて応え突撃をかます。

 

「「おおー!!」」

 

 一方、俺はその様に慌てふためく。

 

「お、おいっ!! 待てってば!」

 

 しかし彼らは俺の制止を振り切り、無謀にも斬りかかっていった。

 

「うおおー!!」

「てやあー!!」

「うわあー!!」

 

 それぞれが各々手にした武器で猛攻をけしかけていく。とめどなく鮮血が噴水の如く降り注ぎ、やがてレイアはたまらず傾いだ。

 

「行ける!! 行けるぞ! 畳みかけろー!」

 

 グインの号令が彼らをさらに奮起させる。俺も思わず、これはいけるんじゃないのかと、ふいに思ってしまう。――が、状況はレイアの再度かまされた尻尾回転攻撃(薙ぎ払い)によって一変してしまう。まさに一瞬の出来事だった。一同が皆、この攻撃の前に吹き飛ばされてしまったのである。さらに悪いことに、皆の体力ケージが8割近くも減少と致命的なことに。

 

「つててて」

 

 最初にグインがよろよろと茂みの中から立ち上がる。そして、自分の表示された体力ケージを見て途端に青ざめてしまう。

 

「あ、ああ……」

 

 そして、テツPやケイまでもがグインと同じく青ざめ、あわよくば息をのみ込む。それぞれが置かれた危機的状況に、俺は彼らに我に返すべく声を発した。

 

「何しているんだ!! 早く逃げろー!!」

 

 こちらを向いたグインが

 

「あ、ああ……」

 

 と言うや否や立ちあがり、喚き散らしながら駆けだす。続けて、テツPやケイまでもグインに続けて立ちあがって駆けだした。

 一方、レイアは彼らを逃がすまいと目標を見定める。

 

「そうはさせるか!!」

 

 奴の注意をそらすべく、俺は全速力で斬りかかった。だが、あと一歩と言うところでレイアは火球を放ってしまう。飛来していく先、狙いは――

 

「テツP!! 伏せろ――!!」

「え!?」

 

 直後、

 

 ボカ―ン!! 

 

 小規模的な爆発を起こし、テツPは吹き飛ばされ――そして、宙を舞う中、体力ケージが底を尽き、飛散する光の粒と共に消えてしまった。

 その光景を遠目で目の当たりにした俺は、これがいわゆるキャンプ送り(ゲームオーバー)なのかと目を見開きながら思い、そして

 

「くっ!」

 

 とレイアを睨みつけ、果敢にも斬りつけまくった。とうとう犠牲者を出してしまった。俺はその悔しさとレイアへの怒りを込めて、やつをダウンさせるべく猛然と斬りまくった。

 ダウンさえとらせれば、注意をそらすことができるはず。そう信じて……。

 だが、レイアはダウンをとるところか、俺の剣撃の合間を縫って猛然と逃げ惑う団員へと向かって追撃をかましに駆けだす。突然のことに攻撃は空振りとなり、態勢を崩しかけるがそこは踏みとどまり、追撃の先を見る。

 

「ケーイ!!」

 

 俺の叫びにケイは、走りながら振り向き、そして、迫りくる凶器(リオレイア)を目の当たりにし

 

「あ、あ、あ、あ、あ――――!!!」

 

 恐怖に彩られた表情とその断末魔と共に突進の直撃を受け、ついにケイはテツPに続けて2人目の犠牲者となってしまった。

 

「くっそー」

 

 拳を地面にたたきつける俺。だが、まだ諦めるのは早かった。グインだけでも。俺はそう思い、彼に一声かけようとした。が

 

「くっそー!! よくも俺の仲間を――!!」

 

 そこには怒り心頭に、無謀にも立ち向かうグインの姿があった。

 

「や、やめろー!!」

 

 俺は叫んだ。それも声帯がおかしくなるほどに。しかし、もはや怒りで我を忘れているグインには聞こえるはずもなく

 

「この野郎――!!」

 

 猛攻撃をかますべく振りかぶっていった。直後、レイアはそれを狙ったかのように、尻尾回転攻撃を。攻撃動作を止めることもできず、グインはそれをまともに。地面を何度も転がり、そして、止まる。体力ケージが底を尽きようとして行く中、グインは弱弱しく愚痴をこぼす。

 

「ちくしょう……」

 

 と。それが、彼の最期の言葉となった。

 とうとう、団員を全滅させてしまった。俺は自分の無力さに打ちのめされ、がくりと膝を突く。何も考えられない。何も。呆然とする中、レイアはそこで我に返ったのか、その巨翼を広げどこかへと飛び去って言ってしまうのだった。

 呆然と座り込む中、どのくらい時間が経ったのか分からないが、遠くから

 

「おーい!!」

 

 と誰かが呼ぶ声がしてきた。

 誰だろうか。もはや考える力さえなくなっていた俺は、ぼんやりと声のした方向を見ていた。

 そして、

 

「は、は、は。無事だったか。ユウト」

 

 声の主はケインだった。ちなみに彼の隣にはサユリがいた。

 

「悲鳴が聞こえてきたから、慌てて飛んできたよ。それよりも、すまねえユウト。あいつらを止めることができなかった」

 

 (あいつら……? あー、あいつらか)

 

 そう、心の中で思い、団員達のことを言っていることにようやく気付く。

 

「私も説得してみたんですが、駄目でした」

 

 サユリもケインと同じく悪びれた様子を見せる。一方、俺は何も言える立場ではなかった。先ほど、団員が全滅してしまったなんて、簡単に言えるものではなかったからだ。だがしかし、それは事実でもあった。心の中で困惑する中

 

「っで、ユウト。その団員達何だが、ここには来なかったか?」

「……」

「ん?」

 

 そこですっかり落ち込んでいた俺に気付いたケインが、気遣って尋ねてくる。

 

「どうしたんだ? そんなしょげたような面して」

「すまない……」

 

 小言のようにそう話す。当然、ケインに聞こえるはずもなく、そば耳を立てる。

 

「え? なんだって?」

「だから、……その……すまないと言ったんだ」

「すまないって、どういうことだよ」

 

 一方、サユリの方もさすがにどういうことなのかよく分からず、心配してか尋ねてくる。

 

「どうしたんです? ユウトさん。すまないって一体……」

「だから、その……」

 

 どう言っていいものだろうか。そんなもどかしい気持ちでいっぱいだった俺は、言うに言い出せずに口をまごまごしてしまう。そんな様子を見ていたケインは、そこで怪訝そうな表情を浮かべる。けれど、埒が明かないと思ったのか

 

「それよりもさ。グイン達、どこへ行ったのか探そうぜ」

「そうですね」

「ユウト、お前も行くぞ。さあ」

 

 そう言いながら手を差し伸べてくるケイン。そこで俺は、もどかしい思いを打ち払うかのように、あるいはやけっぱちだと言った感じで、その手を振り払い叫ぶように伝えた。

 

「だからさ。もういないんだって。あいつら!!」

 

 そこで

 

「えっ!?」

「!?」

 

 とケイン、サユリの両名が今言った台詞に対して驚きの表情を浮かべる。しかし、ケインはそれでも、疑念を持ってか

 

「おいおい、いないってどういうことなんだよ。まさか、あいつら……」

 

 そこでケインが思っていることを当てるかのように言葉にして出す。

 

「そうなんだよ。あいつら、もういないんだ。ゲームオーバーになってなあ」

「そんな……」

 

 と途端に青ざめるサユリ。ケインも今度こそ驚きを隠せないでいたらしく、

 

「う、うそだろ……」

 

 と呟き愕然とする。

 俺は彼らを救えなかったことに罪悪感を覚え、いたたまれない気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

 

 ここ、ドンドルマの郊外にある共同墓地。ここでは、キャンプ送りとなったプレイヤーの名が刻まれた石碑がいくつか点在している。点在する墓地に荒涼感を抱き、俺たち3人はそんな墓地の一角にある石碑の前に立っていた。暗雲が立ち込める天候に光が射す中、黙祷し続けている最中に、ケインが最初に口を開く。

 

「これからどうするんだ?」

 

 しばしの間の後、サユリは石碑を見つめながらぽつりと応える。

 

「わからないです。どこにも居場所がなくなった今……」

「だよな……」

 

 ケインのため息とも言えるものが聞こえてくる。居場所がないか……。確かに。もはやサユリにとっての仲間と言える存在はもういない。それにクエストを一人で進めていく上では、到底限界が見えてくる上にキャンプ送りのリスクも格段と高くなっていく。彼女にとっては、それしか答えようもないのも無理もなかったのだろう。

 当てがないサユリ。団員達を死なせてしまった罪悪感から、俺は思い切って胸の内を告げる。

 

「来いよ」

「え?」

 

 サユリはきょとんとした声を出す。

 

「ユウトさん……」

 

 少しの間を置いて

 

「当てがないのだろう。なら来いよ、一緒に」

「ユウトさん……」

 

 繰り返す言葉。

 

「ユウト、おまえ……」

 

 彼女の気持ちを俺が察している様子に気付いたケイン。

 

「だって仕方ないだろう。当てがないとか言うのなら」

「そうだけどよ……」

「いいんですか?」

 

 遠慮がちに話すサユリ。俺は渋々と言った気持ではあったが、心の底で認めていたことを口に出す。

 

「狩友。……認めてやるよ」

 

 その言葉を聞き、サユリは嬉しさのあまり両眼に涙を浮かべて言う。

 

「ゆ、ユウトさん……ありがとうございます」

「勘違いするなよ。俺は認めてやるって言ったけど、……でも……」

 

 ここで言葉を詰まらせてしまう。胸の内に秘めた罪悪感。その罪滅ぼしのために彼女を狩友として迎え入れるなんてことは、とてもじゃないが言えたものではなかった。空を見上げて言う。

 

「いや、別に何でもない。共に行こう」

 

 光が差し込める暗雲。そのなかで、白き鳥達が数羽、空へと羽ばたいて行くのが見えた。それはまるで、新たな旅へと歩み始めるかのように……。

 

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