エスパー・ライアー ライアー・ライアーの世界にエスパーが転生したようです   作:但野ミラクル

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クリスマスの決闘

「どうしよう」

 私は思わず呟いた。私、天崎心の唯一のアイデンティティーだった心を読む能力、あれが突然使えなくなった。緋呂斗と話していたら突然だ。何が原因でこうなったのか想像できない。いや、使えないことは仕方ないのだが何故このときなのだ、まだ緋呂斗と更紗の問題が解決していないのに。いや一応事前に色々対策は練ってある。けれどまだ彩園寺家への対策が完璧ではなかった。どうしよう。心を読む能力は時間経過でも治りそうにはなく、何か動かないと元には戻らないだろう。どうしたのものか。……色々試してみる必要があるな。……一番簡単にできそうななおかつ効果が高そうなのは……これか。LOC、クリスマス限定の疑似決闘。

 LOCに参加するプレイヤーは、自分以外の誰か一人をターゲットとして選択し、その上で、彼または彼女とどんな関係になりたいかを、要するに理想の関係性を同じく設定する。するとLOCの専用アプリが両者の現在の距離を推定し、それらに応じた難易度のミッションを提示してくれる。ミッションは全てクリスマス当日に行わなければならず、さらにはターゲットと協力しなければまず達成できないようになっているとのことだ。報酬も出るので大分面白い決闘である。これなら緋呂斗にもデメリットはないし、いいだろう。ちょっと手を震わせながらも私は緋呂斗をLOCのターゲットとして参加申請をした。

 後、ついでにある人に手紙を出した。

 

 

 

 

 色々あってLOCを全力でやらなくてはならなくなった俺は全力で歩道を駆けていた。ミッションは色々あって超が付くほど高難易度だ。めちゃくちゃ高難易度なんだが、特に天崎のミッションがえげつない難しさだ。

 ミッションは天崎心が隠れているところを探しだしプレゼントを渡す、電話や端末で連絡を取り合うことは禁止。ただし■■■■■■■■■■■■。つまり、待ち合わせを連絡なしで会えというわけだ、この広いアガデミーの中で。

 どうすればいいんだ! 場所についてのヒントがない。そもそも今回は天崎も協力は必要ないと思っているだろうから場所を事前に教えてもらうこともできない。そもそも、そんなことをしたくはなかった。何せとてもLOCを楽しみにしていた彼女に決闘を勝ちたいから、ミッションをズルで勝たせてくれ、だなんて。いつも世話になっているんだ。こんなことで彼女の顔を曇らせたくはない。

「とはいえ、いそうなところは大体探したな。となると、何かヒントを探す方にシフトすべきか」

 例えば、誰かに場所を話していないだろうか。禁止されているのはあくまでも天崎との連絡。天崎も流石に今回のミッションの難易度は分かっているはず。なら何かしらのヒントは残していても不思議はない。

「んー、とすると、俺が話せて、俺と天崎の仲とかの大体の事情を知っている奴、……あ」

 俺は、頭に浮かんだ人物に電話をかけた。

「もしもし、彩園寺か? 今少しいいか?」

 予想は的中した。天崎は彩園寺に手紙を出していた。そして手紙に自分がいるところを記していたのだ。

「天崎、待たせたな」

「! 篠原、来てくれたんだ」

 彼女は俺を見るなり満面の笑顔を見せてくれた。

「来るに決まってるだろ、ほら、プレゼントだ」

「わあ。開けてもいい?」

「もちろん」

 俺が天崎にプレゼントとして渡したのはマフラーだ。割りといい物を買えたとは思うのだが、彼女のお眼鏡にはかなう――っておい!?

「ど、どうした。天崎、いきなり涙を流して、マフラーは嫌だったか」

「……違うよ。ごめん、あまりにも嬉しくてね。家宝にするよ」

「言いすぎだろ」

「ふふっ、そうかもね。でも大事に――あれ?」

「ん?」

「……戻った?」

「おい、どうかしたのか?」

「……いや何でもない。ありがとうね。緋呂斗」

「……ん?」

 気のせいか?今、天崎が俺の下の名前を呼んだのか?

「あ、ごめん、つい下の名前を呼んじゃった。嫌だった?」

「いや、別に構わないぞ」

「ありがとう。じゃあ二人きりのときは緋呂斗って呼ぶ」

「あ、ああ」

「あ、もうこんな時間。早く行ってあげなよ。他の子とも約束あるでしょう?」

「ああ、そうだな。もう行くよ」

「行ってらっしゃい」

 天崎は微笑みながら俺に手を振ってくれた。

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