燃え残り   作:名無し

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プロローグ

…ああ…

まさか、こんな末路が待っているとは

 

『友人』達の意志を受け継いで…なのに、こんなとこになるとは

 

…ようやく頭がハッキリしてきたのに、もう遅かった

こんな形の別れになるとは、こんな形の結末になるとは

 

ウォルター「そうか…621……お前にも…友人ができた…」

 

…不思議な充足感のまま…焼かれて…

 

ウォルター「ダメだ…621…来るな…」

 

ACの手が、こちらへと伸びて…

 

 

 

─???─

 

???「……い」

 

???「先生、起きてください」

 

…声がする

 

???「先生!」

 

目を開き、身体を起こす

 

???「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね

なかなか起きないほどに熟睡されるとは…

夢でも見られていたようですね、ちゃんと目を覚まして、集中してください

もう一度、改めて今の状況を説明します、私は七神(なながみ)リン、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です」

 

キヴォトス…?

そんな惑星(ほし)は…聞いたことがない…

それに、七神と名乗ったコイツの頭に浮かんでいるのは…

 

(天使、か…?ここは、死後の…?)

 

リン「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生…のようですが…」

 

様ですが?

まるで自分でもわかっていないかの様な物言いだ

 

リン「…ああ、推測形で話したのは、私も先生がここにきた経緯を詳しく知らないからです

混乱されてますよね、わかります、こんな状況になってしまったこと、遺憾(いかん)に思います

でも今はとりあえず私についてきてください、どうしても先生にやっていただかなくてはいけないことがあります」

 

俺に…?

 

リン「学園都市の命運をかけた大事なこと…ということにしておきましょう」

 

エレベーターへと案内される

ガラス張りのエレベーター、外は…空が灼けていない

あんな、鉄臭い風景とは違う、平和を体現したかの様な青空

 

杖をつきながら、エレベーターに乗り込み、外をじっと眺める

 

リン「キヴォトスへようこそ、ウォルター先生

キヴォトスは数千の学園が集まってできている、巨大な学園都市です、これから先生が働くところでもあります」

 

ウォルター「…俺が」

 

リン「きっと、先生が元いたところとは色々なことが違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが…でも先生ならそれほど心配しなくても良いでしょう

あの連邦生徒会長がお選びになったからですからね」

 

電子音と共にエレベーターの扉が開く

 

ウォルター「…騒ぎになっている様だが」

 

リン「構っている時間はありません、急いで…」

 

ユウカ「待って!代行!待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」

 

ハスミ「主席行政官、お待ちしておりました」

 

チナツ「連邦生徒会長に会いに来ました、風紀委員長が今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

リン「あぁ…面倒な人たちに捕まってしまいましたね…

こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった時間を持て余している皆さん

ここを訪ねてきた理由はよくわかっています、今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために…でしょう?」

 

ユウカ「そこまでわかってるならなんとかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!

数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

チナツ「矯正局で停学中の生徒たちについて、一部脱走したという情報もありました」

 

スズミ「スケバンの様な不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました

治安の維持が難しくなっています」

 

ハスミ「戦車やヘリコプターなど、出どころのわからない武器の不法流通も2000%以上増加しました

コレでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

ユウカ「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの!?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

リン「……」

 

リン「連邦生徒会長は今、席におりません、正直に言いますと、行方不明になりました」

 

ウォルター「行方不明…」

 

リン「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です

認証を迂回できる方法を探していましたが…先ほどまで、その様な方法は見つかっていませんでした」

 

ハスミ「それでは、今は方法があると言うことですか?」

 

リン「はい、この先生こそがフィクサーになってくれるはずです」

 

4人が驚いた様にこちらを見る

 

ウォルター「俺が…?」

 

ユウカ「ちょっと待って、この先生は一体どなた?どうしてここにいるの?」

 

ハスミ「キヴォトスではないところから来た方のようですが、先生だったのですね」

 

ウォルター「いや、俺は…」

 

リン「はい、こちらのウォルター先生はこれからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

 

指名した?俺を?

 

リン「先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げたある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました、連邦捜査部『シャーレ』

単なる部活ではなく、一種の超法規的機関

連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で制約なしに戦闘活動を行うことも可能です」

 

ウォルター「戦闘だと…?」

 

…よく見れば、全員が銃を携行している

平和な惑星(ほし)だと思ったが…

 

リン「なぜコレだけの権限を持つ機関を連邦生徒会長が作ったのかはわかりませんが…

シャーレの部室はここから約30kmほど離れた外郭地区にあります、今はほとんど何もない建物ですが、そこの地下にとあるものを持ち込んでいます

先生をそこにお連れしなければなりません」

 

ユウカ「外郭地区?」

 

スズミ「…あの、戦闘が起きていた…?」

 

チナツ「矯正局から逃げ出した生徒が騒ぎを起こしたと聞いています、連邦生徒会を目の敵にしている人も居るでしょうね」

 

ハスミ「…巡航戦車の不法な流通先に近しい地区があったかと」

 

ウォルター「……」

 

思っていた以上の治安だ、思わず手で顔を覆ってしまった

 

リン「……だ、大丈夫です、少々問題が発生しましたが、大したことではありません」

 

ウォルター「…そうは思えんが」

 

七神が4人を見つめる

 

リン「ちょうどここに各学園を代表する立派で暇そうな方々が居るので、私は心強いです

キヴォトスの正常化のために暇を持て余したみなさんの力が、今切実に必要です、行きましょう」

 

ユウカ「ちょっ!?」

 

 

 

─外郭地区─

 

ユウカ「なんで私たちが不良と戦わなきゃいけないの!」

 

チナツ「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要らしいですから…」

 

ユウカ「それは聞いたけど、私コレでも生徒会所属でそれなりの扱いなんだけど!なんで私が…!」

 

パパパパパッ!

 

ユウカが撃たれる

 

ユウカ「いっ、痛っ!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!」

 

ハスミ「伏せてくださいユウカ、それにホローポイント弾は違法指定されてません」

 

ユウカ「うちの学校では違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

ウォルター「大丈夫か、被弾していた様に見えたが」

 

ユウカ「え、あ、そっか、先生はキヴォトスの外から…」

 

ハスミ「そうですね、今は先生が一緒なので、その点に気をつけましょう」

 

チナツ「ハスミさんの言う通りです、先生はキヴォトスではないところから来たかですので、私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります

その点ご注意を!」

 

ユウカ「先生、先生は戦場に出ないでください。私たちが戦っている間は、安全な場所にいてください!」

 

ウォルター(…見ているだけ、か)

 

…そうだ、俺は見ているだけだ

全てやり遂げてくれるのは、あいつら任せだ

 

ユウカ「この…っ…!」

 

ハスミ「数が、多い…!」

 

ユウカ「ああもう!」

 

ユウカが何かを起動し、パルスアーマーの様な光に包まれる

 

ウォルター「アレは…」

 

チナツ「アレはミレニアム学園の開発した装備だと思います、見たところバリアの様ですね」

 

ウォルター「お前は…」

 

チナツ「ゲヘナ風紀委員会、火宮(ひのみや)チナツです、私の主な役目は怪我人の手当ですので、一歩下がった位置に」

 

ウォルター「…なるほどな」

 

チナツ「良ければ、他の人たちのこともお教えしましょうか?」

 

ウォルター「頼む」

 

チナツ「まず、1番前で戦っているのがミレニアム学園のセミナー所属会計、早瀬(はやせ)ユウカ、ちょうどバリアが切れた様ですね

その後ろにいるのが、トリニティ自警団の守月(もりづき)スズミ、一部ではトリニティの走る閃光弾の異名で知られています

そして最高峰にいるのが正義実現委員会副委員長、羽川(はねかわ)ハスミ、戦闘力は折り紙付きですが、頭に血が昇りやすいタイプです」

 

ウォルター「…ふむ…ところで、怪我人の手当てが役目だと言ったな」

 

チナツ「はい?」

 

ウォルター「どのくらいのダメージで怪我をする」

 

チナツ「…なるほど、そうですね、5.56mmの弾を使っているとして、当たれば当然痛いです

至近距離で30発もくらえば1時間は気絶します」

 

ウォルター「…そんなに頑丈なのか」

 

普通なら、穴が空きそうだが

 

チナツ「はい、見ての通り、みなさん元気です」

 

とはいえ、先頭で被弾の多い早瀬は少しキツそうに見える

 

チナツ「そして、私の役目は手当だと言いましたが」

 

チナツが物陰から飛び出し、ユウカに注射器を投げる

 

チナツ「使ってください、少しは楽になるはずです」

 

ユウカ「ありがとう!」

 

ウォルター「今のは」

 

チナツ「痛み止めです、アレを使えば少しは気絶に耐えられるでしょう」

 

ウォルター「…なるほどな」

 

スズミが閃光弾を投げて、敵の視界を奪う

ハスミは別の敵を狙い撃つ…いや、今のは、一撃で…?

 

ウォルター「羽川だったか、あいつは特殊な弾を使っているのか?」

 

チナツ「さあ、そこまでは…それにしても、少し…」

 

ウォルター「押されてきた、か」

 

数で圧倒されている

だが、相手は一斉にかかってくるわけではなく、思い思いに破壊活動をしている

3人が近づいたのに気づいて、戦いに加わる程度、基本的には無関心…

今だって、道にはたくさんの不良がいるが、戦ってるのはたった2人

 

ウォルター「…ここからなら、少し声を張れば…」

 

チナツ「先生?」

 

大きく息を吸い込む

硝煙の匂いが混じった、嗅ぎ慣れた匂いがした

 

ウォルター「早瀬!まだバリアは使うな!」

 

ユウカ「えっ!?」

 

ウォルター「まだ有効なタイミングじゃない、敵が増えたタイミングで発動して前に出ろ

守月、早瀬が前に出たタイミングで援護に閃光弾を投擲しろ、羽川は閃光弾をかわした敵に特殊弾を撃ち込め」

 

ユウカ「有効なタイミング!?」

 

スズミ「援護って言われても…!」

 

ハスミ「私達はチームでもないんです、そんな無茶…」

 

ウォルター「タイミングは俺が指示する、やらなければお前たちがやられるぞ!」

 

ユウカ「仕方ないわね…!」

 

ユウカが両手に持ったサブマシンガンで正面の不良を薙ぎ払う

 

ウォルター(…何故、こんな子供たちが戦っているんだ…いや…)

 

チナツ「正面!新手です!」

 

ウォルター「早瀬、今だ」

 

ユウカ「了解!」

 

ユウカがバリアを展開し、前に出る

 

ウォルター「守月、右の集団だ!」

 

スズミ「閃光弾、投下!」

 

ハスミ「アーマーピアッシング弾装填…私は左を!」

 

敵の攻撃がユウカに集中した瞬間、閃光弾が炸裂する

 

ユウカ「閃光弾…よね、アレ…」

 

ハスミ「当たった人達、吹き飛ばされてますけど…」

 

ハスミの射撃が直撃した不良が吹き飛ぶ

 

ユウカ「…こっちも、こっちよね…」

 

ウォルター「そのまま前進だ、早瀬、100メートル駆け抜けろ」

 

ユウカ「はい!?」

 

ウォルター「注意を惹け、羽川、守月、バリアが残ってるうちに全員仕留めろ」

 

ハスミ「わかりました」

 

スズミ「やはり、指示が慣れている…」

 

ユウカ「うあぁぁぁっ!?」

 

ユウカが不良達の間を駆け抜け、注意を惹き

ハスミ、スズミが倒し切る

 

ウォルター「……」

 

チナツ「はい、そうですか、先生に伝えます」

 

ウォルター「どうした」

 

チナツ「騒動の首謀者がわかりました、百鬼夜行学院を停学になっている、ワカモという生徒です

かなり危険な生徒です、おそらくこの周囲に…」

 

ハスミ「騒動の中心人物を発見!対処します!」

 

チナツ「噂をすれば、の様ですね」

 

ワカモ「連邦生徒会の子犬達が現れましたか、お可愛らしい事」

 

ウォルター「この距離では…見えん」

 

戦闘しながらとは言え、杖をついたままでは…置いていかれるか

…危険な敵との戦闘が始まっていると言うが、何も見えなくては…

 

ウォルター「火宮、先行して3人の支援をしろ」

 

チナツ「しかし、先生を1人にするのは…」

 

ウォルター「問題ない、安全な所を通る」

 

チナツ「…わかりました」

 

ウォルター「……しかし」

 

倒れている不良の様子を見る

被弾した部分はアザにはなっているが、特別酷い傷はない

 

ウォルター「…死んでいるものかと思ったが、無事か…」

 

倒れている不良全員、致命傷は負ってない、か

 

ウォルター「不思議なものだ」

 

 

 

─シャーレ・正面玄関─

 

ワカモ「…では、私はここまで」

 

ユウカ「ちょ!?逃げられたわよ!」

 

ハスミ「追いかけている暇はありません、建物玄関!」

 

ゴゴゴゴゴゴ…

 

スズミ「クルセイダー1型戦車…!」

 

ユウカ「不法に流通したものに違いないわね…なら、壊しても構わないわ!」

 

スズミ「言われるまでもなく…!」

 

ユウカ「撃ってくるわよ!」

 

戦車の砲撃がハスミの隠れていたガードレールを吹き飛ばす

 

ハスミ「くッ…!?」

 

スズミ「ハスミさん!」

 

ハスミ「大丈夫です、この程度…」

 

チナツ「お二人は正面をお願いします!手当は私が!」

 

ハスミ「チナツさん…!?」

 

ユウカ「ちょっと!先生は!?」

 

チナツ「遅れてくるそうです!それよりも早く!」

 

スズミ「わかっています…!…けど…!」

 

銃弾は、戦車の装甲に弾かれる…

 

ユウカ「ダメージにならない…!」

 

スズミ「このままじゃ…」

 

ユウカ「…そうだ!さっきの弾!あれなら!」

 

スズミ「でしたら、ユウカさん、ついてきてください、戦車のエンジンをハスミさんの方に向けます!

ハスミさん!いけますか!?」

 

ハスミ「…わかりました!」

 

ユウカとスズミが戦車の脇を駆け抜ける

 

チナツ「戦車が2人を追いかけて…!」

 

ハスミ「…攻撃します」

 

ハスミの射撃で戦車の装甲に穴が開く

 

チナツ「…エンジンに被弾…でも、引火は…」

 

ハスミ「……っ!伏せて!」

 

ドカァァァン!!

 

 

 

 

ウォルター「…無事か」

 

ハスミ「ええ…全員無事です」

 

ユウカ「どこが!制服が焦げちゃったじゃない!」

 

スズミ「…流石ミレニアム製…あの距離なのに端っこが少し茶色くなってるだけで済んでますね」

 

チナツ「コホン、シャーレ周辺の地区、制圧完了しました」

 

ウォルター「よくやった、七神は…」

 

リン「お待たせしました、入りましょう」

 

ユウカ(自分だけ悠々と送ってもらうなんて…)

 

 

 

─シャーレ・地下室─

 

ワカモ「うーん…コレが一体なんなのか、全くわかりませんね

これでは壊そうにも…」

 

ウォルター「…何者だ?」

 

暗がりで何かをいじっている生徒に声をかける

 

ワカモ「あら…?…あら…あらあら…」

 

…ジロジロと見られている

 

ウォルター「……」

 

ワカモ(…ぁ…あぁ…あ……)

 

ワカモ「失礼しましたー!!」

 

ウォルター「おい…?」

 

ものすごい勢いで出ていってしまった

 

リン「お待たせしました…おや、どうかしましたか?」

 

ウォルター「…問題ない」

 

リンがタブレットを差し出してくる

 

リン「これが連邦生徒会長の残した、『シッテムの箱』です」

 

ウォルター(…なんだ、この感覚は…俺は、これを知っているのか?)

 

リン「普通のタブレットに見えますが、実は正体のわからないものです、製造会社、OS、システム構造、動く仕組み全てが不明

連邦生徒会長はこのシッテムの箱は先生のもので、これでタワーの制御権を回復させられるはずだと」

 

ウォルター「……」

 

タブレットを受け取る

 

リン「では、私はここまでです、ここから先は全て先生にかかっています

邪魔にならない様、離れています」

 

タブレットの電源を入れる

 

[……]

[Connecting To Crate of Shittim…]

 

[システム接続パスワードをご入力ください]

 

ウォルター(パスワードだと……いや…)

 

[…我々は望む、七つの嘆きを]

[…我々は覚えている、ジェリコの古則を]

 

[接続パスワード承認]

[現在の登録者情報、ハンドラー・ウォルター、確認できました]

 

ウォルター「…正しかったのか」

 

[生体認証および認証書作成の為、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します]

 

──

 

画面が切り替わり、青い背景の教室に、いくつかの机と椅子

そしてその中の一つに座り、机に顔面を埋めて眠っている少女…

 

???「くぅ…すぅ……」

 

???「むにゃ…カステラにはぁ…イチゴミルクより、バナナミルクの方が…」

 

ウォルター「…寝ているのか?」

 

少女の肩を揺らす

 

???「うにゃ、まだですよぉ…しっかり噛まないと…」

 

ウォルター(……)

 

もう一度少女の肩を揺らす

 

???「ううん……でもぉ……むにゃ…?」

 

少女が体を起こす

 

???「むにゃ?…ありゃ?……ありゃ…ありゃりゃ?

せ、先生!?この空間に入ってきたって言うことは、まさか、ウォルター先生!?」

 

ウォルター「…そうだ」

 

アロナ「えっと、その…まず自己紹介から!私はアロナ!このシッテムの箱の管理者であり、メインOS.、そしてこれから先生をアシストする秘書です!

私はここで先生をずーっと待っていました!」

 

アロナ「まだ体のバージョンが低い状態ですが、これから先、頑張って先生のサポートをしていきますよ!」

 

ウォルター「そうか、頼んだぞ、アロナ」

 

アロナ「はい!よろしくお願いします!あ、そうだ、形式的ではありますが、生体認証を行います、指を出してください」  

 

アロナが人差し指を突き出す

 

アロナ「私の指に、指を重ねてください、はい、では確認します、どれどれ…」

 

ウォルター(画面に残った指紋を確認しているのか…)

 

アロナ(うーん…良く見えないかも……

まあ、これでいいですよね!)

 

アロナ「はい!確認終わりました!」

 

ウォルター「指紋認証とは、アナログだな」

 

アロナ「あ、アナログ…!?…うう…」

 

半泣きのアロナに睨みつけられる

 

ウォルター「…すまん」

 

──

 

アロナ「先生の事情は大体わかりました、連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでサンクトゥムタワーを制御する手段がなくなったと…」

 

ウォルター「連邦生徒会長とは何者だ?」

 

アロナ「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが、連邦生徒会長についてはほとんど知りません

何者なのか、どうしていなくなったのかも…お役に立たず、すみません

ですが、サンクトゥムタワーの問題は私がなんとか解決できそうです」

 

ウォルター「本当か」

 

アロナ「はい!それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を復旧します!」

 

アロナ「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了…

先生、現在サンクトゥムタワーは私アロナの統制下にあります!今のキヴォトスは先生が支配しているも同然です

先生が承認さえしてくだされば連邦生徒会に制御権を渡せますが…」

 

ウォルター「そうしてくれ」

 

アロナ「わかりました、これよりサンクトゥムタワーの権限を連邦生徒会に移管します」

 

──

 

リン「…はい、わかりました」

 

リン「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました

これからは連邦生徒会長がいた時と同じ様に行政管理を進められます

お疲れ様でした、先生

キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝します」

 

ウォルター「……」

 

リン「それでは、私の役目は…あ、もう一つありました、シャーレの部室をご案内します」

 

 

 

─シャーレ─

 

リン「ここがシャーレのメインロビーです、長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることができましたね」

 

部室というには、明らかに広すぎる

まるで企業のオフィスの様だ

 

リン「そしてここがシャーレのオフィス、ここで先生のお仕事を始めてください」

 

ウォルター「仕事だと?」

 

リン「シャーレは権限はありますが、目標のない組織です、何かをしろという強制力はありません

キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、様々な生徒を加入させることも可能です

面白いですよね、捜査部とは読んでいますが、その部分に関しては連邦生徒会長もとかに触れたいませんでした」

 

ウォルター「つまり、俺にやりたい様にやれ…ということか」

 

リン「そうなります、しかし、私達は行方不明の連邦生徒会長を探すのに全力を尽くしているためにキヴォトスで起きる問題に対応する余力が不足しています

今も連邦生徒会によせられるあらゆる苦情…

支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど…

もしかしたら、時間の有り余っているシャーレなら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね」

 

ウォルター「……それは、都合のいい…」

 

リン「そのあたりに関する書類を、先生の机の上にたくさん置いておきます、気が向いたらお読みください

それではごゆっくり」

 

ウォルター「……」

 

─シャーレ・正面玄関─

 

ウォルター「面倒をかけたな」

 

ユウカ「いえ、これで私達の問題も解決しますから」

 

ハスミ「お疲れ様でした」

 

スズミ「先生、機会があれば是非トリニティ総合学園に立ち寄ってください、その…教えていただきたいことがあります」

 

チナツ「私も、ゲヘナ学園にいらした際は是非」

 

ユウカ「ミレニアムサイレンススクールに来てくだされば、きっとまたお会いできますから!」

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