燃え残り 作:名無し
─某所─
黒服「初めまして先生、あなたにお会いできる日を待ち望んでおりました
てっきりカイザーがアビドス市街を襲撃してすぐに来られるかと思いましたが」
ウォルター「…それ相応の準備があった」
黒服「それはそれは、では…まずは自己紹介をさせていただきます
私たちはあなたと同じ、キヴォトスの外の、また違った領域の存在…適切な名前がありましたので、それを拝借して使っております、「ゲマトリア」とお呼びください
そして私のことは「黒服」とでも、この名前が気に入っておりましてね」
ウォルター「…そうか」
黒服「あなたの事は存じ上げております、連邦生徒会長が呼び出した不可解な存在
そしてあのオーパーツである「シッテムの箱」の
あなたのことを過小評価する者もいるようですが、私たちは違います」
ウォルター「随分と詳しいようだ」
黒服「これ程までに研究したと言う事実が、私たちのあなたに対する評価だと思っていただきたいのです
…まずハッキリさせておきましょう、私達はあなたと敵対するつもりはありません、むしろ、協力したいと考えています
私たちの計画にとって1番の障害になるのはあなただと考えているのです」
ウォルター「……」
黒服「私たちにとってアビドスなんて小さな学校は全くもって大した問題ではありません
ですが先生、あなたの存在は決して些事とは言えない、敵対する事は避けたいのです
一応お聞きしますが、
ウォルター「無いな」
黒服「……左様ですか
真理と秘技を手に入れられるこの提案を断ってまで、あなたはキヴォトスで何を追求するつもりなのですか?」
ウォルター「…何かを成すつもりはない…ここに来た目的は2つだ、
そして、ルビコンから持ち込んだ兵器を全て破棄しろ」
黒服「……クックックッ…あなたの行動に正当性がない事にお気づきですか、先生?
今のあなたにいったい何の権利があって、そんな要求をされているのでしょう?
ホシノはもうアビドスの生徒ではありません、届け出は確認されていないのですか?」
ウォルター「そちらこそ、書類の確認が必要なようだ」
黒服「ほう?」
退部届を取り出し、デスクに置く
ウォルター「顧問の承認の欄が空欄だ、この書類に正当性はない」
黒服「つい最近現れたあなたが顧問であると言う事に対しても?」
ウォルター「対策委員会は合議制だ、そして多数決に則り、俺は顧問に就任し、小鳥遊ホシノの退部は否決された
よって、小鳥遊ホシノは現在も対策委員会の所属であり、アビドスの副会長であり、俺の生徒だ」
黒服「……なるほど…
あなたが「先生」である以上、担当生徒の去就にはあなたのサインが必要…そう言う事ですか…
……なるほどなるほど…学校の生徒、そして先生…中々に厄介な概念ですね…」
ウォルター「俺たち大人は
……その
黒服「…なるほど、随分とキヴォトスのルールに詳しい様ですね」
ウォルター「その方向に優秀な生徒がいる」
黒服「…だから、カイザーPMCの前に躊躇いなく体を晒せたと?」
ウォルター「キヴォトスにおいて殺人は最も忌避されるらしい」
黒服「……クックックッ…撃たれない保証など、どこにもないでしょうに…」
ウォルター「いいや、カイザーは撃てない…連邦生徒会に楯突く力をまだ手に入れていない
連邦生徒会との力関係を覆す道具を前に、そんなリスクを
黒服「…カイザーの宝探しにはそれほどの価値があると?」
ウォルター「少なくとも、カイザーはそう考えている…PMCの基地でつかんだ確かな情報だ」
黒服「……なるほど、想像以上です、ウォルター先生
ですが、こちらの意見も聞いていただきたい、そもそもアビドスを襲った災難は私達のせいではありません
あの砂嵐は大変珍しいこととは言え一定の確率で起こる自然現象、だれか明確な悪役は存在しません、天変地異とはそんな物です
私たちはあくまでその機会を利用しただけ」
黒服「砂漠で水を求めて死にゆく者に水を提供する……ただし、一生奴隷として働いても返せない額で
ただそれだけです、さして珍しくもない、世の中にはありふれた話でしょう
何も私達が特別心を痛め、全ての責任を取るべき事でもありません
私たちが初めて作った事例でもなければ、私たちがそれをしなかったところで消えるものでもないのですから」
ウォルター「…そうだ、珍しくも何ともない」
何度もそんな光景を見てきた
何度も、何度も…何度も…
黒服「持つ者が持たざる者から搾取する…知識の多い者が、そうでない者から搾取する
大人なら誰もが知っている、
ウォルター(…なるほどな)
…いつの間にか、悪い癖が出ていたらしい
こんな姿を見られたら、また笑われるだろう
だが、これが俺だ…
黒服「そういうことですから……アビドスから手を引いていただけないでしょうか、先生
ホシノさえ諦めていただければ、あの学校についてはゲマトリアが守ってさしあげましょう
カイザーPMCの事についても、私達の方で解決いたします
あの子たちもどうにか、アビドス高等学校に通い続けることができるはずです
そしてこれはあのホシノさんも望んでいる事のはず、いかがですか?」
ウォルター「断る」
黒服「……」
黒服がうなだれ、ため息のような音を鳴らす
黒服「…どうして?どうあっても、私たちと敵対するおつもりですか?
あなたは無力です、戦う手段など無いでしょうに!」
懐に片手を入れ、小さな拳銃を取り出す
ウォルター「これで満足か」
黒服「…酷い冗談です」
ウォルター「…俺自身が戦う手段は、この程度だ…だが」
拳銃をしまい、カードを取り出す
ウォルター「…何故だろうな、今の俺は、これの使い方を知っている」
黒服「……」
黒服「…先生、確かにそれはあなただけの武器です、しかし、私はそのリスクもうっすらとですが、知っています
使えば使う程に削られていくはずです、あなたの生が、時間が……そうでしょう?
ですからそのカードはしまっておいてください、先生あなたにもあなたの生活があるはずです」
黒服「食事をし、電車に乗り、家賃を払う、そんな無意味でくだらないことを解決しなくてはいけないでしょう?
ぜひそうしてください、先生、あの子達よりももっと大事な事に使ってください
元々、あなたの
ウォルター「断る」
黒服「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
理解できません、なぜ?なぜ断るのですか?
どうして?先生、それは一体何の意味があるのですか」
ウォルター「…意味か…」
…そこまで言って、言葉が詰まった
ルビコンから持ち込まれた兵器を排除すること
それだけで意味としては十分だった
ウォルター「…ただの悪い癖だ、対策委員会は……俺の生徒だ、目が離せない」
黒服「それだけの感情の為にあなたが責任を取るとでも?
あなたはあの子達の保護者でも家族でもありません、あなたは偶然アビドスに呼ばれ、偶然あの子達と出会っただけの他人です
一体どうして、そんな事をするのですか?なぜ、取る必要のない責任を取ろうとするのですか?」
ウォルター「……誤解が生まれるかもしれないが、俺の言葉で表現させてもらおう
…猟犬の不始末は飼い主の責任だ」
黒服「ああ、そうですか…搾取される側ではなく、搾取する側に責任はある、「責任は大人が取るべき」と?
先生、その考え方は間違っています
大人とは、望む通りに社会を改造し、法則を決めて、規則を決め、常識と非常識を決め、平凡と非凡を決める者です
権力によって権力のない者を、知識によって知識のない者を、力によって力のない者を支配する、それが大人です」
黒服「自分とは関係のない話、なんてことは言わせません
あなたはこのキヴォトスの支配者にもなりえました、この学園都市における莫大な権力と権限、そして学園都市に存在する神秘、その全てが、一時的とはいえあなたの手の上にありました
しかし、あなたはそれを迷わず手放した
理解できません、一体その選択に何の意味があるのですか?真理と秘技、権力、お金、力…その全てを捨てるなんていう無意味な選択を、どうして!」
ウォルター「…お前と俺とでは違う」
黒服「……いいでしょう、交渉は決裂です、先生
元より私もこの交渉が成立するとは思っていませんでした、あなたが私の元を
あなたは相応の準備をしてきたと言いましたが、つまるところあなたがしていたのは、子供に戦争をさせる準備でしょう?」
─1日前・ゲヘナ学園─
イオリ「なるほどな、風紀委員長に外部の客なんて珍しいと思ったけど、シャーレの先生か…」
ウォルター「お前は確か…
イオリ「…で?風紀委員長に会いたいんだったか?
…ふーん、アビドスでは酷い目に遭わされたなぁ…便利屋のヤツに突っ込ませて、なんて言った?
「スナイパーに張り付いて、もう一度気絶させてやれ」…だったか?」
ウォルター「……」
イオリ「まあ、委員長の客を追い返すわけにはいかない、でも!そもそもゲヘナの風紀委員長に容易く会えると思うな!
どうしても案内して欲しいか?」
ウォルター「……ああ」
イオリ「じゃあ、そうだな…土下座して私の足でも舐めたら考えてやっても…」
ウォルター(この公衆の面前でか…行為自体は難しいものではないが、それをすれば…
流石に両者の間に妙な噂を作りたくはない、だが今求められるのは銀鏡を納得させる事)
膝をつき、銀鏡の手を取り、手の甲に口付けする
イオリ「な!?ま、まだ話の途中…!」
ウォルター「コレで勘弁しろ…お互いの為だ、後で好きなようにしてやる」
イオリ「なっ…!?好きなようにって…お、大人としてのプライドとか迷いは無いのか!?」
ウォルター「…そんな物はない」
イオリ「おかしい!ヘンタイ!歪んでる!!こんなヘンタイを風紀委員長に会わせるわけには─」
ヒナ「何だか楽しそうね」
ウォルター「
イオリ「委員長…!?」
ヒナ「自分のために膝をつく姿なら、これまで何度も見てきたけど…でも、人の為に、ましてや生徒の為に膝をつく先生を見たのは初めて
先生、私たちに何をして欲しいの?言ってみて」
イオリ「待って委員長!その…先生はとんでもないヘンタイで…!」
ウォルター「待て、銀鏡」
イオリ「委員長に合わせるなら何でもするって!足でも舐めるし好きなようにするって…!」
ウォルター「………」
ヒナ「…そう、先生、そんなに切羽詰まってるのね」
イオリ「委員長…?」
ヒナ「ゲヘナ風紀委員会はシャーレの作戦行動を支持するわ」
イオリ「ちょ…委員長!?」
ウォルター「……支援の申し出に感謝する…空崎、詐欺には気をつけろ」
ヒナ「…?」
イオリ「委員長、コイツは…」
ヒナ「ところでイオリ、反省文は終わった?」
イオリ「……」
─今日・某所─
黒服「ゲヘナの風紀委員長を取り込み、すでにアビドスもPMCの基地へと向かわせた…あなたはカイザーを打ち倒すつもりでいる
──
アヤネ「見えました!PMCの基地です!」
シロコ「…敵戦力の展開を確認」
ノノミ「あんなにたくさんのPMCが…」
セリカ「…絶対に怯まないんだから…!」
──
黒服「ですがそれだと不自然です、貴方がなぜ、わざわざこのタイミングを選んでここに来たのか」
ウォルター「…小鳥遊ホシノは対策委員会が取り戻す、ここにいるのは俺個人のもう一つの目的を果たすためだ
シャーレの先生では無く、ハンドラー・ウォルターの」
黒服「…ルビコンから持ち込まれた兵器の破棄ですか?」
ウォルター「そうだ、だが、それが利益を生むと感じているのなら手放しはしないだろう」
黒服「それを分かった上で言うのなら、大金で買い取るとでも?」
ウォルター「…いいや」
──
ダダダダダダッダダダッ!!
シロコ「正面まだいるよ」
セリカ「了解!!」
ドカーン!
ノノミ「セリカちゃん!前に出過ぎです!」
シロコ「大丈夫、セリカも弱くない、それに私もついてる」
ダダダダダダダダダダダダッ!
カチャッ…カッカチャッジャキッ
ダダダダダダッ!
アヤネ「…敵戦力の第一陣、殲滅を確認!」
──
ウォルター「アビドスはMTの破壊実績がある、被害無しでだ
他のキヴォトスの生徒相手にも果たしてMTの運用が有効か、その莫大な維持費を計算しながら考える必要がある…違うか」
黒服「なるほどなるほど、確かに戦車の方が運用コストは軽く、キヴォトスの幅広い地域ですでに運用されています
ですが、それを運用するか判断するのは、私ではありませんので」
ウォルター「…だが、持ち込むのはお前達ゲマトリアだ」
黒服「……」
タブレットを取り出し、机の上に置く
ウォルター「アロナ、バックドアにアクセスしろ…回線を開け」
タブレットから様々な声が聞こえてくる
黒服「これは?」
ウォルター「アビドス、ゲヘナ、それからカイザー…全ての無線を拾っている」
黒服「これほどのハッキング能力…かの有名なミレニアムのハッカー達でも難しいでしょう
しかし何故そんなことを?連絡手段というのなら、アビドスやゲヘナと無線を繋げばいい、カイザーの無線を傍受したのなら、それを伝えればいい
何故私の前で見せびらかすような真似を?」
ウォルター「これは、「脅し」だ」
黒服「……なるほど」
──
PMC兵士1「敵発見!交戦していますが劣勢です!」
PMC理事「兵力を集結させろ!北と東からも呼び寄せておけ!北方の対高グラマトン歩兵大隊もだ!!」
PMC兵士1「はっ!!」
PMC兵士2「お、お待ちください!北方の部隊の移動ルートに少数ですが敵戦力を確認…!」
PMC理事「む…北方…?アビドスは全員…」
PMC兵士2「数は3人です…あ、あれは…映像出します!」
──
ヒナ「……はあ」
イオリ「委員長、カイザーの増援が見えたって、一個大隊規模…」
ヒナ「分かった、イオリ、チナツ、準備…アコ、オペレーターでもサボらないで」
アコ(サボるというよりは…委員長が片付けてしまうので仕事が無いだけなのですが…)
チナツ「イオリはともかく、どうして私まで…」
イオリ「諦めろ、運が悪かった」
ヒナ「まだ委員会の仕事もたくさん残ってるし、手早く片付けよう」
アコ「せっかく委員長が反省文の代わりにしてくださったんですし、愚痴はそこまでにしましょうね?」
ヒナ「ここで全軍止める、誰1人として先生には近づけない…
行こう」
──
アヤネ「基地内への突入を確認、皆さん、大丈夫ですか?」
シロコ「うん、平気」
セリカ「全っ然、大丈夫!」
アヤネ「推測される座標までもう少しです、気をつけて進みましょう!」
ノノミ「まだまだいけますよ〜♪」
ザッザッザッザッザッザッ
アヤネ「…っ!
正面2キロ先に敵戦力を確認!かなりの規模です、もう直ぐ接敵します、みなさん、対応の準備を…」
シロコ「!」
ドゴオォォーーン!!!!!
アヤネ「!?」
ノノミ「これは…!?」
シロコ「支援射撃?」
セリカ「支援って、誰が…」
アヤネ「……L118、トリニティの牽引式榴弾砲です!一体どうして…」
???「…あ、あぅ…私です…」
シロコ「無線通信?」
セリカ「あ!この声!ヒフ─」
アヤネ「あ、ええと…?」
ノノミ「わあ、ファウストさん!ご自分で名前を言っちゃいましたがそこはご愛嬌ということで☆」
そ、その…このL118はトリニティの牽引式榴弾砲ですが…と、トリニティ総合学園とは一切関係ありません!
射撃を担当してる方も含めて一切関係ありませんので…!
…すみません、このくらいしかお役に立てず…」
シロコ「ううん、すごく助かった」
ノノミ「はい!ありがとうございます、ファウストちゃん!」
シロコ「火力支援の直後に突撃、定石通りの戦術が取れるなんてね」
アヤネ「はい!敵は砲撃により混乱状態です!今なら被害なく殲滅できます!」
──
黒服「まさか、トリニティまで?」
ウォルター「…これは予定外だ、俺の思惑とは違う、だが…俺が働きかける必要は無かったな
アビドスに手を差し伸べる者は、俺だけじゃない」
黒服「…なるほど、カイザーの言っていたことが間違っていることを証明したかったと?
そんなことをしてなんになるのです
自分の生徒達の尊厳を取り戻すため?それとも貴方が満足するために?
或いは…」
ウォルター「……」
──
カイザー理事「…こうなっては仕方ない、対デカグラマトンの切り札として残しておきたかったが、北部の戦力を全て空輸しろ」
──
黒服「これを引き出すためですか?」
ウォルター「……」
──
ババババババババ!!
イオリ「なんだこれ!ヘリの音か!?」
チナツ「大きい…」
ヒナ「……あんなサイズのヘリは見たことがない」
取り付けられた細かな武装、アレは…実際にどれほどの大きさなのか
今飛んでいるのが上空何百メートルなのか
撃ち落とすことはできるのか
アコ「……確認が取れました、あのヘリは今、上空500メートルです
私達の武器の有効射程から外れています」
ヒナ「500…」
イオリ「嘘だ!?そんなヘリ、見た事も聞いた事も…」
チナツ「そもそも、500メートルも上なのにあんなに大きく見えるなんて…」
ヒナ「全長100メートルはゆうに超えてる」
誰も手が出せない、ただ見送ることしかできない
ヒナ「追いかけよう」
イオリ「い、委員長本気!?」
アコ「委員長、いくらなんでもあのヘリコプターを堕とすのは不可能です」
ヒナ「やらなきゃわからない、それに…アビドスの子達を死なせたらなんのためにここまで来たかわからないから」
──
アヤネ「目標座標に到達、この周囲にホシノ先輩が囚われていると考えられます…!」
シロコ「……」
ノノミ「ここは…」
セリカ「この痕跡、多分…学校だよね?」
シロコ「こんな砂漠のど真ん中に学校…もしかして」
PMC理事「そうだ、ここが元アビドス本館だ」
全員「!!」
PMC理事「よくぞここまで来たものだ、アビドス対策委員会」
アヤネ「周囲から大量に敵が迫っています!…これまでの比ではありません…カイザーはここで総力戦に持ち込むつもりです!」
PMC理事「砂漠化が進行し、捨て去られたアビドスの廃墟……ここが元々はアビドスの中心だった
かつてキヴォトスで一番強大だった学校の残骸が、この砂の下に眠っている
そしてゲマトリアはそこに実験室を作った」
セリカ「実験室…」
ノノミ「そこにホシノ先輩が…」
PMC理事「彼女の元に行きたいのなら、私たちを振り切っていけばいい
君たちにそれができるのなら、の話だが」
アヤネ「…全方位から集結する敵に加えて、新たに北部から巨大な兵器が接近中!
…容易には通れなさそうです…」
シロコ「…じゃあ、ここは私が」
ドカァァァァン!!
アヤネ「まだ爆発!?今度は一体…」
ムツキ「じゃ〜ん、やっほ〜☆」
ハルカ「お、お邪魔します!」
アヤネ「便利屋のみなさん…!?」
ムツキ「うーん、来るまでに敵がたくさん倒れてたから「もしかして出遅れちゃった?」って思ってたけど
実は一番大事なとこに割り込んじゃったみたいだね」
アル「ふん、こっそり助太刀しようと思ってたけど、そう上手くはいかないわね」
セリカ「う、嘘でしょ…!あんた達…!」
ノノミ「このタイミングで登場、ということは…!」
シロコ「うん、そういうことみたいだね」
ムツキ「んんー?…なに、この期待に満ちた目線はー…」
カヨコ「社長、なんか嫌な予感がするから釘を刺すけど、余計なことは言わないでね」
アル「……」
アル「ふふっ…この状況でも勘だけは鈍ってないようね、対策委員会、私たちがここに来た理由なんて決まってるでしょう?」
カヨコ「…はぁ…」
アル「ここは私たちに任せて、先に行きなさい!」
対策委員会「!!」
カヨコ「やっぱり…」
アル「……」
アル(言っちゃったぁぁぁーーっ!!)
ムツキ「…うっわぁ……それは惚れちゃうよ…アルちゃん…」
ハルカ「さ、さすがです!一生ついていきます!アル様!!」
セリカ「…もうっ…べ、別にお礼は言わないから!
でも!全部終わったら、その時は一緒にラーメン食べに行くわよ!便利屋!!」
ノノミ「このご恩は必ず!」
シロコ「ん、ありがと」
カヨコ「はあ…こうなったら仕方ないか…」
アル「こ、この後はどうしたら…攻撃!?いや、逃げ…ええと…!」
ムツキ「あっはは!面白くなってきたね、アルちゃん!あんなにかっこいいセリフ言っちゃったら、もうやるしかないよ?」
アル「ああ、もう!やるわよ!!」
PMC理事「…そんなこと、許すものか」
アヤネ「ま、待ってください!急速接近してくる敵兵器が…!」
カヨコ「っ!」
ドッ…ズザザザザッ!
シロコ「…MT…!?」
アヤネ「…いいえ、違います…アレは…!」
──
ウォルター「…空輸では間に合わないと判断して、一機を先行させたか…」
黒服「その様ですね、あなたの予想通り、カイザーは切り札を切りました
いくら生徒達が優秀であったとしても、あの兵器の大軍には太刀打ちできないでしょう」
ウォルター「黒服、お前はルールを重視している様だが、俺もルールは守られるべきものだと考えている」
黒服「……」
ウォルター「ルールを破った者がどうなるか、それを知らしめる事が何よりもの脅しになる」
黒服「ええ、その通りです、ここまで来てはもはや止めることは叶わないでしょう
では、せめて私も見学させていただきます」
“大人のカードを取り出す”
ウォルター「アロナ、回線をオープンチャンネルに切り替えろ」
……
COM『システム、戦闘モード起動』
──
シロコ「っ…!動きが、違う…!」
ノノミ「この跳ね回る様な動き、MTとはまるで違います!」
セリカ「背中の弱点は!?」
アヤネ「…わ、わかりません…!」
シロコ「あの
カヨコ「これが、カイザーの切り札…」
ムツキ「あれは、ちょっとヤバいかもね…!」
PMC理事「高い運用コストを捻出して用意した兵器だ…そう簡単に壊されて貯まるものか」
ウォルター「そうか、それは不憫な事だ」
アヤネ「せ、先生!?」
PMC理事「ハンドラー・ウォルター…てっきり1人逃げ出したのかと思っていたが…どこにいる」
ウォルター「…俺はそこにはいない、“代理”を派遣した」
PMC理事「代理だと?」
アヤネ「後方から新たに急速接近する機体が…!」
──
黒服「なるほど、これが、あなたの生と時間を削って生み出された…」
ウォルター「…こんな物、ただの墓荒らしだ」
COM『ハンドラー・ウォルターに伝達
ハウンズ、作戦領域到着』
ウォルター「…作戦開始」