燃え残り 作:名無し
─ミレニアム・オペレーションルーム─
(ピピピッ、ピピピッ)
ユウカ「……来た」
セミナーオペレーター「監視カメラにて対象を発見しました、1番ゲート、ポイントA 1にターゲットを確認、まもなくA 2に侵入します」
アカネ「そこまで入れば、もう脱出はほぼ不可能と見て良いのですよね?……では、私が行きましょう」
ユウカ「あら、だいぶ高く買ってるみたいね、アカネがわざわざ行く必要ある?」
アカネ「もちろんです
お客様のお出迎えは、メイドの基本ですから」
ー2時間前─
─ヴェリタス・部室─
ハレ「じゃあ、私たちのターゲット、鏡があるとされる、生徒会の差押品保管所について説明するね
ミレニアムの生徒会“セミナー”は、基本的にミレニアム中心にあるミレニアムタワーの最上階を専用スペースとして利用してる
つまり差押品保管所もそこ、最上階西側の部屋だよ」
マキ「調べた感じ、入り口から差押品保管所に辿り着くには、約400台の監視カメラと50体近い警備ロボット
それにブラック企業から押収した戦闘ロボット数十台を突破しなきゃいけない」
ウタハ「正確には監視カメラが442台、警備ロボットが3種に分類されて計52体だね」
ウォルター「…詳しいな」
ウタハ「その疑問に答えるのは簡単だよ、あそこのセキュリティシステムの構築に協力したのが私たち、エンジニア部だからね」
ウォルター「…なるほどな」
モモイ「うえぇ……」
ハレ「1番の問題は、保管所まで行く為には必ず“エレベーター”を使わなきゃいけないということ
このエレベーターは、生徒会の役人とか限られた人にしか通過できない指紋認証システムがついてる
もし仮にエレベーターを突破できたとしても、セミナー所属の生徒達や武装した警備員がもちろんいるだろうし、何より…」
ハレ「最上階は、各部屋ごとセクションで分けられてる」
ミドリ「セクション……部屋が仕切られてるって事…?
それって当然なんじゃ…?」
ハレ「セクションとセキュリティシステムとが対応してる
だからもし、どこかの部屋で火事が起きたり煙が発生したら、シャッターを下ろして他の部屋と隔離したりすることもできる
もしシャッターが降りたら、これもまた生徒会メンバーの指紋でしか解除ができない」
ハレ「登録されてない指紋や強い衝撃に反応すると、次はもっと強力なチタン製の二番目のシャッターが出てくる
そうなると今度は、生徒会役員の指紋と虹彩、この二つの認証が必要になる」
ミドリ「うーーん、ややこしい…それになんだか凄すぎて想像できないっていうか…
整理すると、まず差押品保管所まで移動する方法はエレベーターしかない
それから指紋を利用したセキュリティシステムがあって、それでミスをするとシャッターが下ろされて、他のセクションに移動するのが難しくなる
それを無理に通過しようとしても、さらに強力なシャッターが下ろされて閉じ込められちゃう…」
マキ「警備ロボと監視カメラも忘れずに〜♪」
ウタハ「監視カメラについてはハッキングができそうだが…セキュリティシステムそのものについては、ヴェリタスの力でも正面突破は難しそうだね、何せ、基本的に外部のネットワークから遮断されている」
ハレ「あ、もうひとつ新しい情報が入った、エレベーターに無理やり侵入しようとすると、最上階の全部のセクションにシャッターが下ろされるみたい」
モモイ「ああもう、なんか難しいし絶望的な話ばっかりじゃん!何かいい話は無いの?!」
ハレ「先生、今の話を聞いて作戦はできそう?」
ウォルター「……何か勘違いしているのかもしれないが、俺は作戦立案や指揮が得意な訳ではない、試していないでさっさと続きを話せ」
ハレ「…じゃあ、ヒビキ」
ヒビキ「うん、弱点が、あるよ
まず外部電力を遮断する方式に弱い、電力を絶つと自然に外部のネットワークに繋がるから、一時的にハッキングの隙が生まれる
私たちが作った超小型EMPなら、その隙を狙ってあらゆるシステムを無効化することができる、恐らく、無効化できる時間は…6秒」
ハレ「6秒、か…」
ウォルター「……」
ウォルター「充分だ」
ハレ「うん、充分だね」
ヒビキ「ホントに?流石だね」
ウォルター「…それと、俺からも言っておくことがある──」
─そして時は再び現在に戻り─
─ミレニアム・セミナー専用フロア─
(カツ…カツ…)
真っ暗な廊下に2人分の足音が響く
「えーっと、この辺で良いんだっけ?」
「すごく奥の方まで来た感じですが……恐らく間違ってはいないかと」
アカネ「ええ、あっていますよ」
「「!?」」
アカネ「こんばんは、良い夜ですね、お二人のここまでの行動は監視カメラで全て見させていただきました
ゲーム開発部のモモイちゃん、ミドリちゃん
薄々お気づきかもしれませんが、あなたたちの計画はもう失敗しています
お早めに投降する事をお勧めしますよ」
アカネ「あらためまして、私はC&Cのコールサイン・ゼロスリー…本名は明かせませんので、謎の美女メイドとでもお呼びください」
ミドリ「あ、アカネ先輩!」
モモイ「特技が“暗殺”で有名な、あのアカネ先輩?」
アカネ「うーん…一応秘密のエージェントのはずなのですが、いつの間にそんな知られ方を…?
正体を明かさない系のヒロインはもう時代遅れなのでしょうか…?」
モモイ「色々知ってるよー、コタマ先輩によると、どうやら最近体重が…」
アカネ「ま、待ってください!その情報漏洩は流石に問題がありますよね!?
その情報に関しては永久に黙っていていただきます…!
さあ、そろそろ捕まっていただきましょうか、モモイちゃん、ミドリちゃん!」
モモイ「……」
ミドリ「……」
モモイ「……ふふふ…」
アカネ「…?」
モモイ「まだ気づいてない感じかな、失敗してるのは、そっちの計画のほうだよ?」
アカネ「はい?」
モモイ?とミドリ?が廊下の照明のスイッチを押す
(パッ)
アカネ「っ……えっ…?ま、マキちゃんにコトリちゃん…?!」
マキ「ハ〜イ、アカネ先輩!寮に戻ろうとしてたんだけど、真っ暗だから道に迷っちゃってさ〜!」
アカネ「な、なんであなた達が…!?」
コトリ「なんでと聞かれたら!説明するのが世の情け!
どんな質問にも答えをご提供!エンジニア部の説明の化身、
マキ「芸術と科学のコンビネーション!ヴェリタスのデジタルアーティスト、マキ!
(ジャーン)
アカネ「そんな、ここに来たのはミドリちゃんとモモイちゃんだったはず…!?監視カメラでは確かに…!
ユウカ、何が起きているんですか!?」
ユウカ『わからない!こっちの監視カメラでは、今も確かにモモイとミドリが映ってるし、アカネ、あなたの姿は見えないのよ…!』
アカネ「な、なんですって?これは、もしかして…!?」
ユウカ『カメラの設定を初期化!クラウド接続を遮断して、プライベート回線で画面をもう一度映して!』
セミナーオペレーター『更新します!新しい画面…出ました!アカネを確認、コトリとマキも確認しました!』
アカネ「なるほど、という事は…」
マキ「えへへ、バレた?」
アカネ「私たちがさっき見ていた映像は…録画映像ですか」
アカネ「…ここは揺動、ということは本命は…エレベーター!至急そちらに…」
ウウゥゥゥーー
System『侵入者を発見、緊急時のため、セミナー専用フロアの各セクションを閉鎖します』
ガラガラガラ…ガシャン!
アカネ「これは…シャッターが!?」
マキ「へへっ、仲良く閉じ込められちゃったね〜?」
アカネ「はあ…全くもう…あなた達と違って、私はシステムに指紋が登録されています
痛い思いをしたくなかったら大人しくしていてくださいね、お会いできて光栄でしたが、私はこれで…」
System『データ不一致、未登録の指紋です』
アカネ「えっ……!?」
System『セカンドシャッターが作動します、シャッター付近にいる方は離れてください』
ガシャン!!
アカネ「そ、そんな…!?」
─オペレーションルーム─
セミナーオペレーター「アカネが閉じ込められました!」
ユウカ「誰かセミナーの役員を…ノアが近くにいるはず、開けてもらって!
一体どういうつもり…?この状態だと、“本物”のモモイとミドリもどこかで閉じ込められて…いや、もしかして…!」
セミナーオペレーター「ノアからも連絡が!彼女達も閉じ込められているそうです!
ノアの指紋でもシャッターが開かず、助けを求めています!」
ユウカ「な、な、なんですって!?このタイミングで故障…新しくしたばっかりなのに、それにちゃんと指紋データも移行して……いや、待って…
ハッキング済み!?ということは初めからこれを狙って、最初にアリスちゃんに単独で…
じゃあこのセキュリティシステムはエンジニア部かヴェリタスの…!?」
─少し前─
─セミナー専用フロア・エレベーター前─
モモイ「…合図が来た、じゃあ本当にエレベーターに乗り込もうか」
ミドリ「うん、でも…」
モモイ「?」
ミドリ「……先生は来なくても良かったんじゃ…?」
ウォルター「…着いて来ないと思ったら置いて行け」
ミドリ「うーん…わ、わかりました…」
モモイ「じゃあ、いくよ!」
ビーッ!ビーッ!
System『侵入者を発見、緊急時のため、セミナー専用フロアの各セクションを閉鎖します』
モモイ「…ここまでは予定通りだけど…」
ウォルター「問題はない…」
認証装置を操作する
System『……』
周囲のシャッターが上がる
モモイ「よし、認証システムも
ミドリ「ハレ先輩から連絡、ノア先輩も隔離できたって!」
モモイ「じゃあ、これで今タワーの中を自由に動けるのは…私達だけ!」
ミドリ「本来のエンジニア部製よりほんの少しだけ弱そうに見える、最新型のセキュリティ…上手く行ったみたいだね」
モモイ「エンジニア部製とは思われなかったんだろうけど、流石だね
今日はセミナーの役員になったつもりで堂々と行くとしよっか!」
(ピピッ──
ミドリ「なんか、デジャヴみたいな感じするね?」
モモイ「あー、廃墟のアレじゃない?懐かしい、なんかもう随分昔のことみたいな感じがする…
とりあえず、アカネ先輩を封じられたのは良かったけど、どうせならアスナ先輩も一緒に閉じ込めたかったなぁ
まだ居場所がわかっていないんだよね?」
ミドリ「ハレ先輩ができるだけミレニアム全域を調べてくれたけど、見つからなかったみたい
ミレニアムの外にいるんじゃないかな?」
モモイ「いっつも神出鬼没の先輩だし、簡単には見つからないよね
なんかミッション中に急にパフェ食べに行ったりする人みたいだし…ま、今のところ計画通りなんだから、気にしない気にしない!」
─セミナー専用フロア・廊下─
マキ「ふふっ、確かにさっきの合金製とはレベルが違う感じのシャッターだね、さて、どうしよっか?」
コトリ「ではアカネ先輩、こうして仲良く閉じ込められたのも何かの縁ですし、楽しい相対性理論の講義でも始めましょうか?」
アカネ「そういうのはカリンにお願いします!…こちらコールサイン・ゼロスリー!A-11セクションに閉じ込められました!コールサイン・ゼロワン、応答をお願いします!」
System『相手がオフライン状態です』
アカネ「アスナ先輩っ!一体どこにいるんですか、もう!
せめて電源くらいつけておいてくださいよ……!」
(…ピピッ)
(Connecting, New Message)
???「アスナ先輩の居場所はわからないけど…安心して、アカネ
ゲーム開発部が射程範囲内に入った、コールサイン・ゼロツー、オーバー」
─セミナー専用フロア・廊下─
モモイ「最後のシャッターを解除、ふふっ、今やこの生徒会専用フロアは私の思うがまま〜♪
さて、もう少しで鏡のある差押品保管所に……」
ウォルター「待て…才羽!伏せろ!」
モモイ「えっ?」
ダッドカアァン!
モモイ「うわあああっ!?今、頭の上を、なんか凄まじい威力の弾丸が!?壁に穴が空いてるんだけど!」
ミドリ「対物狙撃用の49ミリ弾!?良かった、お姉ちゃんの背があと5センチ高かったらおでこにクリーンヒットだったよ」
モモイ「ヒューっ、確かに、小さくて良かっ…じゃない!」
ウォルター「敵狙撃手の射程内だ、急いで進め」
ミドリ「せ、先生は!?」
ウォルター「C&Cの狙撃手ならば、俺を撃つような真似はしない筈だ…気にするな」
モモイ「ミドリ!危ない!」
ドゴオォォォン!
モモイ「うわあぁっ!?」
─ミレニアム・第3校者屋上─
カリン「……なるほど、筋は悪くない
小さくてすばしっこくて、当てにくいな…でも、速度とパターンはだいたいわかった、風も少ないし、視界を遮るものも無い……
もしかしたら、「壁を背にすれば安全」とでもおもってるのかもしれないけど」
カリン「……残念、次は、100%命中させる…」
???「それはどうかな?」
カリン「!?」
???「私の計算結果は少し違う、君の次の弾が当たる確率は…0%だ」
カリン「その声は…!」
カリン「ウタ……は?…た、ターレット…?」
ターレットの銃口がカリンを捉える
雷ちゃん(ダダダダダダッ!)
カリン「なっ、これは…!」
ウタハ「ご存知かもしれないが紹介しよう、エンジニア部の新作、全ての天候に対応可能な二足歩行型戦闘用の“椅子”
雷の玉座さ、雷ちゃんと呼んでくれ」
カリン「なんで椅子を歩かせて…さらに、カタパルトまでついてる!?それ必要!?」
ウタハ「この「雷ちゃん」の魅力を理解してもらえないとは、残念だね…」
カリン「理解はできないけどだいたい把握できた
ずっと、気になってはいたんだ、どうしてゲーム開発部が、ミレニアム生徒会のセキュリティを突破して、ここまで来ることができたのか」
カリン「エンジニア部が、あの“先生”に協力してたのか
やはりヒマリの情報も、わたしたちを混乱させるための罠だった…?ということは…」
カリンがライフルを構え直し、発砲する
ドカアァン!
ウタハ「雷ちゃん!」
直撃した雷の玉座がひっくり返り、脚をバタバタと動かして立ちあがろうとする
カリン「…これで貫通しないなんて、丈夫にできてる…
銃を撃つ椅子か、面白い…だけど、私を本気で止めるつもりなら、奇襲で来るべきだった、その椅子があるとはいえ、正面から挑んでくるなんて…」
カリン「それは計算ミスだろう、ウタハ
ウタハ「……」
ウタハ「それは少し違う」
カリン「何?」
ウタハ「言っただろう、雷ちゃんは新作、まだ戦闘テストが足りていない
今回のはいわゆる性能試験、不意打ちでは意味がないんだ
だって、雷ちゃんには、君のスナイパーライフルよりも巨大な弾丸を何発も耐えてもらわなきゃならないからね
だから、この機会に試させてもらった…いいデータが取れたよ」
ウタハ「さて、でも君の言うとおり、ここには
そう、天井すらもね」
カリン「?」
(フォン──)
カリン「風音…?」
ドゴオォォォン!!
カリン「ま、さか…曲射砲!?一体、どこから…!」
ウタハ「ウチのヒビキがミレニアムタワーの反対側から、ね
君がヒビキを狙撃する為には、いくつもの壁や天井を貫通させなきゃいけない
君も同じように曲射でもしない限りはね…」
ウタハ「さて、私を目の前にしながら、君にそのどちらかができるかな?」
カリン「くっ…!?」
ウタハ「ふふ、もう一度言ってあげようか?」
ウタハ「計算通りだ」
──
モモイ「…狙撃が止んだ…?」
ウォルター「
(ゴゴゴゴゴゴ──!)
建物が大きく揺れる
モモイ「えええっ!な、何?!地震!?」
ウォルター「いや、これは爆発の振動だ」
ミドリ「まさか…!」
──
アカネ「…ふう」
コトリ「くうっ…講義はまだ、終わって…!」
マキ「ひーっ、死ぬかと思った!一体どこにそんな大量の爆弾を…!」
アカネ「あまり学校の施設を破壊したくはないのですが…
ユウカ、申し訳ないですがシャッターは無理やり壊しました、ゲーム開発部の現在地は?」
ユウカ『さっきまではカリンが足止めしてたけど、もう見失ったわ
けど、どこに向かってるのかはわかる…』
アカネ「鏡がある、生徒会の差押品保管所の方ですね
では、すぐにそちらへ向かいます」
(ピピッ──)
照明が全て落ちる
アカネ「!?」
アカネ「どうしました?ユウカ?ユウカ??
…まさか、電力を遮断して…!?くっ、ここまでするとは…!!」
──
モモイ「さっきの停電、ウタハ先輩とヒビキの作戦が成功したって事だよね?」
ミドリ「うん、そのはず…あ、先生、足元気をつけてください
ここさえ抜ければ…」
モモイ「ようやく差押品保管所…!」
???「お、やっときたね!」
モモイ「へ?」
ミドリ「え!?」
???「遅かったねー、だいぶ待ってたよ〜
ようこそ、ゲーム開発部!それに、えっと…先輩、だっけ?あ、違う違う、思い出した!“先生”だ!
ずっと会えるのを楽しみにしてたんだよ〜!」
ミドリ「あ、アスナ先輩!?どうしてここに…」
アスナ「どうしてって言われても〜……なんとなく?
予感とか直感とか、そういうのってあるでしょ?ここで待ってたら先生にも、あなたたちにも会えるんじゃないかなー、って
そんな予感がしてたから!」
ミドリ「難しい言葉じゃないのに、全然何言ってるかわからない…」
アスナ「じゃ、はじめよっか!」
ミドリ「えっと、念のために聞くのですが、何を…?」
アスナ「戦闘を!私、戦うのが大好きなの!」
アスナ「あ、そうだ、まだ自己紹介してなかったね
C&Cコールサイン・ゼロワン、アスナ!行くよ!!」
モモイ「やっぱりぃ!?」
──
ユウカ「差押品のロボットを全部出して!本来なら塗装し直して、学校の掃除ロボットとして使おうと思ってたけど…
背に腹は代えられない、今は侵入者たちを撃退するのが先!メイド部の命令で動くようにプログラムを変更してるわ、アカネ!」
アカネ『承知しました、ロボットも使わせてもらって、あらためてゲーム開発部を「お掃除」します』
──
モモイ「うああ!?」
ミドリ「で、でたらめに強い…!?これが、C&Cのエージェント…!」
薄暗く、視界が悪いとはいえ、モモイとミドリの攻撃はまるで当たらない
なのに、アスナの攻撃だけはしっかりと当たる…
ウォルター(…想定以上だな)
アスナ「ふーん…♪」
アスナ(思ってたより、全然悪くない…お世辞にも戦闘能力はすごくない、でも…)
モモイ「ミドリ!」
ミドリ「うん、ドットを撃つように…!」
モモイが弾をばら撒き牽制、そしてミドリが正確な射撃…
アスナ(チームワーク…って言うか、まるで2人で1人みたい、その点においては、間違いなくベテラン級の…)
アスナ「双子のパワー、ってやつかな?
良いじゃん良いじゃん!」
モモイ「くぅっ、ここでアスナ先輩と出くわすなんて…!」
ミドリ「お姉ちゃん、一旦退こう!」
モモイ「うん、仕方ない…!」
アスナ「そうはさせないよっ!」
(ドカアァン!)
ミドリ「きゃあっ!?」
ウォルター「…狙撃か、白石は…」
──
ウタハ「……」
ウタハ「…う…?どうして、私は…横になって……
それに、この大きなお尻は一体誰の…?」
カリン「……大きくて悪かったな
結構キツイところに当たった筈だけど、思ったよりお早いお目覚めだ
……ごめん、手加減する余裕はなかった」
ウタハ「まさか、ヒビキの攻撃の中でも正確に私を狙撃できるなんてね……それに、君がこうして私のすぐそばにいる以上…」
カリン「そう、この状態なら、先輩思いの彼女はまさか撃ってこないだろう」
ウタハ「はあ…これは計算外だった、あの砲煙の中でどうして私のことを正確に狙えたんだい?」
カリン「視覚でしか敵を捕捉できないような狙撃手なんて、C&Cにはいない
それより、あまり離れないでほしい、余計なことをしても体を痛めるだけだ
私も心が痛む」
ウタハ「……」
ウタハ「ほんの少しでいいから離れてもらえるかい
この状態だと君のお尻が近すぎて、ちょっと困る」
カリン「そっちが背を向ければいいだろう!?」
──
ウォルター「
モモイ「うっ…!今、マキからも…アカネ先輩がシャッターを爆発させて脱出したって…!
同時に、すごい数のロボットがこっちに向かってきてるって…!」
ミドリ「ええっ!?」
アスナ「あははっ、何が何だかわからないけど、私たちが優勢って感じ?
もしかして、もうそっちの計画は失敗寸前かな!」
ミドリ「ううっ…!」
モモイ「失敗…」
ミドリ「違う…まだ、失敗じゃない…!」
ウォルター「そうだ、
─少し前・反省部屋─
アリス「…あっ」
アリス「電力遮断、このイベントが起きたと言うことは…」
アリス「EMPが発動し…外にいるハレ先輩と内側にいる先生のハッキングで設定を変更
タワーの電子扉を自由にできるように…把握しました、アリス、脱出します」
(ウィーン)
アリス「ここからのアリスのクエストは…
まず、生徒会の差押品保管所に向かうこと…」
アリス「アリス1人で、鏡を取りに……?
先生…?……好きに、しろ…?」
──
モモイ「うう…意外と、耐えられてるよね…!?」
ミドリ「うん、それに…もしこのタイミングで捕まったとしても…謹慎ぐらいなら部室でこっそりG.Bibleをみながら“テイルズ・サガ・クロニクル2”を作れるはず」
アスナ「うーん?何の相談かなー?
ちょっとずつ必死さがなくなってきた気がするけど、まさか…諦めたわけじゃないよね?」
ユウカ「この状況なら、諦めた方が賢明だと思いますけどね」
モモイ「あっ、ユウカ!?」
ユウカ「とりあえず、ここまで状況を引っ掻き回したことについては褒めてあげる、それについては本当に驚いたわ
でもそれはそれ、これはこれ…
こんなありとあらゆる方法を使ってまで生徒会を襲撃するなんて、やり過ぎね」
ユウカ「猶予を与えたことと言い、ちょっと甘すぎたのかしら
もう
モモイ「停学!?拘禁!?」
ミドリ「そんな、1週間も…ミレニアムプライスが終わっちゃう!」
ユウカ「アリスちゃんも、今は反省部屋に入ってもらってるわ
1人だけで可哀想だったけど、あなたたちが来ればきっと喜ぶと思うわ」
モモイ「ううっ…!」
ミドリ「お、お姉ちゃん…!」
モモイ「捕まってもなんとかするつもりだったけど…
このままじゃ…たとえ鏡を奪えたとしても、アリスとユズだけじゃゲームは作れない…どうにかして、突破しないと!」
ユウカ「突破?へえ、私たちを?」
アカネ「ふう、やっと着きました…こんなに息が切れるなんて、まさか本当に体重が……いえ、そんなはずは…」
モモイ「うえぇ!?」
ミドリ「あ、アカネ先輩に戦闘ロボットまで!」
アカネ「ふふ、今度こそ本物みたいですね
こんばんは、モモイちゃん、ミドリちゃん
マキちゃんとコトリちゃんについては、ギリギリ許せる範囲かもしれませんが…
ここまで入り込んできてしまったあなたたちに、もう言い訳の余地はありませんよ
それに…」
ユウカ「先生も、シャーレに抗議文くらいは送らせていただきますので、ご承知おきくださいね」
ウォルター「……」
モモイ「ううっ…ここで、本当に…?いやだ…!」
ミドリ「お姉ちゃん…!」
モモイ「ごめん、ごめんね…みんな、みんな色々助けてくれたのに…私たちの力不足で、私たちのせいで…!!」
ウォルター「諦めるな」
モモイ「そうしたい、けど…もう無理だよ
前にはC&C、後ろには生徒会にロボット…ミレニアムでもトップレベルの二大勢力…
こんな状況で一体どうしたら…」
ウォルター「……
ハレ『うん、大丈夫、半分は削れるんじゃないかな』
ウォルター「…充分だ」
「…ターゲットを確認、マーキング情報をローディング…」
(ウィーン)
「魔力充電、100%…」
モモイ「この音は…?」
ミドリ「お姉ちゃん!先生!伏せて!」
アカネ「急に地面に寝そべって、何を…」
アスナ「?」
ユウカ「無抵抗を示してるつもり…?」
(パッ)
「光よ!!!」
光線が真上を通過し、
ドカアァァァン!
アカネ「くっ!?」
アスナ「きゃあっ!」
アカネ「あ、アスナ先輩!?大丈夫ですか!?」
アスナ「大丈夫じゃないよー!あははっ、思いっきり当たっちゃった!何これめっちゃ痛い、頭のてっぺんから爪先まで1ミリも動かしたくない!」
アカネ「……大丈夫そうですね」
ユウカ「そんな、アスナ先輩と半分以上のロボットがまとめてやられるなんて…!
たった1発で、この火力…!」
アカネ「カリン、状況を報告してください!今のビーム砲はどこから…!?」
アカネ「カリン、カリン!?…そういえば、カリンの火力支援が止んで……いつから!?」
(フォンッ──!)
アカネ「あの光は…カリンの潜伏してる屋上…!?」
──
カリン「くっ、目が…!閃光弾なんて…!」
ウタハ「私の後輩は、大事な先輩に爆撃を当てたりしない優しい後輩…で、合っているとも
それでいて、ものすごく賢い…この状況を予測し、そこで的確な選択ができるくらいにはね」
カリン「くっ、これじゃアカネの支援が…どうしてここまで……!」
ウタハ「どうして…?それは、部活を守りたいからに決まっているだろう?」
カリン「……噂に疎い私でも聞いたことがある
エンジニア部は知らないが、あのゲーム開発部はちゃんとした部活動とは言い難い
あんな自己中な問題児たちを、なぜ助ける?」
ウタハ「ただの自己中じゃないから、かな
あの子たちは友人のために一生懸命頑張っている」
カリン「別に部活動じゃなくても、ゲームは作れるだろう」
ウタハ「……それは君の言うとおりだ
けれどね、もちろんただの友達にも意味はある、それでも……同じ部活の仲間というのは、お互いを強く結びつけてくれるものだ
あの子たちも、あの部活で一緒にやりたいんだという気持ちがあるから…こんなにも、必死に頑張っているんだろう」
カリン「っ、でも…!」
(ヒューッ……)
(ドカアァァァン!)
カリン「しまった!?」
ウタハ「ふふふ…
計算通り、ではないけれど……面白くなってきたね」
──
アリス「モモイ!ミドリ!」
ミドリ「アリスちゃん!?」
モモイ「なんでこっちに…!」
アリス「差押品保管所に向かう途中に考えていました
“ファイナルファンタジア”、“ドラゴンテスト”、“トールズ・オブ・ファイト”、“竜騎伝説”、“アイズエターナル”…
そして、“テイルズ・サガ・クロニクル”……どんなゲームの中でも、主人公達は…決して、仲間のことを諦めたりしませんでした
なので、アリスもそうします!
試練は、共に突破しなくては!」
ミドリ「アリスちゃん……」
モモイ「うん、どうせこのまま捕まったら全部終わり
いこう、ゲーム開発部!」
ミドリ「うん!」
アカネ「くっ、マズイですね…!」
アスナ「あはは、せっかく面白くなってきたのに全然体が動かないよ!」
アカネ「アスナ先輩、それ本当に痛がってます…?それより、カリンの狙撃も止まってる、やはりあちらも…」
ユウカ「逃げられるわよ!」
アカネ「いえ、そうはさせません!
アスナ先輩、できるだけ下がっててください…
アカネ、戦闘を開始します!」