燃え残り   作:名無し

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模擬試験

─トリニティ・別館合宿所─

 

アズサ「おはよう!」

 

アズサがカーテンを開き、日光を部屋に取り込む

 

ハナコ「おはようございます、アズサちゃん、朝から元気ですね♡」

 

アズサ「さあ、早く起きて歯磨き、シャワー、それから着替え、順番に遂行していこう」

 

ヒフミ「あうぅ……アズサちゃん…10分……あと10分だけ……」

 

コハル「んん……もう、朝…?」

 

アズサ「ヒフミ、コハル、起きて、そろそろ起きないとダメだ」

 

ヒフミ「んんぅ……」

 

コハルん……起きてるってばぁ……」

 

ハナコ「ヒフミちゃんの方はもう少し時間がかかりそうですね、昨日はどうやら、遅くまで起きてたみたいですし……」

 

アズサを……補習授業部の部長だから、心理的なプレッシャーもあるのかもしれない

そういうことならもう少しだけ休ませておこう」

 

コハル「…ん……あれ…ここ、私、どうして……」

 

アズサ「おはよう、コハル、朝の支度を始めよう」

 

コハル「……?ん、え……?」

 

アズサ「シャワールームはこっち、来て」

 

コハル「……え、なに、なんで……?」

 

ハナコ「あらあら、2人で仲良く洗いっこですか?」

 

アズサ「目を覚ますにはこれが早いから」

 

(ガチャ…バタン)

 

コハル「うわあぁぁっ!?な、なんで!?ちょっ、脱がさないでっ!?ひゃっ、うえぇっ!?」

 

コハル「冷たっ…!?あっ、もうっ、ちょっと…!んっ、シャンプーが目に…!!」

 

ハナコ「良いですねー、裸のお付き合い♡」

 

─教室─

 

ヒフミ「お待たせしました、ではそろそろ始めましょうか?」

 

ハナコ「は〜い♡」

 

アズサ「うん」

 

コハル「うぅ……全部見られた……もうダメ…」

 

アズサ「コハルも私の裸を見たんだから、何も問題は無いはず」

 

コハル「そういう問題じゃない!あんな強引に脱がすなんて!無理やりとかそういうのはダメなの!」

 

ハナコ「では次は、私がコハルちゃんの身体を洗ってあげましょうか?」

 

コハル「はぁっ!?だっ、ダメ!あんただけは絶対に嫌っ!!」

 

ヒフミ「えっと……」

 

ウォルター「…阿慈谷(あじたに)、時間はある、身なりを整えて来い」

 

ヒフミ「う…は、はい…少し寝坊してしまって…」

 

ウォルター「……早く済ませて来い」

 

──

 

ヒフミ「で、では…改めまして…勉強を始めましょう!」

 

アズサ「うん」

 

ヒフミ「では、みなさんこちらをご注目ください!」

 

3人「……?」

 

ヒフミ「今日は補習授業部の合宿、その大切な初日です!

私たちはとても大変な状態で、ともすれば慌ててしまいがちな状況ではありますが……」

 

ヒフミ「難しく考える必要はありません!

1週間後の第二次特別学力試験で合格する、それだけです!」

 

アズサ「そうだね」

 

ハナコ「ですね」

 

コハル「……」

 

ヒフミ「そこで…」

 

ヒフミの目配せを受け、教壇にプリントを並べる

 

ウォルター「今から模擬試験を行う」

 

アズサ「……模擬試験?」

 

ハナコ「なるほど……?」

 

コハル「きゅ、急に試験!?なんで!?」

 

ヒフミ「闇雲に勉強しても、あまり効率がいいとは言えません

着実に目標達成のためには、何ができて何ができないのか、今どのくらいの立ち位置なのか……まずらを把握する必要があります!

というわけで、昨晩こちらを準備してきました!」

 

ヒフミが別の書類の束を取り出す

 

ヒフミ「昨年度のトリニティで行われた試験問題と、その模範解答です!まだ中途半端と言いますが、集められたのは一部だけなのですが……

先生も昨日遅くまで手伝ってくださって…第二次特別学力試験を想定した、ちょっとした模擬試験のような形にできました!」

 

ウォルター「試験時間は60分、百点満点中六割の60点で合格だ」

 

ハナコ「本番と一緒、ですか…」

 

ヒフミ「さあ、これを解いてみましょう!」

 

──

 

ウォルター「……準備ができていない者は」

 

ウォルター「なら、試験を始める」

 

アズサ「……」

 

ハナコ「あら、これは……♡」

 

コハル「どこかで見たような…見ていないような……」

 

ヒフミ(みなさん、頑張りましょう…!)

 

ウォルター「……」

 

──

 

ウォルター「終了だ、プリントを前に回せ」

 

プリントを受け取り、採点を始める

4枚だけだったので、時間はかからなかった

 

……いや、理由はそれだけではないが

 

ウォルター(……空欄が多いな)

 

…実力に合わせたつもりだったが、これは…

 

ヒフミ「先生、結果を…」

 

ウォルター「……ああ」

 

ウォルター「……浦和(うらわ)、4点、白洲(しらす)、30点、下江(しもえ)、15点、阿慈谷(あじたに)68点、3人不合格だ」

 

アズサ「……そうか」

 

コハル「…え?」

 

ハナコ「あらまぁ」

 

ヒフミ「……」

 

ヒフミ「これが今の私たちの現実です、このままだと、私たちの先に明るい未来はありません……」

 

ヒフミ「ここからあと1週間、みんなで60点を超えるためには、残りの時間を効率的に使っていかなければならないのです!」

 

ヒフミ「そこで!まず、コハルちゃんとアズサちゃんがどちらも一年生用試験ですので……

私とハナコちゃんが、おふたりの勉強内容をお手伝いします!ハナコちゃん、最近何があったのかは知らないのですが、一年生のときの試験では高得点だったんですよね?」

 

ハナコ「あら……?えっと…まあ、そうですね…?」

 

ハナコと目が合う

 

ウォルター「ティーパーティから受け持つにあたって、過去の成績は預かっている」

 

ハナコ「…そうですか」

 

ヒフミ「ハナコちゃんの方については後ほど、今の状態になってしまった原因をしっかり把握したうえで、私と先生と一緒に解決策を探しましょう!」

 

ハナコ「……」

 

ヒフミ「まだ途中ですが、他にも試験を作成中ですので、今日から定期的に試験を行なって、進捗具合も確認できればと思っています」

 

ウォルター(……退学がかかっている、もっと取り乱したり、焦ってもおかしくはないと思っていたが…

杞憂だったか、阿慈谷(あじたに)は部長としての役目を果たそうとしている)

 

ウォルター(……ならば、俺は…どうすればいい)

 

……

 

ミカ「それに“先生”なんでしょ?

今はみんなBDで学習する時代だし、学校の職員とか教授ならまだしも、“先生”って概念は珍しいんだよね」

 

ミカ「先の道を生きてると書いて“先生”…つまり、“導いてくれる存在”ってことだよね?」

 

ミカ「まあ、尊敬の対象、あるいは生きる指針としてみんなに手を差し伸べ、導く…“補習授業部”の顧問として、これはピッタリだなって思って!」

 

……

 

ウォルター(指針…か)

 

ヒフミ「これが今の最善です、頑張りましょう!

きっと、頑張ればどうにか、みんなで合格できるはずです…!」

 

ウォルター(……舵取りは、任せた方がいいだろう…)

 

ヒフミ(……先生も手伝ってくれることですし、、私もただ心配してるだけというわけには行きません、私は、私にできることを…!)

 

アズサ「……うん、了解、指示に従う」

 

コハル「わ、わかった…」

 

ハナコ「ヒフミちゃん、すごいですね…昨夜だけでこんなに準備を…」

 

ヒフミ「あ、いえいえ、先生も手伝ってくださったので……」

 

ハナコ「なるほど、先生が」

 

ウォルター「俺は大したことはしていない」

 

ヒフミ「でも、これだけではありません、なんとご褒美も用意しちゃいました!」

 

全員「?」

 

ヒフミ「えっと」

 

(ガサゴソ…)

 

ヒフミ「こちらです!」

 

ウォルター「これは……」

 

ウォルター(…モモフレンズの…?)

 

ヒフミ「こちらです!いい成績を出せた方には、この「モモフレンズ」のグッズをプレゼントしちゃいます!」

 

ハナコ「モモフレンズ…?」

 

コハル「……何それ?」

 

アズサ「……っ!!」

 

ヒフミ「あ、あれ。?最近流行りの、あのモモフレンズですが……もしかして、ご存知ないですか…?」

 

ハナコ「初めて見ましたね……いえ、どこかでちらっと見た気も……?」

 

ヒフミ「えぇっ!?」

 

コハル「何これ、変なの……豚?それともカバ…?」

 

ヒフミ「ち、違います!!ペロロ様は鳥です!見てください、この立派な羽!そして凛々しいくちばし!!」

 

ウォルター(……確かに、このグッズを好んでいる生徒はいるようだったが……これが普通の反応か)

 

思えば、サクラコの反応も微妙だったような気がする

 

コハル「……目が怖い、それに、名前もなんだか卑猥(ひわい)だし……」

 

ヒフミ「えぇっ……!?た、確かにそうおっしゃる方も一部にはいますけど……

よ、よく見てください、じっくり見てるとなんだか可愛く──」

 

ハナコ「あ、思い出しました、そういえばヒフミちゃんのカバンやスマホケースがそのキャラクターでしたね

たしか、舌を出してよだれを垂れ流しながら、もう許して……っ!と泣き叫ぶキャラクターだったとか……?」

 

ヒフミ「え、いえっ、後半部分は色々と違いますよ!?」

 

コハル「……わ、私はいらない…」

 

ヒフミ「あうぅ……」

 

アズサ「……」

 

ヒフミ「……あ、アズサちゃん…?」

 

アズサ「……か」

 

ヒフミ「…か?」

 

アズサ「可愛い!!!」

 

ヒフミ「!?!?」

コハル「!?」

ハナコ「あら……?」

 

アズサ「か、可愛すぎる……!なんだこれは、この丸くてふわふわした生物は……!!

この目、表情が読めない…何を考えているのか全くわからない……!」

 

ハナコ「あ、アズサちゃん……?」

 

ヒフミ「さすがはアズサちゃん、ペロロ様の可愛さに気付いてくれたんですね!そうです!そういうところが可愛いんです!」

 

コハル「う、うそぉ…!?」

 

アズサ「こ、こっちは?この長いのは?イモリ……いや、キリン?なんだか首に巻いたら暖かそうな……!」

 

ヒフミ「それはウェーブキャットさんです!いつもウェーブして踊っている猫なのですが、おっしゃる通り最近ネックピローのグッズが……」

 

アズサ「これは?この小さいのは?」

 

ヒフミ「それはMr.ニコライさんです!いつも哲学的な事を言って不思議な目で見られてしまう方ですね!

今回ご褒美の一つとして、そのニコライさんが書いた「善悪の彼方と言う本もあるんですよ、それも初版!」

 

アズサ「すごい、すごい……!これを、貰えるのか?ま、まさか選んでもいいのか……!?」

 

ヒフミ「はい!アズサちゃんが欲しいのを余って言ってください!」

 

ハナコ「あらあら」

 

コハル「なんなの……?」

 

アズサ「……」

 

アズサ「…やむを得ない、全力を出すとしよう」

 

コハル「えぇ…?」

 

アズサ「良いモチベーション管理だ、ヒフミ!約束しよう、必ず任務を果たして、あの不思議でふわふわしな動物を手にしてみせる!」

 

ヒフミ「はい、ファイトです!!」

 

ヒフミ「えへ…えへへへへへへ…!」

 

ハナコ「あら、なんだかヒフミちゃんが楽しそうに、と言いますかお人形さんと同じような表情に…♡」

 

ウォルター(…十六夜(いざよい)と話していた時もこんな顔ををしていた、また同じ趣味の友人ができたか…)

 

ハナコ「なんだか先生も嬉しそうですね♡」

 

コハル「理解できない…」

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