燃え残り   作:名無し

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ようこそ対策委員会へ

ーアビドス自治区─

 

ウォルター「…何処だ、ここは」

 

アロナ「アビドス高等学校から南に20キロの地点です、遠いですね…」

 

ウォルター「……ハァ…」

 

思わずため息が出る

交通機関を使えば辿り着けるという話は何処へ…

 

ヘリの積載量さえ超えなければこんなことには…

 

ウォルター「恨むぞ…白石…」

 

アロナ「先生、少し休みませんか…?」

 

ウォルター「……そうだな」

 

アロナの案内を受けながら、近くの公園のベンチに腰を下ろす

 

ウォルター「…しかし…」

 

アロナ「どうかしましたか?先生」

 

ウォルター「いや…」

 

ウォルター(人気(ひとけ)がない…家屋はあるのに、人と出会わない…)

 

あたりは市街地だ、そしてここは公園だ

民家に溢れているのに…人の気配がまるでない

 

キヴォトスではそんなものなのだろうか?

 

ウォルター「…しかし、着く頃には夜か?」

 

アロナ「…すみません先生、今のペースだと、明日までかかります…」

 

ウォルター(気が遠くなりそうだ…)

 

アロナ「タクシーや交通機関を検索していますが…どうやらこの辺りの交通機関は稼働していなくて、タクシーも呼び出し範囲外のようです…」

 

ウォルター「何?」

 

ウォルター(こんな街中だというのに、公共交通機関が動いてない…?

…流石におかしい……待て、なんだ…?)

 

カラカラカラカラ…キキーッ!

 

公園の入り口に自転車が停まり、乗っていた少女が近寄ってくる

 

???「人だ、遭難者?」

 

ウォルター「…遭難…?」

 

こんな街中でにつかわしくない表現だが

 

???「この辺りに来たのは初めて?」

 

ウォルター「…ああ、今日来たばかりだ」

 

???「そっか、どこに行こうとしてたの?」

 

ウォルター「アビドス高等学校だ」

 

???「アビドスに…どうして?」

 

少女の顔つきが一瞬険しくなる

 

ウォルター「依頼を受けて来た、アビドス高等学校への補給物資を届けろという依頼だ」

 

???「補給、物資…?ホントに?」

 

ウォルター「今は手元に無いが、おそらくもうそろそろヘリがついているはずだ」

 

???「…もしかして、シャーレの先生?」

 

ウォルター「そうだ、お前はアビドスの生徒か?」

 

シロコ「うん、砂狼(すなおおかみ)シロコ、よろしくね、先生」

 

ウォルター「…砂狼、アビドスに案内してくれるか」

 

シロコ「…いいけど、どうやって行くの…?」

 

ウォルター「…徒歩だ」

 

シロコ「うーん…先生、杖を持ってるけど、足が悪いの?」

 

ウォルター「…ああ」

 

シロコ「それじゃあ時間がかかるかも…あと5時間はかかると思う」

 

ウォルター「……」

 

シロコ「… おぶっていこうか?」

 

ウォルター「いや…それは…」

 

シロコ「ん、誰もいないから別に恥ずかしく無い」

 

ウォルター「…そういう問題では無いと思うが」

 

シロコ「違うの?」

 

ウォルター「……」

 

成人男性が女子高生に背負って送ってもらうなど、常識が許さないのだが…

 

シロコ「よっと…」

 

ウォルター「待て、何故ロープで縛っている」

 

シロコ「おんぶが嫌なら、荷物にする、これなら落ちないから、自転車にも乗れる」

 

全身頭から爪先まで過剰にロープに巻かれて背負われる

必要以上に拘束されている事も含めて言いたい事だらけだが、シロコは有無を言わさず自転車に乗り、ペダルに足をかける

 

ウォルター「ちょっと待…」

 

シロコ「少し静かにして、舌を噛むよ」

 

…結局、リュックのように背負われたまま、徒歩で3時間と言われた道をシロコは20分で走破してみせた

 

─アビドス高等学校・対策委員会教室─

 

シロコ「ただいま」

 

セリカ「おかえりシロコせんぱ…い!?な、何その背負ってるぐるぐる巻きの…な、何?人?!」

 

ノノミ「わあ、シロコちゃんが人を拉致して来ました!」

 

アヤネ「拉致!?もしかして死体!?シロコ先輩がとうとう犯罪者に…!」

 

セリカ「みんな落ち着いて、速やかにしたいを隠す場所を探さないと

とりあえず体育倉庫にシャベルとツルハシが…」

 

シロコ「……ちゃんと生きてる大人だよ、ほら」

 

地面に降ろされ、縄を解かれる

 

ウォルター「……」

 

セリカ「ぐ、ぐったりしてるけど…?死んでない?」

 

シロコ「多分疲れて寝てるんだと思う」

 

アヤネ「…というか、この人がぐるぐる巻きだったのって…」

 

ノノミ「もしかして自転車に乗ったまま…?」

 

シロコ「ん、背負って来た」

 

ノノミ「あー…酔っちゃったんでしょうか」

 

セリカ「やっぱり死んでない…?埋めた方がいいんじゃ…」

 

シロコ「ダメだよ、この人、シャーレの先生だから」

 

アヤネ「シャ、シャーレ!?と、とりあえず…横になってもらって、休んでもらいましょう…」

 

──

 

ウォルター(酷い目にあった…)

 

あれほど荒い運転も中々ないだろう

トップスピードでコーナーを3回曲がったあたりで意識が途切れた

 

シロコ「あ、起きた」

 

ウォルター「砂狼…ここが、アビドスか?」

 

シロコ「そうだよ、先生」

 

アヤネ「あ、あの!シャーレのウォルター先生ですか!?」

 

ウォルター「…そうだが」

 

アヤネ「私、アビドス対策委員会の奥空(おくそら)アヤネと言います」

 

ウォルター「奥空…依頼主か」

 

アヤネ「ほ、本当にあの手紙を見て来てくださったんですね!」

 

ウォルター「物資は届いているか?」

 

ノノミ「は〜い、1時間くらい前に受け取りました!」

 

アヤネ「本当にありがとうございます!こちら証明書です、先生!

そうだ、委員長を呼んできます!」

 

ウォルター(…これで仕事は一件落着か…ヘリは…既に戻ったのか…?)

 

シロコ「今のうちにメンバーを紹介するね、こっちが十六夜(いざよい)ノノミ」

 

ノノミ「よろしくお願いします、先生〜」

 

シロコ「あと、黒見(くろみ)セリカ」

 

セリカ「どうも、よろしくね」

 

ウォルター「ああ…」

 

シロコ「あとは、もうすぐ来ると思うけど…3年の小鳥遊(たかなし)ホシノ先輩もいる、その人が委員長で…」

 

タタタタタタッ

 

ノノミ「銃声!?」

 

セリカ「あ!またヘルメット団!?」

 

ウォルター「ヘルメット団…?…ここにもいるのか」

 

アロナ「どうやら、ヘルメット団は各地にいろんな派閥があるようです

この地域で活動しているのは、カタカタヘルメット団という組織だと思われます」

 

アヤネ「先輩を連れて来ました!」

 

ホシノ「むにゃ…まだ起きる時間じゃないのにー…」

 

セリカ「先輩!しっかりして!学校守らないと!」

 

ホシノ「ふあぁ…おちおち昼寝もできないね」

 

ホシノが一瞬こちらを見る

 

ウォルター「……」

 

シロコ「直ぐに行こう、補給のおかげでいくらでも戦える」

 

ノノミ「はーい、みんなで出撃です☆」

 

アヤネ「私がオペレーターを担当します、先生は安全な場所に…!」

 

ウォルター「いや、ここでいい」

 

窓から外を眺める

 

ウォルター(……)

 

──

 

ノノミ「こんなに学校を荒らして…お仕置きの時間ですよー!」

 

ヘルメット団A「うわっ!うわわっ!?」

 

ヘルメット団B「痛っ!?や、やめ…!」

 

セリカ「もう許さないんだから!」

 

バババババッ!

 

ヘルメット団A「な、なんだ!?なんでこんなに装備が…!」

 

ヘルメット団C「ガトリングに狙い撃ちにされるぞ!隠れろ!」

 

ヘルメット団が体育倉庫に隠れた瞬間、ホシノが走り込む

 

ホシノ「よっと、いい感じに薄暗いよね、ここ」

 

ヘルメット団D「うおっ!?」

 

バンッバンッバンッ

 

ホシノ「でも、ここもアビドスの敷地だからさ、部外者は出ていってくれないと…ね?」

 

ヘルメット団B「ひ、ひぃぃっ!?」

 

ドンッ!…ガスッ

 

ホシノ「…終わったかなぁ……ん?」

 

カンッ!

 

ホシノの盾が銃弾を弾く

 

ヘルメット団E「くっ…!」

 

ホシノ「まだいたんだ…懲りないなぁ…」

 

ダンッダンッ!

 

ホシノ「おーわりっと…アヤネちゃん、こっち終わりだよ」

 

アヤネ「お疲れ様でした、みんな怪我なく終わりましたね」

 

ウォルター「……」

 

ウォルター(…学校を武装集団が襲撃か…これがキヴォトスの普通なのか?)

 

アヤネ「先生もありがとうございました、わざわざ来ていただいてすみません」

 

ウォルター「いや…お前達が自分で学校を守っただけだ、だが…いつもこうなのか?」

 

アヤネ「…最近こうなったんです、急にヘルメット団が攻めてくるようになって…

学校を奪おうとしてるみたいなんですけど…」

 

ウォルター(…何か、あるのか)

 

…きっと、このまま帰っても何も問題は無いだろう

彼女達は荒いが連携もあり、協力して学校を守っている

そして俺の仕事は終わった、このまま帰れば済む話だ

だが、この状況に目を向けるのも『シャーレの先生』の役目なのではないのだろうか…?

迂闊に手出しする訳にもいかないだろう、首を突っ込めば中途半端には終われないだろう

 

何も言わなければ、それで済む話だ

 

ウォルター「……」

 

…今の俺に、意味はない

目的も、何も…

 

ウォルター「…奥空、聞きたい事がある」

 

アヤネ「は、はい?」

 

ウォルター「対策委員会とは、なんだ」

 

誰かが言った、選ばない奴とは敵にも味方にもなれない

 

アヤネ「それは…みんなが戻って来てから、お話しします」

 

──

 

ウォルター「…なるほどな」

 

要約すれば、アビドス高等学校は全校生徒5人しか居らず、その理由は莫大な借金

9億を超える金額の借金があり、それを返済しなくてはならない、できなければ廃校になる

つまり、対策委員会とは、アビドス高等学校廃校対策委員会の事だ

 

そして、その借金の原因は数年前から起こる大規模な砂嵐

砂嵐を耐え凌いでも残された砂のせいで砂漠化が進んだ環境に人は住めず、それを改善する為に多額の資金を投入した結果が今になる

 

それを何とかするための委員会…

だが、最近はヘルメット団の襲撃もあり、活動もままならないという

 

ウォルター「この学校も別館か…」

 

ホシノ「本来の校舎は砂に埋もれたからね〜」

 

…思っていたよりも、どうする事もできない状況だ

 

ウォルター「利子だけで精一杯か、よく返せるものだ…」

 

セリカ「それで、先生は何を言い出すつもり?」

 

ウォルター「…どういう意味だ」

 

ノノミ「ちょっと、セリカちゃん」

 

セリカ「ノノミ先輩は黙ってて!どうせコイツもそうよ!

大人は優しい顔して近づいて、最後には騙して搾取する、その結果が今でしょ!?」

 

ホシノ「……」

 

シロコ「セリカ、そんなこと言っちゃダメ」

 

セリカ「何よ…!私は信じないから!」

 

そう言ってセリカが教室から出ていく

 

ノノミ「…私、ちょっと付き添って来ます」

 

ホシノ「まあ…セリカちゃんの気持ちもわかってあげてよー

先生も、仕事終わったんだし、私たちのことなんて忘れてくれていいんだよ?」

 

アヤネ「ホシノ先輩…」

 

ウォルター(…仕事が終われば、忘れる、か…)

 

…なんとなく、手が引かれた気がした

未だ手放せない何かが、こっちだと言っているような気がする

 

ウォルター「…俺も手を貸そう」

 

ホシノ「は…?先生、話聞いてた?」

 

ウォルター「聞いていた…俺が気に食わないのなら、いつでも蹴り出せばいい

だが、お前達には別の視点からの考え方が必要だと思った」

 

ホシノ「別の視点?」

 

ウォルター「…大人のやり方というものを教えてやる

まず、この委員会に顧問の枠を作る、そして俺が顧問になる…これで俺はお前達と同じ立場だ」

 

ホシノ「…どういうつもり?」

 

アヤネ「私たちと同じ立場って…?」

 

シロコ「……」

 

ウォルター「そしてこの委員会に合議制を採用する、これは簡単に言えば方針を決める際に多数決で判断を下すためのものだ

そして、その1番の目的として…俺をこの委員会から排除する際にもこの合議制を用いる事とする」

 

シロコ「…先生を辞めさせるための制度…?」

 

ホシノ「へー…」

 

アヤネ「つまり、対策委員会5人の内、半分の3人以上が先生を委員会から追い出す事に賛成したら…」

 

ウォルター「俺は顧問を辞めて去る」

 

シロコ「何でそんな回りくどいこと…」

 

ウォルター「お前達を納得させる為だ」

 

ウォルター(そして、俺が意味を得る為でもある…)

 

ホシノ「…まあ、いーんじゃない?先生がみんなにとって危ないと思えばいつでも出ていってくれるみたいだし…」

 

アヤネ「…確かに、私たちも助けて欲しい気持ちは山々ですし…」

 

ホシノ「それにさあ、多分こっちがこの提案を断らない前提で出してると思うよ?助けてもらうには受け入れるしかない…大人はズルいね」

 

シロコ「…先生の助けは必要だと思う」

 

アヤネ「でも、みんなが納得するか…」

 

ホシノ「みんなっていっても、後はセリカちゃんだけだし、大丈夫大丈夫、おじ…私が説得しておくからさ」

 

シロコ「…あれ、ノノミからだ」

 

シロコが携帯を取り出して電話に出る

 

シロコ「もしもし?…どうしたの、落ち着いて……うん、うん…わかった、すぐ行く」

 

ウォルター「…どうした」

 

シロコ「みんな、出撃するよ、セリカが(さら)われた」

 

アヤネ「えっ…?」

 

ホシノ「ヘルメット団かなー…学校を襲うだけじゃ飽き足らず、人攫いまでやるなんて」

 

ウォルター「…人攫いだと?」

 

ウォルター(ヘルメット団という組織の目的は不明瞭だ、なのに誘拐にまで手を出した…?

何故だ、ハッキリとした理由が見当たらない)

 

シロコ「先生、行こう、向こうに装甲車があるから」

 

ウォルター「…なら、俺が運転しよう」

 

アヤネ「えっ!?…で、できるんですか?」

 

ウォルター「キヴォトスの免許は無いが…人を送り届けるのは慣れている、任せろ」

 

ホシノ「…んじゃ、先生に送迎を任せるよ」

 

ーアビドス自治区・市街地─

 

シロコ「お待たせ、ノノミ」

 

ホシノ「状況は?」

 

ノノミ「あ…ええと…」

 

ウォルター(周囲に人の気配は無い、か…)

 

ウォルター「一足遅かったな…向こうも車両か…」

 

ノノミ「はい…しかも、戦車まで持ち出してきて…セリカちゃんはその対空砲に撃たれたんです…」

 

ウォルター「…それは、生きてるのか?」

 

シロコ「多分生きてるよ、わざわざ連れ去ってるから」

 

ホシノ「うーん、多分先生はその砲撃を受けて大丈夫かってとこを気にしてるんだと思うなー」

 

ウォルター「…とにかく、追う、乗れ」

 

アヤネ「追うって…どうやって…」

 

ウォルター「この周囲でひらけた地形があり、人気のない場所は」

 

ホシノ「…砂漠かな、ここからだと、北になるけど」

 

ウォルター「砂漠か…全員、すぐに黒見の携帯に連絡し続けろ」

 

シロコ「わかった」

 

ホシノ「いいけどなんで?」

 

タブレットを取り出す

 

ウォルター「……」

 

アヤネ「あの、急いで向かったほうがいいんじゃ…?」

 

ウォルター「少し待て…これで良い、荒い運転になる、シートベルトを締めろ」

 

ホシノ「何したの?」

 

ウォルター「携帯のサーバーをハッキングして連絡が集中している端末の位置を特定した、そこに向かう」

 

アヤネ「それって、色々と大丈夫なんですか…!?」

 

ウォルター「問題ない」

 

─アビドス・砂漠地区─

 

シロコ「正面、大型のトラックが2台」

 

ウォルター「携帯は電源を切られた様だが、最後の受信の位置から見てどちらかで間違いないだろう」

 

ホシノ「じゃあ、仕掛けよっか」

 

車を止め、シロコ達を降ろす

 

シロコ「ドローン、作動開始」

 

シロコが放ったドローンが小型ミサイルを大量に撃ち込む

 

ドカーン!ドゴーン!

 

ウォルター(…黒見がまだ乗っているのだが)

 

トラックが2台まとめて吹き飛ばされ、運転手や兵士が放り出される

 

ウォルター「起きる前に潰せ、反撃させるな」

 

ガスッ…バキッ…バンッバンッ!…ガスッ

 

ノノミ「セリカちゃん!どこですか!?」

 

ホシノ「爆発で埋まってるかも!」

 

アヤネ「あ…居ました!セリカちゃんです!」

 

シロコ「うん、半泣きのセリカ見つけたよ!」

 

ホシノ「何ー!?ウチのかわいいセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?遅くなってごめんねー!!」

 

セリカ「うわあぁぁ!?な、泣いてない!泣いてないから!」

 

シロコ「嘘!この目でしっかり見た!」

 

ノノミ「泣かないでくださいセリカちゃん!私たちがその涙を拭いてあげますから!」

 

セリカ「あーもう!うるさいってば!そもそもなんでみんないるの!?」

 

アヤネ「先生が見つけてくれたんです」

 

セリカ「…先生が…?」

 

車を降り、近づく

 

ウォルター「再会を喜んでいるところ悪いが、敵の増援だ…正面の敵を撃破した後、即座に撤退する」

 

ホシノ「おっけー、任せといて」

 

アヤネ「先生は車に乗っててください、すぐに逃げられる様に…」

 

ウォルター「小鳥遊、これをつけておけ」

 

ホシノ「…インカム?…私に指示は要らないんだけどなぁ」

 

ウォルター「撤退のタイミングの指示くらいは受けろ」

 

ホシノ「しょーがない…」

 

ホシノがインカムをつけたのを確認して運転席に戻る

 

ウォルター「正面、敵歩兵部隊、来るぞ」

 

ホシノが盾を展開して突っ込み、セリカとシロコがそれに続く

 

ウォルター「小鳥遊、この付近には遮蔽物がない、お前が(かなめ)になる」

 

ホシノ「わかってるってー」

 

ドンッ!タタタタタタッ!

 

ウォルター(……)

 

ダダダダダダッ!ドンッドンッ!

 

シロコ「ホシノ先輩、右!」

 

ホシノ「はいはい、前は私に任せてっ」

 

セリカ「敵が多い…!」

 

ウォルター「もう少しだ、敵の通信回線を閉じた、これ以上の増援は来ない…」

 

ホシノ「…おー…」

 

ドンッ!ドンッ!

 

ホシノ「じゃあこれで終わりってこと?」

 

ウォルター「…車に合流しろ」

 

─対策委員会・教室─

 

アヤネ「みんな、お疲れ様です、セリカちゃんも大丈夫?」

 

セリカ「うん、見ての通りピンピンし、て…」

 

急に意識を失い、倒れたセリカを受け止める

 

ノノミ「セリカちゃん!」

 

ホシノ「対空砲をくらってるんだもん、歩ける方がおかしいって、ゆっくり休ませてあげよう」

 

アヤネ「…大変なことになるところでした、先生がいなかったらどうなっていたか…」

 

ウォルター「いや、まだだ」

 

シロコ「え?」

 

ウォルター「十六夜、黒見を寝かせて来い、小鳥遊、砂狼、すぐに補給を済ませろ」

 

ホシノ「…わかったよ、人使いが荒いなぁ…」

 

アヤネ「ま、まだって、どういうことですか!?」

 

ウォルター「相手の戦力は残っている、そのまま攻めてくるぞ」

 

シロコ「…セリカを攻撃した戦車もいるはず、急いで出ないと学校が壊される…!」

 

アヤネ「そ、そんな!?」

 

ウォルター「慌てずに対処しろ、戦車さえ止めればお前達の勝ちだ」

 

ホシノ「仕方ないなぁー…でも、ノノミちゃんが戻ってきても流石に…」

 

ウォルター「補給した火器類の中にグレネードがあったはずだ、戦車の移動できるルートは限られる」

 

シロコ「…地雷にするって事?」

 

ウォルター「そうだ、移動ルートにばら撒け…それから敵の侵攻ルートは十六夜に弾幕を張らせろ、相手に戦車を盾にさせればグレネードを取り除くことはできない…

だが、十六夜の立ち位置はあまりにも危険だ」

 

ホシノ「そうだねえ、そんな危険な作戦…」

 

ウォルター「小鳥遊、お前が盾になって十六夜を守れ」

 

ホシノ「……」

 

シロコ「それは、ホシノ先輩もノノミも危険」

 

ウォルター「やらなければこの学校は壊されるだろう…」

 

ホシノ「だねぇー…断れない、か…うん、いいよ」

 

アヤネ「ホシノ先輩!?」

 

ウォルター「砂狼、お前はドローンを準備しろ、戦車がグレネードの上を通ったタイミングでミサイルを撃ち込め、お前が遅れれば、2人がより危険になる」

 

シロコ「…うん、わかった」

 

ウォルター「…これで終わりではないだろうが、やれる限りやれ」

 

─アビドス・正面玄関─

 

ノノミ「…きました!」

 

ヘルメット団A「居たぞ!かかれー!」

 

ホシノ「やれる?」

 

ノノミ「もちろんです!ノノミ、いきま〜す!」

 

ノノミのガトリングガンが轟音を立てて弾丸を吐き出し続ける

 

ヘルメット団B「うわっ!痛っ!」

 

ヘルメット団C「隠れろ!戦車が来るのを待て!」

 

ノノミ「…隠れちゃいましたね」

 

ホシノ「ここまでは予定通りかなぁー…あ」

 

ヘルメット団A「来たぞ!戦車だ!戦車の裏に隠れながら進め!」

 

ヘルメット団B「これなら大丈夫!ヨシ!」

 

ホシノ「撃って!」

 

ダダダダダダッ!

 

ヘルメット団A「うざったいな!吹き飛ばしてやれ!」

 

戦車の主砲がノノミの方を向く

 

ノノミ「ホシノ先輩!戦車の主砲が…!」

 

ホシノ「前は任せて」

 

ドカーン!

 

ヘルメット団C「やったか!?」

 

ヘルメット団A「あ、ばか!…ほら!全然効いてないぞ!」

 

ヘルメット団C「ほらって何が!?」

 

ホシノ「…やっぱり、一発が重いなぁ…」

 

ウォルター「小鳥遊、十六夜、戦車の動きが止まった、一度前線を下げて進行させろ」

 

ホシノ「りょーかいっ」

 

ヘルメット団B「あ!逃げたぞ!」

 

ヘルメット団C「追え!追えーっ!痛っ!?クソッ!戦車の影から出たらまた撃たれる!」

 

ヘルメット団A「戦車進めろ!」

 

ウォルター「…砂狼、どうだ」

 

シロコ「もう少し…今、戦車がグレネードを1つ踏んだ…2つ…」

 

小さい、くぐもったような爆発音が響く

 

ヘルメット団A「な、なんだ!戦車が揺れたぞ!」

 

シロコ「今…ユニット起動、ターゲット設定完了!」

 

ドローンから小型のミサイルが打ち込まれる

 

ヘルメット団B「うわっ!うわうわっうわっ!?」

 

ドカーン!ドーン!

 

ヘルメット団D「せ、戦車が!?しかも、戦車の周りにいた奴らも全滅して…!」

 

シロコ「敵戦車、沈黙を確認」

 

ウォルター「逃げ出した歩兵は、放っておけ…今のお前達には休息が必要だ」

 

ホシノ「おー…やっとお昼寝の時間?…でも、ダメだよ先生、まだ終わるには早いよ」

 

アヤネ「ホシノ先輩…?」

 

ホシノ「敵が逃げ出した今がチャンス、補給拠点まで完全に叩いて潰そう」

 

ウォルター「…好きにしろ、だが、確実に疲労は蓄積している、忘れるな」

 

ホシノ「はいはい」

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