燃え残り 作:名無し
─闇銀行─
ウォルター「…思ったより普通だな、警備員の数も多くはない…」
…入るのに特にボディチェックもない
注目すらされていない、つまるところ、珍しくないのだろう
新しい流れ者がここを訪ねてくることなど…
ウォルター(警備員も多くはない、誰もここで騒ぎを起こそうなどと考えていない
その思い込みが生まれるまでにどれほどの犠牲があったかは知らないが…)
ウォルター「……好都合だ、アロナ、仕事の時間だ」
アロナ「は、はい先生…」
銀行の窓口に向かう
銀行員「いらっしゃいませお客様」
ウォルター「ここでオークションが行われてると聞いた、それについて聞きたい」
銀行員「ご入札ですか?…うーん…今日はあまり件数が無いのですが、ご確認されますか?」
ウォルター「頼む」
銀行員が奥へ向かった隙に窓口の端末に機械を差し込む
アロナ「…うーん…ダメです先生、ここからじゃマーケットガードのシステムにアクセスはできません、完全に別のネットワークになっている様ですね…」
ウォルター「問題ない、それよりも先に監視カメラを落とせ、全てのデータを削除する、それから…
警報放置を稼働させろ」
アロナ「え?え?」
ウォルター「できるか?」
アロナ「で、できます…!」
ジリリリリリリッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
銀行員「な、何事だ!?」
警備員「金庫の警報だ!急いで確認しろ!」
ウォルター「…すぐにマーケットガードも来るだろう、アロナ、5分ごとにセキュリティを作動させろ」
アロナ「は、はい!?」
ウォルター「引き上げだ……ん?」
アル「…あ、あら先生…奇遇ね…」
ウォルター「
アル「…ゆ、融資を受けようと思って…」
ウォルター「陸八魔、この銀行はやめておけ」
アル「だ、だって!まともに取り合ってくれる銀行なんて他にないし…それに、もう6時間も待ってて…みんなも寝てるし…」
ウォルター「……とにかくここから離れろ、今から騒がしくなる」
アル「え?」
─ブラックマーケット─
ウォルター「仕込みは終わった」
シロコ「さっきからマーケットガードがいったり来たりしてるのは?」
ウォルター「問題ない、そのうち大人しくなる」
ホシノ「その時が攻め時かぁー」
セリカ「ど、どういうこと?」
ウォルター「すぐにわかる」
銀行に入り込んだマーケットガード達がどんどんと離れていく
ノノミ「あれ…?」
シロコ「どうなってるの?」
アヤネ「先生、言われた通り各地にドローンを飛ばしました、さっき購入したばかりなので特定も難しいはずです」
ウォルター「上出来だ」
アヤネ「は、はい…」
ウォルター「…それで、お前も来るのか、
ヒフミ「あ、あはは…もうここまできたら一緒かなぁ、と…」
ウォルター「…ブリーフィングを行う」
─闇銀行─
銀行員「お待たせしました、陸八魔様」
アル「え、ええ…それで…」
銀行員「結論から言いますと、ご融資は難しいですね、ちゃんと利益を出せる様にしてから来てください」
アル「……」
銀行員「あ、それとお連れ様をソファで寝かせるのはやめてください、セキュリティ、そこの浮浪者…いや、お客様を起こして」
警備員がムツキ達を起こす
ムツキ「は…ぁ…終わったー?」
カヨコ「……まだみたいだね、はあ…」
銀行員「さて、話を戻しますが必要以上に賃貸料が高いですね、財政状況に合わせた物件を見つけていただいた方がよろしいかと」
アル「そ、それは…ちゃんとした事務所の方が依頼が…」
銀行員「電話で受け付けてるんですよね?」
アル「……まあ…その」
銀行員「それに社員4人に対して社長、課長、室長と…肩書きの無駄遣いでは?これでは会社ごっこです」
アル「会社ごっこ…」
銀行員「もう少し堅実な仕事についてみては?我々で期間工や日雇いの傭兵などの斡旋も行っておりますので…」
アル「は、はぁー!?」
カヨコ「ダメみたいだね、やっぱり」
ハルカ「ぁ…うぁ…や、やっぱり私が内臓を売ってきた方が…」
警備員「内臓売るの興味あるの?」
アル「いいから!売らなくて良いから!そこ!買いに来ない!」
アル(あーもー!!ムカつく…ここで大暴れして銀行のお金持ち出してやろうかしら…!
いや、ダメね…この銀行はなんとかなってもブラックマーケットから抜け出す前にあちこちに居るマーケットガードに見つかる…
……でも、もしかすると、実は大した事ない連中なのかも、私達4人なら…)
アル「……はあ…」
アル(やっぱり無理、ブラックマーケットを敵に回すなんてそんな勇気ないわ…
何よこれ、情け無い…キヴォトスで1番のアウトローになるって心に決めたのに…融資だのなんだの、そんなつまらないことで悩んで…
私がなりたいのは、こんなのじゃなくて…何事にも恐れず、何事にも縛られない、ハードボイルドなアウトロー…)
銀行員「日雇いなどについて聞いて行かれますか?」
アル「もういいわ、今日は帰って…」
パッ
証明が消えて真っ暗になる
アル「な、何!停電!?」
銀行員「一体何事だ!?あ、パソコンの電源が落ちてる!」
警備員「待て!誰か入り口から…」
ダダダダダダッ!ドンッ!ドンッ!
カヨコ「銃声…!?」
パッ
照明がつくと…
銀行員「せ、セキュリティが全滅して…!?」
シロコ「全員その場に伏せて、武器も捨てて!」
ノノミ「言うこと聞かないと痛い目にあってもらいますよ☆」
ヒフミ「あはは…みなさん、怪我しちゃいけないので伏せててくださいね…」
アル「銀行強盗…!?」
銀行員「非常事態だ!警報装置を!」
ジリリリリリリッ!
ホシノ「無視して大丈夫、さて、仕事を進めようか、リーダーのファウストさん」
ノノミ「はい!リーダーです、覆面水着団のボスです!」
セリカ「うわっ!何それ、いつから覆面水着団なんて名前になったの?ダサすぎ!!」
ノノミ「……」
ムツキ「……あれ、アビドス?」
カヨコ「だね、知らない顔もいるけど…ここで何やってるんだろ」
ムツキ「どうみても銀行強盗じゃん」
カヨコ「やっぱり?…社長、どうす…」
アル「……」
アル(や、ヤバーい!この人たち何なの!?ブラックマーケットの銀行を襲うなんて!)
ムツキ「うわぁ…目ぇキラッキラだよ」
カヨコ「ダメみたいだね」
シロコ「監視カメラもダウン、警備員も撃破済み、無駄な抵抗したら撃つよ
さあ、このバッグに現金輸送車の…」
銀行員「わ、わかりました!何でも差し上げます!現金でも債券でも金塊でもいくらでも持っていってください!!」
シロコ「…そうじゃなくて集金記録を…」
銀行員「どっ、どうぞ!これでもかと詰めました!どうか命だけは!!」
シロコ「あ、う、うーん……集金記録は入ってるし、まあ良いか…みんな、手に入れたよ」
ホシノ「それじゃ逃げるよ、全員撤収ー!」
銀行員「や、奴らを捕まえろ!道路を封鎖!マーケットガードを…」
カラン
銀行員「あ…手榴だ…」
ドカーン!
──
シロコ「先生、敵部隊が近づいてきてる」
ウォルター「問題ない、マーケットガードは各地に散っている、そこの連中さえ叩きのめせば敵は居ない」
セリカ「でもそれ、さっさと倒せた時の話でしょ?」
ウォルター「厳しいか」
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ホシノ「え?なんて?」
ウォルター「…出口までナビゲートする、無用な戦闘は避けろ」
セリカ「了解!」
ヒフミ「お、お二人はどうするんですか!?」
アヤネ「私と先生は別のルートから車両で脱出します!合流ポイントへ急いでください!」
ノノミ「2人とも大丈夫でしょうか!?」
シロコ「実行犯じゃないから、多分大丈夫」
ダダダダダダッ!ドカーン!
ウォルター(…機械の様な敵に、戦車に、ドローン…)
全身が機械の
人の様に発声しながらコミュニケーションを取り、戦車に乗ったり手持ち武器を扱う
ウォルター(……アレが可能なら、もしかすれば…いや)
ダダダッ!ダダダダダダッ!
シロコ「正面の戦車!」
ホシノ「うへー…やっぱ硬いね、ノノミちゃん、キャタピラ狙える?」
ノノミ「はーい、ノノミ、いきま〜す☆」
ダダダダダダダダッ!
戦車のキャタピラがマシンガンの集中砲火を受けて切れる
ウォルター「今だ、小鳥遊、戦車に飛び乗れ」
ホシノ「言われなくても」
ホシノが戦車に飛び乗り、ハッチを開けて出てきた敵にショットガンを向ける
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ホシノ「わかってるって」
ウォルター「良い判断だ、敵の殲滅を確認した、速やかにその場を離れろ」
シロコ「了解」
ホシノ「戦車一台に歩兵とドローンがちょっとか…警報機が鳴りすぎたせいで本隊は動かなかったみたいだね…よし、さっさと引き上げよう」
アヤネ「そのまま最短ルートを案内します!」
ホシノ「うん、よろしくー」
──
アヤネ「先生、そろそろ私たちも車両に乗って合流地点へ」
ウォルター「焦るな、俺は速くは歩けん」
アヤネ「な、ならゆっくり行きましょう、私たちの存在は気づかれてないはずですし、たとえ検問があっても問題ありません」
ガシャンガシャンガシャンガシャン
アヤネ「あれ、何の音…というか、何か大きなものが近づいてきてるような…ちょっと見てきます」
ウォルター「待て、奥空…動くな」
アヤネの手を掴み、物陰に身を潜める
ガシャンガシャンガシャンガシャン
ウォルター(近づいてくる、だが…やはり、この振動は…)
「あぁ…ぁ…」
叫び声がかすかに聞こえる
アヤネ「先生、悲鳴が…!」
ウォルター「ダメだ、動くな」
…体が強張る、こんな思いをしたのはいつ以来か
アヤネ「先生…」
どんどん音が近づいてくる、それと共に悲鳴も…
ウォルター「…待て、この声は…」
アル「なんでこうなるのよぉーっ!?」
ハルカ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…私が警備員を撃ってしまったせいで…!」
ムツキ「あははっ!アルちゃんを馬鹿にした警備員が悪いから大丈夫!
でもさっさと銀行から離れれば良かったねー!」
カヨコ「完全に犯人だと勘違いされちゃったね、あとムツキ、次の角でそのバッグ投げて」
ムツキ「りょ〜かいっ!」
ウォルター「便利屋だと…?」
アヤネ「…あれって、この前アビドスを襲撃した…あ!?」
ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン
ウォルター「…ガードメカ」
卵形のコアに逆関節の2脚、そして頭頂部に取り付けられたライフル
…そしてその巨大さ、全高10メートルは下らないその巨大な機体は、間違いなくルビコンで見たそれだ
ウォルター「奥空、いくぞ、ここに長居はできない」
アヤネ「な、何ですか今の!?それに今の人たちは…!」
ウォルター「便利屋については気にするな…あの機体については調べておく…」
ドカーン!ドドーン!
ウォルター「
アヤネ「先生、早く車両に…!」
─アビドス自治区─
シロコ「警戒地区を突破、この地区は安全なはず」
セリカ「やった!成功ってことよね!」
ヒフミ「い、生きた心地がしません…」
ホシノ「シロコちゃん、ちゃんと集金記録は持ってるよね?」
シロコ「う、うん…このバッグの中に」
ノノミ「…なんだかバックが異様に膨らんでるような…?」
シロコがバッグを開ける
ホシノ「…へ?なんじゃこりゃ!?カバンの中に札束が…!?」
セリカ「うええええっ!?シロコ先輩、現金を盗んじゃったの!?」
ヒフミ「……」
シロコ「ち、違う…目当ての書類はちゃんとある、このお金は銀行の人が勝手に勘違いして入れただけで…」
ホシノ「どれどれ…うへ、軽く一億はあるね…」
セリカ「やったあ!何ぼーっとしてるの!運ぶわよ!」
シロコ「……」
ホシノ「セリカちゃん、このお金を使うつもり?」
セリカ「え?借金返さなきゃ…」
ホシノ「そんなことしたらホントに犯罪じゃない?」
セリカ「は、犯罪だから何!?このお金はそもそも私たちが汗水流して稼いだお金なんだよ!それが闇銀行に流れてったんだよ!?
それにそのままにしておいたら犯罪者の武器や兵器に変えられてたかもしれない!悪人のお金を盗んで何が悪いの!?」
ノノミ「私はセリカちゃんの意見に賛成です、犯罪者の資金ですし、私たちが正しい使い方をした方がいいと思います」
セリカ「ほらね!これさえあればかなり学校の借金を減らせるんだよ!」
ホシノ「んむ…それはそうなんだけどね、シロコちゃんはどう思う?」
シロコ「……私の意見を言うまでもない、ホシノ先輩が反対してるから」
セリカ「なんで!?」
ホシノ「私たちに必要なのはお金じゃない、書類だけ
今回のは悪人の犯罪資金だからいいとしても、次はどうするの?その次は?」
セリカ「次って…?」
ホシノ「こんな方法に慣れちゃうと、ゆくゆくはきっと平気で同じことをするようになるよ
そしたらこの先またピンチになった時、「仕方ないよね」と言いながら、やっちゃいけないことに手を出すと思う
このおじさんとしては、かわいい後輩がそうなるのは嫌だなー」
セリカ「……」
ホシノ「そんな方法で学校を守って何の意味があるの?こんな方法を使うくらいなら、最初から別の方法を使ってたんじゃない?例えばノノミちゃんの力を借りるとかさ〜」
ノノミ「…ホシノ先輩が猛反対したんじゃないですか…でも、先輩の気持ちはわかりました
いくら頑張ったって、きちんとした方法で返済しない限りアビドスはアビドスじゃなくなってしまう」
ホシノ「うへ、そういうこと、だからこのバッグは置いてくよ、頂くのは必要な書類だけね、多数決取るよー反対の人
…セリカちゃんだけか、ごめんね」
セリカ「うわああっ!もどかしい!意味わかんない!こんな大金を捨てていくの!?変なところで真面目なんだから!!」
シロコ「で多数決で決めるのは委員会のルールになったから、セリカも従おう」
ホシノ「ファウストちゃんは…まあ、部外者だけどいいよね?」
ヒフミ「私はアビドスの皆さんの事情をよく知りませんが…このお金を持っていると、何らかの他のトラブルに巻き込まれると思います、裏の資金なんて災いの種でしょうから…」
ノノミ「仕方ないですね…このバッグは私が適当に処分して…」
ホシノ「……いや、待って、全員覆面かぶって、誰か来るよ」
シロコ「…あれは…」
アル「は……はあ…ふう…もう来てない!?」
カヨコ「うん…多分大丈夫だと思う」
ホシノ「便利屋、だっけ?」
ノノミ「ボロボロですね…」
シロコ「ここで潰す?」
ホシノ「弱い者いじめはどうかと思うなぁ〜…」
ヒフミ「お知り合いですか?」
ホシノ「まあねー、そこそこー」
アル「…あれ!?ね、ねえ!あなた達さっきブラックマーケットの銀行で…」
ムツキ「あー…タイミング悪かったかも」
シロコ「ホシノ先輩、見られてたみたいだよ、どうする?」
ホシノ「うーん…これはやるしか…」
アル「あ、あの…大したことじゃないんだけど…」
アルがもじもじとしながら近づいてくる
ホシノ「うん?」
アル「銀行の襲撃見せてもらったわ!ブラックマーケットの銀行をあんなに簡単に攻略して見事に撤収、あなた達、稀に見るアウトローっぷりだったわ!」
シロコ「!?」
アル「正直、すごく衝撃的だったと言うか、今の時代にあんなことするなんて感動的って言うか……
わ、私も頑張るわ!法律や規則なんかに縛られない本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!」
セリカ「な、何の話?」
ホシノ「別に気づかれてないみたいだね…?」
アル「そう言うことだから名前を教えて!」
シロコ「な、名前?!」
ホシノ「うーん…あ、そうだ」
ヒフミ「え?え?」
ホシノがアルの前にヒフミを連れていく
ホシノ「リーダーのファウストさんだよー」
アル「あなたがリーダーなのね!その…握手してもらっていい!?あ、それと組織の名前とか…!」
ノノミ「覆面水着団です!」
アル「覆面水着団…や、ヤバイ…!超クール!カッコいいわ!」
セリカ「どうするのこれ…?」
シロコ「さあ…」
ブロロロロロロロ…キキッ…ガラッ!
ウォルター「早く乗れ」
セリカ「あ!?」
ホシノ「あ、迎えが来たみたい、そんじゃいこーか」
シロコ「ん、急ごう」
ヒフミ「あ、お、おいていかないでくださーい!」
アル「……カヨコ?今のって…先生よね?」
カヨコ「そうだね」
アル「…アビドスに私たち便利屋、その上覆面水着団まで…先生は一体どれだけの組織に手を出してるの…!?」
カヨコ「……そうだね」
ムツキ「ねえねえ、あの子達何か忘れて行ったよ?」
ハルカ「カバンのようですが…」
カヨコ「……」
カヨコがカバンを開ける
カヨコ「っ…これは…」
ムツキ「ひょえええ!?」
アル「何よ、どうし……え?何この大金!?」
カヨコ「……どうする?社長」
アル「ど、どうするって…!」
ハルカ「……これって、もうお食事抜かなくていいんですか?」
アル「え…?」
カヨコ「…あー…」
ムツキ「…うーん…」
カヨコ「…社長」
アル「そ、そそ、そうよ!これはこの前先生がカイザーの依頼を潰した補填よ!」
ハルカ「そ、そうなんですね!流石アル様です!!」
ムツキ「…いいのかな?」
カヨコ「…いいんじゃない?馬鹿みたいに大きな機械まで相手させられたんだし、このくらいはもらっても…」
アル「さ、さあ!帰るわよ!」
─アビドス・対策委員会教室─
ノノミ「あ!バッグを忘れてきちゃいました!」
セリカ「え!?勿体無い!!」
ホシノ「うへー、いいんじゃない、どうせ捨てるつもりだったし」
シロコ「うん、誰かに拾われるでしょ、きっと」
ノノミ「お金に困った人に拾って欲しいですねー」
ヒフミ「お腹を空かせた人がお腹いっぱい食べられるといいですね…あ、でも、さっきの場所に忘れてきたなら拾うのは…」
ホシノ「あ」
シロコ「便利屋に拾われた?」
アヤネ「あ、あの、何の話ですか?」
シロコ「いや…えっと…」
セリカ「一億円の入ったバッグ忘れてきたの!先生!取りに戻って!」
ホシノ「あのお金で傭兵雇われたら少し困るかなー」
ウォルター「……捨て置け、便利屋はもうアビドスを攻めることはしない」
ホシノ「へ?」
ウォルター「話はつけておいた、少なくとも敵ではない」
シロコ「いつの間に…」
セリカ「でもお金をそのままあげるのは…」
ウォルター「…その金も、恩を売ったと思え、手元に残した所で厄災の種だ」
アヤネ「…うーん…」
ホシノ(……)
ウォルター「…少し時間を置く、休め」
ホシノ「じゃあ先生、ちょっといい?」
──
ホシノ「ねえ、先生、一つ確認していいかな」
ウォルター「…なんだ」
ホシノ「私達が強盗で得てしまったお金が手元にあったとして、先生はどうする?」
ウォルター「……」
質問の意図は読めた
そして、模範解答と自分の考え、それが一致しないことも理解した
だが、ここで嘘の模範解答をする意味はない
ウォルター「アビドスを建て直す資金に使うだろうな」
ホシノが肩を落とし、小さくため息をついた
そして、ショットガンの銃口を眼前に向けられる
ホシノ「先生は、先生じゃないね」
ウォルター「生憎、なりたくてなったわけじゃない」
ホシノ「…その考え方がいつまで通じるか、考えた事がある?」
ウォルター「……」
ホシノ「先生は優しいかもしれない、状況を俯瞰して、“大人”としてみんなを導こうとするかもしれない、でも、やり方が先生じゃない」
ウォルター「先生か」
ホシノ「先生には、そう呼べる人、いる?」
ウォルター「…もう居ない」
ホシノ「そっか…先生は不器用だけど、悪い大人じゃないんだって思う、でも、今の先生はみんなにとって害だよ」
ホシノが銃口を下ろす
ホシノ「考えてよ、先生が何をするべきなのか」
ウォルター「……」
猟犬に仕事をさせ、自身の目的を果たす
それは、キヴォトスでは通用しない、そもそも今の俺に目的はない
それはわかっていた、ではどうするべきか
先生というものがどういうものなのか
ウォルター「…考える時間をくれ」