燃え残り   作:名無し

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風紀委員会殲滅

─アビドス・対策委員会教室─

 

ウォルター「………」

 

集金記録をホワイトボードに書き出す

 

セリカ「な、なにこれ!どういうことなの!?」

 

シロコ「現金輸送車はアビドスで788万円集金してる、間違いなくこの書類であってる」

 

ノノミ「でも、次の欄に「カタカタヘルメット団任務補助金500万円」って記録があります…つまり、これは…」

 

セリカ「私たちのお金を受け取った後ヘルメット団のアジトに直行してお金を渡したってことだよね!?」

 

アヤネ「任務だなんて…ヘルメット団に…?ヘルメット団がここを攻めてるのは、カイザーローンの指示…?」

 

一同「……」

 

ノノミ「ど、どういうことでしょう…!?理解できません!学校が破産したら貸し付けたお金も回収できないのに!

どうしてこんなことを!?」

 

ホシノ「……」

 

シロコ「カイザーローンの単独だとは思えない、カイザーコーポレーション本社も噛んでるんじゃない?」

 

アヤネ「そう考えるのが妥当ですね…」

 

ウォルター(……だが、だとしても目的は不明なままだ、どう調べてもアビドスに価値は見出せない)

 

どうやって注ぎ込んだ資金を回収するつもりだ?

アビドスを排除してこの先何が残る?

 

相手は企業だ、ここまで金を注ぎ込んで目的が無いはずがない

企業はいつだって利益のために動いていた

 

ウォルター(…やはり、何かがある筈だ…必ず、どこかに何かがある、だが…)

 

ホシノ「先生…は、考え込んじゃってるし、ヒフミちゃんは?」

 

ヒフミ「…すみません、私もカイザーに詳しいわけではないので…」

 

ホシノ「まあ、そっか」

 

ヒフミ「でも…これはカイザーコーポレーションが犯罪者や反社会勢力との関連をもつ証拠になり得ます

私はこれをティーパーティに報告しようと思います、それと…アビドスの皆さんの現状も」

 

ホシノ「……まー、ティーパーティならもう知ってそうだけどね」

 

ヒフミ「は、はい!?」

 

ホシノ「あれほどの規模を持つ学園の首脳陣ならこれくらいとっくに把握してる気がするんだよねー

遊んでるわけじゃないだろうしねー?」

 

ヒフミ「そ、そんな…知っているのに皆さんの事を…?」

 

ホシノ「うん、ヒフミちゃんは純真でいい子だってことはわかったよ、でもそんなに世の中は甘くないんだー

気持ちはありがたいけど、これと言った打開策はないし、まさかトリニティに借金の肩代わりなんて依頼できないし」

 

シロコ「そんな事をしたらアビドスはトリニティになる」

 

ホシノ「まあ、そんな感じで私たちがパニくることが多いと思うんだよねー

ほら、今のアビドスってボロボロじゃん?これ以外部からの力がかかると…」

 

ヒフミ「トリニティの人が悪さをしたとしても、アビドスだけではコントロールできませんよね…

そうですね…その可能性もありますよね…」

 

ノノミ「でも、ホシノ先輩は悲観的に考え過ぎなんじゃ…」

 

ホシノ「うへー、私は他人の行為を素直に受け取れない歪んだおじさんになっちゃってねー、万が一をスルーした結果が今なわけだし?」

 

一同「……」

 

ヒフミ「…では…えっと……本当に…1日でいろんなことがありましたが…」

 

シロコ「そうだね、本当に楽しかった」

 

セリカ「楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」

 

ヒフミ「あ、あははは…私も楽しかったです…」

 

ホシノ「いやー、ファウストちゃんにはお世話になったねー、次はトリニティに遊びに行くから」

 

ヒフミ「その呼び方はやめてください!…でも、遊びに来るならぜひ、その時はみなさんを案内します」

 

ウォルター「…阿慈谷(あじたに)、交通機関のあるところまで送る、奥空、車両を使うぞ」

 

アヤネ「はい、お願いします」

 

──

 

ウォルター「阿慈谷、お前に頼みがある」

 

ヒフミ「は、はい?」

 

ウォルター「ブラックマーケットについては俺は詳しくない、なにより、俺はキヴォトスに流れる情報を掴む手段が乏しい」

 

ヒフミ「わ、私も別にハッキングや情報に強い訳では…!?」

 

ウォルター「トリニティのティーパーティにこの資料を渡してくれ、何かわかった場合、シャーレに情報提供をしてほしい、とも伝えてくれ」

 

ヒフミ「機械の資料ですか…?…MT?AC?…戦車みたいなのも混じってますけど…先生、これは…?」

 

ウォルター「今はまだ、未知の存在だ…だが、いつか必ず現れる…お前達も備える必要がある筈だ」

 

ヒフミ「…わかりました」

 

ウォルター「…今日はまっすぐ帰って休め、寄り道はするな」

 

ヒフミ「はい、わかりました」

 

 

─便利屋68─

 

アル「ええっ!?覆面水着団ってアビドスなの!?」

 

ムツキ「うん、だから先生は別にいろんな組織に手を出してるわけじゃないと思うよ…あむ」

 

カヨコ「それより社長も食べないとなくなるよ、ほら、ハルカ」

 

ハルカ「あ、ありがとうございます…本当に私なんかがこんなに美味しいものを食べてもいいのでしょうか…」

 

カヨコ「使ったお金は戻ってこないし、気にせず食べちゃおう」

 

ムツキ「そうそう!考えなしに使っちゃったアルちゃんが悪いんだし!…あれ?まだ固まってるんだけど…

おーい、アルちゃーん?そんなに衝撃的だった?」

 

カヨコ「……(パクパク)」

 

ハルカ「あ、アル様…?」

 

ムツキ「せっかくのすき焼きなのに、まあいいや、とりあえず依頼人(クライアント)もいないけど、これからどうする?

何か稼がないと」

 

ジリリリリリリッ

 

アル「はっ…!で、電話!依頼!?」

 

アルが急いで受話器を取る

 

アル「はい!こちら便利屋68、陸八魔(りくはちま)です」

 

ムツキ「うわっ、復活した」

 

カヨコ「…ハルカ、今のうちに食べといたほうがいいよ」

 

ハルカ「は、はい…(パクパク)」

 

アル「はい…えっ!?い、いや、誤解です!私達は……だ、だからそれは…」

 

ムツキ「…電話の相手、誰だろう?」

 

カヨコ「さあ?でも…いい相手ではなさそうだね」

 

アル「……えっ…風紀委員会…!?」

 

カヨコ「……」

 

ムツキ「…ちょーっとめんどくさくなりそうだね?」

 

ガチャン…

 

アル「…ど、どうしよう…」

 

カヨコ「どうしたの、社長」

 

アル「…風紀委員会がここに来るって…カイザーが銀行から住所を買って、通報したみたい…」

 

ムツキ「あちゃー、メンツ潰されて怒っちゃった?」

 

カヨコ「みたいだね、銀行をやったのはアビドスだけど、マーケットガードや巨大なガードロボを倒したのはウチだし、勘違いされたか」

 

アル「……」

 

ハルカ「あ、アル様…?」

 

アル「そ、そうよ!マーケットガードや巨大ロボを倒したのよ!別に風紀委員会ぐらい怖がることなんて……

あ、そ、そうだわ!もっといい事務所を構えればいいのよ!こんなところよりもいい所に!」

 

ムツキ「頭の中で風紀委員会に負けた?」

 

カヨコ「ま、そうなるか…」

 

ムツキ「これは1億円もすぐに無くなっちゃうな〜」

 

アル「そうと決まればすき焼きの続きを…あ、あれ!?」

 

(カラッ…)

 

アル「…すき焼きは!?食べたの!?社長を差し置いて!?」

 

カヨコ「ごちそうさまでした」

 

ムツキ「はー、お腹いっぱい!」

 

ハルカ「…あ…あ、アル様、食べられてなかったんですか…?」

 

アル「…い、いいのよハルカ…美味しかった…?」

 

ハルカ「は、はい…」

 

アル「…ならいいわ…すき焼きはまたの機会に…あら?」

 

カチャン

 

カヨコ「一応、取り置いてあるけど」

 

アル「か、カヨコ課長…!…春菊と椎茸…だけ…?」

 

カヨコ(あれ、ちゃんとお肉も入れたと思ったけど)

 

ムツキ「アルちゃん渋いね〜、そういう具材が好きなんだ!」

 

アル「え?…そ、そうよ!すき焼きと言えばこれよ!お肉ばかりがすき焼きじゃないのよ?」

 

ハルカ「さ、さすがアル様です…!」

 

カヨコ「……」

 

ムツキ(大丈夫大丈夫!他の具材も底の方に沢山入ってるから!)

 

カヨコ「はあ…」

 

 

─アビドス・対策委員会教室─

 

セリカ「おはよー、あれ?ホシノ先輩は?」

 

ノノミ「おはようございます☆セリカちゃん!」

 

アヤネ「ホシノ先輩は野暮用を済ませてくるって出かけちゃったよ」

 

セリカ「ふーん…」

 

シロコ「先生もいない」

 

ノノミ「そういえば…どこに行ったんでしょうか…?」

 

─柴関ラーメン─

 

柴大将「いらっしゃい!お、この前の…今日も前と同じでいいかい?」

 

アル「ああ、大将違うの、今日は…カヨコ」

 

カヨコ「はい、前回のトッピングの値段はわからないけど、多分このくらいだよね」

 

柴大将「わざわざお金を払いに?…気にしなくていいのに、律儀だねぇ」

 

ムツキ「それにしても、あんなに美味しいのに全然お客さんいないね?」

 

柴大将「まあ…この辺は地上げが進んでるから…みんな引っ越しちまったんだ、わざわざラーメンのために遠くから来てくれるお客さんもいるから、もう少し頑張るつもりだが…」

 

カヨコ「…カイザーか、確か調べた情報にあったね」

 

ムツキ「そうなの?」

 

アル「…実は私たちも引っ越すの、でも、その…今後も来るようにするわ、だから…」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

ムツキ「ねえ、アルちゃん」

 

カヨコ「社長、何か変な音がする」

 

アル「…へ?」

 

─アビドス・対策委員会教室─

 

アヤネ「た、大変です!ば、爆発を検知しました!」

 

シロコ「どこ?市街地?まさか襲撃?」

 

アヤネ「感知した衝撃波の形状は…複数の爆発物のようです、もう少し正確に……場所は市街地…建物は……柴関ラーメンとその近辺…!?」

 

セリカ「はあ!?どういうこと!?なんであの店が狙われるのよ!」

 

シロコ「戦略拠点でも重要な交通網でもない、となると…狙われたのはセリカ?」

 

セリカ「そんな…私のせいで…大将は!?」

 

ノノミ「わかりません、行きましょう!」

 

アヤネ「先生とホシノ先輩にメッセージを送りました!急いで急行しましょう!」

 

─破壊されたアビドス市街地─

 

カヨコ「コホッ…コホ…」

 

ムツキ「うわぁ…建物がなくなっちゃったよ…?」

 

アル「な、なな…!?」

 

ザッザッザッザッ

 

PMC1「便利屋を発見…了解、撃破します、戦闘開始、捕まえれば追加報酬だ!」

 

PMC2「仕留めろ!」

 

カヨコ「コホッ…カイザーPMCの戦術人形(オートマタ)か…社長、先に下がって」

 

ムツキ「カヨコっち、好きにやって良い!?」

 

カヨコ「わかった、カバーするよ」

 

カヨコが銃のサプレッサーを外して引き金を引く

 

ダアァァァァァン!!

 

PMC 3「な、なんだ!?」

 

PMC2「怯むな!威力は無い!こけおどしだ!」

 

PMC 1「突撃!突げ…」

 

カチッ…ドカーン!!

 

PMC 3「地雷だと!?いつの間に…」

 

カヨコ「もう手遅れだよ、一度地雷の存在を認知したらまともには動けないでしょ」

 

ムツキ「あははっ!ガンガン撃っちゃって〜!」

 

ダダダダダダッ!ドカーン!ドカーン!!

 

PMC2「クソッ!…うぐあっ!?」

 

アル「カヨコ!ムツキ!下がりなさい!」

 

カヨコ「だってさ」

 

ムツキ「了解〜、あーあ、これからが面白いところなのに」

 

カヨコ「でも社長、遮蔽物が少ない、瓦礫を盾にしてるけど撤退は難しいよ」

 

アル「…なら、前に出るまでよ!ハルカ!」

 

PMC2「な、なんだ?瓦礫が盛り上がって…」

 

PMC 4「地面から…ショットガン…!?」

 

ダンッ!

 

カヨコ「あんなところに埋もれてたんだ」

 

ムツキ「これを狙ってたの?アルちゃんやるじゃ〜ん」

 

ハルカ「ハルカ!行きます!」

 

アル「…居ないとは思ってたけど、そんな所にいたの…!?」

 

カヨコ(だと思った)

 

ハルカ「死んでください死んでください死んでください…!」

 

ムツキ「くらえっ!バーン!あははっ!」

 

カヨコ「…はぁ…」

 

──

 

PMC4「ぐあぁっ!?」

 

PMC2「な、なんだこいつら…!強すぎ、る…!」

 

PMCが頭を撃ち抜かれて崩れ落ちる

 

カヨコ「…終わったね」

 

アル「…なんだったの?なんでこんな…」

 

ムツキ「うーん…わかんない☆」

 

カヨコ「それよりも、コイツらを片付けようか」

 

 

─ブラックマーケット・廃品売り場─

 

ウォルター「……」

 

プルルル…プルルル…ガチャ

 

PMC理事「…ハンドラー・ウォルターか、何の用だ?貴様が超法規的組織、シャーレの先生であることは把握している、だが我々のやっている事は…」

 

ウォルター「…ブラックマーケットに一機だけ流通したガードメカについて聞かせてもらおう、既にカイザーPMCの関わった証拠は抑えている」

 

PMC理事「……何?」

 

ウォルター「しかし、早口で捲し立てるあたり、随分と焦っているようだが…

その様子ではアビドスへの「投資」の回収はうまく行っていないようだな」

 

PMC理事「…なんだ、なんなんだ貴様は…!」

 

ウォルター「シャーレの先生だ、それで、ガードメカを流通させてどうするつもりだ?」

 

PMC理事「…知った事か、なんだ?シャーレも導入したいのか、やはりあんな子供では使い物にはならないだろう?

商談と行こうじゃないか、確実で、そして強靭な兵力を得たいのではないか?」

 

ウォルター「……以前、便利屋を駄犬と言ったな」

 

PMC理事「そんな事もあったか、役立たずではあることは事実だ、それを認める気になったとでも?」

 

ウォルター「…前に同じ様に自分より立場の低い人間を駄犬と呼んだ奴がいた、そいつに送ったのと同じ言葉を送ろう

…駄犬呼ばわりはやめていただこう、生徒達にも尊厳はある」

 

PMC理事「尊厳だと?そんな物…」

 

ウォルター「それと、その便利屋だが…PMCを雇うよりは安上がりな上に強い様に見える、商談は決裂だ」

 

電話を切り、破壊されたガードメカを見る

 

ウォルター「…逆関節の弱点で脚部を集中して狙ったか、鬼方(おにかた)の指揮か…悪くない判断だ」

 

売人「お客様、こちらの廃材ですが、このくらいの値段になります」

 

ウォルター「……これを見に来た人間は他にいるか」

 

売人「まあ、数組来ましたが…見ての通りの有様で…そもそも、この馬鹿でかい巨体を運搬する手段がなかったり、修繕できても予想される運用コストに後ろ向きな方が多くて…」

 

ウォルター「…だろうな、俺も同じ悩みを抱えていた所だ、また新しい商品が入ったら見せてくれ」

 

売人「…はい…うう、やっと売れると思ったのに」

 

ウォルター「……」

 

タブレットを確認する

 

ウォルター「…襲撃か…」

 

─破壊されたアビドス市街地─

 

カヨコ「…よし、PMCの残骸は片付いたかな」

 

ムツキ「それじゃ、さっさと引き上げよっか?」

 

ガラッ…

 

カヨコ「…社長!危ない!」

 

アル「!」

 

ドンッ!

 

PMC5「く…」

 

ばたり

 

ムツキ「アルちゃんやる〜、今のかっこよかったよ!」

 

アル「と、当然よ!」

 

ハルカ「さ、流石ですアル様…!…でも、気づきませんでした…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

 

アル「は、ハルカ…?」

 

ガラッ…ゴロッ…

 

カヨコ「まだ居る…いや」

 

柴大将「ゴホッ…うぅ…」

 

ムツキ「あ、大将無事だった…」

 

ドンッ!

 

カヨコ「あ…」

 

ハルカ「……あれ」

 

アル「…へ?」

 

ムツキ「あちゃー…これは、誰かに見られたら…あ」

 

セリカ「……」

 

カヨコ「社長、アビドスだよ」

 

シロコ「今の見た?」

 

ノノミ「はい、バッチリと…」

 

アル「ち、違うの!こ、これは…」

 

セリカ「何が違うっていうのよ!こうなったらアンタら叩き潰して1億円も取り上げてやるわ!!」

 

ノノミ「そうですね…こんなことに使われるくらいなら…!」

 

アル「ど、どうしてこうなるのよ…!」

 

ムツキ「あははっ!アルちゃんってほんと運がないね〜」

 

カヨコ「…まあ、笑えるね」

 

 

──

 

ホシノ「……」

 

黒服「これはこれは…お待ちしておりましたよ、小鳥遊ホシノさん」

 

黒いスーツに真っ暗なマネキンの様な頭、右目と口らしき部分からはひび割れ、白い炎の様な光が漏れ出している

…見ているだけでなんとも不愉快な感情が湧き上がる

 

ホシノ「今日はなんの様なのさ、黒服の人」

 

黒服「少し状況が変わりましてね、私としても実験を進めようかと思いまして…そこで、提案があるのですが」

 

ホシノ「っ…!ふざけるな!それはもう…!」

 

黒服「まあ、落ち着いてください……お気に入りの映画のセリフがありましてね、今回はそれを引用してみましょう…

貴方に、決して拒まないであろう提案をひとつ、興味深い内容だと思いますので、ぜひ最後までご清聴ください…

ククッ…クックックッ…」

 

 

─破壊されたアビドス市街地─

 

セリカ「っ…この間よりも、強い…!」

 

シロコ「前回も中途半端に終わったからね、ちゃんと戦ってみると…」

 

ノノミ「ショットガンの子が厄介ですね…!」

 

カヨコ「…前よりは楽に戦える、盾を持ったリーダーも先生も居ないみたいだし、浮いたやつから狙っていこう」

 

ムツキ「どうする?このままやれば倒せそうだけど…」

 

ドゴゴゴゴーーーン!!

ズガガガガーーーン!!

 

ドッカーーーーン!!!

 

ムツキ「うっわ今度は何!?」

 

カヨコ「これは…!」

 

シロコ「何?これ…」

 

セリカ「この音、なんの兵器かわかる!?」

 

アヤネ「砲撃です!3キロの距離に多数の擲弾兵(てきだんへい)を確認しました!

50mm迫撃砲です!標的は私たちではなく便利屋の方みたいですが、もう少し距離を…!」

 

ノノミ「迫撃砲、ですか…?」

 

シロコ「50mm迫撃砲といえば、正式採用してる部活があったハズ…」

 

アヤネ「兵力の所属を確認!ゲヘナ学園風紀委員会です!

一個中隊の規模を投入しています…!」

 

シロコ「やっぱり…!」

 

──

 

カヨコ「社長!ムツキ!ハルカ!無事!?」

 

ムツキ「ごほっ…うん、これ、やっぱり…」

 

アル「風紀の連中ね…本当にアビドスまでくるなんて…!」

 

カヨコ「このタイミングで仕掛けてくるなんて…いや、違う、カイザーがあの店に来たのも含めて狙い通り…!

っ…このままじゃ逃げられない!」

 

ドゴゴーーン!!

 

──

 

セリカ「な、何!?便利屋を風紀委員会が捕まえに来たの!?アイツらは私たちの獲物でしょ!!」

 

アヤネ「まだわかりませんが、私たちに友好的というわけでもありません」

 

シロコ「砲撃範囲には私たちもいた、誤射を気にしないつもりだったと思う」

 

ノノミ「そんな…でも、ゲヘナの風紀委員会は他校の公認武力集団や便利屋の様な部活とは性質が異なります!

一歩間違えれば政治的な紛争の火種になるかもしれません…アヤネちゃん、ホシノ先輩と先生には…」

 

アヤネ「…はい、普段ならここまで連絡が取れないなんてことは…」

 

ノノミ「この状況…私たちはどうすればいいのでしょうか?」

 

セリカ「……」

 

シロコ「……」

 

アヤネ「…あ…!みなさん!先生からモモトークの返信が来ました!

内容は…「叩き潰せ」との事です!」

 

シロコ「うん、了解」

 

ノノミ「きっとこれは襲撃者に対してのものだとは思うのですが…」

 

セリカ「関係ないわよ!ウチの自治区でこんなに好き勝手して!これは私たちの学校の権利を無視する様な暴挙よ!

便利屋を捕まえて罰するのは私たち!」

 

アヤネ「風紀委員会が私たちの自治区で既に戦術的行動をしたということは、政治的紛争が生じることを気にしていないという事です

他の学園の自治組織が私たちの許可もなく、こんなことをするのは…侵略と捉えてもおかしくない事です…!」

 

シロコ「みんな、インカムをつけて、連携で行くよ」

 

──

 

擲弾兵「…便利屋の沈黙を確認」

 

イオリ「よし、歩兵隊、第2小隊まで突入しろ!」

 

チナツ「イオリ、アビドスの生徒はどうします?」

 

イオリ「そんなの当然、公務の執行を妨害する輩は全員敵だ」

 

チナツ「ならばこちらの事情を説明して大人しくしてもらうべきかと」

 

イオリ「説明?必要か、それ?ウチの厄介者どもを捕まえるためにここまできた、説明なんかに使う労力が惜しい

もし邪魔するなら部外者とはいえ問答無用でまとめて叩きのめす」

 

チナツ「……」

 

ウォルター「それは随分と…勝手な事だ」

 

イオリ「なんだ…!?誰だ!」

 

チナツ「先生…こんな形でお目にかかるとは…」

 

ウォルター「…そういう事だ、伊草(いぐさ)

 

ハルカ「はい、先生…チャンスですね」

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

チナツ「っ!?」

 

チナツが背後から撃たれて倒れる

 

イオリ「な、なんっ…!?」

 

ハルカ「許せない…!」

 

イオリ「うぐ…!?コイツは、便利屋の…!」

 

ゴリッ

 

ハルカがイオリを組み伏せ、後頭部にショットガンを押し付ける

 

ハルカ「許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!!うあぁぁぁぁっ!!」

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダダダンッ!カチッカチッ

 

風紀委員1「な、なんだ!?」

 

風紀委員2「便利屋だ!?」

 

ウォルター「伊草、弾をこめて他の敵を蹴散らして逃げろ、そいつは捨てて他の便利屋を助けに行け」

 

ダンッ!ダンッ!ダダダダダダッ!ダンッ!バキッ!ダダダダダダッ!ガスッ!

ダダダダダダッ!ダダダッ!ダンッ!

 

ウォルター(…弾が切れたら敵を蹴り飛ばすか…この素早い判断、懐かしいものを見ている気分になるな)

 

チナツ「…先生、どうして、便利屋と…」

 

ウォルター「……俺は今、アビドスの問題を解決するために力を貸している、便利屋は…バイトだ」

 

風紀委員3「うわあぁぁっ!?」

 

風紀委員4「くっ…!あ、アビドスまで…!」

 

ウォルター「…火宮、上の人間に手を引くように言え、そうすれば被害は抑えられる」

 

チナツ「…そうですね、できる事なら私もそうしたいです…」

 

ウォルター「……お前も苦労するな」

 

チナツ「ええ…」

 

ウォルター「火宮、そいつを起こせるか」

 

チナツ「……」

 

チナツがイオリを抱き起こして薬品を注射する

 

イオリ「…ふぐっ…!?…う…うぅ…?」

 

チナツ「イオリ、私達の負けです」

 

イオリ「な、なん…!?」

 

カチャッ…カチャチャッ

 

シロコ「敵指揮官らしき生徒を確認」

 

セリカ「ねえ、なんで先生がここに居るの?」

 

ノノミ「さあ…大丈夫ですか?流れ弾とか…」

 

ウォルター「問題ない」

 

アヤネ「アビドス対策委員会の奥空アヤネです、貴方達の所属をお願いします」

 

イオリ「…それは…」

 

アコ「私がお答えしましょう」

 

アヤネ「通信…!?」

 

ウォルター「ゲヘナのオペレーターか」

 

イオリ「あ、アコちゃん…!?」

 

チナツ「行政官…」

 

アコ「初めまして、ゲヘナ学園所属の行政官、甘雨(あまう)アコと申します

今の状況について説明させていただきたいと思いますが、よろしいですか?」

 

イオリ「アコちゃん…その……」

 

アコ「イオリ、反省文のテンプレートは私の机の、左上の引き出しにあります、ご存知ですよね?」

 

イオリ「……」

 

ウォルター「奥空、行政官とはなんだ」

 

アヤネ「…風紀委員会のナンバー2…だと聞いています」

 

アコ「あら、実際はそんなに大したものではありません、あくまで風紀委員長を補佐する秘書のようなものです」

 

シロコ「本当にそうならそこの風紀委員達がここまで緊張するとは思えない」

 

イオリ「だ、誰が緊張してるって…!?」

 

アコ「なるほど、そうですか、アビドスには生徒会の面々だけが残っていると聞きましたがみなさんのことのようですね

5名と聞いていましたが、あと1人はどちらに?」

 

アヤネ「今はおりません、そして私たちは生徒会ではなく対策委員会です、行政官」

 

アコ「奥空さんと呼ばれていましたね、では生徒会の方はいらっしゃらないのですか?

私は生徒会の方と話がしたいのですが」

 

セリカ「アビドスの生徒会はずっと前に解散したの!事実上私たちがその代理!言いたいことがあるなら私たちに言いなさい!」

 

アコ「なるほど…では、先ほどまでの悪行は私の方から謝罪させていただきます」

 

イオリ「なっ…!?私は命令通りに…」

 

アコ「命令に、「まずは無差別に発砲せよ」なんて言葉が含まれていましたか?」

 

イオリ「い、いや…状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後歩兵の投入…先述の基本通りにって…」

 

アコ「ましてや他の学園の自治区の付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?」

 

アヤネ(……?)

 

アコ「失礼しました、対策委員会の皆さん

私たちゲヘナ風紀委員会はあくまで、私たちの学園の校則違反者を逮捕するために来ました

あまり望ましくない出来事もありましたが、まだ違法行為とは言い切れないでしょうし、やむを得なかったとご理解いただけますと幸いです

風紀委員会としての活動にご協力いただけませんか?」

 

アヤネ「先ほども言いましたが、そうはいきません!

他の学校が別の学校の敷地内で許可無く堂々と戦闘するなんて自治区の観点から明確な違反です!

便利屋は我々が処遇を決めます!」

 

アコ「なるほど…そちら側は全員同じ考えなようですね、この戦力を前にしても怯みもしないとは…

これだけ自信に満ち溢れているのは、信頼できる大人がいるからでしょうか?

ウォルター先生も同じ考えなのですか?」

 

ウォルター「……便利屋にはまだ利用価値がある」

 

セリカ「り、利用価値!?いやいやいや!柴関ラーメンを爆破したのに!?

大将も撃たれたんだよ!?」

 

ウォルター「現場を確認したか、カイザーPMCの戦術人形や印の入った銃火器が散乱していた、便利屋もまたカイザーに追われている、襲撃を受けたと見るべきだ

そして伊草の行動に関しては、おそらく事故だ」

 

シロコ「確かに、あのタイミングで仕掛ける意味はない…けど事故?」

 

ウォルター「暴走癖がある、そこは判断材料にするな」

 

シロコ「うーん……まあ、爆発の状態だけ見ると…」

 

セリカ「そ、それはそうかも…便利屋までカイザーと敵対してるの?雇われてたんじゃ…」

 

ウォルター「俺が便利屋の電話でカイザーに喧嘩を売った」

 

セリカ「……じゃあ先生のせいじゃない?」

 

ウォルター「そういう事だ、残念ながら…穏便な道は無い」

 

アコ「…残念です、本当に穏便に済ませたかったのですが」

 

ザッザッザッザッ

 

風紀委員の歩兵隊が辺りを取り囲む

 

アヤネ「包囲されています…!いつの間に…!?」

 

シロコ「こんなに戦力を隠してた…?」

 

アコ「こうなったら、やるしかありませんね?」

 

カチャッ

 

ダアアァァァァン!!

 

全員(ビクッ!?)

 

ダダダダダダッ!ドカーン!ドドーン!

 

風紀委員1「な、なんだ!?」

 

風紀委員2「敵だ!どこだ!?」

 

アコ「無闇に撃たないでください!誤射が…!」

 

カヨコ「嘘をつかないで、甘雨アコ、最初からアビドスを連れてくるのが目的だったくせに」

 

アコ「おや…便利屋はすでに逮捕していたはずなのですが」

 

シロコ「…していた?さっきの話は、引き延ばすための嘘?」

 

ムツキ「ハルカちゃんが助けてくれたよ?簡単に蹴散らしちゃった」

 

ハルカ「ごめんなさい!助けが遅くなってしまって…!私のせいで全部めちゃくちゃに…死んでもいいですか!?死んできます!!」

 

ムツキ「別に死ななくてもいいと思うなー」

 

ウォルター「ああいう奴だ、気にするな」

 

セリカ「…うーん…」

 

カヨコ「風紀委員会が私たちを捕まえるためだけにここまで来るのも、まあ正直理解できなかったけど…ようやく合点がいったよ

普段の風紀委員会なら多忙のあまり、こんな非効率的な事はしない、それも私達みたいな少数のために他の学校の自治区付近まで…はぁ…」

 

カヨコ「今もゲヘナで暴れてる美食研や温泉開発部に回すべき兵力をも優先して追いかけてきた本当の理由は…この場所で他勢力と戦闘する為、そうまでして手に入れたいものがある

つまり、アンタは…シャーレを狙ってここに来た」

 

ウォルター「……俺か」

 

アコ「…はあ…」

 

ザッザッザッザッザッザッ

 

ザッザッザッザッザッザッ

 

ザッザッザッザッザッザッ

 

アヤネ「…全方位から、敵兵力の増援…!」

 

カヨコ「……まさか、ここまで動員してるとは」

 

アコ「流石はカヨコさんですね、先程の話は半分ほど正解です…シャーレと衝突することは避けたかったですが…

まあ、ここまで敵対してしまうと、仕方ありません」

 

ウォルター「……」

 

アコ「こちらの事情をもう一つお話ししましょう、ご存知ですよね?我々ゲヘナ学園と長きにわたって敵対関係にあるトリニティ総合学園のことです

その生徒会であるティーパーティが、シャーレに関する報告を手にしているという情報が入りました

失踪した連邦生徒会長が遺した超法規的な部活…それが大人によって運用されている、怪しい匂いがしませんか?」

 

アコ「シャーレはとても危険な不確定要素です、これからのトリニティとの条約にも、どんな影響を及ぼすか分かったものではありません

ですからせめて、その条約が締結されるまで、私たち風紀委員会の保護下に先生をお迎えさせていただきたいのです」

 

シロコ「…状況がわかりやすくなった」

 

セリカ「先生を連れて行くなんて、そんなの「はいそうですか」っていうと思う?」

 

ウォルター「…やるのか、ならば好きにしろ、便利屋、お前達はどうする」

 

アル「…ふふ、ふふふ…」

 

カヨコ「社長?」

 

アル「先生、そろそろ私の性格がわかってもおかしくないころじゃない?」

 

ウォルター「…そうか…便利屋、仕事の時間だ…ゲヘナ風紀委員会を、殲滅しろ」

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