鉄血のオルフェンズ 黒騎士   作:クソメガネザル

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第3話

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 社長室兼執務室の社長の机で迎える、あの襲撃から4日目の朝。 一軍の方々が宿舎の荷物をまとめて退去なさっていきました。 すぐにポイッと追い出すほどワタクシは鬼ではないのですわ。

 鉱山の本部より呼び出したナタリアに手伝ってもらいつつ、私はC.G.Sの資金繰りの整理をしているのですが……

 

「計算がなかなか合いませんね……もう一度行いましょうか」

「いいえ、結構ですわナタリア。おそらく、虚偽の記載かもしれませんわ。 全く、杜撰な経営だこと」

「も、申し訳ありません!」

「デクスターさんが悪いわけではないでしょう? この件はマルバ氏に直接話してもらうことにしましょう」

 

 デクスターさん(経理担当故に粛清されると思ってビクビクされていた)の謝罪を流しながら一考します。こちらの善意を無碍にする行いですが、その元凶はマルバ氏なので一軍の方々は何も悪くありませんわ。

 

 自主的に後片づけを手伝だってくださり、今日付けで辞めていった一軍の方々に退職金を支払い、次の仕事につけるように仕事先の斡旋をして差し上げました。

 彼らは明日からでもここよりも条件のいいワタクシの鉱山で安全安心の職場にて迎え入れてもらえることでしょう。

 交代制残業なし8時間労働基準。 意欲さえあれば昇給はうなぎ上がり。 鉱山の落盤はワタクシが業務管理を始めてからは一切起こしていませんので、安全の絶対保証ですわ! 

 

 給料は一般的なクリュセの大人の稼ぐ1.5倍はあるでしょう……辛い仕事でも実りの良い職場ならば、給料は保証できるのですわ!

 和気藹々と子供も大人も身分関係なく働けるレージス鉱山で貴方も働いてみませんか? 

 仲間は今も募集していますわ! ……と、ワタクシの鉱山の詳細は別に良いでしょう。『こうして社畜は生まれるのか』と呟く、整理を手伝っているオルガを無視して。

 

 しかし、よく考えますと、孤児院の創設も進んで来たものです。 流石にワタクシが三日月と同い年の頃は孤児院の創設は不可能でしたが。

 今のクリュセ独立自治区では近年、ここ2年の間で孤児院が20件増えました。 最近は物盗りなど、軽犯罪の私刑で殺される子供も減り。

 道に子供の骸が転がる事は無くなって(・・・・・)きました……ええ、ゼロにはまだできていません。 年間に100人。 100人もの子供が亡くなっていく事実が問題が残っていますの。

 

 悔しいですが、ワタクシ個人、レージス家1個人ではここまでが限界なのです。 クリュセの治安は他の地区に比べて良くなって来たとはいえ。

 この街の闇に潜む者たちによって弱い者たちは喰われている事実がまだ残っているのですから……

 

「おい、マリア! 一軍の連中に退職金払ったのかよ!?」

「はい、もちろんですわ。 昨日付けまでキッチリとこの施設修復も手伝い、後片づけから鉄華団施設付近の哨戒も交代制で執り行って下さいました。 その正当な報酬は必要でなくて? 一応反論は聞き入れますわよ、ユージン?」

 

 怒鳴り込んできたユージンにぴしゃりと正論を叩きつけて黙らせつつ。

 

「ぐ、ぐぬぬ……て、なんでお前が取り仕切ってんだよ!? ここの社長はオルガじゃねぇのか?」

「アホ。 丸一日で仕事が覚えられるか……経理から営業業務。 資金繰りから……ぁぁぁぁ!! 頭張るってのはしんでぇよちくしょう」

「間を詰めるのは良くありませんわ。 少しお茶にして休憩いたしましょう」

 

 オルガは現在。 ワタクシの経営方針のレクチャーを享受してほしいとのことで、アドバイスと専門書を読み漁り知識を蓄えているところです。

 屋敷から持ってきていた茶菓子と紅茶をオルガに、ついでにユージンに振る舞いつつ。『鉄華団』前身のC.G.Sの書類の取りまとめと整理整頓。

 依頼や警備スケジュール等々の確認を行っています。 出来るだけスマートに、オルガには社長の椅子に座ってもらいたいのですわ。新参ですし、ゴタゴタを抱えた少年兵が経営する会社ですもの……当然下に見るうつけ、たわけ者が現れるに違いありませんし。

 

「しかしヨォ……なんでここまでしてくれんだ、マリア様は。 今んところ得るもんがあるのは俺だけじゃねえか」

「さぁ、なんででしょうね。 ──一応、理由はあるはず……ですわ」

「お嬢様……健気すぎです」

「オルガもオルガだよ」

 

 ワタクシとオルガに何か言いたげなナタリアとユージンの顔を見つつ、オルガはワタクシにどんな意図があるのかと気になっている模様です。 いや、確実に実りそうな投資ですから……アレ?

 こんな不確定な理由でワタクシは投資しないはずなのに……なぜでしょうか? 

 

「んだよ。 随分含みのある返事じゃねえか」

「鉄華団の価値を認めたまで……ですわ。 成長株に投資するのはワタクシの矜持ですもの」

「お前にしちゃあ歯切れの悪りぃ返答だなおい。 でもまぁ、へー……そいつはまた。 この先の俺たちに期待してくれてんのかよ」

「でなければ投資はいたしませんわ。 それに、クーデリアの件もありますもの」

「それは確かにな。 鉄華団の、俺たちの最初の仕事だ。 気張っていくぞ」

 

 外野の2名があからさまにため息の仕草をして居ますが気にしないことにいたしましょう。

 

 ●

 

 オルガの勉強手伝いを終えて、ワタクシは鉄華団敷地内にて昼食を取ろうとカフェテリアに向かいました。 ナタリアは本部に書類を持ち帰って証拠とする模様です。

 

「お、マリア! 一緒に食おうぜ」

「あら、シノですか。 ええ、いいですよ」

 

 シノのお誘いを受けて、隣の椅子を退けさせてもらいテーブルにトレーを置かせてもらいます。ふふ、この団欒と言う感じ……いつ見てもいいですわね。

 

「オルガに勉強教えてやってくれてありがとな」

「努力、向上心のある殿方は嫌いではないですし、当然ですわ」

「へー……細けぇ事はよくワカらねぇが忙しねぇな。しっかし、ウメェェ!」

「うわ、ちょ。 汚いですよ、シノさん!」

 

 タカキのツッコミもなんのそのと食事を掻き込み、シノの顔は幸せそうに歪みます。ご飯を食べて力をつけて……彼らは午後の鍛錬に精を出すことでしょう。

 

「今度またMWのシミュレーションで勝負しようぜ! あれから俺も腕を上げたんだ、簡単に負けねぇからな!」

「解りましたわ。 その自信、コテンパンにもてなして差し上げあげますわ」

「──お、お手柔らかに頼むぜ……」

 

 自信が無くなったのか、シノのテンションが急降下。 見てて申し訳なくなったワタクシは流石に「冗談ですよ」と取り繕いました。

 と、ライドが何やら描いているのですが、何をしているのでしょうか?

 

「ライド、何を描いてますの?」

「ん、これ? へへっ……内緒だぜ!」

「そうですか……」

 

 ふと視線をズラすと三日月とクーデリアが話をしているようです……ほほう。 アトラちゃんという良妻候補がありながら。

 クーデリアにまで手を伸ばすとは……三日月も隅において置けませんね。 とまぁ、邪推はともかく。 彼に限って恋色沙汰はないでしょう……たぶんですが。

 

「ビスケット、農場に行くんだろ?」

「うん、あ。 三日月、待ってくれよー!」

 

 桜お婆様の農場にお手伝いに行くのかな? と、通信機が鳴ったのでワタクシは接続いたします。

 

『お嬢様、ナタリアにございます。 少々よろしいでしょうか?』

『ええ、構いませんわ。 何かありまして?』

『火星衛星軌道上ギャラルホルン本部より2名の監査官が地上に降りてきているとの情報がございます』

『監査官ですか……とりあえず、今は泳がしておきましょうか。 監視の目は必要ありませんわ』

 

 素性はわかりませんが、今は無視しておきましょう。 ついでにナタリアから鉱山等の様子等の業務連絡を聞いて方針の指し示しと、スケジュールの見直しを指示して通信を切りました。

 

「マリア姉。 桜ちゃんのとこ、一緒に行く?」

「そういえば今日は……孤児院の子たちも仕事にくるのでしたわね? なら、行きますわ」

 

 こうして、ワタクシを含めて、アトラ、クーデリア、フミタン、ビスケットを荷台に乗せて、三日月の運転する輸送用MWは鉄華団敷地を出発いたしました。

 

 ◯

 

「これおっきいぃ〜!」

「とうもろこし、せっせこ、せっせこ!」

「マリアせんせー! わたしたちがんばってるよー!」

 

 子供たちの奮闘を和やかに眺めているだけでは意味がありません。根元から伐採され、倒されたトウモロコシの茎から実を折り取り。籠に入れていきます。ワタクシの背負う籠にも山盛りのトウモロコシが入っています。

 三日月とアトラから青春の1ページ目のようなやりとりを暖かな目で眺めたりしながら黙々とトウモロコシを拾い上げます。

 桜お婆様のトウモロコシ畑を小さな子供達が駆け回っています。トウモロコシを籠に詰めて運び、収穫のお手伝いをしています。 ワタクシもあの子たちに負けてられませんわ! 先生として! 

 トラクターでトウモロコシの根元を刈り倒すことで子供でもトウモロコシを収穫できる高さにしているのです。 なお、トラクターの運転は桜お婆様ですわ。

 

 と、クーデリア……トウモロコシの収穫なんてすることがなかったから慣れてない、ぎこちない動きで……収穫を楽しんでいますわね。

 三日月に助け起こされて頬が紅潮してますけど……? まだ秘めたる思いにすら気がついてないのでしょうね……初々しいですわ! 

 ……出歯亀は辞めましょう。虚しくなりますわ。とまぁ、仲睦まじいグリフォン兄妹を眺めてまた少し癒されます。 双子の姉妹がいい雰囲気の三日月を見て、アトラをからかっていますが。

 

「クラッカ、クッキー。 新しい籠を持ってきてくれるかい?」

「「はーい!」」

 

 彼らの会話を聞きながら、トウモロコシを回収したワタクシはビスケットに話しかけます。

 

「相変わらずお元気な妹さんたちですわね」

「うん、真っ直ぐに……伸び伸び育ってくれてて本当にありがたいよ」

「ワタクシの孤児院からも子供の手伝いを受け入れて下さっている桜お婆様には頭が上がりませんわ」

「農場のとうもろこしを相場の6倍で買い取ってくれるどこかの業者様のおかげさ……本当にありがとうね、マリア」

「さて、何のことやら。 まぁ、困っているときはお互い様ですわ!」

 

 孤児院の収益、桜農場の存続はwin-winでなければなりませんものね……ステマ? 上等です。トウモロコシを買い叩いていた業者の悉くが廃業、倒産していっていますが、あこぎな商売をワタクシは許しませんのよ? 経済を停滞させる害悪企業まじ許すまじですわ! 

 

「弱者から搾取してブクブクと太り、甘い汁を啜る人たちには丁度いい鉄槌ですわ!」と昔、ビスケットに語ったこともありましたわね。その時はドン引きされました……あの反応、解せませんわ! 

 

「あはは、本当に容赦ないね……つくづく思うよ。 君が味方でよかったって」

「ふふ、よくお分かりですわ。 ワタクシを敵に回す企業のほとんどは財力差、営業力の差で勝てないから潰れてしまいますのよ? 張り合いもありませんわ」

「本当に容赦がないよね?」

 

 うちの企業に襲いかかる賊徒も、MSを持ち出してくる輩もいましたが、悉くが撃退、あるいは鹵獲されるのですわ。

 MWに遅れをとる素人がMSというカモがネギを背負って鍋に入ってくるものですけど……え? 言ってることがおかしいですって?

 たしかに、鉄華団の練度では対MS戦は厳しいでしょう。 が、ワタクシの私設部隊の方々は……MW隊はMSを打ち倒しますわ! 

 

『ひぁぁぁぁ!?』

 

 静かな農場にブレーキ音が響き渡ります。 一瞬遅れてふと、クッキー、クラッカの。 双子の悲鳴が聞こえましたわ……! 

 

「ビスケット! 行きますわよ!」

「っ、うん!?」

 

 急いでその場に向かいます。そりゃそうですわ! クラッカとクッキーの悲鳴を聞いたのだから! 

 

「お、おい! お前たち大丈夫──カハッ!?」

 

 駆けつけると、三日月が紫の髪を持つ男性を、その頸を締め上げながら軽々と持ち上げている光景が目に飛び込んできました。

 クッキーとクラッカはふつうに立ち上がり、三日月に呼びかけていました……ほっ、無事で何よりですわ! じゃなくて。

 

「三日月、三日月! 落ち着きなさい!」

 

 ワタクシは三日月を怒鳴りつけて、男性を解放させました。 あのまま締め上げていたらどうなってたか……うう、大声を出すと喉に負担がかかりますのよ、全く。

 

「アレ? マリア姉……俺」

 

 ほうける三日月を後から来た桜お婆様に任せて、膝をついた男性に手を差し伸べます。

 

「申し訳ありませんわ。 お手をどうぞ」

「……いや、大丈夫だ。 淑女の手を泥のついた手で触るわけにはいかん」

 

 すっと立ち直し、殿方の青い目とワタクシの目が合います……あの、硬直なさってませんか? この方。助手席のドアが開く音に視線を追うと、金髪緑目の殿方が降りてこられました。

 

「ガエリオ、大丈夫か? ……ガエリオ?」

「ああ、平気だ……」

 

 同僚様の一言に気を取り直したのか、我に帰ったのか返事をなさるガエリオと呼ばれた方。 彼らの車に視線を向けると青い車体に写る獅子のエンブレム……ああ、ギャラルホルンの監査官とはこの方々でしょうか? ん……紫髪で監査官……ボードウィン家、の?

 

「すぐにカッとなっちまうのは悪い癖だよ、三日月」

「ごめん、桜ちゃん」

「謝る相手が違うだろう? 全く……」

「ごめん、マリア姉」

「ワタクシでもありませんわ!? そちらの殿方ですわ!」

「……あの、すいません」

 

 騒ぎを聞きつけて来た桜お婆様は三日月にそう言うと踵を返してトラクターの方へ。 なぜワタクシに謝るのかと三日月の謝罪をキチンと誘導いたしました。

 

「言いたいことは大いにあるが、なんだ……1つ間違ったらそちらのお嬢さんたちを轢き殺していたかもしれん……だから、この後の言葉は甘んじて飲み込むよ。 そして、改めてすまなかった」

 

 逆に頭を下げてくるガエリオ様……かなり、できる方のようですわね。 双子の元にビスケットが向かい、無事を確認しています。

 

「クッキー、クラッカ。 無事かい……?」

「「うん、大丈夫だよ!」」

 

 見かねてか、取りなすように、特徴的な前髪の。 金髪のお方が説明をくださりました。

 

「なんにせよ。 こちらの不注意だ、謝罪しよう……本当に大丈夫か? ガエリオ」

「大丈夫だと言っている……ともかく、今後はこのようがないよう気をつけさせてもらう」

「何処か打ったのか? いや、頭も何も打ち付けてはいなかったが……まぁいい」

 

 そう言いながら、金髪のお方。 クッキーとクラッカに近付いて、屈んで彼女たちと目線を合わせるようにして。懐から可愛らしい包み紙に包まれた……チョコレートを彼女たちに差し出します。

 

「怖い思いをさせてしまって、申し訳なかったね。 お詫びにこんなものしかないが、受け取ってもらえないだろうか?」

「「うわあぁ…… 」」

 

 目を見開いて双子は喜色を浮かべて笑顔に。

 

「ありがとう」「ございます!」

 

 息のあった連携プレー、さすが双子ですわ。

 

「一応医者に見せるといい。 何かあったらギャラルホルン火星支部まで連絡をくれたまえ。 私の名はマクギリス・ファリド。 こっちの男がガエリオ・ボードウィンだ」

「おい、勝手に名乗るな……まぁ手間が省けるが」

 

 その名を聞いて、ワタクシは硬直。と言うか、やっぱりですかー!?

 

「ま、まさか……セブンスターズのファリド家、ボードウィン家の嫡子様で……?」

「む、博識なお嬢さんだ……が、別にそう身構えなくてもいい。 どうこうしようというわけではないよ……と、1つだけ聞きたいことがあるのだがいいかな?」

「は、はい。 なんでしょうか? ワタクシに答えられる範囲であればなんなりと」

「其処な男が好みが君のような清楚な女性なんだが……」

「ま、マクギリス!?」

 

 藪から棒に何言い出すのですか、この方。 マクギリス様は。いきなり振られたガエリオ様の顔が引き攣ってますよ……え、図星? 

 

 まさか……そんなわけないですわよね? 

 

「お戯れはおよしになってくださいませ」

「はっはっは、手痛いな。そうとも、冗談さ。 本題だがこの付近で戦闘があったと報告があったのだが、君たちは何か知らないかね?」

「えっ、そんな物騒な事がありましたの!? うーん、ワタクシは今日(・・)この農場に、経営している孤児院の子供たちが手伝いに来ると聞きましてその視察に訪れた訳でございますの……期待に添えず、申し訳ありませんわ」

「それなら二、三日前にどんぱちやってた音が聞こえたような……」

 

 ビスケットに何か知りませんかと言う感じでワタクシは目配せ。 彼は気がついた模様……さすが鉄華団参謀ですわ。

 ビスケットは三日月にアイコンタクトを取り、意思を伝えていますわ……抜け目ないですわ。

 

「ただ、この付近には民兵の組織があってですね。 其処が訓練でもやってるのかなーって……ねぇ?」

「……ああ。 多分、そうじゃないかな」

「そうか。 ご協力、感謝する」

 

 そう言ってマクギリス様は車に戻り、ガエリオ様も慌てて乗り込んで行きました。

 

「こんな事を言える立場ではないが、本当にすまなかった。 もしまた縁があれば食事に誘わしてもらおう……では、な」

 

 窓を開けてそう仰りつつ、ガエリオ様は車を発進させて行きました……ナンパですか? まさか……。青い車が見えなくなるまで彼らを見送り、ワタクシはほぅとため息ひとつ。

 

「あいつら……このあいだの戦闘のこと知らなかったのか?」

「ギャラルホルンの間でも色々あるんじゃないかなぁ?」

「……また、近いうちに。 合間見えそうですわね、彼らとは」

 

 ワタクシのつぶやきは風に乗り、かき消されて行きました……

 

 ●

 

 農場の仕事を終えた子供達にワタクシは持ってきていたお菓子を配り。 三日月の運転する作業用MWに乗って鉄華団の敷地に帰還いたしました。

 出発する際に半壊したグレイスを用いてライドがC.G.Sのロゴを白ペンキで消していましたが……? 何か新しい紋章のようなものが描かれていますね。

 

「あれは……?」

「へへ、団長に頼まれて俺が考えて書いたんだぜ」

「そう、ライドが……じょーずにかけてますわ!」

「ってぇ、撫で回すなよ、マリアねぇちゃん!」

 

 鼻高々といったところのライドの頭を撫でてあげながら、ワタクシは鉄華団のマークを見上げます……散らぬ鉄の華。 「鉄華団」と名付けられた彼らの挑戦が、一番最初の依頼が始まりますわ。 ワタクシも力添えをしますもの……絶対に成功させますわよ! 

 

 to be continued

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