セブルス・スネイプを救う話(第3章高学年編・開始) 作:桜井ぬい X→@Inui20230918
でも投稿の準備してたら消えちゃったので(バグ?)、よろしければもう一度ご連絡ください。
2025/4/12微修正済み
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親愛なるLとCへ
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ハロウィーンのアレからまた、『寮のなかでの結束を強める』って話がでた。
おかげでどこに行っても
スラグホーン先生の研究室でリリーの顔を見ることはできている。でもリーク魔がなにかと「なぞ解きをしろ」としつこく言って、ついてくるようになってきた。マルフォイか上級生になにか言われてるのかも。
手紙を渡したりはできなさそうだ。合同授業も人目があるからむずかしいと思う。
しばらくは
ヤックスリーはあれから変なことはしてないみたいだ。しょっちゅうフクロウが来てるけど、それはいつも通り。
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DADAの研究室に通うのはヤックスリーに反対されているから、
天文学の授業はそのままでいいけど、それ以外でどこかいい場所を思いついたら教えてくれ。図書館や研究室はむずかしいと思う。
それじゃあまた、次の授業で。
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そのとりとめもない内容の手紙を読んで、シリウスは記憶をひっくり返すように虚空を見やった。
「この"リーク魔"ってたしか、しょっちゅうグリフィンドール生に突っかかってくるやつだな。あれだろ、マルフォイがまとめて面倒みてるグループの。『宿題でつかう本に純血主義っぽいのをすすめてきた』って聞いた」
「そうね。そのグループにはセブルスも入ってる。どうにかマルフォイの部下にならないってことはできないのかしら」
セブルスの情報によると、現在のスリザリン寮内では『どこの陣営に属しているか』でほとんど友だち関係が決まってしまっているらしい。要するに戦争に乗り気かそうでないかで割れてしまっているのだという。乗り気じゃない方が、乗り気な方を徹底して避けているような感じだ。
その辺りのごちゃごちゃしたことというのは、シリウスにとってある意味無縁だった。つまり、自分の部下をどうやって集めてグループをつくるとか他の貴族から引き抜くとか、そういった細かで卑怯めいた工作なんてそもそも嫌いなのだ。
「そういう細かい話って苦手なんだよ。やりたくないなら『やりたくない』でいいじゃないか」
「断れるものなの?」
「相手が折れるまで『やりたくない』を続けるだけだろ」
「『だけ』って、そんな簡単なものなの?周りの人たちがみんな敵になってしまうかもしれないのに。シリウスだって、周りが敵ばっかりでブラック家がいやだからグリフィンドールに入ったんでしょう」
彼女の推測じたいは正解だった。敵ばかりに囲まれている中で『やりたくない』を言い続けたいなんて思わなかった。
しかしそれを指摘されてしまうと、『自分だってできなかったくせに』と突きつけられているような感じがする。彼女にそんな意図はないだろうとわかっていても、なんだか胸のなかに面白くない心地がした。
だからシリウスは返す言葉につまってから、苦々しい顔で口をとがらせた。
「だからスリザリンはやめておけって言ったんだ」
「それでも、セブルスはそれを選ぶしかなかったの。わたしはそれが間違いだなんて言いたくない」
クラリスは、星が入り乱れるような色彩の目をシリウスに向けた。その表情もまた真剣で、彼女はおそらく『なぜスリザリン寮を選んだか』を知っているのだと、シリウスの目にもわかった。
おそらくプリンス家だったという母親に言われたのだろうと察しはついている。やりたいことを阻む母親が大嫌いなシリウスには、それでも大人しく従うセブルスを理解できなかった。『家族のいうことよりも自分のやりたいことを通せばいいのに』としか思えない。
雪がちらつき始めて、彼女の髪にもローブにも白いかけらが解けずにのこっているのが見えた。
「──わかったよ。とにかくマルフォイからあいつを離したいんだろ、君は」
クラリスはフードをかぶってから「ええ」と短く言った。
「このままじゃセブルスの友だちも知り合いも、マルフォイ関係者だらけになっちゃうわ」
彼女が心配していることは入学した時から一貫しているのでわかっているが、それでも妙案はシリウスには思い浮かばなかった。思いもよらない解決法をいつも示してくれるのはジェームズだったが、この件では頼るわけにもいかない。
シリウスは腕組みをしてうなった。
「どうにかする方法なんてあるのか?なんにも思いつかないけど」
「わたしは……」クラリスは少し迷うように何かを言いよどんだ。
「ねえ。提案があるんだけど、気を悪くしないでくれる?」
クラリスは「たとえば……」といくつかのアイデアをシリウスに伝えた。
「私に思いつくのはこのくらいが精いっぱいなの」
彼女の案を聞いたシリウスは、『もし言われた通りにしたら』をあれこれイメージしてみた。
「このままにしておくよりはマシ……だとは思う」
シリウスは、確信がもてなくて歯切れ悪くそう答えた。今は大丈夫だろうが、大人になったときに後悔しそうな気もするし、しなさそうな気もする。
だがこのままぐずぐずしていても、結局大人になったときに後悔することだってありそうだった。だからシリウスはそれ以上悪い可能性を考えるのは止めにした。
「どうなるかわからないところを気にしててもしょうがないな。わからないんだから。とにかくやるだけやってみよう」
「いいの?グリフィンドールの友だちに何か言われたり」
心配そうに眉をハの字にしていたクラリスに、シリウスはあえて明るく声をかけた。
「どうにかなるって。グリフィンドールにだって分かってくれるやつはいるはずだ。そんなことを気にする臆病ものなんて、こっちからお断りだよ」
それから、シリウスはすぐに立ち上がった。雪までちらついているのに長居してしまったせいで両足がこわばっているのを、何度か曲げ伸ばししながらクラリスをうながした。
「だったらすぐに行くぞ。善は急げだ」
「でも、今の時間どこにいるかわからないわ。
「どうにかなる」
シリウスは軽く返事をしてから、クラリスをつれて城のなかに急いで戻った。
*
シリウスはひとまず、スリザリン寮があると聞く地下の方へ向かうことにした。
「出入り口の場所は教えてもらってないのか?」
「隠されてるから見た目はただの石の壁だって聞いたわ。『わかりやすい目印とかがなくて、説明しにくい』んだって」
いくらクラリスでも、スリザリン寮の場所までは確認できていないようだ。だったらひとまずは大階段のふもとを目指せばいい。スリザリン生が地下の通路から出て来るのが、大体その辺りだとは解っている。
近くに寮へ降りる階段があるハッフルパフ生はともかく、グリフィンドール生がその辺りをうろつくことは滅多にない。敵のアジトに単身で入っていくようなものだからだ。
特に下のほうの階段をつかったことの少なかったシリウスは、好き勝手うごく階段を注意ぶかく観察しながら降りていかなければならなかった。足を踏み外して空中に放り出されても『痛い』で済むが、痛いものは痛いのだ。
やがてシリウスは大階段の一番下にあるドアを入り、その場に通りかかったスリザリン生の一人をつかまえた。
「おい、ちょっと待て」
進路をふさぐように立ちはだかったシリウスに対して、スリザリン生はいかにも『声をかけられて困った』といったように顔を引きつらせていた。
「お前たちの寮の出入り口を教えるか、スリザリン生を呼んでくるか、どっちがいい?」
なお、拒否権は与えない。こういうところで権力をふるうことができるのがブラックのネームバリューというやつだった。
さすがに隠された寮の場所を、よりによってグリフィンドール生に教えてくれることはなかった。
レイブンクロー寮は明らかに出入り口とわかるように鷲の彫刻(?)が置いてあるが、それ以外の3寮の場所は一応秘匿されているし、みだりに入り方を教えてはいけないことになっている。生徒同士で敵対することも想定されているのかもしれない。陰険なスリザリンだったら特にありそうな話だった。
大階段から地下に入るドアはそれなりに大きく、2人がいる石づくりの通路もまあまあ広い。だから2人は石壁に背中をあずけながら、うす暗く空気のこもった地下通路で待っていることにした。
時おり通りがかったスリザリン生はみな、シリウスの存在を見つけるとどこか納得したような顔をしてゆくのが印象的だった。彼らにしてみれば、ブラック家はスリザリン側にいるものなのである。そういう意味では、クラリスがここにいることの方がよっぽど珍しいだろう。
やがて呼んでくるように命じた人物が通路の角からまがってきたのが見えて、シリウスはもたれかかっていた壁から一歩前に出た。
「頼んだのは一人だけのはずなんだけどな。一人で出歩かせちゃいけないルールでもあるのかい?」
シリウスが皮肉気に目を細めた相手は、呼び出していない方の生徒だった。
「だ、そうだ」
呼び出された方の生徒、つまりセブルスもまた、あきれたような顔をして言った。
シリウスもクラリスも、寄こされた手紙の内容から予測するに、セブルスは放課後には談話室にいることが多いとにらんでいた。さほど時間もかからず出てこられたようなので、予測は当たっていたのだろう。
なにせ、ただでさえ談話室で"勉強会"があり、例のなぞ解きに取り組むよう言われているのだ。だとすれば寮から出て校内を調べまわっているか、談話室に置かれているかのどちらかの可能性が高い。
そしてセブルスが外に出て積極的に調べまわっているとも考えにくかった。
セブルスはおそらく談話室で『シリウス・ブラックが呼んでるぞ』と声をかけられて、そのまま出てこようとしたが別の生徒も勝手について来たのだろう。
「こいつはスリザリン生としての自覚が足りないのさ。ブラック家のご学友になるには心配でね」
前にずいっと出てきたのは
シリウスは冷たい声を出した。
「マルフォイがそうやって命じてるのかな、こいつを見張っておけって。だったらブラック家としてのオーダーは1つだけだ。『呼ばれてないやつは失せろ』。もう一人の連れもだ」
シリウスは不愉快そうに眉根を寄せて、手を『シッシッ』と犬を追い払うかのようなしぐさで振った。
もう一人というのはトーマス・ヤックスリーのことである。彼はそう言われても全く動じるようではなかった。シリウスにそう命じられるのは予想通りだったのかもしれない。冷静な顔をゆらがさないまま、リーク魔をうながすように元きた方を指さした。
「ほら、ブラックもこう言ってるんだから僕たちは戻ろう」
ふん、とリーク魔は鼻をならして、シリウスのとなりに立っていた
「ブラックを思いどおりに操って、高貴な血の仲間入りでもしたつもりか?それで今度はスリザリン生にまで手をのばしたか。こっちにはお前の思惑なんてお見通しだ」
まるっきり見当違いなのでなにも見通せてはいない。それなのにそいつは勝手な言葉を吐き続けた。シリウスの位置からはそんな風に言われているクラリスの顔はうかがい知れないが、セブルスが今にも杖を抜きそうなほど目をギラつかせているのがはっきりと見えた。
「『失せろ』と言ったんだ」
なにかごちゃごちゃと鬱陶しいことをわめく相手に口を差しはさむように、シリウスは語気を強めてふたたび言った。そうすると、リーク魔は吐き捨てるように言った。
「良家にべったりと媚びる下賤な血め」
シリウスはすぐに杖を抜いて切っ先をリーク魔の方に向けた。
「口を閉じていろ!お前の方がよっぽど下賤だよ。リーコック家なんて純血主義としても聞いたことなんかないぞ。純血貴族様になにか文句でもあるのか、
シリウスは『自分が純血主義の家に生まれたこと』に誇りなんて全くないが、血筋にこだわるスリザリン生に対して有効なカードを切るのに
皮肉っぽく呼びかけられたリーク魔が杖を抜こうとした矢先、2本目の杖が割り込むように彼に突き付けられた。
「どうやら
セブルスははっきりと嘲るように口の端をもち上げて、杖を突きつけたままシリウスの隣に並んだ。おそらくは上級生(マルフォイ)への言い訳がきくようになったから杖を抜いたのだろう。『今にもブラックが撃たれそうだったので仕方なく』とかなんとか。
シリウスは気づかなかったが、リーコックが混血だということは、半純血プリンス家であるセブルスよりも(スリザリン寮のなかでは)格下の血なのだ。
つまりバカにした態度をとっても文句はスリザリン寮の誰からも言われない。そのことがこの時初めて発覚した。だからセブルスは『元から嫌いだった』という気持ちを、あからさまに態度に出すようになったのである。
これで2対1になった。
いまいましいものを見るような目になったリーコックに対して、トーマスが後ろからその腕を引っ張った。
「なにやってるんだよ……!ブラックを攻撃してどうするの」
彼はいさかいには参加せず、シリウスのいうことに従うつもりのようだ。いうことをきかないリーク魔を無理やり連れて行こうとしているらしい。
「ちょうどいい。ヤックスリー、寮に戻ったらマルフォイに来るよう伝えてくれ」
シリウスは杖は手の中におさめたまま、先端だけ石の床に向けて呪文を撃つつもりがないと表明した。
「わかりました。ほら、もう行くよ」
彼らが通路の向こうに見えなくなると、ようやくセブルスも杖をホルダーに戻した。つまらなそうな顔だ。もしかしたら適当に言い訳をつけて呪文でもかけてやりたかったのだろうか。
(たとえば
シリウスにもその気持ちはよくわかった。
なんとなく会話が途切れたのでシリウスも自身のホルダーに杖を戻していると、セブルスは非難するような声音でシリウスに話しかけてきた。
「どうして
「あー、いや、ちょっとな。さっきまでジェームズと3人でいたんだけど、流れで」
シリウスはここに至るまでの経緯を説明した。DADA研究室で"ホグワーツの歴史"を借りて、研究室にいつもいるというクラリスを連れ出し、ちょっと思いついたことがあったのでここまで来たのだと。
「──ハッフルパフ生の友だちがいなかったのか?」
セブルスが驚いたようにクラリスに尋ねた。どうやら気づいていなかったらしい。クラリスは手紙に書かなかったのだろう。セブルスだってハッフルパフ生が彼女を遠巻きにする理由の1つだからだ。
「それは、だってあなたに言ったって仕方のないことじゃない」
「だからって隠すことないだろう」
「隠すってほどじゃ……」
クラリスは言い淀んでから、「それよりも話しておくべきことがあるでしょ、シリウス」と視線を向けてきた。
彼女がかなり強引に話題を変えたのは明らかだったが、それに関してシリウスは何か言うのは止めておくことにした。
マルフォイがやって来るまでに打ち合わせておくべきことがあるのも確かだ。
「ああ、ちょっとな。これからマルフォイに言うことがあるんだ」
「"言うこと"?」
怪訝そうに問い返したセブルスに、シリウスは声をひそめて"クラリス発案のアイデア"を伝えてみた。
「それ、大丈夫なのか?」
「今よりはマシになる。たぶん」
「多分って」
セブルスとしても"アイデア"に不安はあるようだが、明確に『こういう理由でダメだ』とまでは思いついていないのだろう。シリウスもそうだ。
「お前だって今のままでいいとは思ってないだろ?」
「でもお前はブラック家と離れたいんだろう」
「それを考えるのは
もう動くと決めた以上は迷っていても仕方ない。だからシリウスは「気にするな」と言って自信ありげにうなずいて見せた。
そのうちに明らかに他よりも品質のいい靴音が聞こえてきたので、3人は口を閉じた。
まもなく、自分たちより背のたかい人影が通路の向こうにあらわれた。髪色は暗がりにとけこんで見えにくいが、3人ともすぐにそれがルシウス・マルフォイだとわかった。シリウスが有名人なのと同様、マルフォイの顔も学校内では知られているのだ。
彼はもう一人、女性のスリザリン生と連れているようだった。
シリウスは少し緊張したような顔で、それでも犬歯をむき出しにして不敵な笑みを浮かべた。
「お出まし頂いて悪かったな。こっちから寮に出向いても良かったんだけど、どうもスリザリン生のみなさんは口がかたくてな」
「よりにもよってグリフィンドール生に口を割るようなことがあってはならないのでね。教育がゆき届いていることを確認していただいたようで何よりだ」
マルフォイはちらりと目線をセブルスの方に向けてから、
「ただ我々のような立場の者が立ち話などするものではない、とはご注意もうし上げておこう。こちらへ、ミスター・ブラック」
どこかへ案内しようかというマルフォイに、シリウスは「いや、ここでいい」と答えた。
「二、三伝えることがあるだけだ」
「シリウス」と非難めいた声をあげたのは、マルフォイの隣に立っていたナルシッサ・ブラックだった。わざわざシリウスがマルフォイを呼び出すのはおそらく家同士に関係することだ、と推測して連れてきたのだろう。彼女は汚らしいネズミでも見るかのような目をクラリスに向けていた。『こんなモノを同席させるなんて』とでも言っているかのようだった。
「あー、
「年々趣味が
「
シリウスは全く笑っていない目で軽くやりあった後、すぐに本題に入ることにした。
セブルスの方を指さして「こいつは
「スリザリン寮では伝手がないから面倒をみて頂いているようで、どうも。ただ、
ほう、とルシウスはいかにも『驚いた』という表情で答えた。それが本心からのものなのか演技なのかまでは、シリウスでは読みとれない。
「スリザリンに"お友達"がおいでとは初耳だな」
「わざわざ説明することとも思わなかったんでね。放課後に話す機会くらい普通はいくらでもあるからな。それが違ったみたいだから、こうやって今、わざわざ説明しに来たんだよ」
シリウスは皮肉を隠しもせずに、背丈がはるかに上のマルフォイを見据えて言った。灰色の瞳から目を逸らさず、逃がさないという気迫を込める。
彼が自分よりもはるかにうまいだろう呪文の使い手だとしても、恐れなどひとつも湧き起こらなかった。
マルフォイもまた真っ向からシリウスを見返しながらも、どこか余裕のある笑みで尋ねた。
「純血をお好きでない"変わり者"とうかがっているが、半純血なら構わないのかな?」
シリウスは面倒ごとの気配を察して、先んじてマルフォイの意を確認した。
「あー誰か……ブラック家に
「純血を
「あんな
マルフォイと同じような道を歩むつもりなど微塵もないシリウスは、すげなく断った。マルフォイとしても『はい』なんて素直に受け入れられるとは思っていなかったのだろう。ひとつも余裕の笑みをくずさなかった。
「さて……、しかし彼にはスリザリン生に友人もいることだし、グリフィンドール生の側近にはふさわしくないとご忠告しておこう」
「ああ、忠告は聞いた。それで、ご協力いただけるのか?」
シリウスの言は『お前の忠告とやらは耳で聞いたが受け入れる気はない』という意味だ。
マルフォイはなにかを考えるようにしばし沈黙してから答えた。
「友人を引き離すというのには反対だとお伝えしておく。私が面倒をみているグループには彼の友人もいてね」
「付き合いたい友だちがいるなら
「スリザリン生を監督する立場としては"特別扱い"はいかがなものかと言うべきだろうな」
マルフォイは渋る方向で話を進めようとしているようだ。もしかしたら何か吹っ掛けてくるかもしれない。だからシリウスは強引にでも飲ませるつもりで畳みかけた。
「団結が重要とはいえ、血統をないがしろにするものじゃないだろ?」
「君は血統をさほど重要視していないようだが」
「スリザリン生の話だよ。
やれやれ、とマルフォイは肩をすくめた。
「ああ、とてもシンプルなご提案だな。もちろん我々はおなじ陣営として協力しあうべき
ルシウスの貴族的な物言いに翻訳をかけると、『譲歩してやる分、もう少しスリザリン生との関係を良くしろ』ということになるが、シリウスはあえて聞かなかったことにした。
「ご協力、どうも」
シリウスが軽いしゃべり方で返答すると、ルシウスは発言をしていなかったナルシッサ・ブラックに目をやった。
「君からは言いたいことは何かあるか?」
「では、1つだけ。シリウス、ブラック家に仕える者も本来は純血であるべきなのはわかっているわね?
ふさわしくないで決めていたら、あなたはいつまでたっても"きちんとした友だち"をもたないから、これ以上は何も言いません。
ただ、半純血とはいえブラック家の者にはべるのだから、彼がふさわしい振る舞いができるように教育しなくてはいけないわ」
シリウスはほとんど聞き流すようにして、まるでうるさい小言をうち切るように答えた。
「それも
交渉はそれでおしまいだった。
まるっきり聞いていないのを隠しもしないシリウスを、ナルシッサは冷たい目で一瞥してから、かたわらのマルフォイへ視線をうつす。『発言が終わった』ことを伝えるためだろう。
「それでは失礼する」
マルフォイはナルシッサを伴って、そのままスリザリン寮の方に戻っていった。
そういえばあの2人は行動を共にすることが多いと、どこかで聞いた覚えがある。シリウスにとっては2人とも嫌いなのだから、その両者の価値観は近いともいえる。だから当人同士がお互いを好きでもおかしくはないのかもしれない。
婚約してたかどうかは覚えていないが、もしまだだったとしても、両家の方針的に
靴音が遠ざかるのをしっかりと聞き届ると、シリウスはようやく肩から力を抜いた。同じく生徒といえど、知識も経験も上の人物を向こうにまわして圧を感じないわけではない。それでも貫き通すからこその
そうやってシリウスが2人の振り向こうという矢先、肩に後ろからこぶしを当てられた感触がした。
「誰がお前の
セブルスが口の端をゆがめるようにして、いささかイラついているかのような笑みを浮かべていた。話の流れ的にそんな感じになってしまったが、シリウスは別に『ブラック家にセブルスを引き入れよう』と思ったわけではない。
「おれだって子分とか思ってないけど、だったらマルフォイの子分のままでいたかったのか?あいつ、手ごまがすごく多いことで有名だからな。そのうちお前も手ごまにされるぞ、絶対」
「ブラック家だって
「おれが逃げるときにお前も抜ければいいじゃないか」
シリウスはあっけらかんと言った。
セブルスにだって、これがシリウスからの善意であることはわかっている。マルフォイとは違って、シリウスは子分を何かに利用するようなタイプじゃない。なにより、『この状況をどうにかしたい』と願っていたのは同じなのだ。
それでも、シリウスに子分あつかいされたくないのである。
「お前だけ逃げたら許さないからな」
セブルスはジロっとした目でシリウスをにらんだ。
RTAパートは本編と活動報告、どっちが好き?
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【活動報告】にあげて欲しい
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【本編】にあげて欲しい