セブルス・スネイプを救う話(第3章高学年編・開始)   作:桜井ぬい X→@Inui20230918

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2024/12/28短かったので次話と合体
2025/4/29 一部微修正済み


第二の試練 ハッフルパフ寮4(第二の試練・了)(修正済み)

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     告知文

 

 

夜間外出が頻発しているため

外出禁止時間帯は

寮付きゴーストが

各寮に留まることとする

 

 

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「……寮付きゴーストだけじゃないよ。グリフィンドールなんか、肖像画がまた一枚追加されるんだって」

「たしかもう壁いっぱいに肖像画が貼ってあるんじゃなかった?」

「今さら1枚増えても意味ないよな」

 相談があるというジェームズ(といっしょにいたシリウス)に呼び出され、クラリスは空き教室にいた。告知が出たその日の朝のことだ。

 

「ハッフルパフ寮はどうなの?肖像画って」

「たしか、いちばん大きいのは魔法大臣の肖像画で、大きいのはそんなにないわね……」

 それを聞くと、ジェームズとシリウスは「やっぱりそうなのか」とでも言うように頷きあった。

 

「増やされる前に行動を起こそう。今日、授業が休みの時間帯はある?」

「──まさか昼間のうちに忍びこむつもりなの!?」

 夜に入れなくなるんだから当たり前じゃないか、とジェームズはすました顔をしていた。

 

「きっと、このままだとどんどん試練をすすめるのが難しくなっていくよ。たとえば来週は夕食後は出歩いちゃだめって言われるとかさ」

「時間切れでクリアできないなんて一番つまらないオチだろ」

「そんな、いきなり入ったって答えがわかるわけじゃないでしょう」

「いくつか考えてきたから、正解なのか試すだけだよ」

 

 クラリスはどうにか2人を止められないかと反論した。

「ねえ、無理やり進めなくたっていいじゃないの。わたしはあなたたちが寮に入るのに協力しないわよ」

 ふん、と2人は不敵に笑った。

「きみが協力しないって言うなら、他のハッフルパフ生の後に続いて忍びこむだけだ。止められると思うなよ」

「どうせだったら全員で協力した方がいいじゃない。あの2人にも声をかけるからさ」

 

「──しっ」

 足音を聞きつけたクラリスは『しずかに』と合図を出した。

「そういえば、最近ちょくちょくスラグホーン先生を見かけるんだよな」

「マルフォイもよ。どう考えても……」

「『見張られてる』よね、ぼくら」

 

 2人は気軽に夜間外出などの校則違反をくり返しすぎなのである。さらにこの間からの"いたずら"がある。スリザリン寮の寮監先生と監督生に目をつけられて当たり前なのだ。

 

「セブもこの間、スラグホーン先生がルシウス・マルフォイと何か相談してるのを見たんだって。怪しまれてるわよね。セブにはこっそり協力してもらうしかないわ」

「今回の告知だってぼくらのことがバレてるんだ、きっと。だからなおさら急がないと」

 やはり2人を止めるのは難しそうだった。

 

 ここで先生に密告することはできるが、そうすると試練や校則違反のことが明るみに出てしまう。それが“エイダ“に伝わってしまうとみんなが危険になるかもしれなかった。

 白旗をあげるしかなさそうだ。クラリスはしぶしぶと頷いた。

 

「わかったわよう……でも手伝うのは今回だけだからね」

 どんどん外出が難しくなっていくなら、今回だけしのげば試練を続けられなくなるはずだ。そうなってくれるのが最も穏便に『試練を終わらせる』方法だろう。

「よし」と満足そうな息をはいたシリウスにつづいて、ジェームズが「じゃあ作戦会議だ」と切り出した。

 

 

 

 幾度となく練習をくり返した旋律をなぞりながら、クラリスはつとめて自分の手元だけを見るようにしていた。

 

 談話室の一角である。談笑し合う相手がいないので、クラリスにとっては通りすぎるだけの路でしかない。明るく温かなあかりに満ちているはずなのに、近くに寄ってくる生徒はいなかった。自分を中心としてぽっかりと穴が開いているみたいだった。

 

 ほかの学年は授業中であるためか、休日に比べて生徒の数が少なく、ひっそりとしている。同じ学年のハッフルパフ生はだいたい30人ほどいるはずだが、談話室にいるのは10人程度だ。残りは図書館にでも行っているのか、それとも寝室にこもっているのかもしれない。

 

(たしかにこのくらいの注意を集めるくらいなら簡単だけど……いたっ)

 かたく張られたギターの弦が、『ばちん』という大きな音を立てて指に跳ね返ってきた。

 

 油断するとこうなる。囮をきちんとこなさなくてはいけないのに。

 クラリスは反対側の壁がわに問題がないかをちらっと見てから、また指先に力をこめた。

 

 ジェームズの今回の作戦は単純明快だった。つまり囮に目を集めてこっそり入るという、それだけだった。それくらいしかできないとも言える。

 

 この2人だけならともかく、幼なじみの2人が見つからないために協力できることならしてあげたいとクラリスは思っていた。

「できれば君には談話室にいて欲しいんだ」

 その要望が『クラリスがほかの生徒に避けられていることを利用している』のでさえなければ。

 

 複雑そうに顔をゆがめたクラリスに、シリウスは説得するように手をのばした。

「残りの4人をかくすには透明マントは狭すぎるんだ。足元まですっぽりとはいかない。だったらバレないようにどこかに目を集めなくちゃいけないんだよ」

「その、たとえばきみがハッフルパフの人気者だとしても同じだよ。大事なのはほかの子の目を一ヶ所に集めるってことなんだ」

 

「でも……、わたしに集まる目にいいものなんてないのに」

 ジェームズは自分がどんなことを頼んでいるのかを解ったのか、申し訳なさそうに眉尻を少し下げた。

「なにかすごいことをしなくったっていい。そこにいてくれるだけで十分だよ。あとはぼくらが何とかするから」

 

「嫌な目をするやつがいたら、何見てるんだって直接言えばいいんだよ。そんなやつら」

 せっかくの説得を台無しにするような言い回しに、ジェームズが制止するように声をあげた。

「シリウス」

『クラリスがへそを曲げたらどうするんだ』とでも言いたそうな顔だ。

 

「ねえ、シリウスはそうしてたの?」

「当然だ。何も知らなくて知ろうともしない連中なんか気にするなよ。味方みたいな顔をしてきたって、何か起こればすぐに手のひらを返すんだから」

 シリウスもきっとグリフィンドール寮で苦労していたのだろう。すでに手のひらを何度も返されていたのかもしれない。

 

「ねえ、2人はわたしが失敗しても手のひらを返さないでいてくれる?わたしが囮になって、それでも失敗しちゃったら」

 2人とも何を聞かれたかよくわかっていないようにきょとんとしていた。

「誰かに見つかったってきみのせいってわけでもない」

「もっといいやり方をなにか考えればいいだけじゃないか」

 

 あっけらかんと言い放たれて、もやもやとしていたはずのものがやけにバカらしくなってきた。2人とも本心からそう思っているようだからだ。

「……いいわ、今回だけよ。囮になってあげる」

「よし!」

 満足そうに手をたたいた2人に、クラリスは「その代わり」と念をおすように言った。

 

「わたしの方がまずい雰囲気になったら助けてよね。すぐに」

 

 

 

 談話室のなかには身を隠せるようなデスクなどが少ない。箒を乗りまわせるほどの高さもない。だから、スリザリン寮に入った時と同じ手は使えないのだ。その代わりに植物の葉っぱやツタや植木やらが多いので、じっとしてさえいればとけ込んでわからないはずだ。

 クラリスがちらっと4人がいるはずの方を確認してみても、特に異常があるようには見えなかった。マントから足だけが8本分はみ出してしまっているはずだったが、テーブルなどの陰になっているのだろう。

 

 物音を立てさえしなければ大丈夫だろう。

 ──そう判断した矢先、ごとりと大きめな音がした。

 

(もう、何やってるのよ!)

 クラリスは大きめの咳ばらいをしてから目の前の小さなテーブルの足を蹴った。地面と接している部分がすれたような大きな音を立てて、生徒たちの目はこちらにまた集まる。振りかえって背後を確認することはなかった。

 

 4人はほとんど一匹のムカデみたいに進んでいるはずだから、足もとがよく見えていないのだろう。顔を下に向けられなくて。それで壁際に置かれた薄めのコンソールデスクみたいなものにぶつかった。

 クラリスに注目(警戒)を集めている間にできるだけ壁ぎわを通り、生徒たちの背後をまわりこむようにして寝室の廊下に到着するルートだ。あの隠し部屋は談話室から廊下に入ってすぐのところにある。

 その歩みのスピードまでムカデ並みになってしまうのは仕方がないが、その分やきもきしてしまう。

 音がした地点にいるとなると、あと2曲ぶんでもやれば到着できるくらいだろうか。

 

 とにかくBGMを切らさないことだ。そうすれば小さな物音くらいなら誤魔化せる。

 クラリスは熱心に練習をする振りをしながら、聞き慣れたフレーズを反復した。

 

 その後もフロアランプがぐらぐらと倒れそうになったり、棚の上に飾られた金属製のカップみたいなものが落っこちそうになるたびに、クラリスはわざと音楽のコードを書いたメモを落っことしたり、「あっ!」とつい大声をあげてしまったりした。

 思わず椅子を立ち上がってしまった時には、周囲の視線が恥ずかしくてすぐに席に戻った。

 

(もう少し……)

 ギターを握っている方のクラリスの手のひらに、冷や汗のようなものがたまってきている。

 

 ポールをうまく握れずすっぽ抜けていきそうなのに四苦八苦していると、不意に「ねえ」と声をかけられた。

「あの……その曲"カーペンターズ"の?」

「え、うん……そうよ」

 半年くらい前、夏にアメリカのCMソングとして封切りされたその曲は、ゴールドディスクに選ばれていてとても有名だったのだ。だからクラリスも練習していたのである。アコースティックギターでも合いそうな雰囲気だから、ちょうど良かったというのもある。

 

 普段なら話しかけられるのは嬉しいが、今は少し困る。

 クラリスはもう一度ちらっと"コース"を見やってから、その子を見上げた。

 

 どうやらその子は、以前魔法薬学でペアを組んだ(組むようにされた?)子だった。トイレのマートルを気弱で善良にしたような感じの。

「マグル生まれなの?その……混じってるのに」

「え、ええ。髪の毛はかくして暮らしてたの」

 意外なことに、クラリスがそう答えると周囲にいた生徒たちもひそひそと何か話し合っていた。

 

(これでほかの子の注意をひけるなら、それはそれでいいかも)

 いちばん大事なのは4人が無事隠し部屋にたどり着くことであって、同時に誰か話し相手ができるならもっといい。

 彼女もどうやら音楽が好きなようで、クラリスでも耳にしたことのある曲をいろいろ挙げた。

 

「あ、あのね。相部屋の子も詳しいのよ。連れてきていい?」

「えっ……どこから?」

 クラリスは嫌な予感がした。

 

「今部屋で寝てるのよ。そこで待っててね、起こしてくるから」

 彼女はクラリスに背を向けて足早に進んだ。

 つまり談話室から寝室の方にだ。

 

 まずい。

 寝室の前の廊下は巣穴みたいに真ん丸な通路があいているだけで、4人が隠れられるような物陰はない。足だけだとしても丸見えだったらバレてしまう。

 

(どうしよう、止めさせないと……!)

 クラリスはとっさに声を出した。「待って!」

 おとなしく振り返った彼女に、何を言えばあきらめてくれるかがわからない。

 

 周りの子の目がぐるりとクラリスを取り囲んでいるようで、クラリスは気圧されるような感覚になった。

 またあの時みたいだ。みんながクラリスが何を選ぶかを見ている。

 

(選び損ねたら、またああなる?)

 伸ばされたはずの手がまた引っ込められるなんて嫌だ。

 それなのに何が正解かなんてよくわからない。

 

(──だったらなによ!)

 悩んでいられるような時間なんてない。ぐずぐずと何もしなければ4人が見つかって時間切れになってしまうだけだ。

 だったら今一番すべきことを選ぶだけでいい。

 

(ほかの子のことなんか、4人を助けてからでいいわ!)

 クラリスは手元のギターを鳴らした。

 

 視線が怖いなら自分の目はつぶっていたっていい。たとえ真正面から向き合えなくても、大切なのはすべきものを投げ出さないことだった。

 

 

 

「今から歌うのを見ていて」

 

 

 

 

 

「……あっ、やっと来たな」

 ようやく例の部屋にまでたどり着いたクラリスを迎えたのは、シリウスの声だった。

 4人は床に座りこんで、通常サイズのルドー(すごろく)を囲んでいたようだ。

 クラリスが合流できるまで時間がかかってしまったので、さすがに謎は解いたか、挑戦してみてダメだったのだろう。

 

「ごめんね、あの後見にくる子が増えちゃって、なかなか来られなかったの」

 歌を聞きつけたのか、寝室にいた子や同じく空き時間だった上級生までもが集まってきてしまったのだ。注意をそらすという"仕事"は大成功だったが、今度は色々話しかけられて抜けだせなくなってしまった。冷たい態度だった同級生も頭をさげてきたので邪険にもできなかったのだ。

 

「この部屋にも歌声が届いてたよ。音楽クラブにも誘われてたでしょ?」

「なんだかわたしたちの大冒険を思い出して、すごく楽しい気持ちになったわ」

 ジェームズに次いで、リリーが誇らしそうにそうほほえんだ。

「ありがとう。とにかく、見つからずに済んで良かったわ」

 

 セブルスだけは何か言いたそうな顔をしたのにクラリスは気づいていたが、敢えてそこには触れないことにした。

 言いたいことはわかっている。クラリスが半分「ズル」をしたのをわかってしまったのだろう。

 

 『闇の魔術を使った』のだと。

 まだ粗削りだし長持ちもしないので大したことはしていない。歌声に元々こもっている「みんなを楽しくさせる」効果を少し強くしただけだ。ギターに魔法がかかるよう、紋章学の知識をつかって見様見真似でこしらえたものだった。

 その結果が今まで避けていた子たちの"反転(手のひら返し)"である。あまりに強烈すぎてクラリスはたらりと冷や汗を流した。

 

 極めれば他者の心を自在に変えてしまえるかもしれない。それも何人もだ。

(危ないからあんまり使わないでおこう)

 今回は誰かを傷つけたり自分に心酔させたわけじゃない。ただ少し、クラリスが友だちに抱くような気持ちを周囲に"転写"しただけだ。コカの実でひとを楽しい気分にさせる"コカ・コーラ"みたいに。

 

 べつにクラリスはアイドルになりたいわけじゃない。心をあやつって誰かにいてもらっても、たとえばリリーにそんな気持ちを抱かせて一緒にいてもらっても空しいだけな気がする。

(だったらいっそ魔術自体から手を引くべきかしら?)

 クラリスは『それもできない』と思った。

 身を守る手札は多い方がいいに決まっている。特にクラリスは直接敵に杖を向けて決闘ができないのだから。

 敵の前で悠長に歌っている暇はないかもしれないが、逃げる役にくらいは立つかもしれない。

(紋章学、もうちょっと勉強してみようかな)

 

 クラリスがそんな風に考えているのをよそに、ジェームズはゲームボードを畳んで言った。

「すぐになぞ解きにとりかかろう」

「え?まだやってなかったの?」

「やろうと思えばできたんだけどな。何となく待った方がいい気がしたんだ」

「リズを放っておくわけないだろう」

「そうよ。囮をしてくれてたのに、のけ者になんてしないわ」

 

 5人はわちゃわちゃと肩をならべてアナグマ像の近くに集まった。

 

 それからジェームズが「んん」と喉の調子を整えるような息を吐いて、前に一歩進み出た。自信たっぷりといった顔で、口元に笑みが浮かんでいる。

「それじゃあいくよ。『次は"勇気"の試練だ』!」

 沈黙が落ちた。

 アナグマ像は微動だにしない。

 

 残りの4人が目くばせしていると、ジェームズは「あれ?」と間の抜けた声を出した。

「じゃあ、『次は"知性"の試練だ』!」

 像はやっぱりうんともすんとも言わなかった。

 

「……ダメじゃないか」

 あきれたようなセブルスに対して、ジェームズは振り返って「うるさいな」と文句をいった。

「ヒントを得たと言ってほしいね。お前だって解けてないじゃないか」

 

 険悪な雰囲気になる前に、クラリスが口をはさんだ。

「ねえ、"勇気"と"知性"っていうのは寮のモットーよね?」

「そう。最初の試練は友だちだってことが大事だったでしょ。しかもスリザリン寮だった。だから"同胞愛"の試練だったのかなって考えたんだよ」

 

 スリザリンのモットーには"狡猾"、"純血主義"、"同胞愛"などがふくまれている。

 今回の試練は『次の試練内容を当てろ』であるため、ジェームズは残り2寮のどっちかなのだろうと推理したのだろう。つまりグリフィンドール寮の"勇気"か、レイブンクロー寮の"知性"だろうと。

 だが試した結果は両方ハズレだった。

 

「だから言っただろ」とシリウスがご機嫌ななめな様子で茶々を入れた。

「その"同胞"って寮生とか純血主義連中のことになるだろ。だったら"同胞愛"じゃなくて"狡猾さ"だよ。目的を遂げるために敵と手を組めるかって試練だったんじゃないのか」

 

 リリーは首をかしげた。

「だったらこの試練はハッフルパフ寮のモットーに関係あるってことになるけど、"友愛"とか"勤勉"なのかしら。

 わたしたちはハッフルパフ寮の試練は"推理力"をためすようなものだと考えてたのよ。"なぞなぞ"だから」

「じゃあスリザリン寮の試練は何だったんだと思うんだ?」

「わからない。友情を試すようなもの……だとは思うけど」

 

 今度はセブルスがなにか考えるように腕をくんだ。

「"なぞなぞ"みたいなものは"知性"っぽい気がする。でもそれはレイブンクロー寮のモットーだ」

 

 うーん、とジェームズがうなってから、手持ちのチョークみたいなもので石の床になにかを書きだした。

「でもきっと、この次もべつの寮でやる試練で間違いはないと思うんだ。一番最初のリドル(なぞ解き)から考えると。だから次はレイブンクローかグリフィンドールのどっちかじゃないのかな」

 

 

●その1

 

①スリザリン寮    「同胞愛?狡猾?」の試練

②ハッフルパフ寮   「友愛」     の試練

③レイブンクロー寮  「知性」     の試練

④グリフィンドール寮 「勇気」     の試練

 

 

●その2

 

①スリザリン寮    「同胞愛?狡猾?」の試練

②ハッフルパフ寮   「友愛」     の試練

③グリフィンドール寮 「勇気」     の試練

④レイブンクロー寮  「知性」     の試練

 

 

 

 上からのぞき込んでいたリリーがぽつりと呟いた。

「……ずらしたらちょうど良くなるのに」

「ずらすってどういうことなんだ?」

 4人の目がリリーに集まって、彼女から出てくるアイデアに期待を寄せた。

「う、うん……。1つ目の方なんだけど、こうしたら合うかなって」

 

 

●その1のモットーを上に一つずらした場合

 

①スリザリン寮    「友愛」     の試練

②ハッフルパフ寮   「知性」     の試練

③レイブンクロー寮  「勇気」     の試練

④グリフィンドール寮 「同胞愛?狡猾?」の試練

 

 

 

 セブルスがひらめいたように声をあげた。

「そうか、これなら次が1つにしぼりこめる!」

 

「なら次の試練は、『レイブンクロー寮の"勇気"の試練』だね!」

 ジェームズがほとんど同時に解答した。

 

『正解!』

 アナグマの像が4人の方を向いてそう返事をすると、どこからか金色の紙吹雪みたいなものが祝福するように舞い上がった。

 

 5人はなんとなしにお互いの顔を見て、それからハイタッチをし合った。驚くべきことにジェームズとセブルスまでもである。その後すぐ、どこか気まずそうに目をそらしていた。

 

 

 

 

 

 

 グリフィンドール寮への帰り道、寮生3人組は今回の試練について意気揚々と話しあっていた。

「次はレイブンクロー寮だから入るのは簡単だな。入り口のなぞなぞに答えるだけでいいんだろ?」

「勇気をためす試練ってどんなのかしら?お化けが出るとか?」

「ゴーストならしょっちゅう見かけてるじゃないか。危険なものとかじゃない?」

 ジェームズは『来るなら来い』とでも思っているのだろう。次の試練を心待ちにしているようだった。

 

「次も気になるけど、最後も気になるわよね」

「グリフィンドール寮の"スリザリン的な"試練か……」

「どうせ"純血主義"とかなんだろ、なにせスリザリンなんだから」

 

 ふん、とつまらなさそうにシリウスが鼻を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

RTAパートは本編と活動報告、どっちが好き?

  • 【活動報告】にあげて欲しい
  • 【本編】にあげて欲しい
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