セブルス・スネイプを救う話(第3章高学年編・開始)   作:桜井ぬい X→@Inui20230918

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ヒャッハー!死の秘宝par1ロードショーだー!!
2025/4/29 一部微修正済み


第四の試練 グリフィンドール寮2(修正済み)

 

 

 

 

3日後(第三の試練合格から4日後)

 

 

 

 5人は作戦会議をしていた。

 議題はもちろんオミニスの絵を切り裂いた事件についてだ。

 何も起こっていなかったらすぐにグリフィンドール寮に向かうところだが、ライバルのチームが危険人物らしいというのを放っておくわけにもいかなかった。

 一番集まりやすいレイブンクローの"部屋"のなか、5人は円座になっていた。彼らのそばの壁には嗅ぎたばこ入れくらいのサイズの額縁が置かれていて、そこにはずいぶんと小さくなったオミニスが佇んでいた。

 

 あれからセブルスは3日で『縮小の呪文』の猛特訓をして、オミニスがどうにか手に入れた一枚の絵を額縁ごと縮小したのだ。彼が絵の先住人をどうしたかは知らないが、おそらく追い出……説得して出て行ってもらったのだろう。

 その額縁と、スリザリン寮の"部屋"にあった──つまりオミニスがもともといて裂かれた肖像画は、2枚ともセブルスが回収済みだ。物証があれば、少なくとも切り裂き事件が起こった事実だけでも明るみに出せる。

 

 寝室に置いておくのも不安なので、結局オミニスと裂かれた絵はセブルスのローブのポケットに入れられっぱなしだった。

 トーマスはさすがにセブルスが何かやっているのに気付いていたようだが、特に探りを入れてくるようなことはなかった。

 少し不気味だ。

 

『切断魔法(ディフィンド)を使ったのは生徒だけど、ドアの外には大人の魔女もいたよ』

「魔女って……外から誰か入り込んだの?」

「どうだろう。ホグワーツは許可がない成人は入れなかったんじゃなかったっけ?防衛の魔法がかかってて」

 

『いや違う、外から入ってきたんじゃない。僕もここ数日で絵を渡り歩いて調べてみた。

 ──先生だ。君たちが言ってた怪しいDADA(闇の魔術に対しての防衛術)の先生だよ、あれは』

 

 5人は息をのんだ。

 先生が協力して生徒に試練を超えさせた上に、その生徒は絵を切り裂ける危険な上級生だという。

 1年生が太刀打ちできないのは少し前に思い知らされたばっかりだ(主にジェームズが)。

 

 いち早くいつもの調子を取り戻したシリウスが口を開いた。

「先生も試練を知っていた……わけないか」

『ないな。ここ100年ほどは試練のはじまりが封印されていたからね』

 その間ずっと放置されていた肖像画がそう言うのならそうなのだろう。

 

 DADA(防衛術)の先生が非常にあやしいのは間違いない。以前からADA(エイダ)に協力して危ない禁書を融通したり、彼らを偽のクラブ活動で校外に連れ出したりしていたのだから。

 そして、そんなADAのことをマルフォイも知っているふしがある。

 ならば"危険チーム"はADAで知り合った生徒たちで、マルフォイにもその情報がいっているのかもしれなかった。

 

 セブルスのその推論にかみついたのはシリウスだった。

「グリフィンドール寮に裏切り者がいるって言うのか」

「ほかの寮に友だちがいるのは悪いことじゃないわ」

「戦争中なら"悪いこと"だろ」

 

 リリーとシリウスの意見が真っ向からぶつかり合うなか、クラリスが証言した。

「ADAにスリザリン生以外がいないってことはないと思う。わたしも誘われたわよ。ADAとは言わなかったけど、闇の魔術の研究に」

「レイブンクローのやつか?」

 スリザリン寮の生徒は半人間のクラリスを仲間に誘ったりしない。だったら以前からDADAの研究室に入り浸っていた生徒かという推理なのだろう。シリウスの問いにクラリスはうんとうなずいた。

 

「マルフォイが関係してるかもって話はなかったの。ただ『DADAの先生がこっそり研究させてくれるんだよ』って勧められた。もちろん断ったわよ。研究はともかく、マルフォイに目をつけられるなんて自分から絞首台にのぼることへ立候補するようなものじゃない。ハッフルパフの友だちだって離れて行っちゃうし」

 

 セブルスももう少し詳しくクラリスに尋ねてみることにした。

「じゃああいつ……ティプトフトはグループに入ったのか?」

「そうみたい。

 グリフィンドール生について?いえ、何も言ってなかったわ。『どんな寮の生徒がいるの』って訊いたのだけれど、教えてもらえなかったの。でも、同じように加わった生徒ならいるかも。先生が友だちになるよう勧めてるかもしれないわ。仲が悪くなるなんてもったいないとか言って」

 

 ジェームズはシリウスと同じく「ぼくもグリフィンドール生にそんな奴はいないと思うけど」と前置きをしてから話し始めた。

 

「ぼくもグリフィンドール生にそんな奴はいないと思うけど、試練のことはできるだけ隠した方がいいかもね。隠し部屋はみんなの避難先にしたいけど、中に敵をまねき入れたら全滅だ」

 幸いにも試練については5人とも口外していないし、周りにバレないように行動してきた。グリフィンドール寮の試練でも同じようにすればいいだけだ。

 

 しかし、セブルスには一つだけ気に掛けるべきことがあった。

「だったらここ(レイブンクロー寮の"部屋")に集まるのだって危ないだろう。ほかにもADAの生徒がいるかも」

 各寮の"部屋"のうち簡単に入れるここを選んだのだが、先生にどう報告されるかわかったものじゃない。

 みんなが同意して、それで一旦話題が尽きた。

 

 場を仕切りなおしたのはジェームズだった。

「危険なグループがいる以上、ぼくらはさっさと第四の試練に挑むべきだと思う。……次の試練ってどんな内容なの?」

 ジェームズは堂々とカンニングをし出した。

 確かにオミニスは過去の合格者だから、その肖像画も何を試されるものなのか知っているはずだ。

 

『悪いけど答えられない』

「かたいこと言ってる場合か。自分の絵だって被害にあってるんだろ」

『そうじゃなくて』

"狡猾"で名高いスリザリンのローブを着たオミニスの絵は苦笑した。

『僕らにもよくわからなかったんだよ。わかったのは『なぜか合格した』って結果だけで。

 これまでの試練は<合格条件を満たすまでは不合格>だけど、最後の試練は少し違うみたいだ』

 

「それでも予測くらいはできてるんじゃないの?」

『うーん……。予測を伝えてしまうと試練の意味がないからね。無条件で不合格になるかもしれない。それでも聞くのか?』

「う……」

 一番まずいのは自分たちが不合格になって、危険チームだけが全部突破してしまうことだ。不合格になるかもしれない手段をおいそれと試したりできない。ジェームズは反論できずに口をつぐんだ。

 

 その代わりに別の案を出したのはリリーだ。

「試練よりも危険なチームや先生をどうにかした方がいいんじゃないかしら。放っておいたら、先生のせいで何組も危険なチームが出てくるかも」

「言えてるな。合格者が出たわけだから、似たような生徒を送り込もうとするかも」

 確かにそれが一番厄介かもしれない。ひと組だけ退けても意味がなくなってしまうからだ。

 セブルスは念のために確認した。

「ぼくらが合格したからって、ほかの生徒が不合格になるわけじゃないんだろう?」

『そのはずだ』

 

「だったらまた“始まり”を封印するのは?」

『試練を受けている最中の生徒がいるうちは無理だ。君たちと、あいつらと。これから突破した生徒が出ればそのチームも』

 クラリスの撤退案も悪くはなさそうだ。自分たちがさっさと合格して、相手チームを失敗させ、次のチームが出現する前に封印する。全てが上手く運べば可能かもしれない。

 

 それからも5人はあれこれと話し合って、「まずは先生をとっ捕まえよう」という方針にかたまった。

 クラブ活動の内容を偽るなんて本来やってはいけないことだ。その証拠をつかんでおけば自分たちも安全に試練にのぞめるだろう。

 

 

 

 

 

 

 重い木製のドアを押し開けると、クラリスはしばらくぶりにその敷居をまたいだ。

 横積みになった本の林立する、"闇の魔術に対する防衛術"の研究室だ。

 半年ほど前までは毎日のように通(かよ)っていたのに、今は敵地にいるような気分だった。鉛でも飲み込んだように胸に重たいものがあって、ひそかに細く長い息を吐く。隣にいるリリーに心配をかけたくない。

 

 研究室に入り浸りっぱなしだったネイト・ティプトフトはやっぱり今日もそこにいて、2人に声をかけてきた。他にも何人か生徒がいるようだったが、特別怪しそうな人が紛れているようには見えない。彼らは先生となにかしゃべっていた。

 今なら大丈夫そうだ。

 

「あれ?今日は友だちも一緒?」

「ええ。クラリス(リズ)が危ない遊びに連れて行かれないよう見張ってないと」

「なんだ、気が変わったのかと思ったのに。じゃあ今日はどうしたんだ、調べものとか?入ってきなよ」

 戸のそばに立ったままクラリスはそう声をかけられ、「ええと……。そうね」と咄嗟に使えそうなものを探した。それから、奥に進むと見せかけて近くの本タワーに腕をわざとぶつける。

 当然タワーはぽっきりと折れて、そこいら中に重厚そうな本がまき散らされた。

 

「……ごめんなさい!」

「大丈夫、クラリス(リズ)?」

 駆け寄ってきたリリーにひそひそと耳打ちする。

「ちょっと『入りにくそう』だったから」

 入り口ドアの真ん前に置かれて、その両脇で通れるのは獣道みたいな隙間しかない。ガレージセールみたいにあちこちに本や何かの道具が置かれているせいだった。ダンベルはなくなっている。

 

 クラリスは散らばった本をまとめ、ついでに関係なかった本まで壁際に寄せた。まるで無造作に生えていた細い木を伐って、丸太にしたそれを壁際に並べ直したみたいに。

「ずっとここにいるなら片づけてよね」

「わからなくなっちゃうじゃないか。大体ジャンルごとにそこら辺にまとめておいたのに!」

 整頓ができない人のよく言う文句である。

「散らかしてるからじゃない。必要になったら呪文で探せるんじゃないの?同時に何冊も読まないでしょ」

「お母さんをやってくれって誰かに頼まれたのか?たとえば僕とかに」

 

 (いさか)いの気配を察したのか、リリーが「ねえ」と割って入った。

「何か……ええと……そう、探し物があったんでしょ?邪魔しないうちにここを出よう?」

「ええ、そうね。──ネイトもあまりここにいない方がいいわよ。闇の魔術は手遅れになるまでは害のなさそうな顔をしてるんだって。知りすぎて"手遅れ"になった生徒もいるって知り合いに聞いたわ」

 オミニスに聞いた100年前の話だが、それは黙っていることにした。

 

「君までお小言か。その探し物を見つけたらすぐに出て行くべきだね。そんなに面白い研究が怖いならね!」

「ええ、そうするわよ。お世話さま」

 

 クラリスは『うまくいったでしょ?』とリリーに微笑みかけたが、彼女はあまりいい顔をしていなかった。

「……良かったの?友だちなのに」

「彼が変な連中との付き合いをやめて、それでも友だちでいたいんだったらまた友だちになるわ」

 探し物の『ふり』をするためには自分たち以外の生徒は遠ざけたい。

 それが一番の目的だったが、ADAと手を切って欲しいのだってクラリスの本心だ。

 

 そのまま手近な本を一冊、題名を確かめているかのように眺めていると、リリーも同じようにした。

「──ねえ!」とまだ生徒の応対中だった先生が、隙間から呼びかけてきた。

「探し物って、なんの本を借りに来たの?」

「あーっと……。先生が図書館から借りた本で……」

 でっち上げなのだから本の題名まで考えてこなかった。「何だったかしら」と誤魔化しながらも、手のひらの上の本の題名をそのまま読みあげる。

「"世界の絵画の呪い"です、先生」

 

 そのまま先生に見えないよう、自分の背中側の本に積みかさねる。それから、さりげなく『セブルスたちがそれを隠してくれるよう、指を差してみせた』。なにせ本当は見つかっては困るのだから。

 それで意図が通じたかどうかはわからない。なにせ向こうは透明マントの中だ。

 

「あの、クローゼットの中に入っていたりは……、開けてみてもいいでしょうか?」

「たしか呪いの品ではないけれど、あんまり使ってないわよ」

「もし面白い本を見つけたらお借りします」

 許可が下りなかったらその辺の本を適当にどかすしかなかったので、運がいい。その扉の中に何も入っていなかったのもだ。

 

「やっぱり何もないわよねー」とか何とか言いながら時間を稼ぎ、"3人"を中に入れて戸を閉じた。さらにリリーと2人がかりで、本でふさぐ。気まぐれに先生に開けられたら困るからだった。

 先生はまだ生徒と話していて時折目が合うが何か気づいた風でもない。ティプトフトもその険しい顔を本に埋めている。

 注意を引く前に脱出してしまおう。

 

「あー……あのー!本は見つからなかったんですがそろそろ時間なので、失礼しますね!」

 なんの時間かなんてきっと聞かれないだろう。

 そそくさと2人は部屋を後にした。

 扉が閉まる一瞬、先生が観察するような目をこちらに向けていたのが、隙間から見えた。

 

 

 

 

 シリウスの説明では、DADAの先生は在学時代スリザリン生ではなかったし純血主義でもないらしい。位が高いというわけでもないそうだ。

 親戚が集まった時に聞いたというのだから、確かな情報なのだろう。

 当のシリウスをふくめた3人はクローゼットに並んで座りこんでいた。3人が収まるにはぎゅうぎゅうに肩を寄せあうしかない。ルーモス(光よ)を使うわけにもいかないので真っ暗だった。

 

 セブルスはこの状況に不思議なものを感じていた。

 1年生が始まったばかりの頃は、この透明マントに収まっていたのはシリウスとジェームズの2人だけだった。それが試練のために5人で交代しあって使い、今は自分を入れた3人で使っている。「お前がいればスリザリン生が来ても誰なのかすぐわかるから」とジェームズは理由を説明していた。

 

 その時に聞いたのだが、この透明マントは特別製でほかのものとは違うのだという。

 ジェームズは生まれつき沢山のものを持っている。家も裕福で仲良し、それなりに成績も良くて実力もある、リリーのことを理解していて──その上特別なアイテムだなんて。

 セブルスは内心で「いいご身分で」と吐き捨てた。

 それだけで済んでいるのは、その"恵まれた"ジェームズにすら手の届かない分野というのがあって、セブルスの呪いの知識やスリザリン生情報なんかがそうだったからだ。

 

 それに、ほかのスリザリン生も家宝くらい持っていそうなのがうようよいる。社会的地位の高い──つまり古くからの貴族や金持ち一家の生徒が多いせいだ。彼らはデミガイズ製の透明マントや、ポリジュース薬に必要な高価でめずらしい材料だって揃えていた。

 

 入学してから改めて『自分は何も持っていないんだな』と肌で感じてしまう。これでジェームズやシリウスが他のスリザリン生にしているみたく、見下してきたり恥をかかせてきたら爆発してしまったかもしれない。

 

──別に持ってなくたっていい。自分で姿くらましを使えるようになればいいだけだ。

 

 だから、その時のセブルスはフンと笑って答えた。

「すべてをお持ちの完璧(パーフェクト)ポッター様が、まさかスリザリン寮についてはご存じでない?」

「お前の下手くそなジョークを聞いたら、ケンタウロスだってわかりやすく尋ねてくるよ。『嫌味か』って」

「大丈夫、ただの嫌味だ」

「嫌味を言うなよ仲間に。ジェームズのこと嫌いなのか?ドラゴンから助けたくせに」

「……べつに」

 ただ少し、胸にうずまいた苦々しいものを吐き出したかっただけだった。

 

 最終的にはシリウスに「お前はジョークとか嫌味とか、もう全部禁止。なんか腹立つから」と言い渡されて終わった。

 ちなみに従う気はない。

 

 

 

 そんなことを考えながら閉じ切った個室で息を殺していると、真ん中にいるジェームズの手元に薄明かりがともった。オミニスだ。オミニスの絵が、いっしょに描かれたランプに火をともしていた。

『……女の子2人は無事に戻ったよ』

 肖像画の移動距離がどんなものかはよくわからないが、部屋の外の絵にでも入って様子を見てきたらしい。

 上級生の知識をポケットに入れておけるのは便利だ。もちろんいっとき借りておくだけなのだから、聞きだしたいことがなくなれば返すつもりではある(とはいえ、自寮の知識をもった肖像画から聞きたい話が尽きるなんてこと、あるだろうか?)。

 

 あとはこのまま3人でDADAの先生をさぐるだけだ。

『先生を捕まえる』と決めた5人は、先生を見張ることにしたのだ。その目的は先生の悪事を……ADA(エイダ)とのやり取りを目撃することではない。目撃したって一見そうだと判らないように誤魔化すだろうし、悪事をしたという証拠が必要になってしまう。

 そして、"悪事をしたという証拠"はなかなか出てこない。なにせ彼らの活動は『危険な呪文を研究している』というだけだ。DADAの研究室に危険な本があるというだけでは証拠にならない。教科自体が危険だからその教材や資料が危険でも当たり前だからだ。

 仮に生徒の部屋にあったのを目撃したり手に入れても『そこにあった』証拠がない。そもそも、生徒の寝室を全部探ってまわるのはセブルスにだって無理だ。

 

 だから今回は先生がいつADAと例の"会合"を行うか、その日程を調べにきたのである。その上で、信頼できる先生を引っ張り込んで目撃させるつもりだ。この日に何かあるかもと当たりをつけたのはオミニスで、誰かと会うような手紙を見たそうだ。

 それでももしも先生が捕まらなかったら、シリウスが都合した魔法のカメラがある。イースター休暇中リリーに貸していたそれは、返却されてからずっとシリウスが持っているのだから。その証拠写真を信頼できる先生に提出したい。

 

 すでにマクゴナガル先生には、切り裂きの被害にあった絵をグリフィンドール3人組から提出してある。オミニス本人だって証言をした。

 ただ「どこにあった絵なのか」だけは「自分たちにだけ入れる部屋です」とは説明できなかった。だから「犯行があったのはスリザリン寮の談話室だった」とオミニスが証言するにとどまった。

『オミニスはスリザリン寮監のスラグホーン先生が犯人の関係者なのかわからなかったので、グリフィンドール生に助けを求めた』と口裏を合わせたのだ。

 3人はそうやって「次に何か怪しいものを目撃したら報告するから何とかしてください」と協力を取り付けたのだった。

 

 ことは順調に進み、DADAの研究室から生徒たちが退室してからも3人のことはバレていないようだった。

 それは当然だったかもしれない。これまでの試練や様々な出来事の合間、5人はこっそりと行動しなくてはいけなかった。存分に鍛えられたと言ってもいい。

 だから、約束の人物が姿をみせてもどうにか息をのみ込むだけで済んだ。

「しばらく見ないうちに……そう、研究に熱心でいらっしゃいますね。昨年の先生は整頓がお好きな方だったのでしょう」

 もって回ったような口ぶりだ。それによく知った注意人物。

 クローゼットのすき間からは、なでつけたプラチナブロンドからとがり気味の顎までがはっきり見えた。

 

 3人にとっては当然すぎる人物でもある。

 ADA(エイダ)の黒幕がマルフォイなのだとすれば、先生と連絡を取り合っていないわけがない。

"ほぼ確信"だったことが"完璧に確信"になっただけだ。

 

「体調などにお変わりはないですか。どうもDADAの授業は先生が長続きなさらないので、理事のお歴々も次年度に気を揉んでいるようで」

「良くはないわ。……今年度の初めの方から、ずっとね。授業のジンクスは私たちの世代も同じだった」

 ふっ、と小馬鹿にしたような息が聞こえた。先生のそれをつまらない冗談だとでも思ったのだろうか。

 

「──研究はいかがですか。なにか面白い発見があれば是非、……価値ある生徒には授けて頂きたいのですが」

「伝えられるものは伝えているわ。全て。……寮の発見もみなで共有すべきかしら?

 生徒の一人から『次はハッフルパフ寮に』と報告が」

「大挙して調べまわり大怪我を負っては大変だ。例の部屋がどのようなものかわからない以上は、最低限であたるようお勧めしよう。……我が寮の生徒が被害に遭っては困る」

「では次回で釘を刺しておきましょう。知る人数を増やさぬよう」

 たしかに合格者(オミニス)の解説を聞かなければ、あれがそれなりに安全な試練だとはわかるまい。

 

 ジェームズが皮肉っぽく口角を上げた。

「どうも同胞にはお優しいみたいだね。良かったじゃない」

「ああ、本当に。それほどお優しいとは知らなかったな。……スリザリン生から沢山けが人が出たら怪しまれるのはあいつだからだ」

 正確には"普通でないことが起きる=マルフォイが怪しまれる"だ。怪我じゃなくても。

「だろうね」

 

 クローゼットひそひそと話している間にも先生はなにごとか打ち合わせをしていた。それによると、先生が何かでっち上げて、いわば先生公認でハッフルパフ寮に乗りこむ腹づもりのようだった。先生まで巻き込まれてはスピード勝負でこちらがかなり不利になる。急がなくてはならないようだった。

 

 耳をすませて会話の流れを追っていると、しばらくしてから肝心の情報が出た。

「──念のためうかがっておこう。そろそろ今年度の最後のクラブ活動だ。活動日はいつ頃をご予定か?」

 

 

 

 

 

 




パーフェクト・ポッター……
つまりポッター・PP?とかひらめいた

RTAパートは本編と活動報告、どっちが好き?

  • 【活動報告】にあげて欲しい
  • 【本編】にあげて欲しい
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