悲報。BSS漫画世界に転生した純愛を渇望するTS転生者。うっかり主要キャラ(間男含む)の脳を破壊して回ってしまう……   作:ハーメルンオリジナル投稿用

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普段は一発ネタの二次創作を上げているものです。
ですが、今回は思い切ってオリジナルで書いてみることにしました!
初挑戦なのでタグ付け等が間違っていましたらアドバイス等を頂けると幸いです。


プロローグ

 

 

 

 スマホから聞こえる嬌声。

 通話中の相手の名前を表示する欄には、一ノ瀬 由奈(ゆな)という名前。

 

 僕がずっと想いを寄せていた幼馴染の名前が表示されている。

 

『今日、由奈の全部俺のものにするから』

 

『いいよ……私の……全部……』

 

 声が聞こえる。よく知っている男の声。

 声の主はクラスこそ違うが、その並外れたルックスから学年では有名なヤツだった。

 

 月皇(つきがみ) ユウト

 

 それが、幼馴染だった彼女と結ばれた男の名前だ。

 

 二人が愛し合っている声が聞こえる。

 その声の後から、喘ぎ声は一際激しくなった。

 二人の繋がりは僕と由奈との関係よりずっと強固なものになったのだろう。

 

 そんな二人の愛し合っているところを、僕はただ、スマホ越しに聞いていることしか出来ない。

 

 ただ、もしも、僕が由奈に想いを伝えられていたのなら……

 

 

 

 

 

 僕がもっと早く君にてを伸ばせていたのなら、あるいは違う結末もあったのだろうか。

 

 

 

 

 

『ごめんね……今はもう、ユウトの方が好きなの……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるな!ふざけるなぁ!馬鹿野郎!!これのどこが青春幼馴染純愛作品だ。野郎騙しやがったなあああ!」

 

 という感じのBSS漫画を(仲の良い友達に騙されて)読んで脳が破壊されたのが俺だ。

 前に日常系と偽って、友達にほのぼの詐欺系鬱アニメを薦めた仕返しだろうか。友達の野郎は俺にとんでもない作品を薦めてきやがった。

 

 圧倒的画力。その画力から繰り出される序盤に展開された幼馴染同士の甘酸っぱい青春。それはまさに(前半部分は)120点満点の純愛神漫画だった。こうして、ご丁寧にブックカバーをつけて表紙を隠して貸した友達の策略に嵌ってしまった俺は、すっかりジャンルを誤認したまま読み薦めてしまった。

 

 なかなかくっつかない二人に対する焦ったい思いを抱きつつ、俺は漫画を読み進めていく。そして、きたる純愛イチャラブエンドに備えて待機していた俺は、しかしながらその期待を裏切られることになった。

 

 この漫画、最終的には幼馴染の少女の方が同じ学年の間男イケメンに誑かされた挙句最後は媚薬で堕とされるというNTR(ただし寝てない)とBSSの最悪の脳破壊コンボを決める漫画だったのだ。

 

 BSS。それは、先に好きだった相手が片思い、すれ違いの間に他人に奪われてしまうという脳破壊ジャンルの一つ。

 

 その破壊力と押し寄せる虚無感、そして残される何とも言えないやるせなさは凄まじいものだ。

 

 一連の様子を最高クラスの作画と丹念な心理描写を組み合わせた、正に脳を破壊する為に描かれた俺が読んだその作品の破壊力は筆舌に尽くし難いものだった。

 

「か……回復を……純愛イチャラブ成分を……」

 

 このままでは、再起不能になってしまう。そう考えた俺は、絶対に作品の後書きまで読むという普段のポリシーさえも投げ捨て速攻で借りた漫画閉じると、一刻も早く破壊された脳を癒す為、純愛作品を求めて家を出たのだった。

 

 そしたら、まさかの居眠り信号無視トラックに遭遇し追突された。

 

 脳を破壊され元気のなかった俺は反応が遅れてそのまま命を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、神様の悪戯か俺は転生した。今は星之宮家という恵まれたお金持ちの家でTSお嬢様をやっている。

 

 今世の名前は星之宮 結奈。

 

 今世の俺は、四分の一程西洋の血が入っているクウォーターだからか、私見ではあるもののまるで西洋人形のように可愛らしい容姿をしていると思う。

 

 最初は、TS転生に絶望した。

 かつての相棒を失った喪失感によって失意のどん底だった。

 

 加えて、周囲とも精神年齢の差があり、自身の性別への違和感が拭えなかったからか周囲に全く馴染むことが出来ず、結局友達一人出来なかった。

 

 そんな俺のことを、今世の家族はそれでも愛し続けてくれた。

 

 だが、その家族の愛が、逆に益々俺をいたたまれない気持ちにさせた。

 

 だが、そんな負の連鎖に陥っていた時のことだ。俺は第二の人生で生きる目的を見つけた。

 

 

 それは、奇跡だった。

 

 

 たまたま偶然に見かけてしまったのだ。

 かつて俺の脳を粉々に破壊したBSS漫画。その中で回想で少しだけ描かれていた幼い頃の主人公とヒロインだった少女。まだ将来起こる悲劇を知らず、ずっと一緒にいると想いあっていた頃の二人が一緒に遊んでいた姿を。

 

 俺の見たかった光景がそこにあった。

 

 そう、俺は、あの日俺の脳を粉々に破壊した漫画の世界に転生していたのだと気付いた。

 

 同時に俺は、この世界ですべきことを理解した。

 

 俺の手で必ずや純愛を成就させなければならないのだと。

 

 そう決意した瞬間、何だか生きる気力が漲ってきた気がした。

 

 それから、俺は二人の純愛を成就させる為に備えることにした。

 

 ヒロインの少女。一ノ瀬由奈は確かテニスを習っていたはずだ。ならば、いずれ同じスクールに通って友達になろう。

 

 

 丁寧な描写のおかげで主人公が通っていた塾も既に特定済みだ。その塾にいずれ入塾し、主人公とも親交を深めよう。

 

 

 間男の名前は存在が憎らし過ぎて読み飛ばしていたから覚えていないが、髪を金髪に染めたピアスを付けているチャラ男だということは覚えている。それに、二人と一緒に同じ学校へと通えば自ずとわかるだろう。後はそいつを徹底マークしてBSSフラグとNTRフラグを全てへし折れば、俺の理想の世界を、幼馴染同士のイチャラブ純愛を眺めることが出来る。

 

 待っていろよ間男野郎。俺がいる限りお前の出る幕は全て無くしてやる。そして、待っていろよ主人公くんとヒロインちゃん。必ず俺が純愛幼馴染カップルとして成立させてやるからな。

 

 とは言え、それはまだ先の話だ。今の俺はまだ小学生。将来の計画を練りながらも、今は普通の子供として振る舞わないといけない。

 

 とりあえず、今日は友達の家に遊びに行く。

 最近やっとできた唯一の友達の家だ。

 その友達は、ボッチだった俺に声をかけてきて友達になってくれた愛いやつだ。一人だけとはいえ、やっと友達が出来たことで俺の今世の両親も狂喜乱舞してくれた。ようやく家族のみんなを安心させることが出来たので、俺はそいつと友達になることができて本当によかったと思っている。お礼に今日遊ぶポ◯モンでは厳選を重ねた最強パで一足先に大人の遊び方というものを教えてやろう。

 

「着きましたよお嬢様。それでは行ってらっしゃいませ」

 

「うん、()()()の家に行ってくるね!」

 

 こうして俺は、送迎してくれた運転手に子供らしくお礼を行うと、今のところ唯一の友達、()()()()()の家に遊びに行った。

 

 

 

 

 

 全ての脳破壊の連鎖はここから始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TS転生者が読まなかったBSS漫画作者による後書き。

 

 実は、本作の間男である月皇ユウトにもしっかり設定があるんです。

 実は、彼にも小学生の頃からの幼馴染がいて、ユウトはその幼馴染にずっと想いを寄せていたんです。何度も告白して軽くあしらわれていたものの、二人は親友、あるいはそれ以上に仲が良く、遊ぶ時は大体いつも二人でユウトの家で遊んでいました。

 

 幼馴染の名前は()()

 皮肉にも、漢字こそ違いますが同じユナという名前だったのです。

 

 ですが、中学生の時、その幼馴染の少女は事故に巻き込まれて命を落としてしまいました。

 

 この事故によってユウトは、目の前で心から愛した幼馴染の少女との永遠の別れを経験してしまったのです。

 

 そこから、ユウトは荒れに荒れ、その後良くない仲間達とつるむようになり、手当たり次第に女へと手を出すクズ男へとなり下がりました。

 

 ちなみに、ユウトがヒロインの一ノ瀬由奈に手を出したのは、自分とは違って幼馴染が生きているのにも関わらず、いつまでも行動せず手を伸ばそうともしない主人公にムカついたからその当て付けですね。特に、同じユナという名前の少女に手を伸ばしても届かなかった経験のあるユウトは、手を伸ばせば届くところにいる少女にいつまでも手を伸ばそうとしないところが本当に嫌いだったのでしょう。

 

 ですが、ユウトは未だに過去を引きずっているので、愛で満たされることは決してないです。

 

 また、ユウトは女に手を出しまくる癖に決して家の自分の部屋にだけは入れませんでした。それは、つるんでいる友達であろうと、堕とした由奈であろうと絶対にです。

 

 何故なら、ユウトの部屋には愛した幼馴染の少女との思い出が綴られた写真が、愛した幼馴染の少女と過ごした時間の全てが今も尚詰まっているからです。

 

 あの頃の幸せだった空間だけは、ずっとそのままにしていたいから。

 

 そして、ユウトが女の子に対して媚薬を多用して堕とそうするのは、一刻も早くドロドロに堕として手元においておかないと不安になって仕方がないからです。そうしないと喪って手遅れになることがあるかもしれないという不安が、ユウトの心の奥底から溢れてくるのかもしれませんね。

 

 

 





ちなみに、前世で一度事故って死んでいるので、今世では警戒度が高まっており確定で事故フラグを回避するものとします。
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