悲報。BSS漫画世界に転生した純愛を渇望するTS転生者。うっかり主要キャラ(間男含む)の脳を破壊して回ってしまう……   作:ハーメルンオリジナル投稿用

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それは間男になる男の前日譚になるかもしれない物語。

いくら女を抱いても決して情欲が満たされることのない間男こと月皇ユウトがまだ小学生だった頃に出会った、一人の幼馴染の少女(TS転生者)に対して少しだけ歪んだ思いを抱いた時の物語。



俺だけが見つけた唯一つ輝ける星

 

 

 

 

 俺には幼馴染がいる。

 彼女の名前は星之宮結奈。

 俺がユナと出会ったのは小学3年生のときだった。

 

 宝石のような碧い瞳、透き通った白い肌。まるで西洋人形のような、小学生とは思えない大人びた雰囲気を持つ彼女に初めて会ったとき、俺は圧倒された。

 

 俺はユナの隣の席だった。その影響か、俺はよくユナのことを目で追うようになった。

 

 ユナはクラスでいつも一人だった。どうにも会話するのが苦手らしい。こちらから話しかけると、しっかりと相槌や一言二言は返してくれる。しかし、自分からは何を話せばいいのか戸惑っているようで、ユナからの会話はなかなか弾まないようだった。

 

 とはいえ、ユナは別にイジメられているわけではない。

 ユナは勉強でも体育でも常にクラスで一番だった。憧れの目を向けているクラスの人間もたくさんいた。

 加えて、ユナの送り迎えをしている黒くて筋肉のごつい一目で強そうな人を見ているから、誰もユナには手を出そうとは思わなかった。後で聞いた話によると、その人は護衛をしてくれている人で、日本の武道に感嘆を覚え、軍を退役した優秀な元軍人だったらしい。

 そんな人が仕えているお嬢様に手を出すバカはさすがにいなかった。

 

 ユナはいわばクラスの高嶺の花といったところだろう。

 

 可愛くて、完璧で、でもどこか近づき難い。そんな感じの立ち位置にいた。

 

 そんな彼女に、俺は勇気を出して話しかけてみた。

 

 最初は好奇心からだろう。ユナのようなお嬢様がどんなことを考え、普段どんなことをしているのか気になって、とにかく色々話した。

 

 すると、ユナは少しずつ俺に色々教えてくれるようになった。

 好きなこと、普段やっている趣味のこと、俺だけが知ることができるユナのことが段々と増えてきた。

 

 意外にもユナは俺と同じゲームをやっていることがわかった。

 

 だから、俺は思い切ってユナを遊びに誘った。

 

「本当に!?行く!行かせていただきます!」

 

 すると、彼女はとても喜んで家に来ると言ってくれた。

 

 そのとき、俺は初めてユナの笑顔を見た。

 

 今まで、俺はユナが笑ったところを見たことがなかった。

 

 いや、俺だけじゃない。俺以外のクラスの、学校の生徒も誰も見たことがないだろう。

 

 その日、俺だけが見ることができた彼女の笑顔はとても可愛かった。

 

 初めて俺の家で遊んだ日、俺とユナはお互い育てていたポケ◯ンでバトルをした。

 

 俺は結構強い方だと思っていたから、最初は手加減してやろうと思っていた。だが、ユナは俺が思っていた以上に強かった。

 

 というか、ガチ勢だった。同じポケ◯ンを全然違う技構成で複数育てていたり、「初手◯舞」とか「マ◯ダの流星群は強い」とか言いながら、俺の手持ちをボコボコにしてきた。

 

 そして、勝った後にユナは俺に向かってドヤ顔をした。初めて彼女のドヤ顔を見た。

 

 俺はバトルに負けたのが悔しくて、その後も俺が持っていた様々なゲームでユナに挑んだ。

 

 そして、その殆どのゲームで負けた。

 

 遊んでいてわかった。ユナはかなりのゲーマーだということが。

 

 結局、俺が勝ったのはたったの一回だけ。マ◯オカートで奇跡的にアイテム運が良かったときだけだった。俺は嬉しすぎて少しみっともなく喜び、ユナは悔しかったのかこっそり台パンしていた。意外な彼女の一面を見ることができた。

 

 その日を境に、ユナはよく俺の家に遊びに来るようになった。

 

「なあ、俺とばっかり遊んでいて大丈夫なのか」

 

「ねえ、ユート。私に他に遊ぶ友達がいると思う?」

 

「なんかごめん」

 

 俺は勿体ないと思った。ユナはこんなに面白い。だから、他のみんなもユナと遊んでやればいいのにと思った。

 

 

 

 

 小学四年生になった。ユナとは同じクラスだった。相変わらず、ユナは一人でオロオロしていたので仕方なく組んでやった。ユナは満面の笑顔で俺にありがとうと言ってくれた。

 

 家でよく遊んでいるうちに、ユナはどんどん猫を被るのをやめて、素の状態を曝け出すようになった。学校での高貴なお嬢様のような雰囲気は、俺と遊ぶときはすっかり消え、学校での大人びた丁寧な言葉遣いが嘘のように、普通にネットスラングのような言葉を使ってゲームに負けた俺を煽ってきたりもするようになった。

 

「いやー、やっぱりお嬢様みたいに振る舞うのは堅苦しくて疲れるんだよね……。その点、ユートと遊ぶときはそういうの気にしなくていいから楽だわー」とユナは言った。

 

「学校ではなんで堅苦しい丁寧語なんだ?」

 

「いや、親から学校では相応しい振る舞いをしろって言われててね……」

 

 そんなたわいのない話をしながら、その日はモンスターを狩るゲームを二人で協力プレイで楽しんだ。

 

「秘薬くれ」

 

「いや、自分で調合しろよ」

 

 

 

 

 

 

 

 小学五年生になった。

 

 段々と俺や周りのクラスメイトたちは異性というものを意識するようになった。俺も、ユナを見る目が少し変わったと思う。

 

 まあ、ユナは相変わらずだった。他のクラスメイトたちには少しよそよそしいが、俺への接し方は全く変わらなかった。

 

 それから、少し変化があった。ユナに二人組でペアを組んでくれる人が現れるようになった。それも、やたらとそわそわした男子たちが。

 

 何故かはわからない。けれど、ユナが他の人とペアを組んで楽しそうにしているのを見ると、何だかすごくモヤモヤするようになった。今までは、俺とだけしかペアを組んでいなかったのに。

 

 遊びに来るのは相変わらずだ。ユナは俺の家によく遊びに来ていて、俺の両親や姉ちゃんともすごく仲良くなっていた。特に姉ちゃんは、ユナに「お姉様」と呼ばれてからメロメロになっていた。

 

 そんな姉ちゃんが誘ったらしく、夏のある日、ユナが俺の家に泊まりに来た。

 

 ユナはすごく楽しそうに「オールでゲーム!」と張り切っていた。

 

 一緒にご飯を食べた後、家の庭で花火をすることになった。

 

 ユナは浴衣を着て、線香花火を楽しんでいた。浴衣は姉ちゃんが昔着ていたもので、ユナの浴衣姿を見た姉ちゃんのテンションはすごいことになっていた。

 

 でも、その時だけは、俺も姉ちゃんが興奮する気持ちがわかった。

 

 浴衣の裾を気にしながら座っているユナのブロンドの髪が、月明かりに照らされて光沢を放っていた。

 

 綺麗だ。

 

 西洋人形のような可憐な美しさ。

 暗闇の中、花火の微かな炎に照らされたユナの整った横顔を見ていると、俺の中の何かが突然炎に包まれたように燃え上がったような気がした。

 

 わからない。こんな気持ち初めてだった。今まで感じたことのない熱が俺の中で湧き上がってきた。

 

 そんなとき、振り向いたユナと目が合った。ユナは俺を見て艶やかな笑みを見せた。

 

 ドクンと心臓が激しく脈を打った。

 

 

 

 

 花火をした後、ユナは姉ちゃんと風呂に入りに行った。

 

 先に部屋に戻った俺は、未だに止まらない心臓の鼓動に段々と不安になってきた。

 

 わからない。本当にどうなってしまったんだ。

 

「おーい、次はユートの番だよ」

 

 一人部屋で悶々としていると、いつの間にか時間が過ぎていたようだ。風呂上がりのユナが部屋に戻ってきた。

 

「ああ、わかっ……!?」

 

 風呂上がりのユナの姿を見て、俺の収まりかけていた動悸が再び激しくなった。

 

 風呂上がりで少し火照っているのか、身体からほんのりと汗を滴らせているユナ。

 

 あまり見たことのない薄い布がふわりと身体に纏わりついた服を着た姿は、今までユナから感じたことのない妖艶な雰囲気を感じた。

 

「ん?この服が気になるの?このネグリジェは着心地が良いからよく着るんだ。薄くて暑い夏には丁度良いんだよねー」

 

 ユナはそう言いながら、見惚れてボーっとしていた俺の方に近づいてきた。

 

「ほら、早く風呂に入って。親御さんたちが起きている間に枕投げして、それから夜更かししてゲームしないと!」

 

 ユナが尚もボーっとしている俺の方を覗き込んだ。

 すると、ユナの身体から甘い匂いが漂ってくる。

 風呂で使っていたシャンプーやボディソープは、いつも俺や姉ちゃんが使っていたものと同じはずだ。それなのに、今感じている匂いは全然違う芳しい香りに感じてしまう。

 

 もしかしたら、ユナの元来の香りと合わさっているのか。そう思うと、普段あまり意識していなかったユナのことまで余計に意識してしまう。慌てて邪念を振り払おうとユナの方へと視線を戻す。すると、丁度こちらを覗き込んでいるユナの胸元が……

 

 覆っている布の間から微かに膨らんだ彼女の胸元の谷間が見えてしまった。

 

「……!ふ、風呂に入ってくる!」

 

「早く戻ってきてねー」

 

 ユナの能天気な声が背後から聞こえたが、今はそれどころではない。

 

 俺は慌てて風呂に入ると、湯船に身体を沈めた。

 

 温まった水が俺の身体を包み込んでくれる。けれど、どうしても心の動悸は収まらない。

 

 それどころか、ユナのことを思い出すと、益々ドキドキと鼓動が早まる。

 

「何でこんなことになってしまったんだ……」

 

 湯船に浸かり続けても、俺は興奮と混乱でいっぱいだった。それどころか、ユナが入った同じ湯船に浸かっていると思うだけで余計に動悸が激しくなってしまった。

 

 風呂から上がって部屋に戻ると、いきなり顔に枕を投げつけられた。

 

「遅いよー!というわけで枕投げを始めます!」

 

 そう言ってユナは確保していた枕を一斉に俺に投げてきた。

 

 まったく。俺が悩んでいたというのにこいつときたら……

 

 その後はせっかく風呂に入ったのが台無しになるほど汗をかくまで二人で遊んだ。

 

 そして、夜中に親に怒られるまで仲良くゲームをして遊んだ。その頃には、溢れていたあの変な状態も不思議と収まっていた。

 

「流石に今日はもう寝ようか。それじゃあ、私はこっちね」

 

 そう言ってユナは俺の隣に布団を敷くとそのまま毛布を被って横になった。

 

「いや、え!?隣!?」

 

「それじゃあおやすみー」

 

 そして、俺が戸惑っているうちにユナはそのまま眠りについてしまった。

 

 

 ドクンと再びあの鼓動が聞こえてくる。

 ユナを起こしたら申し訳ないから、俺も部屋の電気を消して自分の布団に潜り込んだ。

 

 スー……スーと規則正しい寝息が隣から聞こえてくる。

 

 眠れない。動悸がどんどん激しくなって目が閉じられない。

 何とか落ち着いて眠ろうとしても、隣のユナのことを意識してしまって、まるで落ち着くことができなかった。

 

「むにゃむにゃ……」

 

 そのときだった。ユナが眠ったまま俺の布団の方へと転がってきた。

 

「……!!!」

 

 鼓動が早まっていく。風呂の時よりも鼓動が激しくなる。

 俺の顔のすぐ横で、耳の近くでユナの寝息が聞こえてくる。ユナがそのまま密着した俺の腕からは、温かいユナの温もりを感じる。

 

「!!!!!」

 

 結局、その日の夜、俺は一睡もできなかった。

 

「おはよー……ん?あちゃー、ちょっと寝相悪かったかも。ごめんね、ユート」

 

「いや……いいよ……」

 

「なんか目が充血してるけど大丈夫?」

 

「興奮して眠れなかっただけだ」

 

「……!そっか!ねえ、また泊まりに来てもいい?友達の家に泊まるのはやっぱりとっても楽しかったから!」

 

 そう言って、ユナは嬉しそうに笑ってくれた。

 

 そっか……楽しかったか。確かに、色々あって俺は眠れなかった。でも、ユナと過ごした時間はとっても楽しかった。

 

「ああ、またやろう!お泊まり会!」

 

「うん!なんだったら次は私の家に泊まりに来てもいいからね!」

 

 そして、ユナは家に帰っていった。

 

「ユナちゃんすごく可愛かったわねー!!あんたも役得よ。ユナちゃんの浴衣姿やネグリジェ姿が見られて。きっと学校中探してもあんたしか見たことない奇跡の光景よ!」

 

 そう熱く語る姉ちゃんの言葉を聞いた瞬間、ドクンと心臓の鼓動が聞こえた。でも、その鼓動はたぶんユナを見て純粋に感じた最初の時とは違うものだった。

 

 そっか。俺だけが見られたんだ。

 

 そう思った途端に高揚感が溢れてくる。

 

 あのユナの浴衣姿も、ユナのネグリジェ姿も。いや、ユナが俺の家に来た時だけ見せる着崩したカジュアルな姿をしているところも、ユナがゲームで一喜一憂している姿も、ユナが悔しくて台を叩いている姿も……

 

 全部、俺だけが見ることができたんだ。

 

 その瞬間、俺はユナに対して抱いている思いをはっきりと理解した。

 

 俺はユナのことを異性として、好きな女の子として意識していた。

 

 そして、そんな意識しているユナが、唯一親しくしているのが俺だという事実に途方もない優越感が溢れてきた。

 

 けれど、同時にこうも思った。

 

 もしも、ユナに俺と同じくらい、あるいは、俺より仲良くなったやつができたら、ユナはそいつにも、俺にだけ見せた浴衣姿や笑顔を見せるんじゃないかって。

 

 そう考えるだけで、今度は今までと違う醜い感情が溢れ出てきそうになる。

 

 そんなの嫌だ。絶対に嫌だ。

 

 ユナの隣にいるのは俺だけで十分だ。

 

 ユナの話相手は俺だけでいい。二人組のペアの相手も、一緒に遊ぶのも全部。

 

 もう、ユナのことを他のやつにもっと知ってほしいなんて思わない。

 

 俺だけでいい。

 

 ユナの本当の可愛さも、ユナの意外な面白さも、ユナの意外な一面も、全部俺だけが知っていればいいんだ。

 

 ドロリとした感情が俺の中に芽生えた気がする。

 けれど、この感情はもう止められない。

 

 いつのまにか、ユナのことを考えるだけで俺の心はすっかりおかしくなってしまっていた。

 

 

 





その頃のクソボケTS転生者こと星之宮結奈さん11歳。

「きっとユートはまだ子供だから、夜更かしゲームが楽しすぎて眠れなかったんだろうな〜。あー楽しかった」

たぶん、脳以外にも色々と破壊されるユートくんのお話でした。

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