シャンフロのシリアスもギャグも全部入れちゃえ二次創作集   作:しゅう@ハーメルン

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楽玲付き合ってるぜ!つか、正直ネタは前回と一緒だぜ!
それでもいいやつだけが先に進みな!


【楽玲】クソゲーマーの恋愛メモリは如何程か?

 

 人気の少ないゲームショップ内で話し込む人間が二人。

 片方はゲームソフトの入った袋をぶら下げながら、もう片方はレジの後ろに肘を突きながら会話をしている。

 

「────あ、わかる。そういう手抜き最近多くなってきたよねー、特にインディーに」

 

「そうなんスよ。でも別にクソゲーってレベルの手抜きじゃないんで俺も嬉しくないし……単純に業界全体に悪影響じゃ?」

 

「まーでも、そろそろVRもレッドオーシャンだからね。どっちともつかないのが一番増える時期だよ」

 

「シャンフロだけ飛び抜けてますけど、他はまだまだ群雄割拠ですかね」

 

「そりゃ、あの化け物に比べれば全ゲーム同レベルだよ。シャンフロエンジンとかもまだまだ入れてるとこ少ないし」

 

 そう言って、店主の女性はため息をついた。

 

 

 どうやら二人は、特に何をするでもなくずっとそうやって駄弁っている様だ。

 それはある意味でいつもの光景であり、この店では何もおかしいことではない。彼らのお喋りは今に始まったことでなく、マイバッグ持ちの少年────陽務楽郎が買い物に来た時には必ず発生する出来事だからだ。実際、今もいつもの様に彼が買い物に来て、そのついでに話をしているだけである。

 

 …………だが、今日は少し様子が違った。

 彼ら自体は(・・・・・)いつも通りでも、他の部分────つまり他者の部分で、二人の関係性は大きく変わっていたのである。

 

 

 ある程度会話をしたところで、店主である岩巻はそのポニーテールを少し揺らし体勢を整えた。

 

「そういえば、ちょっと君に聞きたいことがあるんだけど」

 

「え、何か?」

 

「いや、玲ちゃんのことでちょっと」

 

「…………斎賀さん?」

 

 楽郎は、突然の話題の方向転換に少し頭をひねる。

 だが、よく考えればこの人いつもこんなんだったな、と思い直してすぐ考えるのをやめた。(尚、そのほとんどが当の彼女の恋を応援するためにしていたことだと彼は気づいていない)

 

 楽郎が視線を戻すと、そこには意地の悪そうな笑みを浮かべている岩巻の姿があった。

 

「そーそー、斎賀ちゃん……いや、君の『恋人ちゃん』について」

 

「……言い方絶対悪意ありますね、言い直す必要ないですよね?」

 

 最近できたばかりの恋人、斎賀玲について彼女があまりにも露骨に触れるものだから、楽郎はそれに露骨に嫌そうな顔を返す。

 だが、相手はそれを一切意に介さない様子であさっての方向を見て笑う。

 

「エ、キノセイデショー? ワタシソンナコトシナイワヨ?」

 

 これまた露骨な誤魔化しに呆れる楽郎。これが外道たち相手ならば何か煽りをくれてやるところだが、残念ながらここはリアル。しかも彼女には色々良くしてもらった恩もある。そこで自制できないほど、今の楽郎は子供ではない。これに返したら負けだな、と思い、彼はそのままスルーすることにした。

 

「……そうすか。で、その『彼女ちゃん』について何の話が?」

 

 楽郎がそういうと、岩巻もそのまま話を戻す様に言った。

 

「うん、聞きたいのはちょっと……あの子の呼び方についてなんだ」

 

「……あー」

 

 その言葉を聞いて、楽郎は少しいたたまれなさそうに視線を逸らした。

 だが、それで彼女の言葉が止まるわけでもなく、そのまま言葉は続いていく。

 

「前は玲さん玲さんって呼んでたのに急に斎賀さん(みょうじ)呼びになったよねー。喧嘩って話は聞かないし、何でなの?」

 

「……………」

 

 

 

 沈黙する楽郎。視線は腕に下げられたマイバッグに向けられている。

 

 

「………無視しないでよ。おーい、どうしたー? 聞いてるー?? なんか訳あるんでしょー?」

 

 

 

 沈黙。というより言おうとして躊躇っている様な。

 

 

 

「……………まさか、恋人の名前を呼ぶのが恥ずかしいとかじゃないよねぇ?」

 

 

 

「」

 

 

 

 赤面。

 

 

 

 

「…………あ、マジ?」

 

 

「ぐ」

 

 

 もはや、顔が紅葉色にまで変わり果てた楽郎。

 どうやら理由を見透かされたことがよほど恥ずかしいらしい。

 

 その様子がどこかおかしくて、岩巻は苦笑いをした。

 

「あー、適当言っただけなんだけど……当たっちゃったかぁ。へぇ、ふーん、陽務君にもそんな感性あったんだねぇ」

 

 そう、普段はしない様なニヤけるのを堪えた様な顔をして、岩巻は視線を泳がせる。

 と、そこで、ついに楽郎が口を開いた。

 

 

「……仕方ないじゃないですか。恋人なんだって思うと、なんか名前で呼ぶの恥ずかしいんすよ」

 

 

 

「…………ブフッ」

 

 吹き出す岩巻。

 

 

「いや笑わないでくださいよ……」

 

 そう言って、彼はジト目で岩巻を見つめた。

 その視線に気がついたのか、彼女は笑いながら謝る。そして今度はどこか惚けた様な表情をした。

 

「はあ……これが青春ってやつかしら。いいわねぇ、恋…………」

 

 そういって、岩巻は心なしか頬を染めてため息を吐いた。

 その様子は、どこか遠い過去の記憶を思い出している様である。それは何かへの後悔か、憧憬か、あるいは確認だろうか。だが、彼女が今の旦那との大恋愛で「色々あった」ことを知っているので、楽郎は「リアル恋愛に前向きな岩巻さんも珍しいな」と思う程度に済ませて何か突っ込んだりすることはなかった。

 しかしそれにしたって恥ずかしいものは恥ずかしい。楽郎は頭を掻きながら口を尖らせる。

 

「揶揄うのやめてくださいよ岩巻さん。あんまり言いたくないんすから」

 

 その言葉で岩巻はすぐ正気に戻り、再び楽郎の方へと向き直った。そして、いつも通りの笑顔で笑う。

 

「おっと、揶揄ってるつもりはなかったんだけどね。単純に陽務君にもそんな青春があってよかったなぁって思ってただけ。もうとっくにゲームに頭支配されてると思ってたから」

 

「俺のことそんなだと思ってたんですか…………いや、割と俺自身もそう思ってましたけど」

 

「ほんとほんと。それがここまで変わるとは………可愛い恋人持ててよかったねぇ」

 

「……俺的にはそれよりも、一緒にゲームしてくれることのが嬉しいすけど」

 

「おっ、早速惚気かい? いいねいいね、これからもどんどんお姉さんに恋愛相談しちゃいなよ」

 

「……じゃあ、機会があれば」

 

「おっ、色良い返事。アッマいの期待してるよ〜!」

 

「まあ、軽くにしといてください」

 

 そうして、二人の会話はそこで一旦途切れると、今度はまたゲームの話題へと戻って行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 楽郎が店を去ってからしばらくして。

 

 

「…………まー、そう言うことらしいから。あんまり落ち込む必要もないんじゃない?」

 

「ひゃ、ひゃいひぃ………」

 

「……あ、だめだこりゃ、完全にフリーズしちゃってる。まあ、内面吐露シーンはやっぱり王道だからねぇ」

 

「ば、ばばばば、ら、ららるら楽郎くんが……は、恥ずかかかか」

 

「うーん、もう少し玲ちゃんには恋人の自覚ってのを持ってほしいわよねぇ。その点では陽務君を見習えるといいんだけど。………でも、四年間片思いだった訳だしね。急には無理かぁ」

 

 とりあえず、盗み聞きしかできない癖は矯正しないと─────

 そう言って彼女は動かなくなった恋人さん(笑)を背負うと、そっと店裏の椅子に座らせてあげるのだった。




片方が最初はあんまり深く考えてなかったけど時間経つにつれ意識してくるカップルいいよね……
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