シャンフロのシリアスもギャグも全部入れちゃえ二次創作集 作:しゅう@ハーメルン
斜陽を超えた先、烏合の衆の檄文を読み切ってから来な。
〜〜〜♪
「うおっ」
隣の席から、突如として軽快なメロディーが飛び込んできた。チラと見れば、そこにはなぜか爆音でスマホから曲を流す雑ピが。
……イヤホンのつけ忘れか? 指摘されると地味に恥ずかしいやつだが……いや、俺は奴の友人。そのまま恥を晒すのを見るのは忍びない。ここは指摘してやるのが友情ってもんだろう。
「おい雑ピ、イヤホン忘れてんぞ」
「ばか、聞かせてんだよ」
わざとだった。哀れ雑ピ、遂にピアスの菌ので頭がおかしくなってしまったらしい。まあ大凡手遅れだろう、葬儀には並んでやらんでもないぞ。
「違うわ! 不謹慎なこと言うんじゃねぇ! 布教ってやつだよ、布教!! この素晴らしい歌詞を世に紹介してんの!」
「あらまごめんなさい、うちはセールスお断りしてまして…」
「いえいえ奥さん、そう言わず………ってやめろ! 俺はセールスマンじゃねぇ、というか今どきいねえだろそんなセールス! いつのネタだ!」
「知らん。が、武田氏の時代にはもういなかったらしい」
「誰だよ武田氏」
「………恩師?」
まあ人生相談の相手という意味では間違っていないはず。
「ほーん……って、んなこたどうでもいいんだよ。いいからいっぺん聞けって。昨日ネットで出会ったんだけど、歌詞がめっちゃ洒落てんだよ」
「ええ…」
正直に言えば、めんどくさい。べつに対して興味もない、名前も知らんアーティストの曲など聞こうとは思わん。
……が、コイツは言っても聞かないタイプだし、聞く以外に道はなさそうだ。まあ、雑ピも一応ポエマーとしてある程度実力はあるっぽいからな。そいつがいいと言うからには酷い歌詞ってこたないだろう。
そんなわけで、俺もイヤホンはつけずそのまま流れてくる曲に耳を傾けた。
〜〜♪ 〜〜〜〜♬
聞こえてくるのは、今どき珍しいほどに熱を持った、寧ろ騒がしいほどの、大きな力を伴った歌。言葉の一つ一つ、声の出し方の細かいところまで、その歌に対する歌手の想いがひしひしと伝わってくる。
そして、その肝心の歌詞だが………
「……ん? んんん???」
まて、なんかこの声……というか、このフレーズって…?
俺は、初めて聞いたはずなのにどこか馴染みのある歌詞に首を傾げた。
「たのしい……ふくしゅう…?」
そしてその瞬間、俺の脳内にある景色がフラッシュバックする。
それは、寂しげな姿をした一人の男性。そんな彼が最後に放った、一つの言葉。
『———今の言葉って、著作権とかありますかね?』
「—————あ」
その瞬間、俺は全てを理解した。
この歌手が歌へと込めた思いも、その対象も、そして……この「神阪紫夕」なる者が何者なのかも。
「………………」
自分のやらかしに気が付いたところで、時すでに遅し。見れば再生回数はとっくに万を越え、すでに電子の海の一つの大波となっている。もはやちっぽけな俺のできることといえば、ただ顔をひくつかせながら一言話すことだけで。
「……おれ、今やっとお前がポエム晒されてる時の気持ちがわかったわ………」
「………え、なんで今?????」
これからは、ちゃんと決め台詞に著作権をつけようと思いました。まる。