シャンフロのシリアスもギャグも全部入れちゃえ二次創作集   作:しゅう@ハーメルン

5 / 10
原作ネタバレあるよ。
斜陽を超えた先、烏合の衆の檄文を読み切ってから来な。


楽しい復讐、然れど彼には黒歴史

 

 

 〜〜〜♪

 

「うおっ」

 

 隣の席から、突如として軽快なメロディーが飛び込んできた。チラと見れば、そこにはなぜか爆音でスマホから曲を流す雑ピが。

 ……イヤホンのつけ忘れか? 指摘されると地味に恥ずかしいやつだが……いや、俺は奴の友人。そのまま恥を晒すのを見るのは忍びない。ここは指摘してやるのが友情ってもんだろう。

 

「おい雑ピ、イヤホン忘れてんぞ」

 

「ばか、聞かせてんだよ」

 

 わざとだった。哀れ雑ピ、遂にピアスの菌ので頭がおかしくなってしまったらしい。まあ大凡手遅れだろう、葬儀には並んでやらんでもないぞ。

 

「違うわ! 不謹慎なこと言うんじゃねぇ! 布教ってやつだよ、布教!! この素晴らしい歌詞を世に紹介してんの!」

 

「あらまごめんなさい、うちはセールスお断りしてまして…」

 

「いえいえ奥さん、そう言わず………ってやめろ! 俺はセールスマンじゃねぇ、というか今どきいねえだろそんなセールス! いつのネタだ!」

 

「知らん。が、武田氏の時代にはもういなかったらしい」

 

「誰だよ武田氏」

 

「………恩師?」

 

 まあ人生相談の相手という意味では間違っていないはず。

 

「ほーん……って、んなこたどうでもいいんだよ。いいからいっぺん聞けって。昨日ネットで出会ったんだけど、歌詞がめっちゃ洒落てんだよ」

 

「ええ…」

 

 正直に言えば、めんどくさい。べつに対して興味もない、名前も知らんアーティストの曲など聞こうとは思わん。

 ……が、コイツは言っても聞かないタイプだし、聞く以外に道はなさそうだ。まあ、雑ピも一応ポエマーとしてある程度実力はあるっぽいからな。そいつがいいと言うからには酷い歌詞ってこたないだろう。

 

 そんなわけで、俺もイヤホンはつけずそのまま流れてくる曲に耳を傾けた。

 

 〜〜♪ 〜〜〜〜♬

 

 聞こえてくるのは、今どき珍しいほどに熱を持った、寧ろ騒がしいほどの、大きな力を伴った歌。言葉の一つ一つ、声の出し方の細かいところまで、その歌に対する歌手の想いがひしひしと伝わってくる。

 そして、その肝心の歌詞だが………

 

「……ん? んんん???」

 

 まて、なんかこの声……というか、このフレーズって…?

 俺は、初めて聞いたはずなのにどこか馴染みのある歌詞に首を傾げた。

 

「たのしい……ふくしゅう…?」

 

 そしてその瞬間、俺の脳内にある景色がフラッシュバックする。

 それは、寂しげな姿をした一人の男性。そんな彼が最後に放った、一つの言葉。

 

『———今の言葉って、著作権とかありますかね?』

 

 

「—————あ」

 

 その瞬間、俺は全てを理解した。

 この歌手が歌へと込めた思いも、その対象も、そして……この「神阪紫夕」なる者が何者なのかも。

 

「………………」

 

 自分のやらかしに気が付いたところで、時すでに遅し。見れば再生回数はとっくに万を越え、すでに電子の海の一つの大波となっている。もはやちっぽけな俺のできることといえば、ただ顔をひくつかせながら一言話すことだけで。

 

 

「……おれ、今やっとお前がポエム晒されてる時の気持ちがわかったわ………」

 

 

「………え、なんで今?????」

 

 

 これからは、ちゃんと決め台詞に著作権をつけようと思いました。まる。

 

 

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