GT後の悟空が逆行して超ルートに入る話   作:亜希羅

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 火を付けろ。燃え残ったすべてに。

 その結果、他のことに手が付けられなくなったので、適当に書きかけ小説をさらします。成人後のドラゴンボールZ編に行きつくまでどのくらいかかるでしょうねえ?


【序】神々による異説談義

 

 始めに混沌があった。それはやがて虚と実に分かれ、清濁を生み出し、混じり合い、別れ合いを繰り返し、天と地を、人を生むに至った。

 

 ・・・というのは、とある星のとある種族における天地創造の神話の一節である。

 

 あながち間違いではない。ただし、天地ではなく星々、とされるべきだろう。

 

 この宇宙の構造は実際はこうだ。

 

 まずは、東西南北に星々を内包する銀河がある。その上に地獄。そこに蓋をするようにあの世を統括する閻魔界が存在し、その上にいわゆる天国がある。

 

 そして、そんなあの世の東西南北の端に、全長100万キロに及ぶ蛇の道が伸びて、その先端に各銀河を統括する界王たちのいる界王星が座している。

 

 東西南北の銀河を統括する大界王のおわす大界王星は、天国のさらに上に位置し、さらにさらにその上に界王たちどころか、その宇宙すべてを統括する界王神と、破壊神のいる神域が存在する。

 

 なお、先ほどから述べている“上”というのは、あくまで概念上のものであることを注釈する。

 

 で、これがいわゆる一つの宇宙の構造図である。あの世もこの世もすべてをひっくるめて、一つの宇宙と呼称するのだ。

 

 さらに、こういった構造の宇宙は一つには限らない。全12の宇宙が、あまたの星々と循環する魂を内包している。

 

 ユニバース(単一宇宙)ではなく、マルチバース(複数宇宙)である。

 

 さらに、この12宇宙そのものを包括する一つの世界は、様々な歴史の転換点を経て、複数の平行世界を構築している。

 

 今、その一つの世界の歴史が、大きな節目を迎えていた。

 

 ・・・ほとんどのものが、それに気が付いていなかったのだけれど。

 

 

 

 

 

 「まずいまずいまずいまずいわあ・・・!」

 

 先ほどからだらだらと冷や汗をかきまくりながら壊れたレコードよろしくそんなことを呻き続けるのは、時の界王神である。全知全能の全王から時の管理を任される彼女は、平行世界の均衡維持や、ほかの時間への干渉阻止をその権能としている。

 

 だが、彼女自身はさほど強くない。そこで、ほかの時間からいろいろ訳ありの強者を呼び寄せ、交渉して自身の代理であるタイムパトローラーとして動かすのだ。

 

 そんな彼女が冷や汗しているのは、ほかでもない。

 

 彼女たちの天敵である時間犯罪者たちが、やらかしてくれたのだ。

 

 運悪く、タイムパトローラーたちがほかの時間軸へ出張中にやらかされた。

 

 これはもう、別の平行世界へ派生する。しかも、時間犯罪者たち垂涎の大量のキリを伴いながら。

 

 キリとは、エネルギーだ。時間軸に干渉を入れて正史と差異が発生すると、キリが発生する。連中はそのキリを用いてさらなる悪さを行うのだ。

 

 過度の時間軸への干渉は、平行世界の発生につながり、増えすぎた平行世界は次元を圧迫し、やがてすべてを崩壊へ導く。

 

 かといって、発生した平行世界をおいそれと滅ぼすわけにもいかない。(かの全王は癇癪でそれをたやすく行うだろうが)

 

 時の界王神の務めは、それを防ぐための大事なものなのだ。

 

 だが、これはどうにもならない。

 

 彼女のいるトキトキ都には、ドラゴンボール(万能願望器)があるにはあるのだが、このやらかしは神龍(シェンロン)を持ってもお手上げと言われるに違いない。というか、すでに言われた。

 

 詰んだ。この後に起こることをシミュレートして、彼女は顔を青くする。

 

 この派生した並行世界は、いずれ終わる。ほかの平行世界とは異なり、たやすく終わる。いずれ全王の怒りを買って、消去されるだろう。

 

 他の派生世界はものすごい幸運のもとに成り立っているのだ。

 

 だが、放置するわけにはいかない。前述のとおり、時間干渉を受けた世界は完全な分史世界となる前に、正史との差異によってキリを生み出す。

 

 その差異が大きければ大きいほど、生み出されるキリは大量となり、時間犯罪者たちの懐を温め、企みを悪化させるのだ。

 

 やらかされたこの世界は、今は微々たるものだが、完全分岐する前に、とんでもなく大量のキリを生み出すに違いない。それは防がなければならない。

 

 だが、その破綻は修復不能。どうすればいい?

 

 考えに考え抜いた結果、時の界王神は禁じ手を使うことにした。

 

 

 

 

 

 世界と世界の隙間、流れる時間の果てにも属さない、次元のはざま。

 

 そこは本来、神々の怒りを買った異物が封じられることが多い。大体は暗黒魔界(悪心を持つ魔導士の一派によって築かれた世界)の連中が多い。

 

 だが、違う者もいる。好き好んで自身の拠点をそこに構える者もいる。

 

 美しい庭園だった。新緑の若葉を蓄えた木々に囲まれた白亜の東屋。そこにしつらえられたテーブルセットで、彼女は優雅にお茶をしていた。

 

 ティーカップをテーブルに戻したほっそりした指先が、茶色の焼き菓子を無造作に摘まみ上げる。無造作ながらも、どこか気品を感じさせる所作だ。

 

 テーブルセットの周囲には光る玉が浮いていた。ただの玉ではない。無数の光景を映し出している。庭園とは異なるどこかの密林を映し出しているものがあれば、火を吹く山、崩れる星々を映すものもある。

 

 光る球はテーブルセットの上にもあり、彼女は光の玉の中に映される一つの光景を茶菓子を食べながら優雅に眺めている。

 

 逆立てた金髪にヒスイ色の瞳を持つ青年――ボロボロの山吹の下履きと紺のインナーをまとったヒューマノイドの男が、白と紫を基調にしたトカゲのようにも見える尾を携えた異星人と対峙している。

 

 緑色の空と、青い草に覆われた荒野のような星を舞台にして。

 

 再び彼女がティーカップを取ろうと指を伸ばし、その手を止めた。

 

 眼鏡をかけたその視線が、東屋の出入り口となる階段下に向けられる。

 

 「おや、あいさつもなしに来られるとは。このような下賤な覗き屋のところに何用です?時の界王神君」

 

 からかい交じりの彼女の言葉に、階段下に出現した女性・・・時の界王神は、とがった耳に、彼女たちの種族特有の白髪を揺らしながら、階段を上って東屋の中に入る。

 

 整った顔には、険しさしか感じられなかった。

 

 「まあ、せっかくですからお茶でもいかがです?」

 

 「・・・いただくわ」

 

 彼女の言葉に、時の界王神が硬い声ながらもうなずいたところで、もう一脚椅子が出現する。時の界王神がそこに腰掛けると、いつのまにか出現していたティーカップに、彼女が手ずからお茶を淹れる。特殊な魔法がかかっているので、必要以上に茶が濃くならないという魔法のティーポットだから、味は保証される。

 

 「それで?君が私のところに来るとは、何の用かな?」

 

 「ええ。あなたの力を借りたいのよ。狭間の邪神、ザハ」

 

 一口紅茶を飲んでから、切り出した時の界王神に、ザハと呼ばれた彼女はニコリっと笑みを深くする。

 

 ザハは奇妙だった。先ほどまでは界王神のような黒服を着ていた黒髪に眼鏡の、スタイル抜群の女性ヒューマノイドの姿をしていたと思ったのに、瞬き一つでピンクのフリルをまとった小さな幼女のようにも見え、かと思えば神父服をまとった筋骨隆々の男性の姿にもなるし、何なら衣服をまとわないトカゲのような亜人になることもあるし、真逆、二足歩行する毛むくじゃらの猫人間のような姿にもなる。

 

 変身魔法で変身しているのではない。見る者の認識次第で、そういうようになるらしい。姿かたちなど私には何の意味もない、とザハ本人はうそぶいている。

 

 狭間の邪神、ザハ。

 

 彼女は、暗黒魔界でも12宇宙でもない、全く異なる次元の世界からやってきた神の一柱らしい。

 

 元居た世界には戻れないから、と言って次元のはざまに陣取って、勝手にあちこちの世界や宇宙をのぞき見している。(時間犯罪者たちのように干渉行為こそ仕掛けないが)

 

 あちこちに目を向け、せわしなく考えを巡らせ、タイムパトローラーたちに指示を飛ばすときの界王神からしてみると、野次馬決め込んでるんじゃないわよ!見世物じゃないのよ?!と怒鳴り散らしたくなるが、時折助言めいたことを言ってきたり、はたまたタイムパトローラーたちの助力(と言っても、時間犯罪者たちの魔力を減衰させる程度だが)してきたりするので、あまり無碍にもできない。

 

 邪神とは言うが、悪の類ではない。そもそも、邪とは正しくないこと、ねじ曲がっていることを意味するが、この場合はこの宇宙におけるルールの範疇外に存在するということを意味する。

 

 そういう意味では、ザハは敵ではない。少なくとも、時間を故意に乱す時間犯罪者ではないのだから。

 

 ザハは平行世界を見物するのが好みで、その邪魔をして意図的に歴史を捻じ曲げようとする時間犯罪者を、見世物の邪魔と嫌っているのだ。だから、時の界王神とタイムパトロールに手を貸す。それだけのことらしい。

 

 言動はいささか胡散臭いが、その一点では信用はできる。時の界王神はそう判断していた。

 

 だから、詰んでしまった現状を、どうにか打開するために、彼女――ザハ(果たしてこの三人称が正しいかどうか。女性であることが多いようなので、そう呼んでいるのだが)の力を借りようと赴いたわけだ。

 

 「私の?お言葉ですが、私は見世物に手を加えることは極力控えたい主義なのですが。

 下手にちょっかいを出して全王君をキレさせるのは勘弁したいんですよ」

 

 「その見世物の一部が、このままだと早晩破綻するといっても?」

 

 「と、おっしゃると?

 いや、ちょっと待ってくださいね」

 

 時の界王神の言葉に、瞬き一つで藍色の髪の妖艶な女性姿となったザハはティーカップを置いた右手をくるりと振る。

 

 途端に、東屋の中空に浮いていたいくつもの光の玉のすべてが七色に明滅し、ややあって、元のようにいくつもの情景を映すだけに戻った。

 

 ははあ、とザハは一つうなずいた。

 

 「なるほど。確かにこれは破綻していますね」

 

 「このままだとこの世界は大量のキリを伴いながら、消えることになるわ。

 そうなれば、時間犯罪者たちがより活気づいてほかの歴史に悪影響を与えることになる。

 何とかならないかしら」

 

 時の界王神の言葉に、今度は丸々太った中年女の姿となったザハは、たっぷりした頬に指先を当てて、視線をさまよわせる。

 

 「そうですねえ。できなくもないですよ。欠けたピースがあるジグソーパズルなら、そのピースを補填してしまえばいい。

 簡単な理屈です」

 

 「理屈の上ではね。それができないから、あなたを頼りに来たの。わかるでしょう?」

 

 「当てはありますよ。できないことは言わない主義です。

 ただ、それをするといくつか宇宙のルールに引っかかりそうなのですが」

 

 「何をする気なの?」

 

 尋ねた時の界王神に、長い白銀の髪をなびかせる青年姿となったザハは薄い唇を開く。

 

 ザハの提案を聞き終えた時の界王神はため息をついた。

 

 確かに、理屈はあっている。宇宙のルールに、ぎりぎり引っかかるか引っかからないか、というところだ。だが、詰みの状況を打開するなら、そのぐらいの危ない橋は渡らなければならない。

 

 「・・・お願いするわ」

 

 「自分で言っておいてなんですが、これは本来は歴史改ざんに該当するものですが?」

 

 「これ以上の巨大な改ざんとそれによりキリの大量放出が防げるなら、多少のことは目をつぶるし、サポートもするわ」

 

 「わかりました。後は当事者の意思確認と、報酬準備ですかね。よろしいですか?」

 

 「ええ。問題は・・・あるけどないとしておくわ。

 感謝するわ」

 

 「いえいえ。いつも見世物のバランスを保っていただいてますのでね。このぐらいはご協力させていただきますよ」

 

 ふくふくした小さな幼子となったザハがにこりと笑ったところで、時の界王神は椅子を立った。

 

 「それじゃあ、そろそろお暇するわ」

 

 「そうですか。また何かお困りでしたらいらっしゃってください。私でよければお力になりますよ」

 

 「遠慮しておくわ。あまり頼りすぎると、破壊神や全王様に怒られそうだもの。

 ・・・あなたも、ほどほどにね」

 

 不定形のスライム状になったザハが、触手の一部を手をそうするようにフルリと振ったところで、時の界王神は姿を消した。

 

 それを見終えたところで、ザハもまた白亜の東屋から姿を消した。

 

 

 

 

続く

 




 あらすじでも言ってますが、タイムパトロール周辺の事情は思いっきり捏造しています。

 すみませんね。

 【狭間の邪神 ザハ】
 チョイ役です。戦闘能力としては・・・どのくらいでしょう?公式最強のビルス様と比べると、たぶんあれよりは弱いとは思いますが。
 あの世界の神様ルールを無視して動ける、それでいて神様レベルの強さの存在として、登場させたつじつま合わせ要因ですので、あしからず。
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