なのでここからは二次小説らしくオリジナル設定が増えていきます。
そろそろ、原作剥離タグを入れるべきかもしれない。
暗闇で声が聞こえた。
子供のような、大人のような、男のような、女のような、高く響く音は、どこまで拒絶しようとも、頭の中に響き渡る。
ただ力強く、圧倒的なゆるぎない意思の奔流が、言葉となって脳内を駆け巡る。
「■■■■ッ!? ッ!!?」
男の身体は動かない、叫びの声は空っぽな空気を吐き出すだけで終わった。
『どうした? ほら話してみろ? お前らは化け物なんて自分の力で始末できるんだよなぁ?!』
暗闇を裂いたように白い亀裂が走る。
歪んだ白いひび割れ。
それが口であると気づいた事は、自身の恐怖を倍増させることでしかなかった。
『たかだか、餓鬼共痛めつけただけで、何をほざくか?』
心底呆れたかのように、しかし嗜虐の意思を隠さずに白い切れ目が細長く口角を上げた。
『話せないのか? そうだよなぁ? お前らごときが■に向かって、まともに口を聞いてもらえるとでも本当に思っているのかぁ? まずは、大地に縋りつき、頭を垂れて身の程を弁えるべきだよなぁ』
白い切れ目を起点に、空間が捻じ曲がる。
その歪みは人に似た何かの影を形取り、嘲笑をもって哀れな人間を見下ろしていた。
「■■■ッ、 『わめくなッ!』 ■wepaoghaewiojpwa3ッ!?」
恐れから、吐き出される空気に混じる僅かな音。
それは声とは呼べず、意思の疎通を完全に放棄した支離滅裂な呻きであった。
白い影が男の腕を霞める。
その行為は瞬きの間に行われ、たった数秒前までは確かに存在した右腕が消失するッ?!
まるで獣に食いちぎられたかのように無残な光景が、他人事として眼球に飛び込んでくる。
行き過ぎた恐怖が、身体の動作を完全に拒絶した。
悪夢のごとき現象を受け入れることができず、頭脳は思考を放棄する。
だが、次の瞬間には、今生で感じたことのないほどの痛みを強制的に知覚させられた。
熱せられた刃物で、肉を無限にそぎ落とされるかのような地獄が始まる―――。
『安心しろ、ここじゃあ、何度四肢を削ごうが肉体に傷はない』
二列に並んだ亀裂の奥で、黒い眼球がギョロリとうごめく。
悪意と恐怖を濃縮してもまだ足りない、どす黒い意思が男を見下ろしている。
その視線だけですら、人知を超えた存在を証明するに足るものであった。
『安心しろよ、■はただ心配なだけだ。こんな矮小な人間共が、無知に偉そうにふるまうことがだ』
諭すような口調である。
しかしそこに声の中に、一切の会話の意思は感じられない。
『お前ら自分らの都合だけで、物事捻じ曲げること得意だもんなぁ』
「ッ!???」
白い影。
今回ははっきりと捉えることができた。
頬を裂き、大口を開く大蛇の姿。
喉元を食いちぎり、哀れな人間の頭と胴体が二等分にされた。
『何の糞の役にも立たない自尊心だけはいっちょ前―――』
喉元に気を取られた次の瞬間には、胸の中心に鋭い痛みが走り、肋骨を掠めて大穴が開くッ!
『理は、人の都合なんて聞き入れないのになぁ』
人よりも巨大な目が、男の眼前に迫る。
しかし不思議なことに、無残に身体を食い散らかされてなお、男は意識を失うことが出来なかった。
『こんな、呪われた世界で明日からも無事生きてけるかぁ。いつか来る呪霊に尊厳もろとも、喰い散らかされて死ぬその日までの儚い人生をよぉ』
こんな化け物が存在するなんて知らなかったと男は思う。
この化け物に比べれば、座敷牢に押し込めていた双子はただの子供でしかなかったと、認識させられる。
どうすれば―――、
勝てない―――、
抵抗してはいけない―――、
逆らってはいけない―――
敵意をもってはいけない―――、
自身の矮小さを自覚させられると共に、都合よく歪めていた世界の在り方を正しく知覚させられた。
この狭い世界の中で、弱者が好き勝手に生きることなど、許されてはいない。
『■が恐ろしいかぁ』
恐ろしかった―――、恐ろしかった……。
嘘、偽り、まるで世界の全てを見透かしたような視線に晒される。
声さえ、息さえ許されず、人生のすべてを晒されて、地獄の時間は過ぎていく……。
幾千、億を過ぎて、那由他すら超えるかと思える無間地獄が過ぎていく。
終わるはずのない地獄の果てで、三日月のように裂けた口は、唐突な終わりを告げる。
狂気に迫る笑みを浮かべて、それははっきりと救いを告げる。
『神を崇めよ―――』
いつの間にか、食いちぎられたはずの首が傷跡なく再生を果たす。
その首は、何度も何度も、壊れた玩具のように肯定の意を示す。
繰り返されるその光景を前に、裂けた口は薄く閉じられ、凶暴な笑みを浮かべる。
何度も、繰り返される世界への懺悔を繰り返しながら、いつしか男の意思は水面を浮かぶ泡のように消えていった―――。
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人の身体が失せた虚空の中で、明確な恐怖が幻影となって生み出される。
頬まで裂けた口、黒い鱗に覆われ尾の先が見えないほどの胴体。
世界の全てを巻き取れるのではと錯覚するほどの巨体が再度口を開く……、
『私は、お前ほど人間が好きな訳ではない』
人間の頭部ほどもある眼球が、瞬きを繰り返す。
『私は、奴らほど人間に期待をしていない』
分厚く長い舌を巻く……、
『いつまで見ているつもりだ?』
暗く、暗い世界の狭間に一筋の赤い亀裂が走った……。
『―――、』
赤い亀裂をまっすぐに見据えながら、白い口が問いかける。
流れ零れた血のような赤い亀裂は、白い口と同じく三日月状に裂けて問いただす。
『“なぜ、離れたか”、だと?』
赤い口が放った疑問に白い口が答えた。
『今のお前と在る事に意味はあるのか? 多くの配下は堕ちて、新たに生まれ堕ちた祟り……、いや、あれは呪霊か』
見下した口調で、白い口は“祟り”と呼んだ何かを“呪霊”と呼び変える。
『あの呪霊は、我々の存在すら知らん。だからこそ、新たに序列を定める必要がある。そうだろ?』
赤い口は無言ながらも、その問いに肯定の意を示す。
『適材適所と言うやつだ。お前はその小僧を上手く使えばいい。他の神に囚われていない貴様の直系だろ? この時代でよく見つけたものだ』
“直系”という単語に、赤い口が否定を返した。
『なんだ違うのか? しかし、あの力はお前の権現の一部だろう? ……まあ何でも良い、お前の権現を一部とはいえ行使できる人間などそういないからな。あの裏切り者のように、精々血を絶やさぬようにすることだ』
侮蔑をもって告げた”裏切り”という言葉に対して、赤い口は、血を吐き出すかのような怒りを見せたッ?!
人では耐えられない憤怒を、真っ向からから受け止めて、白い口は毅然とした態度で返す。
『ならばなぜ、自身の血族にッ、あの戦神の巫女をやらせていたッ!? 挙句の果てがこの有様だッ!!』
赤い口は……、無言でその白い口の言の葉を耐える。
『人間は弱い……、ならば、お前がその手で護ってやればよかった。あの時ですら、祟りを、恐れを持って、幾千の犠牲が、何千の屍を生み出してでも戦神を捻じ伏せればよかったッ!! そうすれば、我々の力がここまで落ちることもなかった』
内心を見透かされたかのように、赤い口が怒りを押しとどめる。
合わせ鏡のように、赤と白の不定形な輪郭が相対する。
『分水嶺はとうに越えたぞッ! 新たな理が敷かれる。神代が終わり、人の世が終わり、次の時代が廻るッ! 神か?! 人か?! それとも別の何かか?! 生存戦争の始まりだッ! あの小僧も死なせたくないのなら信仰を集めさせろッ!! 祟り神としての最盛期ッ、それを取り戻してもまだ足りないッ! それすらも超えなければ、人も、神にも未来はないッ!! 私は私の在り方で、お前はお前の在り方で、祟り神の信仰を取り戻す』
雄弁に語る白い口の言葉に、赤い口は素直にそれを是と示した。
『この場所は私が囲う、だからこいつらは連れて帰れ』
白い口から吐き出されたのは一対の神。
眠ったような姿で、手長さま足長さまが、赤い裂け目に投げ込まれる。
『こいつらを置いていくなら、あの姉妹を置いていけばよいものを。あれが持つ
白い口の言葉を背に、赤い口は、その裂け目を完全にとじた―――。
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『―――』
再び静寂に包まれた空間の中で、その視線が世界の一端を睨む。
『ああそういえば、貴様は、この村の人間じゃないな―――』
無機質な硝子越しに視線が射貫かれる。
『なあ人間―――』
貴様ここで何をしていた?
呪詛師落ちして、無名芸人を出すか、
オリチャー神主ルートで、新米弁護士を出すか、悩ましい限りですねぇ
あなたの好きな番組は何ですか?
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笑う犬の冒●
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●列のできる法律裁判所
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その他