ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー 作:オウガ・Ω
八年前、ドイツ……
「り~た、ふ~た、なくなったら……」
「やじゃ、くろ~はヤーパンにかえらんでココのこるんじゃ~」
「いかないで……ここにいてください」
「な、なあ…コレでサヨナラじゃないんだ……いつかココで…八年たったらまたドイツで日本対ドイツのガンプラバトルの大会がひらかれる………オレはそれにぜっったいにでるからさ…コイツに誓って必ず!」
「………わかった……やくそくじゃ…」
「うん……やくそくしよ…くろ~」
この日、オレ《秋月クロウ》は親友のり~た、ふ~たと互いのガンプラ《アスタロトオリジン》、《バエル》、《アスタロト》を出して再会を約束してドイツからなんか暖かい目で見るクソ親父とお袋たちと一緒に日本に帰った
刃ーブレイドー番外編、Blade・strike!(前編)
あの日から一年、お袋たちやラル大尉、ゲンじいちゃん、ユウじいちゃん、メイばあちゃん。そして《マスターじいちゃん》と鍛錬しながら勉強も両立させて修行の旅に出てガンプラバトル公式、非公式戦を繰り返した…最初は何度も負けてアスタロトもボロボロになった
オレには才能が、ガンプラバトルのセンスが無いってわかっていた…何度もガンプラバトルを止めたくなった。でも
「どうした!立てぃクロウ!!地を踏みしめ腰に力を入れ踏ん張らんか!!」
「ぐ、ぬぎき……」
「……立たねばお前の友との約束も、両親のイチャコラ空間が家の中だけではなく店内をも浸食するのも防ぐことも叶わぬぞ!!」
「!……ぬ、ぬぎ…」
そうだった…親父とお袋たちのイチャコラをやめさせて、オレの目標で憧れのユウキ・タツヤさんみたいな見る人を楽しくさせ熱くするファイターになって…ドイツでり~た、ふ~たにもう一度会う為に!
「ま、まだまだああああああ!!」
「ふふ、その意気やよし!応えよクロウ、流派ガンプラ東方不敗は!!」
「…王者の風よ!!」
……アームレイカーを握り締めアスタロト、オレ自身を立ち上がらせ叫んだ…ギシギシするようなアシムレイトから来る痛みに耐えた……何度も修理して改造してバトルして…たくさんのトップファイターとバトルして学んで技術を磨いていくを繰り返していった
そして八年なんてあっと言う間にすぎていって…今、オレは
「やっと帰ってきたぞ………」
八年ぶりのドイツの空の下、あの日にり~た、ふ~たと約束をした空港のロビーにいる
「お~いクロウ、どうした?」
振り返るとヤジマカンパニー日本選抜チームのカミキ・セカイさんが心配そうに声をかけてきた…でも今は…
「ごめんセカイさん、オレ、行かなきゃいけない場所があるんだ……だからホテルに先にいってて!!」
「あ、まて……しゃあないか」
ため息まじりのセカイさんの声を背に受けて駆け出した…向かうのはり~た、ふ~た、孤児院のみんながいる場所、レンタルバイクを借りて街中を走らせた
街並みも街路樹もあの時と変わらない…狭い路地をいくつか抜け曲がった先には小さな教会があって院長先生、シスターがパイプオルガンを奏でて生活が苦しくても暖かい場所
り~た、ふ~た、孤児院のみんなと一緒にガンプラを作って無料のバトルシステムで遊んで、親なし子って苛めてくる奴らからり~たを守りながら、ふ~たと一緒に喧嘩したり
『お、おいふ~た、狭いだろ?』
『くろ~、もつとよせや。り♡◆☆がゆぶねはいらんのじゃ』
『べ、べつにいいです』
風呂にはいったら何でかわかんないけど、り~たは恥ずかしがるし……同じ男なのに背中向けて小さな風呂に入ったよな
…八年か、り~た、ふ~た…どんな風になってんかな。り~たはおとなしくて頭も良いから優等生になってるかな。ふ~たはオレと同じで喧嘩っぱやいし、番長だよな……って考えながら最後の角を曲がってバイクを止めメットを脱いでみた光景に息をのんだ
「………え……なんで」
孤児院が無い………なんでなんだよ…目に見えるのは乾いたサラサラした土地だけ
何度も目をこすってみたけど見えるのは更地になった土地だけ…ふらふらと歩いて膝をついた土を掴んで手を開いた…サラサラと落ちていく
短かったけど、みんなと一緒に過ごした思い出の場所が…無くなってる
「…………院長先生、シスター、みんな、り~た、ふ~た……………どこに、どこにいったんだ……」
ざけんなよ…やっと来たのに…なんだよコレは!?いや、もしかしたら孤児院を移転したのかもしれない。ニルスさんならヤジマ商事ならわかるはずだ。バイクを泊めてある場所にあるいて跨がるとキーを回す…あたりも暗くて雨が降り出した。オレはメットを被りバイクをホテルがある方向に走らせた
途中でフードを被った誰かとチンピラが言い争う場所を通り過ぎたけど、今は急いで孤児院の事を調べなきゃいけねぇから…
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「以上がヤジマカンパニー選抜チームの選手の詳細よ……リンネ、あなたが戦う相手ファイターなんだけど」
「興味ありません………いつもどおり勝ちますから」
「そう、でも使用するガンプラについては知りたくないかしら?アナタと同じガンダムフレーム、みた感じだと《アスタロトオリジン》ベースの改造機、名前は《アスタロト・ブレイジング》…」
「アスタロト………白いアスタロトですか?」
「え?赤いアスタロトだけど…気になることでも」
「………………いえ、コーチ。トレーニングはここまでにしてガンプラの調整を仕上げます」
「はい、ガンプラの調整はファイターのあなたにしかできなかったわね…明後日の試合、期待してるわよ」
「はい、また明日」
コーチが出てから私はガンプラを手にしパーツの調整、塗料剥離、緩みがないかをチェックする。でも頭に先のコーチが口にした《アスタロト》の言葉が響きます…白いアスタロトだったらよかったのに
くろ~がドイツに来てくれたんだとおもった…やっぱり子供の時の約束は無理だった
「………くろ~のうそつき……」
もう私にはくろ~しかいないから…明後日の試合、赤いアスタロトは…
「……………全力でやります…」
…ハイライトの消えた瞳がデザインナイフの刃に写し小さくつぶやく少女……欧州U15ガンプラバトル王者《女王》、リンネ・ベルリネッタ
そして………
「………あんたらしっこいんじゃ!バイト先まできおってからに!!」
「るせぇ!俺のガンプラがぼろっちいアスタロトにまけるわけねえんだよ!」
バイト先まで押しかけたチンピラファイターに売り言葉に買い言葉でガンプラバトルを申し込まれる少女…フーカ・レヴィントン
邂逅の時は間近…
前編、了!!
「く、コイツ…なんてバカちだ!」
「…………ふ!」
ひさしぶりの強敵、でもドイツで、ふ~た、り~たがみてるハズ、だから負けらんねぇ!
次回、刃ーブレイドー番外編、Blade・strike!(後編)!!
「……師匠、ワシを弟子にしてくだあさい!」
「勝ち逃げは許しません………」
「……………なんで、こうなった!!」
フーカ、リンネからクロウは自らのアレを守りきれるのか?!?
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守り切れない…
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仲良くごちそうさま
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逃げ切る