ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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第三話 星光と雷刃(後編)

「はああ~」

 

 

学院からの帰り道、あたしは大きくため息をつく理由は昨年の世界大会イタリア代表リカルド・フェリーニとガンプラバトルした後に起きたアレだ

 

落ちそうになったのをかばって、下敷きになったタカヤの顔が、あたしの………ああ!思い出すなあたし!!今日はそのせいで、授業中はチンク姉に「集中しろ」って何度も言われ、気晴らしにガンプラバトルしょうとしたらOガンダム・Bをウチに忘れてて、代わりのガンプラでやろうとしたら粒子タンクが切れてたり……結局、今日の部活は休みにしてしまった。ガンプラ部部長なのに何やってんだろ

んで、帰り道でサエグサ模型店のミツキ店長の弟ユウと二人の子供とばったり出くわしてなし崩し的に一緒に帰る途中、かわした会話の中でもタカヤの名前が出てくるし……それに胸が熱くなるっていうか動悸が激しくなる。とりあえず夕飯まで寝るかと考えて家のドアに手をかけた

 

「やあ、ノーヴェ」

 

「ミ、ミカヤ?今日はどうしたんだよ?家に何か用か?」

 

黒く長い絹のような髪を腰あたりまで伸ばし、黒地に白の刺繍が目立つ和を取り入れた《蘊奥館学院》制服に身を包んだ、あたしの親友にしてガンプラバトルのライバル天瞳ミカヤが立っていた

 

 

「世界大会予選までにわたしのガンプラを仕上げようと思ってナカジマボビーにきたんだ…どうしたんだい?顔色が優れないようだが?」

 

「な、何でもない!っていうかミカヤの家隣街じゃ…確かサエグサ模型店あるだろ?」

 

「……今日も閉まっていたんだ。アソコにはマスラオ、スサノオ、フラッグ、サキガケが取り揃えてあるからね……ん?少し失礼」

 

スマホを手に取り会話するミカヤ……昔は機械音痴(ガンプラバトル以外を除いて)だったのにすごく手慣れてる。聞いた話だと一年前に同じ学院に通う中等部の男子学生に教えてもらったらしい。しかもソイツが弟子を取らないことで有名ビルダーの愛弟子らしく。最近自分のチームに引き入れようとしているが毎回断られてるって聞いた

 

蘊奥館学院、年下の男子学生、有名ビルダーの弟子…まさかタカヤの事じゃないよな?

 

 

「本当かい?ありがとう………ノーヴェ、今日は少し時間はあるかい?」

 

「あ、ああ、てかどうかしたのか?」

 

「サエグサ模型店が開いてるそうだ。しかも今ガンプラバトルが行われている。相手はチーム紫天の一人《雷刃のレヴィ》、そして私のチームに入れようとしている少年だ……こうしてはいられない。急ごうノーヴェ!」

 

「ち、ちょ。待てミカヤ!いきなり走り出すなったら

?あたしは行くって言ってないから!?」

 

「チーム紫天、いずれぶつかる相手だ。偵察もかねていくよ」

 

「待てって?ああ~もう?わかったから引っ張るな~!?」

 

 

「ふふふ、偵察も出来て、少年の実力を間近で観れるとは……まさしく運命だ。必ずわたしのチームに入れてみせる、今日の乙女座は最高の運勢だ!!」

 

某ハム大尉みたいな勢いであたしを掴み走り出したミカヤ…頼むからハム大尉のマネはやめろったら!みんなみてるから!

 

 

第三話 星光と雷刃(後編)

 

 

同時刻、サエグサ模型店。同バトルルーム 

 

 

「うわっ!」

 

「へぇ~ボクの攻撃をかわすなんてスゴいなあ~でも次は当てるよ!!」

 

 

天真爛漫な笑顔を向けながら巨大なビームシザーズで切りかかる水色に塗装されたガンダムデスサイズ。いやデスサイズ・スラッシュの攻撃をかわしていく。でも凄く速いから防戦一方になりながら、アスカロンで切り防ぎながら動きを読む

 

(凄く速いし、それに重い……でも!)

 

「うわっ!」

 

 

「動きがワンパターンで読みやすい!!」

 

 

右のアスカロンで受け、左で切り払う。体勢が崩れ胴体ががら空きになるのを見逃さず、踏み込みと同時にアスカロンの刃で大きく胴を凪払うように斬る。でも後ろへ軽く下がりかわされた

 

「あ、あぶなかったなあ………じゃあボクも本気出すよ!!」

 

「え?」

 

黒く巨大な翼…四基のアクティブクロークを広げ飛翔、同時に大型のビームシザーズを片手で回した、いやカシャカシャと変形すると巨大な長身なキャノンへ変わると周囲の光、いやプラフスキー粒子が収束していっている?まさか!!

 

 

「いくよ!スプライトオォ・バスタアアアアア!!」

 

砲口に光が迸り、凄まじいまでの破壊力を秘めた青白いビーム。アストレイ・ブレイド/盾無が飲み込まれた……

 

 

★★★★★

 

 

「それがアナタのガンプラですか?」

 

 

「ああ、オレのガンプラ《ランスロットガンダム》だ。お前のは?」

 

 

「………ガンダムX・ズィーガ……さあ、はじめましょう………ガンプラバトルを」

 

 

それだけいうとスラスター全開で飛翔するを追いながら、ヴァリスを構えながらで狙いを定め牽制を含め三発撃つ、それをまるで蝶のように交わす姿に驚きながら、アイツの機体を観察する

 

みた感じ、両腕、両腰、両脹ら脛に追加装甲兼リフレクター強化版をつけたカスタムメイドのガンプラ。素体の方は色を変えただけで武器は変わってはいないな

 

サテライトキャノンを撃つには距離が必要だ、さっきの対戦相手は中距離からのサテライトキャノンで撃破されていた。ってことは接近戦が得意じゃないって事だ

 

「……はああ!」 

 

廃ビルの壁面を蹴りプラズマジェット全開でジグザグに移動、ガンダムX・ズィーガの前へ躍り出たオレはメーザーバイヴレーションソードで切りかかる…赤く輝く刃が吸い込まれるように機体を切り裂いたかに見えた

 

「………甘いです」

 

小さく声が聞こえ、メーザーバイヴレーションソードが握られた腕が何かに阻まれたように動きが止まる。ウィンドウには新たな敵機を示してる。よく見ると腕に黒い兎に似た何かがギリギリと抱きついている

 

「な、なんだコレ!おい、ルール違反だろうが!!」

 

「ルール違反ではありません。私のガンダムX・ズィーガの使い魔です…」

 

使い魔?まさかビット兵器?でもこんなに小さく作り込んだMA擬きをどこに隠してたんだ?

 

 

「イきなさいハーゼ・アイン!」

 

 

「うわっ!」

 

 

兎?の目が光ったと同時にバーニアが光ると離れていく、いや向き直ると口?から光、ビームが放たれとっさに左腕を前に出しブレイズルミナスを展開し防いだ

 

「…防ぎましたか…でもアナタは私には勝てません」

 

 

「なに!どういう意味だ!!」

 

「…アイン、ツヴァイ、アングリフ・モード」

 

さっきの兎型MAアイン?が狙いを定めるようにオレの機体の周りを旋回するのを警戒しながらアイツをみた時だ。ガンダムX・ズィーガの両腕の追加装甲が無い…センサーが新たな機影を警告してくる

 

「うわっ!」

 

小型の黒い兎MAが連携を取りながらビームを撃つ、とっさにかわそうとするけど、避けきれない。ブレイズルミナスで防ぐと同時にヴァリスを構え背部からハドロンブラスターを展開し接続、狙いを定め一気に引き金を絞る

 

「……アイン、ツヴァイ、ドライ…パンツアー・ラオケン!」

 

今度は左腰アーマーが分離し、三機のビットMAがサークル状に広がる。ハドロン砲を受け止めた、いやよく見ると触れている部分に膜状の光が吸収してる?…な、何なんだあのビットMAは?

 

「………集えアイン、ツヴァイ、ドライ………なんで防がれたか気になるみたいですね。ワタシの使い魔…《ハーゼ・フェミリェール》は牽制および、プラフスキー粒子ビームを吸収。そしてこんな事もできます」

 

「うわっ!」

 

 

静かに語りながら、三機のビットMAが旋回、飛翔しすり抜け様に両腕、両腰のスラッシュハーケンを展開したビームブレイドで切り裂いた

 

(なんで、こっちの武装配置を知っているんだ!?)

 

考える暇も与えないと言わせないとばかりに、展開したサテライトキャノンの砲口正面に三機円陣をくむように展開、薄い膜が広がると同時にリフレクターが開き赤みを帯び輝く姿、まるで悪魔みたいだ

 

「……あなたと似たような武器を使うガンプラとは何度も戦いました…能力に頼るだけ、しかも《他人に作ってもらったガンプラ》で特性を完全に把握しないで挑んでくるファイター、ビルダーの風上にも置けない相手と………終わりにします。受けなさい、破壊の閃光《ルシフェリオン・バスター》!!」

 

砲口から凄まじいまでの光があふれ、正面に展開したフィールドを抜けた瞬間、極太の赤黒い奔流が俺を飲み込んだ

 

 

ーーーーーーー

 

 

「えっへん!やっぱりボクって強くて速くてカッコイい最強ファイターだね♪」

 

 

アクティブクロークを閉じながらバルフィニカスをサイズモードに戻しながらガッツポーズをとる、でも思わずボクのたくさんある必殺技の一つ《スプライト・バスター》を使っちゃった

 

ボクの動きについてこれるガンプラ、それを駆るファイターの子……あの時の踏み込みの速さはシュテルンや王さまと同じぐらい速いし……もう少しバトルしたかったなあ

 

 

「……あれ?まだ終了しな…」

 

そう思った時、強力なエネルギー反応にアラートがなる。ボクの目にプラフスキー粒子の嵐が渦巻いてる中から白金色の粒子を纏いながら歩いてくるガンプラ…よく見るとさっき倒したハズのアストレイ。必殺技を受けたのに何で!?

 

「……《盾無》稼働確認…ぶっつけ本番でうまくいったよ…」

 

 

肩にあるサムライの鎧…盾みたいなのから粒子が渦を巻いてスリットが光っている、それに関節からも粒子があふれてる……スフィアを握るボクの手に汗がにじんでくるのを感じながら構えた時、風が吹いた

 

 

「エ?」

 

白金の粒子、ううんアストレイがボクのデスサイズ・スラッシュの左腕をシザーズとまとめて切り払う…宙を舞いながら落ちた腕を見た瞬間、アストレイの大きな刃が逆袈裟に振るわれとっさに後ろへ飛んだ。それなのにあっという間に間合いをつめて切りつけてきた

 

「少し速くなったぐらいでボクにおいつけるもんか!」

 

さっきまでとは全然違う。ううん、もしかしたらあの盾に秘密があると考えシールドクローで切りかかる。でも見えない光に阻まれちゃった………コレってまさかプラフスキー粒子を盾表面に!シュテルンのと同じだ!!

 

 

「………これで決めます!………必殺!疾風怒涛の刃!!」

 

 

「う、うわああああ!」

 

 

深く腰を沈めたアストレイの双眸が光った瞬間、無数の光がボクのデスサイズスラッシュをすり抜けた…でも機体が動かない…ピシッと音が鳴ったのを皮きりにデスサイズスラッシュがバラバラに斬られ落ちていった

 

 

《BATTLE END》

 

「うそ……負けちゃった……最強ファイターの………ボクが」

 

 

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

数分前

 

 

「今日も通常営業~お客さんは誰も………」

 

 

「ミツキ店長!バトルルームの二人の試合はまだ終わっていないな!?」

 

「わっ!……ってミカヤちゃん?それに中島さんちのツンデレちゃん?」

 

「だ、誰がツンデレだ!ったく、んな事よりバトルルーム観戦させてもらうか………ってタカヤ!?」

 

 

「ノーヴェ?彼を知っているのかい…」

 

 

「ああ、最近アタシんとこのチームと試合したんだ…ミカヤこそタカヤをなんで知って……」

 

「ノーヴェ、今は二人の試合をみよう…」

 

 

ミカヤちゃんの言葉に頷いたツンデレちゃんはタカヤくん、あの子(…確かチーム紫天のレヴィちゃんかしら?)の試合を見てるんだけどいきなりの様変わりに驚いてるみたい

 

タカヤくんのアストレイブレイドに追加された肩当て…あれはプラフスキー粒子を吸収、さらには全身に循環させて機体性能と防御、攻撃を飛躍的に上げる粒子吸収循環ユニット《盾無》。見た感じ未完成みたいだけど明らかにレヴィちゃんのデスサイズスラッシュをも上回ってる

 

あ、勝負がそろそろつくみたいだけど。それよりミカヤちゃんとツンデレちゃんってまさかタカヤくんに…フフフ、おもしろくなってきたわね~

 

 

『コレで決めます!……必殺!疾風怒涛の刃!!』

 

腰を低く沈めたアストレイブレイドが高速回転、まるで竜巻みたいにデスサイズスラッシュを切り捨て立つとバラバラに地面へと落ちたと同時に試合終了と同時にタカヤくんの勝利が決まった

 

アストレイブレイド…まだまだ改良の余地はあるけども完成度が高いわね~それより…

 

 

「あ、アタシと戦った時よりも強くなってやがる(あの盾に秘密があるみたいだな。アスカロンを前よりも使いこなしてる…ウチのチームに)……」

 

「まだまだ荒削りだが、ダイヤの原石だ………(ますます欲しくなったよ…秋月タカヤくん、君のすべてを私色に染め上げたいな)」

 

 

(二人ともファイターとしてではなく、女の子の顔になっていることに気づいてないわね~さてアレをそろそろ始めるかしら)

 

 

デスクの引き出しに仕舞われていた箱に目を向ける、ラル大尉から受け取った《幻》とまでいわれ現存する数は片手で数えるほどしかないレアアイテム。今回のイベントの優勝景品…

 

その名は………

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「…………塵芥になりましたか……」

 

 

ハーゼ達を戻しながら先ほど戦っていた彼がいた場所

に目を向けます。今まで戦ってきたファイターより持ちこたえ、私に奥の手を使わせた事は評価に値します

が……

 

ワタシに一矢報いる事が出来るファイターはいないので…

 

 

「ウオオオ!」

 

 

突然ワタシの耳に声が届く。爆発の煙を抜ける白い影…彼のガンプラ《ランスロットガンダム》がボロボロの状態で切りかかってきた…ハーゼを腕に装備しズィーガザンバーで鍔迫り合います。でもルシフェリオンの直撃を受けたはずなのになぜ…

 

 

「なぜ、こうも動けるのって考えてるだろ?」

 

 

「!?」

 

 

「…簡単な事だ。クロスボーンガンダムがF91のヴェスバーを防いだ方法を使ったんだよ」

 

機動戦士クロスボーンガンダム原作第四巻でハリソン大尉が駆るF91のヴェスバーを射線上にビームシールドを二枚で威力を削り、さらにビームザンバーで切り裂き防いだのと同じ手を使ったのですか!?

 

 

(でも無傷とはいえないからな…MVSはあと数回しか持たない。ルミナスシールドも防ぐのに全部使ってしまった………考えろ、コイツはオレよりも強い。でも勝つ方法はあるはず…まて、さっきからコイツ使い魔を使ってないな)

 

 

(…まさか本当にそれを実践して防ぐなんて……あまり長引かせるわけにはいきません…)

 

自然と笑みを浮かべる少女、息をもつかせぬ斬り合い光を散らせる二人の戦いは苛烈さを増していく、その光景に周りのギャラリーも手に汗を握り見守る

 

「そこです!」

 

MVSが耐えきれず折れ、辺りに破片が舞う中、ズィーガザンバーが胴体へ深々と突き刺さる。がランスロットガンダムの双眸が輝いた

 

「まだまだだあ!」

 

中から折れたMVSをズィーガへと突き刺す…やがて二体の瞳から光が消えた

 

《BATTLE END》

 

 

アナウンスが響くと同時に周りのギャラリーから健闘ぶりに対して拍手が湧き上がった…そんな中、トオルは対戦相手の少女と向き合い自身のガンプラを手にとった

 

「あんた強いな…」

 

「アナタも……あの、さっきの言葉を訂正させてください……アナタは正真正銘ファイターだと」

 

 

「いや、まだまだだ。まずはあんたに勝たないとファイターなんて名乗れないしな……それにボロボロだしさ」

 

 

「…そうですね…でもアナタのがひどいの…」

 

 

「トオルだ」

 

 

「え?」

 

「トオル・フローリアン、それがオレの名前だ」

 

 

「では私も…シュテル・T・グランツです……トオル、またワタシとバトルしてくれますか?」

 

 

「ああ、いつでも受けてやるぜシュテル………でもその前に…ガンプラ直さないか?」

 

 

「フフ、そうですね」

 

互いのガンプラを見やり、クスリと笑いながら二人はバトルルームに設置された工作室に向かう。もちろん直しながらガンダム談義に花を咲かせながら

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「……エバーグリーン1.2と、ABS版で補強して…」

 

 

「うわあ~タカタカって直すの早いなあ~」

 

「そうかな?でも君のデスサイズスラッシュはすごく作り込んであるね(関節強度、負担がかかる部分にはラバーやビス止めで補強してあるし……先生のゴッドガンダム極とにてるかな)……」

 

 

「そうでしょ、そうでしょ~現代改修と関節強度をあげるの苦労したんだ~でもでもタカタカのブレイドも作り込んであるじゃない?」

 

 

「あ、やっぱりわかる?ここは硬度と軟度が違うプラ板を張り合わせて剛性を出してみたんだ」

 

 

「うんうん…なるほど」

 

あのバトルが終わった直後に泣き出してしまったファイター…慌てふためきながら必死になだめ、一緒にガンプラを修理しないかといったら帽子を深く被りながら頷いてくれた。修理しながら話していてわかったのは今までチーム内でしかバトルしたことがなくて、強いファイターがサエグサ模型店に現れたと聞いて一人で乗り込んできた所で、バトルルームに居る僕を《強いファイター》本人と勘違いして勝負を申し込んだみたいだ

 

 

なんか少し前までの僕とにているなと考えながら、この子のガンプラを手にとり分解すると細かな改造に驚く……《ボクは、ガンプラが大好き♪》だって声が聞こえる気がしてきた

 

「これで良し、あとは塗装するだけだ…」

 

 

「あ、塗装はボクの家でやるからいいよ。それに王様から《どこで油を売っておる!》ってメールが着てたから…でも、直すの手伝ってくれてありがとね。お礼がしたいけど」

 

 

「お礼なんて別にいいから、それより早く帰らないと怒られるんじゃ?」

 

「うん…あ、タカタカ。髪にプラ板がついてるよ、ボクが取るから少し頭をさげて」

 

 

手ではらおうとしたけど、まだ落ちてないといわれ頭を下げた

 

「ん~少し顔を上げて見て」

 

 

その言葉に頷きながら顔を上げた時、唇に暖かな感覚…目の前にはあの子の顔。キスしてるって気づくと、ゆっくりと離れ慌ただしくデスサイズスラッシュをケースに入れ店の外へ駆け出していく

 

「またね!タカタカ!!」

 

その言葉を残して、あっという間に姿が消えたのを呆然と見ながら唇にそっと触れた

 

…キス…ていうか男の子?にキス!?僕、男の子にキスされちゃった!?僕の初めてが男の子と!?

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「あら大胆ねぇ~最近の女の子って結構積極的ね~

どうしたの二人とも?怖い顔しちゃって(笑)」

 

 

「………な、なんでもない(……キスしやがった…なんだかムカついてきた…なんでムカついてんだあたしは!?ベ、別に気にしてなんかいないし!)」

 

 

「ああ、ミツキ店長…すまないが私たちはコレで失礼するよ(私色に染めようとした少年を………やってくれたな、チーム紫天……たが譲る気はない!!)」

 

 

……闘志というより、先を越されたという想いが炎となり燃えるノーヴェ、ミカヤの姿を見てサエグサ模型店店長《ミツキ・サエグサ》はこっそりとある告知をホームページにアップした

 

 

 

某月某日、サエグサ模型店にて第一回ガンプラバトル大会を開催します!!

 

参加資格は各模型店、小中高学校に所属するチームから男女ペア(ココ重要!)を代表として選出する事(なお違う学校および模型店所属チームでも可能)

 

大会中の使用ガンプラ交換は一度のみ認められます

 

 

そして、戦いを勝ち抜き優勝したペアには、今や幻とまで言われ現存するのは僅かといわれるガンプラ強化武装《カレトヴルッフ》を進呈します!

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「ん~ひさしぶりの日本だ~漬け物の香りがするってホントなんだな…」

 

大きく背伸びしながらつぶやく少年。やがてゲートを出ると真っ先に取り出したのは年季の入ったサンハイザー。コレは彼が師と仰ぐ人物から餞別にもらったもの。くるくる指で回し頭へ被った

 

「よし、気合い入ったぜ!さってと。まずは《G研》に顔みせにいくか」

 

気合いを入れ歩き出した少年…彼の名は《シロウ・神崎》。名人カワグチと同世代であり第一次ガンプラブームの立役者《京田四郎》いや《プラモ狂四郎》の弟子にして2代目を受け継いだ少年の帰郷は果たしてなにをもたらすのか

 

 

第三話 星光と雷刃(後編)

 




大会告知を受け集まるファイター達。そんな中、タカヤは体調を崩してしまう


第四話 看病

熱にうなされるタカヤに迫るのは?

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