ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー 作:オウガ・Ω
同会場控え室
「ユウキ、エクシェスの調整は?」
「ばっちりだよ。メイのバトルスタイルに合わせて調整完了だよ。もちろんドラグ・リムにあれを組み込んだし」
「ありがとうユウキ~タカヤ早く来ないかしら」
「そうだね。タカヤにメイのカッコ良く楽しいガンプラバトルを見て貰いたいね…そうだミカヤちゃんもガンプラをはじめたみたいだよ」
「ミカちゃんも……タカヤの影響かしら」
「うん、今日は最高の…………ん?何だろ………もしもし天瞳師範どうしたんですか?…………え」
世界大会ベスト8を決める戦いに向け気合いを入れるメイ、ユウキの端末に入った電話…対応するユウキの顔が青ざめていくのをみてただならない状況だと悟り奪い取るように端末を握り聞こえてきたのはタカヤを預けた天瞳師範の焦りと深刻な空気を帯びた言葉
『タカヤくんが、タカヤくんが空港で誘拐された………ガンプラマフィアSに!急ぎ戻ってきてくれ!!』
カタンと乾いた音と共に落ちた端末…メイはただ唖然となりながら立ち尽くすも控え室から一気に駆け出した
「……いくわよ…」
プラフスキーウィングを展開し向かうのは、水色のデスサイズ…一見してみれば特徴が無いようだけど私の目はごまかせないわ。逆袈裟、袈裟、上段切りでシュベルトゲベール《グラム》で切りかかるのを受けて止めるのをみて少しだけ驚く。この反応の速さ、かなり手を加えてるのがわかる
「うわっ!パワーが押されてる!?このボクが…ま、負けるもんかああ。絶対に勝ってタカタカのペアにボクはなる!!」
…タカタカ?もしかしてユウキと私の可愛い、可愛いタカヤの事よね…ふふふふ。ミツキ感謝するわよ、この子が間違いなくタカヤに想いを寄せてるのがよくわかったわ
「…パワーとそれに切り替えの速さは申し分ないわね…」
「うわっと!あぶないなあ~」
「ふふ、状況は常に変化するモノ、相手の機体特性を見極めなさい……いきなさいドラグ・リム!」
「な、なにコレ!ボクからはなれろ~す、すばしっこいよう!」
大型のビームシザースを蹴りあげ、素早く右腕の《ドラグ.リム》を射出…操作をマニュアルにし体当たりさせながら残る二人を見る、ノーベルガンダムベースのカスタム機とスサノオに既視感を覚える。あの刀の拵えはまさかと思いながらグラムで斬りつけた…わたしの一撃を抜きはなった刃で止めている。
「やるわね…アナタのガンプラもだけどファイターとしてもいい筋よ……」
「……お、お久しぶりですメイ叔母様」
「……もしかして、ミカちゃん?………」
刃を交えながら頷いたスサノオ。まさかミカちゃんがファイターになってるなんて……人の縁って不思議ね。でも今はバトルの最中、私からタカヤをとろうなんて例え昔なじみでも許さないわ。スフィアに力を込めグラムを押し付ける
「あたしを無視するなああああ!!」
「……あら、もう一人いたのね?……でも攻撃が大振りすぎるわよ…」
「な!うわあ!?」
声と共に背後から蹴りが迫る。さらにグラムを力強く押しながら身体を捻らせ、交わすと同時に胴回し蹴りをがら空きの頭部に叩き込み二人から離れる。さすがはこの地域で五本の指に入る実力者ね
でもね。タカヤは渡さないわよ……私を下せるぐらいに強くて、優しくてスタイルばっぐん全部を包み込めるぐらいの女の子なら話は別。ドラグリムを回収し、それぞれのウィンドウを開いてみる
(さっきの子レヴィは色々将来性あり、ミカちゃんは大和撫子で一応候補入り…………今の子は荒削り、でも何か気に入らないわ。わたしとキャラがかぶり過ぎよ)
「ミカヤ、あのガンプラのファイター滅茶苦茶強すぎだ。んままだと」
「ソコまでだノーヴェ、確かに第二回世界大会ベスト8に入った初の女性ファイター《黒い悪魔》(メイ叔母様)にはキズ一つ与えられない」
「なら、どうするのさノンノン、ミカヤン」
「……手を組むしかない。私やノーヴェ、レヴィの連携プレーでなら倒せるはず……それにあんまり使いたくない手だけど切り札もある………二人ともプライベートモードに切り替えてくれ、内容を説明したいから」
三機とも頷き通信をプライベートモードに切り替えなにやら会話をし始めた。同時にスポットライトが眼帯をつけた女性を照らし出した
『さてさて、大変な事になってきました。ペアを決めるため、私のお店で行われているガンプラバトルに乱入したのはタカヤ君のお母さん《秋月メイ》。かつて第二回世界大会で《黒い悪魔》と呼ばれ恐れられるも突如、姿を消した女性ファイター。でもブランクを感じさせない圧倒的な実力差を見せつけるメイさんを前に、ノーヴェちゃん、ミカヤちゃん、レヴィちゃんはどう立ち向かうのか?』
立ち上がりジャケットを勢いよく引っ張る…片手にマイクと眼帯を握りしめくるりとターン、右腕を天にかざした
『それでは!ガンダムビルドファイターズ刃ーブレイドー、タカヤのペアは?にガンプラバトル!レディィ………ゴオッ♪♪』
「姉貴!色々やばいぞ!?システムが!?……って?」
「少し貸してくれるかな……無理な介入でプロセッサに負荷がかかったみたいだね…」
「てか?誰なのさ!?」
第六話 タカヤのペアは?(中編)
「………何をしてるのかしら」
動きを止めた3人。何かしら企んでいるわね。さしづめ私に勝つ為の作戦を考えてるのかしら…でもムリね。今の手合わせでバトルスタイルがわかった。いくら対策しようが私とユウキのアストレイ・エクシェスには勝てない、まあキズをつけるとしたらミカちゃんだけかしら?
早く決着をつけてひさしぶりにタカヤにハグハグしたい。本当なら私とユウキと一緒に海外で暮らしたかったけど。《あの事件》からオウマおじいさまがタカヤを溺愛してるのもあった
でもマフィアの動きが日本で活性化してるって《タケシ》から聞いたのもあるし、それに………いまはそんなこと考えてる場合じゃないわね。さあ、どんな手でくるかしら
「さあ、来なさい……この私とユウキのガンプラ《アストレイ・エクシェス》に!もしこのグラムを破壊できれば勝ちよ」
グラムを突きつけるように構え宣言する私に、三機、三方向から接近してくる…さて、見せてあげるわ。世界の力を…スフィアを軽く握り素早くSPスロットを選択《VL(光の翼)》を展開しようとした時、ミカちゃんのスサノオが拳を構え無数のダミーバルーンを放出、かまわず起動しようとした手がとまった……バルーンに映された小さなまだ四歳ぐらいの男の子、少し年上の女の子…ミカちゃんだとわかった
ーたっくんの一番好きなヒトはだれかな?ー
ーぼくのすきなのは…………ん~~……おかあさだよ♪ー
「……………………………ぶはっ!?」
モニターが赤く染まる…違う私の鼻血で…エクシェスも口?からプラフスキー粒子が勢いよく吹き出した。だって可愛い盛りで、くりくりした目にふっくらした頬に艶やかな黒髪。抱きしめれば柔らかくて愛おしい四歳の頃のタカヤ…しかもコレは破壊力ありすぎ……
「いまだ!天瞳流抜刀術…………修羅烈風!!」
「いっくよおおお!ボクの必殺技partⅠ!必殺スプライトッ!バアスタアアアアアアア!!」
「くらいな!ノーヴェル・チェインブレイカー!!」
反応が遅れたエクシェスに向けレヴィって子のデスサイズ・スラッシュから蒼く輝く高密度粒子砲撃《スプライトバスター》が迫るかわしきれない。何とか横に逃げた私にミカちゃんのスサノオ、赤髪のノーヴェルガンダムが間合いをつめ待ちかまえている、グラムにオレンジ色の粒子斬撃が直撃、グラムが砕けた瞬間、赤髪のノーヴェルガンダムの残像を残すほどの速さで繰り出された蹴りがエクシェスを捉え、無数の蹴りが装甲や関節を砕き最後に重い蹴りが決まりコロニーの壁に叩きつけれた
アームレイカーを動かすけど反応しない。そして
ーBATTLE・ENDEDー
バトル終了を告げる無慈悲な音声が響いた
☆☆☆☆☆☆☆
「か、勝ったの…………」
「ああ、つぅか。なんであんなのもってんだよミカヤ」
「………それは聞かないでくれるかな?」
「そうだよ~あの可愛くてフニフニな小さい子ってタカタカだよね?ミカヤン?」
「さ、さあ……それよりも」
GPベースとガンプラを手にするミカヤはあたしとレヴィの言葉をはぐらかす…何かおかしいな。それよりもアーマーシュナイダーが突き刺さるような気配に振り返る。薄桃色の着物に身を包み黒髪を揺らす女が恨めしそう、いや悔しさいっぱいの目でじいいっとみてる
「…………」
「な、なんだよ」
「……………別に……ただ一つ言っておくわよ。アナタたちが、この私に勝てたのはまぐれよ!それに私の可愛い可愛いタカヤとつき合うなんて絶ッッッッッ対に認めないわ!」
「な、なんでそうなんだよ!っていうか、つ、付き合う……ちがうし!サエグサ模型の大会のペアを決める戦いだから!」
「いきなり乱入してボクとタカタカが大会にでるの邪魔したのはおばさんじゃないか!」
「………お、お、おばさ……いい度胸ね。なら手加減なしでもう一度や…」
「そこまでだよメイ」
静かな声が止めに入った。黒髪に穏やかな目をしたヤツがバトルをしようとする目の前の女…メイの肩に手をおいた……なんでかわからないけどタカヤににてる気がする
「…せっかくのガンプラバトルに無理に介入して、なおかつ負けたんだ。こっちに非はあるし《負け》の事実は変わらない。言ったじゃないか?《グラムを破壊できれば勝ちよ》って……それにエクシェスもだけども三人のガンプラもボロボロだ。もしやるなら万全の状態で挑んでほしいな。僕のガンプラ《エクシェス》も望んでいるだろうし」
「………ん~~わかった、わかりましたよぅ~私の負けよ」
「ソレでこそ僕の大好きなファイターで可愛いメイた。あとは」
「…………せっかくのガンプラバトルに介入してごめんなさい……」
肩に手をおかれシュンとなりながら謝る姿に介入されたことについての怒りは消えていく。でも、気になるのはメイって奴の口からでた《可愛いタカヤ》…隣にいる男なんかよく見るとタカヤに似てる。じっとレヴィもみてる
「あのおじさん。もしかしてタカタカのお父さん?」
「ん?確かレヴィちゃんだったね。紹介が遅れてごめんね…僕は秋月ユウキ、タカヤのお父さんです。そして隣にいるのが可愛い、可愛い世界ランカー第八位のファイターで奥さんの秋月メイだ」
「も、もう///可愛いファイターって、いくら本当のことでも連呼しすぎようユウキったら……バカ」
「「……………………え、えええ!!」」
甘々な空気をあふれさせながら恋人つなぎする指に輝く結婚指輪を見せつけるユウキを照れ消しに駄々っ子バルカンならぬ駄々っ子パンチをポカポカうつメイの姿と衝撃的な言葉にノーヴェ、レヴィの声があがるなか
「ははは、相変わらず甘々ですねユウキおじ様、メイおば様も………………」
今にでもブラックコーヒー…極濃抹茶を飲みたい気分でミカヤはつぶやいていたとかないとか
第六話 タカヤのペアは?(中編)