ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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チームファングVSチームブレイドとの壮絶なガンプラバトルが終わった頃、駅に一人の男性が改札から出てきた


「ん~ひさしぶりの日本だ~」


コキコキと首をならし声を出す。赤く癖っ毛混じりの長髪を首あたりで結び、無精髭に鋭い目つき、黒のスーツに赤いネクタイが目立つ男性。その手に惹かれたキャリーケースにはドイツ語、クルジス語、フランス語が走り書きされたシールに加えて《アクション商事》とロゴも張られている


「さってと仕事をやるついでに……プレシアから聞いたレヴィ(俺の娘)の彼氏に挨拶にいくとするか…」



不敵な笑みを浮かべ歩き出す男性の向かう先はサエグサ模型店…果たして彼の正体は?


一方…アクション商事本社では




「ヒロシ係長はまだこないのか?」



「さ、先ほど日本に到着したのですが、巻かれてしまって」


「……ヒロシ係長のバカやろ~~」



と叫ぶ部下たちがいたとかいないとか









閑話諸々……本編の過去もしくは未来編
閑話 天瞳ミカヤ《壱》


「タッくん…」

 

 

メディカルルームに運び込まれ目を覚まさない少年…タッくんの左手を握りしめる…あの頃よりも大きいけど昔と変わらない温もりと柔らかい

 

 

でも肩まで貼られた湿布だらけの左腕、額に巻かれた包帯、右頬には大きな絆創膏を見て胸が締め付けられる

 

 

先の試合でツクヨミがトランザムに強化した関節部が耐えきれず壊れオーバーヒートして動けなかった…絶対に守るって誓ったのに

 

 

「…う、く…」

 

 

「!タッくん!?」

 

 

気を失っていても痛む左腕に手を添えるようにさする…少しでもタッくんの痛みを少しでも和らげたかったんだ…

 

そういえば《あの時》もこんな風にしたんだったね

 

 

閑話 天瞳ミカヤ

 

 

 

タッくんと私が初めて出会ったのは8年前の春…桜が咲き暖かな陽気が差し込む《ガンプラ天瞳流宗家》道場でひとりで稽古していた。その頃の私は《私のガンプラ》の形が見つけられず焦り余裕がなかった

 

 

自分の型…コレを見い出さなければガンプラ天瞳流宗家は継げない…一心不乱に刃をつぶした太刀を打ち込む私の背後に気配。反射的に刃を向けみたのは私よりも幼い小さな男の子。向けた切っ先を不思議そうに見てる

 

純粋な目もだけども、犬耳が目立つオレンジ色のパーカー、白のハーフパンツからのぞく足、さらりとした黒髪をみてドキリとなる

 

 

「おねえちゃ、なにしてるの?」

 

 

 

「あ、稽古だ……それよりきみはなんでここに?」

 

 

 

「え?ん~~とね…お父さとお母さがつれてきてくれたの……あ、ぼくは《あきつきたかや》だよ」

 

 

 

花が咲き乱れるような笑みに私の身体に雷が落ちたような衝撃…わからないけどナニカが和らいで自然と言葉が口にでた

 

 

 

「あ、わ、わたしは天瞳ミカヤ…」

 

 

 

「てんどう……みかや?……ぼくとなまえにてるね」

 

 

 

「そ、そうかな……《た》と《み》をはぶけばにてるかもね」

 

 

 

「じゃあ~まちがえるかもね~~~ん~~……じゃあ《かやおねえちゃ》ってよんでいい?」

 

 

 

屈託のない無垢な笑顔と声…最近、膨らみはじめてきた胸にダインスレイヴが数多に懐中するのを感じたんだ…気がついたら男の子、タッくんのやらかいほっぺに手を添えるように抱きしめていた

 

 

「かやおねえちゃ?どうしたの?」

 

 

「な、なんでもないんだ…ただこうしたいなってイヤかな?」

 

 

「ううん、かやおねえちゃの手、きもちいいからあえいよ」

 

しばらくしてタッくんが居なくなった事に気づいたユウキ叔父様、メイ叔母様が父様、母様が探しに来るまで愛撫してたのを見られてしまったけど

 

 

 

「あはは、紹介する前に仲良くなってるね…メイ?それに師範どうしました?」

 

 

 

「べつに…何でもないわよう(タカヤがわたしとユウキ、リム、オウマお父様以外に懐くなんて……しかもあんなにハグハグされてる、羨ま可愛すぎよう)」

 

 

「……ユウキ、今からでも遅くない。私の娘と早めに姻戚の儀を」

 

 

 

「し、師範!?まだタカヤは四歳ですよ?」

 

 

 

 

 

 

……まあ、いろいろとあったので割愛させてもらうけど。タッくんはこの日から天瞳家に預けられた…一緒に湯浴みしたり、同衾したり、抱き枕みたいに抱きしめかぐわしい香りと柔らかさを堪能しつつガンプラを作ったりしてまさに充実した日々を送った

 

でも、なんでタッくんが預けられたのかなんて気にもとめなかった。そんな時、タッくんを寝かしつけてから後ろ髪引かれる想いをしながら部屋を後にした時、父様に道場に来るよう呼ばれ訪れた

 

 

 

「あしむれいと?異国の言葉ですか?」

 

 

 

「……異国……いや異国の言葉であるのは確かだが……近々に世界規模でガンプラを用いた合戦試合《ガンプラバトル》が行われるのは知っていよう……」

 

 

 

「はい!メイ叔母様、ユウキ叔父様からタッくんの1日、一日をどう過ごしたかを書き綴った日記と朝起きるまでから眠るまでに過ごした写真を送る際に何度も伺い聞いてます。それが先ほどの《あしむれいと》とどう関係しているのですか?」

 

 

 

「………(む、むう……ここまでタカヤくんに懸想しているとは…喜ばしいというか。このまま将来的には、いやいやミカヤはまだ八歳だ…まだ早いか)……まずアシムレイトについてだ。タカヤくんがなぜ私たちに預けられた事と深く関係がある…心して聞くように…」

 

 

 

軽く咳払いした父様が教えてくれたタッくんが預けられた理由は信じられないモノだった

 

ファイターが強力な自己暗示をかけて自身の魂を込めて作り上げたガンプラと五感を共有、その機体性能を向上させる現象でファイターの精神力が続く限りその効果は発揮しつづける一方で反作用でガンプラが受けたダメージすべて《・・・》がファイター側に反映されてしまうこと

 

 

タッくんは四歳の時に初めてガンプラを作った時に目覚めてしまった。でもガンプラと一体化し過ぎたせいでアシムレイトのオン・オフが出来なくなってしまったことに気づいた時には遅く、様々な医療機関、症例を扱った病院を探し続けていた

 

 

そんなとき、過去に天瞳家に同じ症例の人物が修業し克服した事をガンプラ造形術の一派《ガンプラ心形流》珍念和尚から聞き、二人はタッくんを連れて紹介状と共に来たのだと

 

 

このときのわたしは父様の言葉を半信半疑できいていた。だってそんな兆候も一度も見せてなかったし、何より一緒にガンプラを作って見せ合って自慢したり。湯浴みしたり、同衾して、ガンプラを作って見せ合って自慢したり。湯浴みしたり、同衾して…それから一年後、私が9歳のときに目のあたりにしてしまった

 

 

 

「できた~」

 

 

 

 

「タッくん、早すぎ……わたしもできたよ」

 

 

「きょうもぼくがいちば~ん。コレがぼくのガンプラ……Oガンダム!」

 

 

 

「なら、わたしのはGNフラッグだ!」

 

 

 

「あ!ずるい!!センサーにクリアーパーツ使ってる~!」

 

 

 

「ふふ、わたしはなにごとにもぜんりょくでやるのさ…そういうタッくんだってエッジや面だし加工してるじゃないか?」

 

 

 

「むう~っ。ぼくが《くりあぱーつ》かこうできないのしってるのに~」

 

 

 

「ふふ、ならばあとでやり方を教えてあげるよ…手取り足取りにね」

 

 

 

「ほんと!やくそくだよ、かやおねえちゃん。よしいくぞ~Oガンダム!ぶりょくかいにゅうをはじめるよ~」

 

 

 

ぷく~って頬を膨らませた顔がまぶしいばかりの笑顔を変わる。ふふ、誘っているんだねタッくん…Oガンダムを空に掲げるように走る姿は萌えて来るじゃないか。そんなに走ったら……

 

 

 

「うわっ!?」

 

 

あ、転んだ…慌ててそばにより身体を起こそうと手を伸ばそうとしたとき、タッくんが身をよじらせながら声をあげた

 

 

「いたい、いたいよう……」

 

 

右腕を押さえながら大粒の涙をボロボロ流し泣き出した…ナニが起きたのかわからない私の目に近くに落ちていたOガンダムがはいる。みると右腕が逆方向にまがっているのをみて父様の言葉がよみがえり響いた

 

 

「う、ひっく……いた……い…いたいよう」

 

 

 

今、父様と母様は京都にあるガンプラ心形流へ指導に招かれて家にはいない…どうすればいい?思い出すんだ、あの日、父様の言ったことを

 

 

ーミカヤ、もし私たちが居ないときにタカヤ君にアシムレイトが発現したら……ー

 

 

はっきりと思い出しながらタッくんを抱きかかえてOガンダムを手にして逆方向に向かって曲がった腕に指を添え、耳元に囁いた

 

 

 

 

「タッくん、すこし痛いけど我慢できるかな?大丈夫、わたしに全部まかせてくれるかな…」

 

 

 

「……か、かやおねえ…ちゃ……う、うんがまんする……」

 

 

涙目になりながら頷くタッくん…今からすることをおもうとスゴくつらい…もしかしたら嫌われるかもしれない。そう想うと胸が苦しくてOガンダムを握る手が震え躊躇しそうになる

 

 

でも…わたしを信じて痛みに耐え震えるタッくんに意を決してOガンダムの逆方向にまがっている腕を正しい方向に向けた

 

 

 

「……っ!う……ぅぅ……っ!?」

 

 

 

小さく呻きながら体を強ばらせるタッくん…ごめんなさい。痛かったよね…ごめんなさい…ごめんなさい

 

 

父様から聞いたアシムレイトが発現した場合の対処法…タッくんと一体化しているガンプラを直す事…でもそれは痛みを伴うんだってこと

 

 

…涙があふれて視界が歪んでくる…でも頬にナニカが触れ涙を拭われた。タッくんが涙目になりながら私をみている

 

 

 

「かやおねえちゃん、どこか痛いの?」

 

 

 

「痛くないよ……で、でもタッくんが一番…いた…」

 

 

 

「だいじょうぶ……おねえちゃんが治してくれたからいたくないよ。ほら……だから泣かないで、ね?」

 

 

 

涙目になりながらありがとうって笑顔で答えてくれた…わたしはただ無言でタッくんを抱擁し続けた…アシムレイトの痛みが少しでも和らぐようにずっと

 

 

しばらくして京都から父様、母様が帰って来てから発現したと告げ、アシムレイトがおさまるのを待ってからタッくんの修行が始まった…

 

 

もちろんわたしも一緒に同伴してだ。最初の一年はオン・オフがうまくいかなかった…でも少しずつオン・オフが出来るようになった、それにガンプラ作りもますます上達して門弟の子たちからも羨ましがられたけど……

 

 

 

「タカヤく~ん、汗かいたでしょ。お姉さんとシャワー浴びよ♪(……肌を伝う汗、柔らかなほっぺだもだけど…きめ細かい肌をワタシの身体で……)」

 

 

「タカヤくん、今度Gミューズにお出かけしない?あ、お泊まりになるけど(…………はあ、うなじから覗く白い肌、可愛らしい顔もだけど……どんな味かな)」

 

 

 

「え?でもぼく、今からカヤおねえちゃんと逢い引きするから……ごめんなさいね」

 

 

 

「え、そ、そうなの」

 

 

「そ、そうなんだ…」

 

 

 

…………姉弟子たちがタッくんから残念な気配を醸し出しながら離れていく……事前に教えておいた断り文句が功を奏したみたいだ

 

最近のタッくんは可愛らしさの中にある凛々しさ、太刀を振るいガンプラを作り終えた時のやり遂げた面立ちに《胸きゅん》すると言ってたからね

 

 

それに……湯浴みと同衾、逢い引きはおねえちゃんである私だけ《・・》の権利は三年過ぎても変わらない

 

 

「タッくん、ほらじっとして」

 

 

「うん、カヤおねえちゃんのお肌ってすべすべして気持ちいいね」

 

 

手で温めた《ぼでぃそーぷ》を身体に落とし伸ばして抱き抱えるように身体を重ね肌で洗ってく…まだ姉弟子たちには負けてるが、少しだけ大きくなってきたし、それに肌を合わせての洗いっこはたまらなくいい

 

 

肌と肌を合わせるだけで幸せに満ちる…背中に張り付きながら動かすたび、痛みがくる…最近膨らみはじめてきてから擦れるたびに痺れて、ナニカがお腹のあたりがうずくのを感じながら手桶に湯を汲み泡を流していく…

 

 

「ん~すっきりした。ねえカヤおねえちゃん、今度はぼくが洗ってあげるね」

 

 

 

「う、うん…お手柔らかに頼むよ」

 

 

「は~い、えっとまずはこうして手にぼでぃそーぷをたらしてあたためてから……」

 

 

 

「…ん、は…んっ」

 

 

 

「ねえ?きもちいい?」

 

 

 

「あ、はあ……ん、うまくなったね…」

 

 

 

「じゃあ~ココも?」

 

 

 

 

「そ、そう……ん…まえよりうま……んっ!?」

 

 

 

「そう?じゃあぼくたくさんカヤおねえちゃんを気持ちよくするね…えっと、こうかな?」

 

 

 

 

泡まみれのタッくんの腕がいちばん敏感なところを洗い上げていく度何度も達する…夜の帳が落ちた頃に母様が父様と湯浴みしてたのを真似たものだけどココまでのモノとは知らなかった。未熟な私の膨らみを丁寧に触れほぐすたびに痛みがくるけど、すごく感じてしまう

 

 

これ以上先に進みたくなるけど、まだ幼い私の身体では満足させられないし、そうなったらタッくんはまだ幼いからわからないのは明白の理だ

 

 

洗いっこを堪能したあと、湯に浸かって温まってから上がり互いに拭き寝衣を纏い床と枕を並べ布団を被るとすぐにタッくんが寝入ってしまう。その寝顔はまさに至高だといえるのだけど、うずく身体から熱が消えない。自然とタッくんの手を寝衣の隙間から胸へと入れてしまう

 

 

「はあ、はあ…」

 

 

 

軟らかくて小さな手から伝わる温もり、鼓動…あの日の出会いからこうなるなんて想いもしなかった…願うならばずっとこうして、天瞳家で暮らしていたい

 

 

そして……わたしの……大事な良人《おっと》になって欲しいと

 

 

 

でも、それは儚く砕けた

 

 

 

アシムレイトを制する修行も佳境に入った時、第二回ガンプラバトル世界大会でベスト8に進出したタッくんのお義母様の試合観戦に招待され向かった直後、ガンプラマフィアに誘拐され1年後に保護された

 

 

ータッくん、わたしもついて…ー

 

 

ーだいじょうぶ、ぼくは八歳なんだからひとりでいけるから。帰ってきたらまた湯浴みしようね。じゃ、いってきま~~すー

 

 

 

…あの時、無理にでもついていけばこんな事にならなかったと何度も我が身の情けなさに枕を濡らし泣いたことだろうか。あとから聞いた事だけどタッくんは拷問にも似た暴行に加えて発狂しかねない薬物投与を一年間も受け続け記憶を喪失してしまったんだ

 

 

 

タッくんはしばらくして天瞳家から離れた…その間に私は誘拐したガンプラマフィアを調べるなか、タッくんと再会を果たした……

 

 

 

ーじ、上級生だったんですか?あ、あの、ごめんなさい……天瞳先輩ー

 

 

 

昔の思い出は喪われたまま…でも、今度こそ守りたい…父様と母様を説得して隣に越してきた、ペアになった今なら身近にいられる

 

 

でも、先の試合で私は守れなかったばかりかアシムレイトに目覚めさせてしまった

 

 

「う、うう……っ!?」

 

 

痛みに苦しむタッくんの左腕を優しくさすりながら想う………コレもすべてガンプラマフィアがいけないんだ。タッくんに地獄の一年をもたらし、私との思い出を奪ったガンプラマフィア《イェーガーズ》を率いる首魁《宇宙ガンプラファイターX》を絶対に赦さない

 

 

 

 

 

 

閑話 天瞳ミカヤ

 

 

 


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