ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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第十二・五話 鏡ーシュピーゲルー

本編開始、三カ月前

 

 

 

日本、M県同山中

 

 

 

 

「いたか!」

 

 

 

「こっちにもいない………どこに消えたんだ!」

 

 

 

「もしコレが宇宙ガンプラファイターX様にしられでもしたら……」

 

 

身体を震わせる黒服二人…彼らがいるのは自らの属する施設。表向きは新薬開発を目的とした研究所だが裏では非人道的な実験が行われていた……10年前に確認されたプラフスキー粒子を非合法に入手、《四年前》に得られたモノを使い多くの失敗を繰り返すも成果がでたとき、唯一成功した実験用のモルモットが逃げ出したと聞き探し回っていた

 

幾重にも張り巡らされたセキュリティーをかいくぐり逃げることは不可能のはず。何より実験体にそんな機能を与えては居なかったのだから

 

 

もしコレが彼らのトップにたつ宇宙ガンプラファイターXに知られたら命はない…何度か失敗した部下を戯れ程度に手を下してきたのを間近で見ていたのもあるから必死だった

 

 

あたりを探し回った彼らは足早に去っていく。しばらくして機材の影が歪みだし人影をなし倒れ込んだ…顔はよくわからないが腰まで伸びきった白髪、体格から10代だとわかる体つきの少年が肩で息をしながらふらふらと立ち上がった

 

 

 

「…いった…………ちゃ……ヤをま……く……」

 

 

よろめきながら踏ん張り歩き出した…やがて四角い小さな扉にたどり着いた。dustと書かれた壁に身を預けた。ゆっくりと押され壁の向こうへ滑り込むよう落ちていく

 

 

「……っ……宇宙ガン……ファイターXか……る」

 

 

 

やがてゴミ山へ落ちた…幸い柔らかな部分だったが衝撃は身体に容赦なく襲う。息がとまるもすぐに大きく息をはき這い蹲りながら立ち上がろうとする彼の指に固い感触、みるとつるりとしたのヘルメットにも似たマスク…ゆっくりと手にしかぶるとボロボロの布切れをマントのように羽織り歩き出した

 

 

それから数時間後、研究所は謎の爆発を起こし跡形もなく吹き飛び、あとから二人の遺体が発見された。警察と消防は事故とみなし、やがて人々の記憶から風化し忘れ去られていった

 

 

第十二・五話 鏡ーシュピーゲルー

 

 

 

 

 

現在

 

 

アクション商事(国際ガンプラ委員会日本支部)、同会議室

 

 

「……ヒロシ、3ヶ月前にM県で起きた研究所事故にガンプラマフィアがかかわっているだと?」

 

 

 

『ああ、間違いねぇな……ドイツでも似たような事が数件確認されてる……んで詳しく調べてみたらプラフスキー粒子と人体に応用した何らかの違法研究を続けていたらしい。ほぼ無傷で回収できたデータスティクをそちらにおくってあるから目を通してくれ』

 

 

「……………コレは……バカな国際的違法行為だ!」

 

 

 

『ああ、オレもデータを解凍して見て吐きそうになった人間のやることじゃねえ!胸くそ悪いぜ!!あともう一つ悪いニュースだ。ガンプラマフィア……宇宙ガンプラファイターXがサエグサ模型店で開かれている大会の景品を狙っているらしい。詳しくはゲンヤと合流してからになるがな』

 

 

 

「サエグサ模型店…あのミツキ・サエグサの店か………ヒロシ、そちらに彼等を護衛に送るとミツキさんに伝えてくれ」

 

 

 

『お、おいまさか……あのチーム・シャッフルをか!?』

 

 

 

「宇宙ガンプラファイターXがいるとなればイェーガーズもいる。万が一に備えてだ」

 

 

 

 

『………わかった。じゃああとで連絡をする……そうそう言い忘れてた……部下達には今度メシを奢ると伝えておいてくれ』

 

 

「わかった……くれぐれも無理はしないように……」

 

 

 

『了解だ……社長』

 

 

 

 

通信を閉じた彼はゆっくりと別回線で通信をつないだ

 

 

 

『なにようだ……ん?社長ではないかワシになんだ』

 

 

 

「………ガンプラマフィア、宇宙ガンプラファイターXが現れた」

 

 

 

『なに!あやつが動き出しただと……宇宙ガンプラファイターX……あの犬畜生にも劣るすくたれものめが現れただと!!』

 

 

 

 

「サエグサ模型店で開かれている大会はご存じですかな…そこに出された景品を狙っているとヒロシから連絡があり、大会と関係者の護衛にシャッフルの御方たちのお力をお借りしたいのです」

 

 

 

 

『………サエグサ模型店…だと………たしか《ブラックジョーカ》が居る街にある模型店で間違いなかろうな?』

 

 

 

「は、はい……あの引き受けていただけますか?」

 

 

 

『当たり前だ!カレトヴルッフは人の弱みを握り、苦しむ様に愉悦覚える輩に渡すのは癪の極みよ!!社長よ、我らシャッフル同盟、その願いを引き受けた!!では参る!!』

 

 

通信ごしでもわかる覇気、それ以上な熱気に汗を垂らす社長……一方的に切られて数分、ようやく汗を拭いミネラルウォーターを一気に飲み干した

 

 

(…かつてクラフトマンで開発されたバトルシュミレーションシステムが生まれ伝説の関ヶ原ウォーズ終結時に生まれ、G研の天地大河達の戦いを影から支えガンプラ界の秩序を守り続けた。そしてプラフスキー粒子の発見によりさらなる進化を遂げ世界大会が開かれるほどに発展した背景にも彼等シャッフル同盟がいた……キングオブハート、ジャックインダイヤ、クラブエース、クイーンザスペード、ブラックジョーカからなる五人の男女からなるビルドファイター集団……頼みましたよ。ガンプラ界の未来を!)

 

 

 

心の中で社長がつぶやいた、時同じくしてテスタロッサ家では

 

 

 

「よ、ただいまマイハニー」

 

 

「ヒロシ…なの……」

 

 

 

「ははは、びっくりさせようと思ってね~どうしたプレシア?」

 

 

 

未来の義息子攻略法を伝授し買い物に向かおうとドアを開けた先に悪戯が成功したような笑みを見せる愛する夫の姿に驚く。しかし勢いよく踏み切り胸へとびこんだ。それをしっかりとヒロシは抱き止め髪をなでた

 

 

 

「バカ、バカバカバカ~帰ってくるなら連絡してよう……もう」

 

 

 

 

「ごめん、ごめん…可愛いなあ俺のプレシアは」

 

 

 

「ち、茶化さないでばか………でも……お帰りなさい」

 

 

 

「ああ。ただいまマイハニー……ん」

 

 

 

涙目になるプレシアの目元から涙をすくい、顔を近寄せ熱い口づけを交わす二人……しかし

 

 

 

「みせつけるなよ…たのしいのかよ」

 

 

 

「わあ、わあ……キスしてる~」

 

 

 

 

「ば、婆ちゃんなにしてるのさ!じいちゃんもやめろったら!!人見てんだから!!」

 

 

 

二人だけの果糖空間は10分以上続き、周りの声は一切届かなかった…背中に手を回すプレシアの右手甲にジョーカみたいな紋章が浮かぶのもだれも気づいていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラナ地区のビルを足場代わりにけり移動する一つの影があったことも

 

 

 

『…急がなければ……』

 

 

フルフェイスのマスク、ボロボロの黒いマントをなびかせ向かうはサエグサ模型店…彼の目的はわからない。ただ一つ言えるのはガンプラマフィアがいる場所に向かっている

 

ここから物語は大きく動き出す

 

 

第十二・五話 鏡ーシュピーゲルー

 

 

 

 


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