ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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「対象を確認、確保に移る……B班、応答しろ」


黒塗りのハイエースに乗る黒ずくめの男達の視線の先には……



「あ、あの歩けますからミカヤ先輩、それにノーヴェさん、レヴィ」



「ダメだぞ少年は病人何だからね……」


「うんうん、しっかり養生しないとダメダメだよ~」


「ったく無茶しすぎなんだよ……少しはあたしたちに頼れよバカ……」




3人の少女に囲まれるようにマンションへと歩く少年…タカヤを見ている彼らの目的はレヴィ、ノーヴェ、ミカヤの拉致…宇宙ガンプラファイターXからの命…


先の計画で失敗し処分された構成員と同じ末路を歩みたくないために必死だった…マンションへ入る前に拉致するのが作戦だった


「A班からB班……聞こえるか?」



「聞こえる。どうした?」



「……………さ、作戦は中止……ヤツらが……チームシャッ………「ワハハハハハハ!手応え無いぞ!主ら、それでもガンプラマフィアかあ!!」」



A班リーダーの声を消すほどの声がハイエースに響く、通話ごしに耳に届いたワードで瞬時に悟った…あの最強のガンプラ武闘家集団《チーム・シャッフル》がこの近くに来ていると。運転手である部下にこの場から逃げるように激を飛ばし走らせようとした時だった。フロントガラスに乾いた音を響かせ頭部全体を金属質なマスクで覆った十三から十五くらいの少年の姿が現れた



『………悪いがガンプラマフィア、宇宙ガンプラファイターXの同胞は逃がすものか!!メッサーグランツ!!』



「な、なんだ網が絡まって……うわあ!?」



『そこでおとなしくしてるといい……』


飛び抜けざまに投げつけられた球体が網状に広がり黒塗りのハイエースの動きを止める。着地し見届けた少年の視線にはこの喧噪に気づくことなく歩くタカヤ、ノーヴェ、レヴィ、ミカヤ…特にタカヤとミカヤに視線が注がれている


『……………ヤ……カ……え…ゃん……』


……かすかに漏れた声、瞳に当たる部分から微かな安堵の色が見える。静かに立ち去ろうとした時、腕に鞭が巻きついた



『コレは?』


「動かないで……アナタは何者かしら?」



少年が振り返ると黒衣のドレスとストールをかけた濃い紫色の髪を腰まで伸ばし少年の腕に巻きつけた鞭を握り立つ女性…レヴィ、フェイト、アリシアの母親《プレシア・テスタロッサ》…チームシャッフルのメンバーにして電磁鞭使い《ブラック・ジョーカ》の問いに静かに言葉を紡いだ





『…………ガンプラゲルマン流、タツミ・キョウジ。シャッフルのメンバーと争う気は無い………さらばだ!!』






軽く構えた次の瞬間、影に身を沈めるように少年の姿は消え鞭だけが残された




第十三話 もう一つの…………アクイ

「へ、いい年こいてなにやってんだか……ストラトス、どうおもうか?」

 

 

 

「……関係ありませんね。無駄なことに費やすよりガンプラの調整をします……勝たなければ意味がないですから。アマミは調整はしないんですか?」

 

 

 

 

「オレか?言われなくても調整はすんでるさ」

 

 

 

相変わらず無愛想だな愛想良く笑えっての……まあ勝つことにこだわるようなったのはコイツん家、ヤジマ、PPSEと並ぶ企業《ストラトス社》がガンプラバトルでの八百長疑惑、七年前のPPSEスタジアム建設資金の不正流用が発覚して破産になってからだもんなあ。

 

 

 

『………私が弱かったから……強くなければ守れません』

 

 

 

……くくく、あははは~マジ笑えるっての。滑稽すぎてさ。なにせ潰してやった張本人であるオレ様とペアにってるんだからな……オレが提示した条件を何度も断るからこうなんだよ。事故に見せかけて重体にしてやった両親ん前で誓う姿なんて!たまんないぜ~

 

ストラトスから離れ専用ケースを開ける、漆黒に彩られたオレ様の専用ガンプラがある…四年前から愛用して改造も加えたオンリーワン。まってろたくさん暴れさせてやるからな

 

 

 

ーおしらせしま~~す。第三試合に出場する選手は会場へ入ってね~ー

 

 

 

サエグサ模型店のミツキ・サエグサの声を聞き流しながら、調整を終えたストラトスと共にケースを手にして控え室を出る

 

 

……この大会にでる四振りのカレトヴルッフさえ奪えれば試合なんか無視しておさらば出来たんだが、セキュリティーがPPSEに匹敵する事。それにミツキ・サエグサの経歴がまったくといっていいほど掴めないからクソ面倒な手順をへて潜り込んだ……

 

 

それに楽しみが出来た……まさかアイツが《秋月タカヤ》がでてるなんてさ、びっくりだよ。あんだけ楽しく(腹パン)遊んで(ヤクを打って)やってガンプラに関する記憶を全て奪ってやったのに関わらず戻ってきて、天瞳ミカヤ(ショタ)をペアにしてやがるってのはマジ笑える!最高だね!!パチパチパチパチ~~

 

 

三か月前のあの計画《project:TA》が失敗したのを帳消しに出来るぐらいに、四年前みたいに叫びながら這いつくばって、ヤクを決めた時みたいに身体を震わせ苦痛に歪む姿を天瞳ミカヤ(ショタ)の前で見せてやるよ

 

 

 

 

さあ、まずは前菜からいただくか………楽しませてくれよ?チーム・サープリス……あはははは

 

 

第十三話 もう一つの………ーアクイー

 

 

 

「おまたせしました!コレより第三試合、チーム・サープリス、チーム・クライの試合を開始しま~~す♪」

 

 

 

開始をつげる主催者のサエグサ店長の言葉を流しながら私はGPベース、ガンダム・リインをケースから出し

筐体にセット、機体データを読み込んでいく中、正面にリインを静かに置きます

 

《Press set your GP-Base…Press set your GUNPLA。Beginning[Plavesky.Particle]dispersal.field5,space》

 

 

 

 

 

試合前に見た相手…チーム・サープリスは剛と柔を併せ持ってるとわかります。でも私は勝たなければなりません。事故にあっていまだに意識不明のお父様とお母様の入院費を得ること、ストラトス家にあらぬ罪をかけ潰しに追い込んだ人物を探し出す迄、立ち止まるわけにはいかない。でも子供の私ではなにもできずもがいてました

 

お父様の知り合いと名乗る彼、アマミとペアを組んだのはカレトヴルッフが欲しいわけではなく、お父様、おお母様を罠にかけた人物を知っていると聞かされたから、その人物に情報を渡す代わりカレトヴルッフ争奪戦のペアになる交換条件としてのみました

 

 

 

ガンプラバトルは興味はありません…私が望むのは…勝つことだけ、勝って情報を聞き出し然るべき場で裁いてもらうだけ…アマミに「顔見知りに知られないように」渡された衣装とバイザーで顔を隠しモニターを開きアームレイカーに手をおきます

 

 

 

 

《Battle・Start》

 

 

 

「アインハルト・ストラトス、ガンダム・リイン、いきます」

 

 

 

「南無、阿修羅ガンダム、いざ悟りの境地に」

 

 

 

「ボルトガンダム・フォルティス!押し潰すぜ!!」

 

 

 

 

「………さあ、いくか……」

 

 

 

 

………ガンダム・リインの瞳に光が宿り、宇宙へと飛翔します…右から接近反応にアームレイカーを傾けると

 

 

「オラオラオラ!圧し潰れろ!!グラビィトン・プレッシャー!!」

 

 

 

 

「くっ…」

 

 

 

接近アラートと共にモニターに映されたのはみただけで重装甲のガンダム……ボルトガンダム・フォルティスのショルダータックルが僅かに肩に触れただけでアームレイカー越しが振動、肩部にダメージ表示。損傷は軽微です…いきをつくまも与えないと言わんばかりに拳と蹴りが襲いかかります

 

 

 

「よくかわしたな。潰しがいがあるぜ!もっと喰らわせてやらぁ!!フォルティス・ハンマー!!」

 

 

強い蹴りを受けて距離が開いたのをみて、肩から飛び出したチェーン付きの巨大な球体から無数のトゲが展開、勢いよく振り回し投げつけてきます…トゲと鎖の質感からみて金属製。当たればただではすみません。ですけど…

 

 

 

「甘いです」

 

 

 

「なに!?あたしのハンマーを!?」

 

 

スレスレで回避、慌ててチェーンを引き戻そうとする…この僅かな隙が命取り。粒子バーニアを全開解放と同時にチェーンを掴むとぐんっと加速が増します…手を放すと同時に懐に潜り込みこまれ、重い蹴りが襲いかかるのをそらし流しながらアームレイカーを横へ、スロットを変更と同時にリインの拳に光、プラフスキー粒子が収束させ踏み込みと同時に胴へとめがけ拳を叩き込みます

 

 

 

「……覇王断空拳っ!!」

 

 

 

「あ、うそだ!あたしのフォルティスが!!」

 

 

 

モニターには彼女のガンプラの胴に深々と突き刺さった拳。亀裂から溢れ出る光は高密度に圧縮されたプラフスキー粒子…イツキが言うには拳に収束圧縮したプラフスキー粒子を撃ち込み内部で爆発的に解放させ破壊する技らしいです

 

 

 

「ちくしょう!ちくしょおおお!!」

 

 

相手の叫びと共に亀裂が大きく開き膨れ上がりながら両手を撒き散らしながら爆発する姿を見届け、イツキのいる場所へとアームレイカーを傾け向かいます

 

 

 

(お父様、お母様、後少しです。必ず勝ちます……犯人の手掛かりを必ず)

 

 

ただソレだけを胸に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベヒーモス!先に涅槃へ逝ったのか!?」

 

 

 

「余所見してるヒマはあるのか?ほらほらほら!!」

 

 

「ぬ、かような攻撃ヌルい!千手アーム!!」

 

 

ペアのボルトガンダム・フォルティスの反応が消えたのみて焦ってるねぇ~オレのガンプラの粒子ビームを背中から伸びたサブアームで両手を合掌させ生意気にも弾きいなしてやがる……しかも此方の動きにあわせて撃ち返してガンプラを覆い隠しているマントに粒子ビームが掠る度に裂かれてんな

 

 

弾きいなせるのはプラフスキー粒子特性を理解し、変容塗料で仕上げたアームとクネクヌとした変態的可動関節工作技術があってだろうな

 

 

「南無、極楽往生せよアクバク《火炎強弾波》!!」

 

 

 

合掌した手を解き、構えた無数の手から生まれた極大の炎…ち、バカデカすぎだろうが……避けるまもなく喰らっちまった……

 

 

 

「みたか!我の極楽往生秘儀《火炎強弾波》の前に塵芥になるが必定……さて、ベヒーモスを討った輩を……ん?あれはまさか!?」

 

 

 

「………やってくれたな……ふふ、あははは……アイツに見せるまで隠しときたかったんだけどな………よくも五年分の楽しみを台無しにしてくれたなああああああああ!生臭さ坊主うぅ!!」

 

 

 

ガンプラを隠していた僅かに残ったマントを引きちぎる…漆黒の体躯と巨大な龍を模した盾を両手、巨大な両刃斧を手にしたオレのガンプラ……《アストレイ・リュウジンオー》を晒させやがったな

 

アイツを…アキツキ・タカヤを苦しめるために隠していた……オレとあたった時にみせて苦痛と恐怖にゆがむ顔を見たかったのによお…あはは決めた、決めたよ…裏コードを使って生臭さ坊主にしか聞こえないよう周囲との通信カットした…

 

 

「…………おい生臭さ坊主………手前の全部を砕いてやる……ガンプラも心もなあ!!」

 

 

「な!千手アームが!?」

 

 

 

一気に接近し龍楯《ドラグファング》を展開、くねくねうざったらしい腕を挟み噛み砕いた…くくく、あはははははは!いいね、最高のシンフォニーだ!

 

 

「なあ、あんた妹がいるんだよな……お嬢様学校に通わせてるさ?」

 

 

 

「な、なぜそれを!」

 

 

「さあな………もしもだ帰宅途中に黒いハイエースに連れ込まれてめちゃくちゃに全部を奪われたらどうなるかなあ?」

 

 

 

「ま、まさか!このすくたれものが!!」

 

 

 

「すくたれもの?俺わかんないなあ~なあ、妹って大事だよなあ?さっき負けた筋肉女の弟と清く正しいつき合いしてるのに全て壊れるんだぜ!!」

 

 

 

「がっ!?」

 

 

 

残った千手なんたらをクリアーパーツからうまれたビーム刃と一緒に膝蹴り、溶かしきりながら囁く…選手のプライベート情報は秘匿されてんだけど、オレ様の手にかかればたやすい、お茶の子さいさい

 

 

「ほらほら?どうした?悟りの域に達したんだろ?みせて見ろよ悟りの境地を!」

 

 

 

「うっ!」

 

 

「仏の御心をよお!!」

 

 

 

「く、おの……」

 

 

 

「おおっと。攻撃していいのか?そしたら可愛い妹と付き合ってる筋肉女の弟との未来が台無し決定だ。さあ、どうする?どうする?なあどうする!!なあ!!」

 

 

 

龍刃斧を何度も叩きつけるように斬りつける。あはは抵抗出来ないよな?最高だね相手の弱味を握って蹂躙して心をおるのはさあ!弱味に漬け込んで絶対的有利かつスタイリッシュなバトルをするオレってヒーロー?間違いなくヒーローだよね?

 

 

「や、やめてくれ妹とベヒーモスの弟の未来だけは…やめてくれ…たのむ、たのむ!!」

 

 

 

………通信越しに聞こえる擦り切れ懇願する声……ああ、早すぎだろ…折れるのが………ああなんか興醒めだな……

 

 

 

「ああ、わかったよ……手はださねえよ……つまんねえし……でもなあ……オレ様のガンプラをさらしてくれた罪だけだ償わせないとなあ!そう思うよなあ!」

 

 

 

「や、やめろ…たのむ……」

 

 

 

「やだね~あきらめてくらいな………モード・FC!!砕け散りなあああああああああああ!!」

 

 

 

「うわああああああ!!」

 

 

 

全身のクリアーパーツ…粒子蓄積システムを全開法…超絶的加速空間内で棒立ちになる阿修羅…なんたらを龍刃斧で切り裂き砕いてく…腕関節、胴体、頭部…粉々に砕け生臭さ坊主の絶叫が響いた

 

ああ、楽しい……こうやって潰すのは

 

 

 

 

 ーBATTLE・ENDED!!ー

 

 

 

 

 

『し、勝者!チーム・クライ。アマミ・イツキ、アインハルト、ストラトスペアです!!』

 

 

 

 

静まり返った会場、しばらくして歓声が沸き立つ……ふと目を向けると憔悴仕切った生臭さ坊主が粉々に砕けた阿修羅なんたらを光ない目で見てる

 

 

「アクバク!しっかりしろよ…アクバク!何時ものあんたはどうしたんだよ!」

 

 

「……ベヒーモス……俺は……俺は…う」

 

 

 

「アクバク!」

 

 

 

ふらりと倒れた生臭さ坊主の名前を何度も呼ぶ筋肉女…ああ~つまんね~少し遊んだだけなのにさ……ま、少しは楽しめたからいいか

 

 

「ストラトス、いくぞ」

 

 

「ええ…」

 

 

さあ、帰ってねるか…残り一試合は興味ないし……明日の組み合わせが楽しみだな……

 

 

っとその前に、アキツキタカヤの関係者をさらえたかな。サエグサ模型店をでてストラトスを先に帰らせてから端末を開き報告を聞いた…結果は失敗。ふざけんなよ!最高の舞台に必要な演出が台無しになった。その理由は

 

 

 

 

ーチーム・シャッフルに邪魔を…あとガンプラゲルマン流を名乗る輩が…邪魔をー

 

 

 

チーム・シャッフル…ガンプラバトルシステムが確立する前に起きたガンプラバトルシュミレーション世界大会、そして模型秘伝帳を巡る戦いの後に結成されたガンプラバトルを秩序を守る5人の最強のビルドファイター……まだ存在していたのかよ、それにガンプラゲルマン流?Gガンのシュヴァルツかよ?

 

 

まあ、いい……チャンスはまだあるからな。オレ様が最後に勝つんだからな

 

 

 

 

 

第十三話 もう一つの…………アクイ

 

 

 

 

 

 

キャラクター紹介

 

 

 

 

 

タツミ・キョウジ

 

 

年齢:14?

 

 

 

 

宇宙ガンプラファイターXの悪辣な手から影から守り続ける異形のマスクで頭部をすべて隠したガンプラファイターの少年…

 

数年前に途絶えたガンプラ・ゲルマン流の使い手であり、ガンプラマフィア数人同時にバトルを申し込み瞬殺する高度なバトル技術、ビルダーとして世界レベルの腕を持つ

 

 

タカヤ、特にミカヤに対して想うところがあるようだが………その仮面に隠された素顔が晒される日は…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




怒涛の第三試合が終わり、続く第四試合。対戦カードはなんとシロウ、ディアーチェ、トオル、シュテルのペア!


新しい力と力がぶつかり、熱い戦いを繰り広げる中、果たして勝利するペアは誰なのか!!



次回、若き翼たち!!


次回もガンプラバトルにれでぃぃぃごお!!

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