ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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ホテル ラプラス


「ああ、邪魔されただと?」


『はい、宇宙ガンプラファイターX様。まさかチームシャッフル以外に妨害する輩がいるとは…』


くそ、せっかくの楽しい気分が最悪だぜ…まあまあの悲鳴だったから仕方ないか…だが、チームシャッフル以外に俺たちを妨害する奴の事が気になる…


『あと、興味深いコトが……妨害する輩はおそらくーーーーーーーーかと』


「フッ…」


『う、宇宙ガンプラファイターX様?あの………』



マジ、マジかよ?「まだ」生きてやがったのか…だったら誘き出すには丁度いいエサがある

アイツの悲鳴も聞けて、ついでにカレトヴルッフも手に入れられるしな…


「………追って指示するまで待機だ…ただし次は無いからな」


『は、はい宇宙ガンプラファイターX様!!』


ウザい通信を切りベッドに身を預けた……不味い、笑いがこみ上げてきた……くく、アキツキ・タカヤ、おまえの最高の悲鳴が聞けそうだ


「お前も楽しみだよな龍刃皇(リュウジンオー)……四年ぶりに生みの親にあえんだから………」


漆黒に赤に彩られたオレのガンプラ…アストレイ・龍刃皇(リュウジンオー)を観た、明日の組合せ選考会は楽しみだな

アイツの弱みを曝け出して、二度とガンプラバトル出来なくなるようなトラウマ刻んで引導渡してやるよ…………この宇宙ガンプラファイターX様がな!!



アハハッ、アハハハハハハ!!






第十四話 若き翼達!!《後編》☆NEW!!

古くも歴史を感じる石造り巨大な城《ラクロア城》、その遙か上に広がる蒼く澄み切った空を四つの光が煌めく

 

濃紺に塗られたガンダムX・ズィーガ、白地に金の塗装のV2ガンダムのカスタム機《ランスロットガンダム》、真紅の装甲の和鎧に身を包んだSDガンダム《武者真亜主頑駄無》、堕天使を思わせる翼と十字架槍を手にしたWガンダム改造機アルジェントノワールの姿

 

アルジェントノワールの翼が正面せり出し、開放式バレルから撃たれた極太のビームがランスロットガンダムを飲み込もうと迫る。しかし四つの影が現れ光楯を展開、吸収し消え。無傷のランスロットガンダム、そのとなりに控えるようにズィーガに四つの影…ビットMA《ハーゼ・フェミリェール》が両腕、両脚脹ら脛側面にドッキングと同時にウィンドウが開いた

 

 

「大丈夫ですかトオル?」

 

 

「さんきゅ。シュテル…つうかアレ、バスターライフルだよな?」

 

 

 

「ええ、さすがは私たちチーム紫天のリーダー…ディアーチェ・ヤガミです…」

 

 

「…ええ!?シュテルってあの《・・》チーム紫天のメンバーなのか?」

 

 

「…はい、わたしとレヴィ・テスタロッサ、目の前にいるディアーチェ・ヤガミ、三人からなるチームです…ごめんなさいトオル、いままで黙ってて」

 

 

「まあ、シュテルが《紫天》のメンバーって驚いたけど…気にするなよ。今はオレのペアだろ」

 

 

オレの言葉に俯いていたシュテルがガバって顔をあげた。な、なんか顔真っ赤なんだけど、それに目の奥にハートが見えた気が?

 

 

「そうですね。では勝ちましょう……わたしとトオルの幸せのタメに!!」

 

 

「お、おう…」

 

 

なんかスゴい気合入ってる…でもなんか背中にスゴい視線を感じる…恐る恐る振り返った

 

 

「……………………………………イイナア…」

 

 

…な、なにも見てない…スゴく光がない瞳で笑顔を向けてくるヴィヴィオを

 

 

「……ワタシニモイッテホシイナアアアア……」

 

 

観客席から離れてるのに、ヴィヴィオの声が聞こえてくる…な、なにかやったのオレ!?

 

 

「さあ、ハーゼ・フェミリェール。幸せを掴みにいきなさい!!」

 

 

シュテルの声で我に変える、多機能小型MA《ハーゼフエリミエール》が飛翔し、陣形を取っていく。い、今はバトル中だ…集中しないと。スロットを変更して可変式ビームライフル《ヴァリス》を構えた

 

 

 

第十四話 若き翼達!!

 

 

 

「くくく。やるではないか流石は星光のシュテルよ」

 

 

そう口にしながら我は十字架槍《シュベルトクロイッ》の基部からカートリッジを排狹。新たなカートリッジを差し入れた

 

 

「なあ、ディアーチェ。もしかして知り合いか?」

 

 

「そうだ。我の仲間…チーム《紫天》の一人、シュテル・T・グランツ…使うガンプラはガンダムX・ズィーガ。防御と火力はチーム一、しばらく見ないウチにさらにカスタムしておる」

 

 

「ああ、しかもあのビットMAのバリアー、ディアーチェの粒子ビームを防いだ、いや…」

 

 

「吸収したのだろうな。こちらのやり方は熟知しておるからタチが悪い…だが我とシェロウならば勝機はある」

 

 

シェロウと話しながらも遠距離からのビームをアームレイカーを傾け減速、加速、旋回しながらかわしているがかなり正確に狙っておる…まあ、シュテルは我らのガンプラの癖とバトルスタイルを知り尽くしてるから仕方ない

 

しかしなシュテル、お前もカスタムしたように我のもまだ切り札が…

 

「ディアーチェ!油断は禁物だぜ!!」

 

 

「む、すまんないシェロウ。では一気に駆け抜けようぞ!!」

 

我が背を護るように紅の巨槍を奮い襲いかかりビーム。ミサイルを弾き、切り払う武者・真亜主頑駄無《ムシャ・マーズガンダム》を操るシェロウと共にバーニアを最大スロットまであげ飛翔、モニターに2機の姿。オレは真っ先に小型MSビットを使うガンダムX・ズィーガの火線をかい繰り渾身の真亜主斬刃で逆袈裟で胴を薙ごうとした。でも側面から伸びたビームの刃に防がれた。

 

「トオル!?」

 

 

「シュテルはやらせねえぞ!武者頑駄無!!(なんて踏み込みの速さだ!それにSDにしちゃ攻撃が重い!!)」

 

 

「…やるな!でもオレの武者真亜主頑駄無は負けるつもりないぜ!!(なんて速さだ、よく見ると相当作り込んでやがる!!)」

 

 

ビームと刃を数度撃ちぶつける、コイツは強い…背後からの熱源反応が来ている…しまった、ペアマッチだってコトを忘れ…

 

 

「シェロウ!!」

 

 

 

背後からのビームを無数の黒い羽根が吸収して霧散した…ツインアイを光らせ腕を組んだアルジェントノワールに紫の翼が展開してる……な。なんだアレ?

 

 

「ディアーチェ、完成させてたんですね…《紫天の翼》を…」

 

 

 

「まさか、我の翼を披露するコトになろうとはな…シェロウ、シュテルの相手は我にまかせよ…久しぶりにやりあおうとしょうではないか」

 

 

「ええ、久しぶりに…ふふふ、こうして闘うのはチームに勧誘された時以来ですね…トオル、彼の相手をお願いします…」

 

 

相手の声に応えるようシュテルが冷静な瞳に燃えさかる炎を見た。あの二人の戦いに水を差すわけにはいかないな。オレは刃を構える武者頑駄無使いへビームソード《アロンダイト》を向け構え一気に加速し斬りつける

 

でも、分厚い刃で受け流していく…それにビームコーティングがされてるってわかる。バルカン、手甲部ビームガンで狙うけど分厚い刃を正面に構えて楯がわりにして急加速してきた

 

 

「おおお!!」

 

 

「く、くう……うわ!?」

 

 

アームレイカー越しに激しい揺れと衝撃、踏みとどまろうとスラスター全開にする…相手も負けずに推力を上げて、一気に押しかえされた

 

後ろを見るとそびえ立つラクロア城…目に入った瞬間、激しい衝撃がモニターを揺らした…壁を貫きながらラクロア城の最下層に打ち付けれるように吹き飛ばされた

 

「く、くそ……なんっうバカ加速だ…」

 

 

 

砕けた石畳を払いのけ機体を起こすけどランスロットガンダムのコンディションがオレンジに切り替わっている、各間接にもダメージ警告が出てる

 

「………ホントはこんな状態で使うのはマズいんだけど、やるしかないか……行くぞランスロットガンダム!!」

 

 

アームレイカーを素早く切り替え、迷わずSPスロットを選択する…ランスロットガンダムの切り札を今、解き放つてやる

 

 

 

 

「……やったか?…」

 

 

もくもくと土煙がたちのぼる半壊したラクロア城上空で待機している、まだ撃破表示が出ていないし

 

上空にモニターを切り替えると光の軌跡が幾つも見えた…遠目からみてもディアーチェ、たしかシュテルさん?は互いの力が拮抗しているなと思った時、僅かな衝撃と風が起きた

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

ダメージ表示を見ると右腕にレッドアラートが現れている…モニターには右腕装甲が無残に砕かれ切り裂かれている…全神経を集中する、なにかがくる

 

 

とっさにアームレイカーで機体を右旋回運動する俺の真亜主頑駄無の目に見えたのは光の翼…いやビームの刃を翼に変え分身したように加速するランスロットガンダム

 

 

「く、外した!!」

 

 

「ぶ、分身……している!?」

 

 

光の軌跡を残しながら分身しせまるランスロットガンダムに真亜主斬馬《マーズザンバー》で切り払った。手応えもない…まさか質量を持った残像か!

 

 

「コレがオレがシュテルとの特訓で生みだした《M.E.P.Eナイト・オブ・ラウンズ》だ!!」

 

 

 

「ま、また質量を持った分身!?くう!!」

 

 

十二体のランスロットガンダムが迫る…しかも、ビームとサーベル、ミサイルが追尾し爆発する度にダメージ警告が鳴り響く…肌がピリピリしてくる。アメリカでサッキー先生、狂四郎先生、グレコさんとバトルしていて以来か……

 

日本に来て久しぶりの強敵…相手も全てを出し尽くして挑んできてるならば、俺も本気を出さないと失礼だ!!

 

だよな真亜主頑駄無!!SPスロットにあわせた瞬間、ミサイルとビームの閃光がモニターを染め上げた

 

 

 

 

 

 

「…やったのか?」

 

 

MEPE《ナイト・オブ・ラウンズ》を解除し爆発の中心部に目をむける…ランスロットガンダムのベースになったVシリーズはサナリィ系の血が受け継がれていると聞いて、もしかしたらと思って塗装を何層かパールと粒子変容塗料に混ぜたらF-91同様に最大稼働時に起きるMEPE現象を再現できた必殺技…シュテルに見せたらスゴく驚いてたのを覚えてる

 

ホントは最期までとって置くつもりだったんだけどな…あの爆発じゃ間違いなく撃破出来たはず…ゆっくりと煙りが晴れかけた時、紅蓮の炎が爆ぜるようにあふれ出てきた!なんだアレは?

 

 

炎が晴れ見えたのはSDじゃない…真紅の巨大な卵?に気を取られた時、通信が入った

 

 

「まさか質量を持った残像を使うなんて驚いたぜ!日本にはスッゴいファイターがいるってマジだったんだな……だから俺も本気でいくぜ!………コレが真亜主頑駄無の真の姿だ!烈火爆凰・真亜主頑駄無!!」

 

 

卵内から溢れ出した炎から、さっきまでとは違うガンプラ…いやよく見るとSDだったはずの真亜主頑駄無がリアル頭身になって斬馬刀を構えている姿…背中からは炎が翼のように揺らめかせ立つ姿に思わず見入ってしまったけど、気を取り直して再びMEPE《ナイト・オブ・ラウンズ》を展開、迫る…相手は本気で戦いに挑んでくる。ならばファイターとして全てを出し切り勝負するのみ!!

 

 

「M.E.P.Eか、ならば!コレならどうだ!!真亜主斬馬!全っ力っ………開放っ!!」

 

 

ギンっと緑色のツインアイが耀く…手にした真亜主斬馬の中心が左右に開くと同時に紅蓮の炎が分厚く幅広い長身の刃を形成、一気に加速し迫ってくる。でも大振りの一撃じゃ…

 

 

 

「真亜主流・極・扇・斬!!」

 

 

極厚の炎の刃が膨張、巨大なフライパンに変わった!?肌が粟立つ、無意識にアームレイカーを操作、下方に最大加速する。残された残像が炎に飲み込まれた塵になった

 

装甲に塗られた塗料が剥離してく…あんなの喰らったらひとたまりもない。それに二度のE.M.E.Pで粒子残量がヤバいけと、いま、スゴく楽しい……ランスロットガンダム、もう少し付き合ってくれ

 

 

「今のを躱すなんて、やるな!…オレはシロウ・カンザキだ。おまえは?」

 

 

「トオル・フローリアンだ、あんなバカげた方法で破るなんてさ……スゴいな」

 

 

「トオル、もう粒子残量が無いだろ?」

 

 

「う、気付いてたか……」

 

 

「いや、実はオレもさ……だからさ、シンプルに決着つけようぜ」

 

 

シロウの真亜主頑駄無が斬馬刀を手放したのを見て、俺もランスロットガンダムのサーベル、ライフルを手放す。互いに首と拳を鳴らし向き合う。ちょうどラクロア城近くにある闘技場にいるし、絶好のシチュエーションだ

 

 

「んじゃ、行くぞ!」

 

「おお!」

 

 

互いに踏み込みと同時に地をける、大振りに構えた拳が顔面に突き刺さる、同時に真亜主頑駄無の拳が胴に突き刺さって《くの字》に曲がり軋む音が筐体に響くのを耳にしながら、なんとか踏ん張るけどかなり効いた

 

 

「いい拳だ!セイヤア!!」

 

 

「そっちもな!オラァ!!」

 

 

ローキック、ハイキック、裏拳、正拳…ただひたすら殴り、蹴り合う…互いの大技を出し粒子残量がつきかけたランスロットガンダム、真亜主頑駄無のバトルに観客席にいるヴィヴィオ、メガーヌは息をのんで見守るしかなかった

 

 

一方で、上空での戦いにも決着の時が迫っていた

 

 

 

「やりおるなシュテル。あの頃よりも腕をあげたみだいだな」

 

 

 

「アナタもです…ディアーチェ」

 

 

トオルにディアーチェのペアをまかせて20分が過ぎました…ワタシの使い魔ハーゼの連携をいなし、反撃に転じるも防がれながら互いの機体はダメージが蓄積してるのがハッキリわかります

 

流石はワタシたちのリーダー。ビルダー、ファイターとしての技量は全国、もしくは世界でも通じると久しぶりのバトルで痛感しながらハーゼ達を戻します

 

粒子残量はまだ余裕、絶えず周囲の粒子を収束しているので問題はありません

 

 

トオルのことが心配です。でも今はバトルに集中をと考えながらハーゼを再び展開します。残り時間は5分強…ならば仕掛けるならば今です!

 

 

「行きなさいハーゼ……ブラスター3!!」

 

 

「またも同じビット攻撃か……我を楽しませ……な、なに!?機体が!!」

 

 

 

ワタシの使い魔…ハーゼの瞳が緑から赤へ変わる。ハーゼ《ブラスター・ブラスターモード》…ズィーガの新しい機能、ディアーチェのアルジェントノワールの周囲に飛翔、新たに装備した粒子共振フィールドが展開拘束していくのをみながらルシフェリオンを構えます…2基のハーゼが砲口正面にパワーゲート展開、粒子を収束していきます

 

「く、まさか粒子共振フィールドか……ぬかたったわ………」

 

 

「コレで終わりです………コレがワタシのの新しい力……疾れ明星、全てを焼き消す炎となれ!真・ルシフェリオン……ブレイカー!」

 

 

 

全てを焼き尽くす閃光がパワーゲートを抜け更に極大のビームへ変換、まっすぐ空を灼くように突き進み拘束されたアルジェントノワールへ直撃、爆発するのを見届けながら、ルシフェリオンを見ると溶解している…まだ補強が足りなかったみたいです

 

 

トオルが心配です…背をむけた時でした

 

 

「…シュテルよ、勝利を確信するのはまだ早計ぞ?」

 

 

突然響いた声に振り返ったワタシの目に映ったのは。片方の半壊した翼を広げるアルジェントノワール…一体どうやって脱出を?

 

 

「どうやって脱出したか気になるみたいだな……簡単なコトよ。我の破壊の閃光で粒子共振フィールド境界面を相殺したのだ」

 

 

 

「ま、まさか、そんな方法で…」

 

 

「まあ、脱出の瞬間に少しダメージを貰ったが…まだまだ戦えるぞ?」

 

 

バチバチと片翼から火花を散らしながらシュベルトクロイツを構える…ディアーチェの不適笑みを浮かべる姿が見えます。ハーゼは2基失いルシフェリオンは半壊してますが一発ならまだ!

 

 

「くくく、その意気やよし。あの頃と変わらぬ目よ…だがな忘れておらぬか?我にはまだ剣があることを!!」

 

 

 

「……は、まさか!」

 

 

漆黒の羽根が舞っている…アルジェントノワールの周りに浮遊している…シュベルトクロイツをゆっくりと空に掲げる姿に、残されたハーゼ、ルシフェリオンを構えた

 

 

「紫天に吠えよ、我が鼓動!出でよ巨獣!ジャガーノート!!」

 

 

ふわりと舞う紫翼が粒子ビームへ変換、紫色の閃光へ変わりガンダムX・ズィーガへ襲いかかる…ルシフェリオン。ハーゼをビームが噛み砕くように溶かしていく…ああ、やっぱり勝てませんね

 

 

紫より黒に近い閃光に飲まれながら負けを確信しました…でも満足していました

 

 

 

「シュテルよ、見事であったぞ。次はレヴィと共に世界を目指そうぞ」

 

 

その言葉と同時に筐体から光が消えました。同時に歓声が沸き上がりました…一体なにが?おもわず目をむけた先には

 

 

 

『おおお!!』

 

 

 

『ヌギギ!』

 

 

 

互いの武器を放り投げて、殴り蹴り合うランスロットガンダム、真亜主頑駄無の姿…残り時間は1分しかありません

 

引き分けになったとしても、ワタシたちの負けは確定なのになぜ?

 

 

「なぜかわからぬようだなシュテル?」

 

 

「デ、ディアーチェ?わかるんですか?」

 

 

「我の伴侶とシュテルのつれあいの顔をみるのだ、あんなに楽しそうに全力バトルしておる…勝ち負けが決まろうと関係ない…ったく心配して損したわ…でも我の心を激しく揺らしておる」

 

 

「ええ……でも…トオル!負けないでください!!」

 

 

「ぬ、勝敗は関係ないといったはずだが…シェロウ!我がついておるぞ!!」

 

 

 

「トオルくん、ガンバレ!!」

 

 

「トオル、ファイトだよ」

 

 

 

シュテル、ディアーチェ、ヴィヴィオ、メガーヌの応援が届いたのか、二人の戦いは激しさを増していく…互いのマニピュレータは潰れ、ニーアーマー、フロントアーマーも損壊、関節も悲鳴をあげる倒れた。しかしふらりと立ち上がる

 

 

「はあ、はあ……おおお!」

 

 

 

「っ、はあ…っらアアアア!!」

 

 

ランスロットガンダム、真亜主頑駄無の渾身のストレートが顔面に突き刺さる…マニピュレータが完全に吹き飛び、亀裂が走りは弾けたと同時にアナウンスが響いた

 

 

      Battle・Ended!!

 

 

「し、勝者!チーム・シュベルトリッター、ディアーチェ、シロウペアの勝利です!!」

 

 

勝者を告げるサエグサ模型店店長ミツキのやや興奮したアナウンスが響き、大歓声が沸き上がる中、筐体からトオル、シロウが汗だくになりながら出てきて互いに向きあった

 

 

「いいバトルだったぜ」

 

 

「そっちこそ、ナイスファイトだ」

 

 

トオルと彼が互いに握手して、ワタシのところにきました…

 

 

「ゴメン、負けちゃった…」

 

 

「いいんです。ワタシも負けましたから……でも久しぶりに全力を出し切れました」

 

 

 

「じゃ、反省会やろ「トオル、じゃ私の家でやらない翠屋ならまだやってるから」…え、ヴィヴィオいつの間に?」

 

 

「……さっきからい~ま~し~た。ソレよりスゴい汗、吹いてあげる」

 

 

「ち、ちょヴィヴィオ!?」

 

 

「ママもトオルパパの汗を…ワタシの教えた通りに」

 

 

「え?わ、わかったわ…トオルくん、ワタシも…ん」

 

 

「メ、メガーヌさん?なんで舐めるの!ってシュテルもなんで一緒にいや、首筋はやめて!?……ココじゃマズいから!?」

 

 

 

「ヤレヤレ、シュテルも変わったか……恋は盲目と言うが……」

 

 

「シュテル、ガンプラはケースに入れておいたから、家に帰ったら修理しようぜ」

 

 

「無論だ、今宵も朝までになりそうだ…共に暁を眺めるとしょうぞ」

 

 

「はは、そうだな…やり過ぎたかな」

 

 

 

『今日の試合はコレで終了になります。そして明日からいよいよベストフォー同士のバトルになります…それぞれの組み合わせは明日の午前10:00より行います!では、明日も熱いバトルをご期待くださ~~い』

 

 

こうして、大会初日は無事に終わりました…負けはしましたが互いに得るものがたくさんありました

 

 

このあと、翠屋で反省会も兼ねた食事会になりました…でも、あんな事になるなんて…-何があったかは恥ずかしくていえません

 

 

でも少しだけ…トオルって逞しいんです

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆

 

 

ー◆◆∇§♪◎く§。つかれたかい?ー

 

 

ーうん……今日の◎錬、◆瞳のお●◇ん…師④きびしかったね。◎やね④ち6んは?ー

 

 

ーへいきさ。ガン×★◯◑◐の後×♪だからね……ほらおいでー

 

 

まただ、最近たまに変な夢をみる…今日は道場みたいな場所で誰かと話してる…いつもみたいに女の子の顔は見えない、声もノイズ混じってる

 

でも。なんでかわからないけどスゴく懐かしい気がする。女の子の膝に頭を預けて横になる……手が頬に触れた

 

柔らかくてなんか気持ちいい…

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

ーさあ、天∇◑女枕でゆっくりおやすみ……ー

 

 

スゴく優しい声が眠りを誘ってくるのを堪え少し重い瞼を開けた、女の子の顔が少しだけ見えた気がした。なんだろなんか冷たいのが落ちてくる

 

 

 

「ん………また……夢」

 

 

 

「………やっとお目覚めかな?寝ぼすけ少年」

 

 

「ん………!?ミ、ミ、ミカヤ先輩ィィィィ!?」

 

 

ぼうっとした頭が一気に目覚めた。膝枕されてるってわかった。あわてて起き上がろうとしたのがいけなかったのか体勢が崩れた…

 

 

「んっ……少年、流石にコレは早いんじゃ無いかな?ど」

 

 

「え?」

 

 

僕がみたのははだけた寝衣から溢れ、たゆんと微かに動く豊かな胸…ソレを鷲掴みしてて、少しだけ潤んだ瞳で見上げるミカヤ先輩…あわてて離れて思いっきり背をむけた

 

 

「ご、ご、ご、ごめんなさい!ミカヤ先輩!!い、いきなりで…あ、あの……」

 

 

「べつにいいさ(ふふ、今ベッドに押し倒されるなんて今までなかったよ。今日の主菜はコレで決まりだ)…ソレより身体は回復したみたいだね」

 

 

「あ、はい……」

 

 

「じゃあ、早くした方がいいノーヴェとレヴィが朝餉を用意しているから、今日はベストフォー同士の組み合わせ抽選会だからね」

 

 

「え、ベストフォー決まったんですか?」

 

 

「ああ、でもあまり時間が無いから行きすがりに話すよ…さあ行こう」

 

 

部屋を掃除するからとミカヤ先輩に促されてリビングに向かった…ベストフォー決まったんだ。誰が相手になるだろうと気になるけど…でも、ミカヤ先輩。なんで目の周りが赤かったんだろう?

 

 

「タカタカ~、グ~テンモ~ゲン♪よく眠れた?」

 

「あ、おはよタカヤ。コーヒーで良かったか?」

 

 

「うん、ノーヴェさん、レヴィ、おはよう」

 

 

笑顔で挨拶するレヴィとなんかドキマギして挨拶するノーヴェさんと一緒に食卓を囲んで朝食をとる。トーストにベーコン、スクランブルエッグを挟んで食べる…こんがり風味パン生地とスクランブルエッグ、ベーコンが美味しい。ついおかわりしてしまったけど僕が食べるのを嬉しそうに二人がみてた

 

 

「タカタカ、スクランブルエッグはボクとノンノンが作ったんだ~スゴいよね。本当はソーセージにしたかったんだけどベーコンにしてみたんだ~どう?美味しい?」

 

「なあ、スクランブルエッグさ、ア、アタシが作ったんだ(コレしか作れないし…でもいつかは)」

 

 

「え、うん、二人ともスゴく美味しいよ」

 

 

「そ、そうか!だ、だったら良かった。うん(やった!美味しいっていってくれた)」

 

 

「ホント。ねえねえ、じゃあボクが料理を毎日作りに来ていい?」

 

話をしながら食べてて、ふと時間を見た……09:10、抽選選考会は10:00だと気付いて慌てて準備する。ガンプラと選手票は持った。ミカヤ先輩も慌てて来てくれたけどなんかツヤツヤしていたのは気のせいかな

 

「い、行ってきます!」

 

扉を閉めマンションを出た。とにかく急がないと…レヴィ、ノーヴェさんと一緒にかけだした…今から電車に乗れば間に合う距離だ。素早く改札を抜け電車に乗り込み15分、手早く降り改札へ向かう。人の動きも疎らで少し駆け足でむかう

 

 

改札を抜け、青信号を渡ろうとした時だった…スゴい速さでバイクが僕とミカヤ先輩達に向け突っ込んできた…

 

 

「危ない!レヴィ、ノーヴェさん、ミカヤ先輩!!」

 

 

三人を歩道に押した…勢い余ってミカヤ先輩と僕のガンプラが入ったケースが宙を舞いアスファルトに乾いた音と一緒に落ちた…バイクはケースを擦るように走り去っていった

 

 

「タカヤ!大丈夫か?」

 

「タカタカ、ケガしてないよね?」

 

 

「なんて無茶をするんだキミは…もし何があったら…」

 

「…ご。ごめん…でもみんなケガしてないよね」

 

 

「アタシは無事だ…レヴィもミカヤも…ん、ミカヤ、どうした」

 

 

よかった…でもミカヤ先輩の様子がおかしい。手にしたケースを開けて膝をついてるのを見て、駆け寄りみたのはほぼ無傷のツクヨミ斬、でも専用武器の晴嵐が鞘ごと真ん中から折れていた

 

 

「…晴嵐が…晴嵐が折れてる………そんな」

 

 

「ミカヤ先輩、今からサエグサ模型店で直せば」

 

 

「ダメだ、芯鉄が折れてる…同じモノを作るには時間が足りない……どうしたら…」

 

 

 

抽選会が、始まるまであと10分…ソレまでに会場に入らないと棄権扱いになる大会規定を思い出した…晴嵐をみるけど幾重にも硬度の違うプラ板を貼り合わせて作られた刀は僕のでも無理だ

 

 

ノーヴェさん、レヴィもどうしたらいいか考えてるけど案が浮かばない…どうしたら

 

 

『………オレにみせろ…

 

 

【挿絵表示】

 

 

背後から声が響く、振り返った僕がみたのは頭部全てを仮面に隠し、ボロボロの赤いマフラーにコート姿の人が立つ姿…ノーヴェさん、レヴィ、ミカヤ先輩も固まっている。彼はゆっくりと折れた晴嵐を手にし左手をかざし、ゆっくり顔を僕に向けてきた

 

 

『……アキツキ・タカヤ…今からみせる技、覚えろ…』

 

 

ソレだけ言うとバサッとコートを広げる…内側にはサフ、カラースプレー、ヤスリ各種、パテ、プラ板、ピンバイス、デザインナイフ…模型制作に必要な工具、材料が見えた。プラ板を数枚浮かび、瞬く間に切り取られた、接着剤が舞う…

 

 

『ハアアアアアーーーーーー』

 

 

ヤスリがけ、塗装、仕上げが進んでいく。恐ろしく正確に丁寧に加工されていく様に魅入られしまった…

 

『ーーーーーーーー!ハア!!』

 

 

眩い光が消え、変わりに彼の手には寸分違わない晴嵐の姿。ソレを僕に手渡した…

 

 

「あ、あの…コレは」

 

 

『……今の技、覚えたな……』

 

 

「……待てよ!いきなり現れて…他人のガンプラ直して何様のつもりだよ!仮面を外せよ」

 

 

「そうだ、そうだ!仮面ぐらい外したらどう?シュヴアルツヴルーダじゃないんだし…」

 

 

『…………オレの名はタツミ、ガンプラゲルマン流のタツミ・キョウジ…いつかまた会おう…』

 

 

ソレだけ言うとあっというまに姿が消えた…ガンプラゲルマン流?タツミ・キョウジ…あんな高等テクニック、一体何なんだ…でも、直してくれたからいい人なのかな。今は会場に急がないと

 

 

「ミカヤ先輩、どうしたんですか?ミカヤ先輩?」

 

 

「え、ああ……なんでも無いよ…とにかく会場に急ごうか」

 

「はい、じゃ行きましょうか、ほら」

 

「ち、ちょ少年?手、手、手が!?」

 

 

へたり込んだミカヤ先輩の手を握り会場に走り出した…抽選選考会まであと五分、急がなきゃ…僕は試合のことと彼《タツミ・キョウジ》さん?がみせたビルダーテクニックだけしか頭になくて、ミカヤ先輩の様子がおかしいことに気づけなかった

 

 

(…………あ、あの技は…な……タッ君は今、私の手を握りしめてるのに、あり得ない…だってあの技は……)

 

 

 

ーカヤお姉ちゃん、見て見て、ぼく新しい技を作ったんだ………ハアアアアアア、ハアッ!ー

 

 

誘拐される一週間前にみせてくれた技…二代目メイジンカワグチの…血の繋がりが為した技

 

 

ーなづけて、高速作成術!スゴいでしょ♪ー

 

 

ソレに私の晴嵐の作り方を知っているのはタッ君だけ……なんで彼が知っているんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミツキ・サエグサ:いよいよ始まる抽選選考会!ベストフォーに進出した4チーム


しかし最悪な組み合わせが決まったのです


ソレは忘却の彼方より鬼を呼び起こす事になろうとは誰が思ったでしょうか!


次回、ガンダムビルドファイターズ刃ーブレイドー


第十五話 悪夢



次回もガンプラファイト!レディィィ!ゴオッ!!




宇宙ガンプラファイターXにはどんな制裁がいい?

  • 二度と立ち上がれないようにする
  • ガンプラを見ただけで恐怖を抱くようにする

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