ガンダムビルドファイターズ《刃》ーブレイドー   作:オウガ・Ω

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ギリギリ間に合った


とにもかくにもどうぞ~


特別話 バレンタイン編

「ん、な、なあ湯煎はこの温度でいいのか?」

 

 

「ええ、あとは型に流し込んで……ゆっくり気泡が入らないように」

 

 

「気泡が入らないようにって、ガレキ作るんじゃ…」

 

 

 

「ほら、手元が震えてるわよ?」

 

 

 

「わ、わかってる………うう」

 

 

 

湯煎したチョコレートを型へ注ぐのはナカジマホビーの看板娘ならぬ姉妹の一人《ノーヴェ》、その隣には青みがかった髪をアップテールにしフリルがついたエプロンに身を包み立つ母クイントの姿

 

店舗兼住宅のナカジマ家のダイニングキッチンの壁、シンク、IHヒーター周りには半ば焦げたチョコレートのなれの果てが飛散している…明日は乙女に取っての戦いの日《バレンタインデー》

 

 

想い人であるタカヤに人生初めての手作りチョコレートをあげようと意を決し母クイントに頼み込んだ。しかし今まで料理の基本《さしすせそ》すら知らなかったノーヴェにクイントが笑顔で指導にあたったのだが

……

 

 

 

ーち、ちょっと待ちなさい!チョコレートを直接火にかけたらダメよ!焦げるわよ?ー

 

 

 

ーい、いや苦味を出さないと直接火にかけたらでるんじゃないのかよ?ー

 

 

 

ー……え、えと、まずはチョコレートを砕いてボウルに入れ……ー

 

 

 

ーわ、割れない………ん、ぎぎぎぎ……ああ、いらつく!ハンマー持ってくる!!ー

 

 

 

ーま、まつのよ!スレッジハンマーはダメダメ!こうすれば割れるからー

 

 

 

………苦味を出そうと火にチョコレート、湯煎の下拵えにかったクイントがわざわざ購入した大人用のチョコレートを割れずスレッジハンマーを持ち出そうとする…ガンプラ作りなら得意な自慢の娘ノーヴェの将来に危機を覚えながらもようやく湯煎にたどり着き、今、最後の型へと注ぎいれられた

 

 

 

「こ、これでいいのかな」

 

 

 

「上出来よ!あとは冷やして型から抜いてトッピングするだけ。タカヤくん喜ぶわよ~♪」

 

 

 

「そ、そっかな……でもあたし渡せるかどうか、それにこんなの柄じゃないし…変に思っちゃうかも」

 

 

 

「…もうノーヴェったら自信持ちなさい。負けたくないんでしょ?」

 

 

 

「う……そうだけど」

 

 

「じゃあ固まるまでラッピングの準備やっちゃいましよ。見た目も大事だからね♪」

 

 

「…うん」

 

やや頬を紅くし顔をうつむかせ目を泳がせしおらしくつぶやく姿…チョコレートを渡す本命の相手《タカヤ》くんに見せたらビームマグナムでハートを打ち抜けるんじゃ?と内心思いながら上手くいくのを願うクイントの後ろには………

 

 

 

「……も、もう無理…甘いのは…」

 

ディエチ、チンク、ウェンディ、スバル、ギンガのチョコレートに味見を頼まれ、彼氏がいることを知らされヤケになり試食、さらにはトドメのネオすら逃げ出すノーヴェのチョコレートを食べ一足早いホワイトデー並みに真っ白になったナカジマホビー店長ゲンヤのぶつぶつかすれた声が響いた

 

 

 

同時刻、ナカジマホビーから二駅離れたマンション《リ・ホーム》にあるテスタロッサ家では

 

 

 

「ゆっくり慎重にねレヴィ」

 

 

「うん、え、えっとゆっくり………で、できたよ!ボクってやっぱりすごい♪」

 

 

「お、落ち着いてレヴィ!?……あとココアパウダーを丁寧にかけてみて」

 

 

「うん!」

 

 

ほっぺにチョコをがついた水色のエプロン《戦闘服》姿の元気いっぱいに答えるのはテスタロッサ姉妹の末っ子レヴィ。彼女も明日の聖なる戦い《バレンタインデー》に挑む乙女《戦士》。タカヤへの本命どストレートなチョコレートを作ると聞いた姉のフェイト、アリシアは彼氏に送るチョコレートを作るのもあり手伝うことになった

 

 

ただもう一人、いつもならレヴィに色んなアドバイス《肉食系手練手管》をする母プレシアの姿が見えない…ひさしぶりに帰国した夫で国際ガンプラ委員会直属違法ガンプラ取り締り組織、通称《ガンプラ警察》ドイツ支部長ヒロシ・サーシェス・テスタロッサ(旧姓:ヒロシ・野原・サーシェス)との日を跨いでのバレンタインデートにウキウキワクワクし年甲斐もな…(す、すいません!お願いだから笑顔でぐらぐら煮えたチョコレートをかけないで!?アアアアアアア!!)…………イチャイチャデートの真っ最中

 

なおアリシア、フェイトもレヴィのチョコレートを作り終えたら彼氏である《新田飛鳥》と朝までお泊まりデート…もちろん手作りチョコレート(メテオガーリック並みの強壮剤入り)と新しく補充した薄さ0,い…ゴシャ?!

 

 

「コ、コレ以上いっちゃダメ!プライバシー侵害だよ!!」

 

 

「ねえ誰に話してるのフェイト、アリシア?誰もいないよ?」

 

 

「き、気にしなくていいよ。それよりレヴィ飴がけの用意はできた?」

 

 

「うん!じゃあいくよ~♪よしできたあ~~♪♪」

 

 

 

水色の髪を揺らしながら火を通した溶けた飴を横、縦に重ねるよう線を引いて、さらにカード状のホワイトチョコに嬉しそうに文字を書いていく…書かれたのは一時的に住んでいたドイツの言葉

 

 

 

 

 

ーIch liebe dich.《イッヒ・リーベ・ディッヒ 》TAKATAKAー

 

 

満面の笑みに加えてほんのり顔が赤いレヴィ…………訳すると、なんかまたやられそうなのであえていわないよ。実はレヴィがデートにいく前にプレシアから「がんばりなさい」と渡された薄いナニカと秘密兵器を渡されていたna………

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、タカヤの家を挟んで隣の天瞳ミカヤ宅でもチョコレート作りが始まっていた…

 

 

 

「和三盆と抹茶粉はよし……チョコは少し苦め苦めして……よしコレならタッくんの好みに申し分ないね」

 

 

三角巾に割烹着姿のミカヤが湯煎したチョコの味を確かめ満足そうな笑みを浮かべている…少し離れた先にある写真立てに目を向ける

 

 

小さい頃、まだ記憶を失う前のかわいらしくミカヤをカヤお姉ちゃんと呼び慕っていたタカヤ、後ろからもぎゅ~っと抱きしめるミカヤの姿が納められている

 

 

 

「……タッくんは昔から少し苦めなチョコレート…とくに母様の抹茶とチョコレートの組み合わせはね。コレは私しか知らない。ふふふふレヴィもノーヴェもおそらくは明日、渡しにくるだろうけど負ける気はないよ…それにこの流星蒜入りチョコレートを食べたら」

 

 

抹茶と和三盆を絡めて冷えたチョコレートを取り出しクッキングシートへ並べまぶしていくミカヤの脳裏に浮かぶのは懇親の力作チョコレートを食べ終えたタカヤの姿

 

 

『う、なんか…あ、熱いですミカヤさ……ん……あ、あの顔かち、近いで……☆◯☆♪◯☆♪☆!!、そ、そこは!?』

 

 

 

『大丈夫だ少年、すべて私にまかせるんだ…我慢するのはよくないからね…もう、こんなになってるじゃないか』

 

 

 

『うわ!?そこは…っく…あっ』

 

 

 

『ん、ホワイトデーのお返し代わりに少年のをいただくよ…』

 

 

 

「ふふふふ可愛いなタッくんは~恥じらう顔をみせたらむしゃぶりたくなるなるじゃないか…私を誘惑するなんて……いけない子だ、そんなに暴れるなんて昔より大きくなってる。ハアハアハアハアハアハアハアハア……」

 

 

……身をよじらせ妄想にふけるミカヤのイケない一人芝居は続けられながら手元はしっかり調理を終えるとキレイにラッピングすると未だくすぶり火照る身体を沈めるために湯殿へ歩き出す。その手には男モノのナニカが握られていたのは見間違いだろうか

 

 

 

『や、そこ……もっと…タッくん、タッくん、タッくぅうん……っはあ、はあ、んんっ!』

 

シャワーの音と共に聞こえた劣情に満ちた淫靡な声は気のせいだ、うん

 

 

 

 

 

そしてバレンタインデー当日…蘊奥学園はおりしも創立記念日、つまりは休み。いつもより遅く起きたタカヤは大きく背伸びしベッドから降り顔を洗い、歯を磨いて制作依頼されたガンプラの箱を取り出そうとした時、チャイムが鳴りひびく

 

 

「誰だろ?まだ期日には余裕があるんだけど……はい、どちら……」

 

 

 

「やっほ~タカタカ!」

 

 

 

「レヴィ?どうしたの……ってその恰好は!?」

 

 

 

 

「え、コレ?お母さんがボクに似合うからって買ってくれたんだよ。ねえどうかな?」

 

 

 

「え、あ、あの…そのう…」

 

 

 

白いコートにも似たマントになぜかぴっちりとした競泳水着、オーバーニー姿のレヴィがクルリと回った、豊かな胸にくびれ緩やかな曲線を描くヒップに見とれ言葉を失ってしまう

 

 

「もしかして似合ってないかな?」

 

 

「い、いやすごく似合ってる!可愛いいし」

 

 

 

「やったあ~タカタカにほめられたああ♪」

 

 

 

「う、うわレヴィ!だ、抱きつかないで(うわ

、当たってる、レヴィの胸が当たってる!?)」

 

 

 

「え~やだ。もう少しぎゅっとさせてよ~最近忙しいってかまってくれなかったバツだい!!」

 

 

 

「い、いやだから人目が…マンションの人に見られた……」

 

 

ぎゅっと首に抱きつくレヴィから逃れようとしたゾクリと震えゆっくりと気配がした方へ目を向けた先には笑顔で立つミカヤ、ノーヴェの姿…ただ背後にドズル・ザビ、ハマーン・カーン以上のプレッシャーがビシビシ肌に突き刺さる

 

 

 

「み、ミカヤさん、それにノーヴェさん?どうしてココに!?」

 

 

 

「少年、今日は何の日かわかるかな?」

 

 

 

「今日って創立記念日じゃ…「あ?なにいってんだ」……あ、今日は2月14日……!?」

 

 

 

「そう、今日はバレンタインデーだ……さてレヴィ、その羨ましい状きょ…離れてくれないだろうか?」

 

 

 

「やだ♪今日はタカタカと一緒に明日の朝日を見るんだい」

 

 

 

「な!ざけんな!あたしだってやったこと無いことを、いいからタカヤから離れろ!!」

 

 

 

「朝までは許せないな。独り占めはいけないね…レヴィ、少年を渡してもらおうか?」

 

 

 

笑顔でタカヤの身体にしがみついたレヴィを引きはがそうとするミカヤ、ノーヴェ、しかしさらに力を入れ抱きつくとレヴィの90オーバーのバストが形を変え押し付けられ女の子特有の香り、柔らかさに思考があわぶくを立て沸騰寸前、それをみて二人の手に力がさらに入った時だった

 

 

 

「「「「あ!?/うわ!?」」」」

 

 

引っ張り合い名は耐えきれず勢いよく倒れ込む4人、かすかにナニカが潰れる音を耳にしハッとなり互いにの持っていた紙袋をみたミカヤ、ノーヴェ、レヴィの目に映ったのはラッピングが破け潰れた箱…タカヤの為に作ったバレンタインチョコの無残な姿にへたり込んだ

 

 

慣れない料理に悪戦苦闘しながら作りそれぞれの想いが込められたチョコ、今から作り直すにしても時間も材料もない事実に打ちひしがれる中、それぞれの手提げ袋に誰かの手が伸びる

 

 

「え?」

 

 

「………うん、美味しい」

 

 

 

「タ、タカヤ、ナニやってんだよ」

 

 

 

 

「何ってチョコレート食べてるんだけど?」

 

 

 

「少年、もうそれは潰れて、もうだめ…」

 

 

 

「ダメなんかじゃないよ。一生懸命作ってくれたんだよね…抹茶の風味もいい感じで好きな味だよ、えとこっちはカカオを増やしたカカオがいいね。コレは多分ノーヴェさんだね。そして飴がけしてあるチョコレートはドイツのお菓子に似た風味…レヴィのだ」

 

 

 

「わかるのタカタカ?」

 

 

 

「うん、オウマ爺様からいろいろ食べさせて貰ったから……寒くなってきたしココにいるのも何だし僕の家日にいこうか?」

 

 

 

「ま、待てよ。そのチョコレートどうする気だよ?もう捨て…」

 

 

 

「ん~。せっかくなんだし簡単なお菓子作ろうか。みんなで一緒に食べよう。いろいろ作り方あるんだ」

 

 

柔らかな笑顔を見せチョコレートが入った紙袋をもち手招きするタカヤの顔をみて少し迷うもついていくミカヤ、ノーヴェ、レヴィ…下手をしたら怪我をしたかもしれないのに笑って許したタカヤに申し訳ない気持ちになる。リビングに案内されても黙り込む三人の前にそっと出されたのはパンケーキと三種類のチョコソース

 

 

 

「ひさしぶりに作ったから上手くできたかわからないけど…さあおあがり」

 

 

 

チョコソースをパンケーキにかけ切り分け口にするレヴィ、ノーヴェ、ミカヤの表情がバアアッと明るくなる

 

 

「美味しい…生地はフワフワでチョコソースとぴったりだよ~」

 

 

 

「美味すぎだろ…コレってあたしのチョコか?」

 

 

 

「はい、ノーヴェさんのチョコは風味がよくてパンケーキにぴったりなんです。そしてコレがミカヤさんのチョコで作った抹茶ムースケーキ、レヴィのは飴がけが綺麗だからイチゴのデコレートケーキにしたんだ」

 

 

「飴がけのサクサクした食感、ケーキ生地との相性…まさに極みだよ…少年」

 

 

 

「まだまだおかわりはありますから、たくさん食べてくださいね…あと、ホワイトデー楽しみにしてくださいね」

 

 

 

「バカ…(あたしたちのチョコでご馳走するなんて反則だろ…母さんに料理教えてもらわないとまずいよな)」

 

 

 

「一本取られたね…でも楽しみにしておくよ(ありがとうタッくん)」

 

 

 

 

「うん、楽しみに待ってるねタカタカ(……お母さんゴメン、この薄いの使えなかったけど次で使うから安心してね)」

 

 

 

様々なトラブルがあったが三人の乙女たちの聖戦はタカヤからの手作りスイーツを振る舞われることで幕を閉じた……かに見えた

 

 

 

 

(だ、ダメだ全然眠れない……身体も熱いし……明日学校なのに)

 

 

 

 

 

チョコに混ぜられていた強壮剤、流星蒜のせいで血がたぎりすぎ寝付けず明け方にようやく眠ったモノの、タカヤを起こしに来たミカヤが朝の生理反応をみて「苦しいのならば我慢は良くないな…私に任せてくれないか」と一悶着あったのは別な話

 

 

 

 

特別話 バレンタイン編

 

 

 

 




テスタロッサ夫妻



愛する旦那ヒロシ・サーシェスとのひさしぶりのデート


もちろん朝までチョコレートより濃密な時を過ごしホワイトデーのお返しをたくさん貰った模様……




ナカジマ夫妻



ひさしぶりの二人っきりに新婚時を思い出し頑張る…翌朝カサカサになりふらつくゲンヤ、艶々したクイントを娘たちはみた!(家政婦はみた!!)



アリシア&フェイト



新田飛鳥と一緒に店の手伝いを終え、唇にくわえたバレンタインチョコレートを口移しで…そのせいか次の日の朝まで二人相手に何度も頑張った







タカヤ…



ギリギリのところでノーヴェ、レヴィに助けられるも病欠…三人をみると激しく興奮するのを必死にたえた








以上、後日談です










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