京のヒーローアカデミア   作:The Key

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プロローグ
天才は平和を守るヒーローになる


思い出した。

なぜ私はこんなにも重要なことを今まで忘れていたのだろうか。

 

「ちょっと、すごい音したよ大丈夫!?」

 

母が自室の扉を勢いよく開ける。

 

「あぁ、少し背伸びをしすぎてしまった。脚立を使うよ。」

 

落ちた図鑑を拾いながらそう私が答えると母は湿布を急いで持ってきて腰に貼った。頭を打ち付けたなんて言ったらとうとう病院だ精密検査だと言い出しかねない。母のお節介にはいつも助けられているが今回ばかりは嘘を吐いてしまった。贖罪にでも夕飯は私が腕をふるうとしよう。

 

★★★

 

「…よってAB=BCである。ここまでで何か質問あるやついるか。」

 

成績の為にノートを几帳面に仕上げていたので大人しく黒板を要約したり先生の言葉を掻い摘んで書き込む。

 

先日からある身に覚えのない記憶について様々な考察をしたが結局”前世の記憶”という馬鹿げた仮説だけが残った。案外それが答えなのだろう

 

「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる。」

 

シャーロック・ホームズの言葉だ。あの記憶について意識の混濁や精神疾患、身体の不調を疑ったが今日まで健康に過ごすことが出来ている。

 

それにこの世界とあの記憶との辻褄が全く合わない。あの世界には個性なんて存在せず超能力はオカルトとして扱われていたしオールマイトの様な圧倒的な個はおらず平和の象徴なんていなかった。確証こそないが前世の記憶としか言いようがないだろう。

 

「じゃあ今日はここまで。よし、ホームルーム始めるぞ。」

 

皆ペンを動かす手を止め息を着く。授業が終わりリラックスして喧騒に包まれる。先生はいつものように声を張って注目を自分に向けながら日程変更などの連絡をしていく。

 

「文殊、放課後俺のとこまで来い。」

 

呼び出しを受けた、記憶が戻ってから自分の身の振り方を考えていて入試手続きを先延ばしにしていたことについてだろう。

 

★★★

 

「で、どこに志願書を出す?文殊ならヒーロー科以外ならどこでも行けるだろう。」

 

はい、と生返事を返しながら今までのことを思い返す。自分の夢について考えていたことだ。

 

自分の発明が世界中の人を救い笑顔にさせることオールマイトの様に彼が来ただけで皆が安心するようなヒーローになりたい。無個性だった私にとってヒーローはとうの昔に諦めていた夢であったが、この記憶をがあれば或いはヒーローになれるかもしれない。

 

「雄英高校に提出して下さい、あとヒーロー科にも。」

 

「ヒーロー科?記念受験か?」

 

「はい、長年引き摺っていた夢なのでこれで幕引きにしようと思っています。」

 

記念受験?馬鹿にするな、そんな事私がする訳が無いだろう。あと入試まで2ヶ月程度しかない。実装まで間に合うだろうか、間に合わせるしかない。ヒーロー科に入学して夢を目標へと昇華させる。

 

★★★

 

中学の範囲の授業が完了した次の日から私は無理を言って入試準備のために学校を欠席した。成績優秀者で給付型奨学金を狙うために自分に合った環境で勉強をしたいと言うと融通を効かせてくれた。

 

昔からお小遣いを投資に回しては利益を上げていて使い道もないため口座には腐る程の軍資金があった。それを使って高電圧の発電機や溶接機を購入する。

 

工作にいつか役立つかと思い取得していたアークやガスの溶接資格を活かして鉄板を曲げたり接いだりしながら兵装を作っていく。学校を休んで家で騒音を立てても何も咎めて来ない母には頭が上がらない。

 

贅沢を言えば工場や研究設備を買って高度な開発も行いたかったのだがそれには時間が足りなかった。

 

全身を覆うアーマーで圧倒したかったと内心惜しむがいくら言っても覆らないことなので腕と足を覆う簡素な兵装を作る。雑念が入って溶接が曲がらない様に無心で作り続けた。

 

★★★

 

「絶対ヒーローになるのよ!」

 

「ああ!行ってきます!」

 

雄英入試当日、玄関に立った母から激励の言葉を受けながら送り出され私は軽やかな足取りで入試会場に向かう。




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