目と口を閉じ、鼻をつまみながらできるだけ息を長く止めるためスーツケースを抱え込み座り込む。
少しの間そうしているとふいに声を掛けられる。
「京?アンタ何やってんの...」
そう怪訝そうな耳郎の声が聞こえ、思わず声のする方を見てしまう。しかし声真似をする敵などではなく本物の耳郎がおり、八百万や電気も居た。ひとまず安心してから何事もなかったかのように言う。
「あの霧がワープゲートだと断じるのはまだ出来なかったからな。毒ガスの可能性も警戒してたんだ。」
「怖かっただけじゃないのか〜」
そう弄ってくる電気に軽くチョップを入れつつ状況を確認する。
「ここは傭兵だけか。」
襲撃してきたメンバーの中で明らかに異彩を放っていた3人が居ないことを確認しそう漏らす。
「ずいぶんと数が多いですわね。」
そう言いつつ武器を自分と耳郎に装備させる八百万。
「俺にも武器をくれ!」
そう言いつつ断られる電気。
ここに飛ばされたメンバーがバランスの整った編成である事に敵の情報不足を嗤いながらMK3を装備する私。
本物の敵との戦いの火蓋がいま切って落とされた。
「所詮学生だぞ!ぶっ飛ばしてやる!」
などと言いながら襲いかかってくる敵たちに対処していく。前回のものより連射性を上げたリパルサーレイを次々に撃ち込む。
『Mr.京、連射に対して発電が追いつきません。』
だが、半分を削ったあたりでFrontierのその声で射撃を止め、3人の方を向く。
「すまん。もう撃てない。」
「いいえ。十分過ぎるほどに時間を稼いでくださいました、京さん。」
だがその声と共に巨大なマントを創り耳郎と私にも入るよう促す。
「厚さ100mmの絶縁体マントですわ!上鳴さん!」
そういい自身含め3人が入ったのを確認するとマントを離し潜る。
「なるほど!これなら俺は、クソ強え!!」
そう言い八百万の意図を理解した電気が全力で個性を行使する。彼の個性である放電は指向性を持たせることは出来ず味方のことも攻撃してしまう恐れがある。しかし今回八百万の個性によって創られた絶縁体マントによって私たちの感電の恐れが無くなった今、彼は自身の言葉正しくクソ強いのである。
★★★
マントなら3人が出るとそこには黒煙を吐く敵たちと個性の使用過多によってアホ面を晒す電気がいた。
どうやらここら辺の敵は完全に掃討出来たようだった。
「耳郎、索敵頼む。」
そう端的に伝えFrontierにも同じく索敵を指示する。
「『地中にー』」
言い切るよりも早く地中が敵は飛び出していて、更には電気を捕らえられ人質にされた。
「手ぇ上げろ!個性は使ったらこいつを殺す。」
そう言いつつ電気の首に手を当てる敵。レーダーの反応からしてこいつが電波妨害をしている敵だろう、手から電気を出しつつ脅している。あれを使うべきが悩む。
「上鳴もだけどさ、電気系ってさ生まれながらの勝ち組じゃん?」
突然耳郎がそう話し始める。
「何を。」
八百万が驚き何が狙いかと声を漏らす。
「だってヒーローでなくても色んな仕事あるし引く手数多じゃん。」
「いや、純粋な疑問ね?何でヴィランなんかやってんのかなって。」
いわゆるミスディレクションというマジック等で良く使われる技術。だがこういった戦闘行為でも使用され、耳郎は犯人を会話に集中させ個性とサポートアイテムで攻撃しようとする。
「やめろ、気付かれないとでも思ったか?子どもの浅知恵など馬鹿な大人にしか通じないさ。」
「ヒーローの卵が人質を軽視するなよ。」
「おまえ達が抵抗しなければこのアホは見逃してやるぜ?他人の命か自分らの命か、さぁ動くなよ。」
だが犯人は違和感に気付き稲妻を纏った手を更に電気に近づける。
危ない、そう思った瞬間Frontierに指示を出す。
「Frontier、狙撃。」
そう言うとスーツの肩の部分が変形し銃の形をなす。ピュンという可愛い音と共にレーザーが敵の肩を撃ち抜く。
「があぁぁ‼︎‼︎」
肩から煙を出しながら腕をだらりと垂らしもう片方の腕で傷口を押さえる。私はこの敵にマウントを取りながら尋問をする。
「今回のこの計画は誰が主導だ?誰から聞いた?何が目的だ?」
そう言いながら傷口を押さえる敵の手を握り、徐々に力をこめていく。
「わ、わかった。言う!この計画のボスはあの手だらけの男だ‼︎あの黒い靄の男に誘われて参加した‼︎も、目的は、」
そこで敵は脂汗をかきながらもこちらを馬鹿にするような笑みを浮かべながらこう続けた。
「オールマイトの殺害だ!‼︎‼︎」
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