1回戦第1試合が始まった。緑谷と先程の彼、心操人使の試合だ。マイク先生の合図の後、少し会話した様子がありその直後、緑谷が不自然に硬直する。
「折角忠告したってのに!」
そう言って立ち上がる尾白を見ながら考え込む。
恐らく相手の意識を奪うタイプの個性なのだろう。今の緑谷のように騎馬戦の時も尾白達は不自然な挙動が見られた。発動条件は会話だろうか、いや、任意発動できる個性は条件を誤魔化しやすい。目線かもしれないし、触ったあと1度だけ発動なんてのも有るかも知れない。
そう考察にふけっていると、
「オイオイ、場外に歩いてんぞ!緑谷!!」
彼の操作か緑谷が回れ右をして後ろの場外のラインに向かって歩き出していた。1度答えたら勝負が決まるなんて強すぎる、思わずそう零す。
「それがそういう訳でも無いんだ。」
尾白が依然険しい表情のまま私の言葉にそう返す。
「うん?」
「騎馬戦の時、アイツに話しかけられた直後から記憶が無い。だけど!他の騎馬とぶつかった所から体にまた自由が戻ったんだ!!」
経験した彼だからこそ知り得た弱点だろう、忠告したのにと再び言いながら戦いの行方を見つめる彼から視線を戻し決着を見守る。
★★★
結果は緑谷の勝利で終わった。そのまま場外になるかと思われたがすんでのところで緑谷の個性が暴発し、その衝撃で意識が回復したのだろう。
心操が投げられ戦いが終わった。
★★★
第2試合、轟と瀬呂の試合。轟の強力な攻撃に彼が何処まで粘るのか、そう思われていたが勝負は一瞬にして着いた。
「どんまーい。」
観客たちが瀬呂の様子に感じるものがあったのかそんな声が多く聞こえた。かくいう私もコールに参加したのだが。
轟の大氷塊によって瀬呂は氷漬け、スタジアムの外にまで氷塊がはみ出していた。当然身動きが取れるはずもなく瀬呂が降参し轟の勝利となった。
★★★
第3試合、電気とB組、塩崎茨の試合。マイク先生のいつもの空気が塩崎にボコボコにされるハプニングがあったものの試合は普通に始まった。
電気はいつもの調子でチャラい雰囲気を醸し出し相手の彼女に何かを話かけているようだった。
「ねえ、あれって…」
隣の耳郎が聞いてくる。あれ、で通じてしまうのは電気の悲しい所だ。
「ああ、してるなナンパ。」
キメ顔をしている。完全にデートに誘っているだろう。スタジアム中の女性から白い目で見られているがいつ気づくのだろうか。
「てかアンタ、試合は?次でしょ、もう飯田いないよ?」
「準備とか特にないから直行。」
心配してくる彼女に大丈夫である事を伝える。
★★★
試合内容は非常に呆気ないもので電気の攻撃が彼女を直ぐに戦闘不能にするかと思いきや彼女は頭のツルを使って電撃を防御。アホになった彼を拘束して塩崎の勝利となった。
★★★
「何やってんだアイツ...」
最初から飛ばして考え無しに全力攻撃を仕掛けた電気にため息をつく。だけども持久戦でもジリ貧だったろうし詰みだったのか、と思い至る。
「そろそろか。」
「がんばれ!」
時計を確認する。応援してくれる彼女におう、と返し選手待機所に向かった。
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