轟と緑谷の試合に目を奪われていて次の試合に出場することを完全に失念していた。やばい、久しぶりの失敗に語彙を失いそんな言葉しか浮かんでこない。
「Frontier.すぐに来い。」
『10秒後に到着します。』
Frontierにそう指示すると端的に答えが返ってくる。
10秒か、第1種目の時に20秒かかっていたはずだから半分にまでタイムが縮まったという事だ。凄まじい自己学習能力だな、開発者である我ながら感心し入場ゲートに立つ。
★★★
ゲートからステージを覗き見ると凄まじい残骸の跡が残っていた。先ほどの攻撃のぶつかり合いは観客席にまで衝撃が来ていた中心地の被害は尋常ではないだろう。
それと同時にステージの修理を行なっているセメントス先生にも目がいく。あれだけの被害を数分で元通りにしている、先ほども直ぐに壁を何枚も作り出して攻撃の衝突を防いでいた。市街地戦で彼に敵うものはいないだろう、そう考えてしまうほどに強い個性だ。
★★★
「先ほどまで試合を見ていたようですね。観客席側の階段から駆け降りてくるあなたを見ました。余裕のようですが負けるわけにはいかないです。」
ステージに入場するとそう彼女、塩崎茨が言う。飛んできたスーツを身につける中、あの痴態を見られていたのかと恥ずかしさに包まれる。衆目の環境の手前、下手に言い訳をするとボロが出そうなので彼女の言葉に乗っかる。
「問題ない。勝つのは私だ。」
マスクを通して喋ると自分の声に出来るだけ近しい人工音声に変換される。その為か動揺した声も冷血な印象の声になってしまい彼女の目が僅かに鋭くなる。
★★★
『初戦相手を瞬殺したB組‼︎塩崎茨ァァ‼︎対するのはこれまた初戦で相手を完封したA組‼︎京文殊ゥゥ‼︎両者見合ってstartォォォ‼︎‼︎』
マイク先生のゴングがなり試合が始まる。
開始直後彼女は髪の蔦を伸ばして此方を拘束しようとしてくる。凄まじい毛量だと恐々としながらも襲い来る蔦をリパルサーレイで焼き切る。
負けじと次々に蔦が襲いかかってくるも全て焼き切って彼女に接近する。彼女を脇に抱えるとジタバタと暴れ出すも力勝負では敵わず場外に置かれる。
『京文殊の勝利ィ‼︎』
この試合は京の極有利、観客達がそう勘づき始める。有刺鉄線の様に触れる事すら拒む彼女の蔦も鋼鉄に身を包む彼には効果がない。
面での攻撃力も先ほどのレーザーで対応されていた。最終種目で勝ち上がった猛者にも押される事なく完封してしまう京の強さに段々と注目が集まり始めていた。
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