ドドドドドドドォォォォォォ!!!!
時計を確認していると凄まじい地響きと共に遠方に土煙が立つのが見えた。説明会の時あの真面目メガネ君が噛み付いていた0ポイントロボットなのだろう。倒す必要性こそないがあれだけ轟音が鳴っているのだ、他のロボットが集まってくるだろうと睨んで私は轟音の鳴る方へと急いで飛んで行った。
凄絶、その一言に尽きるだろう。0ポイントロボットの通った後にはビルの欠片が散らばっていて正に巨大ヴィランといった暴れっぷりだ。
「あてが外れたな」
殆どポイントの加算されるロボットは狩り尽くされてしまった様だった。逃げる受験生達を見ながらポイントを稼ぐ方法を模索する。
「痛っ!」
逃げる彼らの喚く声の中から明らかに異状なものが聞こえてきて、目を向けると実技試験開始前話しかけてきた女子であった。0ポイントの壊したコンクリ片が脚に当たったのか他の受験生に転んだ所を踏まれたのか分からないが匍匐で必死に逃げていた。誰も彼女を救おうとせず背を向ける状況に絶望を覚える、ヒーローの意味も知らないのかと。
直ぐに0ポイントのうなじにフックを撃ち込む、既に安全装置の機能は外していてワイヤーが悲鳴をあげている。
ドスッッ!
勢いのまま飛び蹴りをお見舞いすると首筋の装甲を貫通してモーターやケーブル類のある内部まで到達した。
「放て」
脚部から凄まじい放電がされ0ポイントは全身からイナズマを発しながら機能を低下させる。そのうちにフックショットで素早く着地すると惚けている彼女に構うことなく抱えて再び飛び上がる。
「ちょ、ちょ!ちょっと!!」
目を丸くする彼女に私は優しく語りかける。
「もう大丈夫、私が来た。」
すると彼女は緊張の糸が切れたのかストンと眠りに落ちてしまった。無理もない脚の骨を砕かれてなお必死に酷使して逃げていたのだ反動は想像を絶するだろう。
0ポイントから距離をとった所に彼女を置き防護服の上に着ていたパーカーを枕代わりにして横たえる。私は彼女に背を向けビルより大きい0ポイントに向かう。
他人から見たら自己陶酔だろうしカッコつけていると揶揄されたら反論できないだろう。
だがその何が悪いのか。ここは雄英の用意した鳥籠で、ここの教師にいかに自分がヒーロー足り得るか、それを見せる場所なのだ。鳥籠の中でさえ満足に理想を貫けないのならここに入学する資格は無いだろう。そう自分を奮い立たる。
あいつを倒さんとフックショットで一気に接近する。すると元々高い位置にある腕をノーモーションで振り下ろしてきた。どんなヴィランを想定しているのだと内心悪態をつきながら横に回避する。
やはり重いのか振り上げに苦労している腕に乗り上げ籠手を突き立てて登攀していく。振り落とそうとするが構わず登り続ける。自分のことを叩いてでも攻撃するのが出来ないのはAIの悲しき性だ。
首元まで登るとうなじに回り込み先程貫いた装甲に爪を突き立てる。ひしゃげてネジが外れていたのか存外手間取らず外し内部が露わになった。
「リミットオフ、フルチャージ!発射!!!!」
残り時間はあと1分となくこのレールガン1発に残りの全ての充電を使う。発射された瞬間反動で肩が外れたのを感じながらなお体が浮き上がる。
ドガァァァァァァン!!!!
貫通した弾が地面に勢いよく着弾しクモの巣状に割れる。主な骨組みを破壊されたのか体の部位が支えきれずに落ちていく。
「終了ー」
先程の試験官の声が響き渡り雄英高校の入試が全て終わった。
フックショットは充電切れで動かないので登る時と同じ様に爪を突き立てて降り、戻した肩の具合を確かめながらビルの上に置きっぱなしだったケースを回収した。
途中
「怪我は無いかい?」
と雄英高校の関係者なのだろうお婆さんに確認されたが、
「彼女を頼みます」
といつの間にか0ポイントが間近に迫っていた彼女を任せ私は帰路に着いた。
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