バトルスピリッツ W-LINK   作:けんき

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視点切り替えの記号

─ 場面切り替え
☆ 一人称から三人称の切り替え
★ 三人称から一人称の切り替え

こんな感じです。今のところなんで、ちょこちょこ変わると思います


雷撃の銃士

 

「へぇ~四位さんの家でお世話になっているんですね」

「ええ、割と良い心地いいんだよ」

 

私はトアさんの話をいろいろ聞いてた。どうやら、四位さんの家でお世話になってるみたい。

 

「妹の詩羽とも仲良くしてるよ」

「そういや、妹さんがいるって言ってましたもんね」

「なかなかいい子だよ。少しゆっくりめに話して聞き取りやすいし」

「へぇ~」

 

トアさんと女子会に花を咲かせていると、後ろの入口の扉が開く音がした。

 

「あっ、来てたのか」

 

なんだ。緑丘先輩か。

 

「静雄!!!」

 

グロウと遊んでいたランポが緑丘先輩の胸に飛びついた。

 

「うわぁっ!?だから、急に飛びかかるな!」

「今日は何して遊ぶ?」

 

尻尾を左右に振って、本当に犬みたいだ。喋るけど……。

 

「彩火!」

「井亜鈴ちゃん!」

 

緑丘先輩の後ろから虹海、氷牙が顔を見せた。

2人は忘れ物を取りに一度学校に戻ったんだよね。

 

「2人とも、忘れ物は?」

「取ってきたよ!」

 

虹海は水色の手提げを、氷牙を白いデッキケースを見せてきた。

 

『学校にデッキを持ってきたのね……』

「ダメなんだけど……私は言える立場じゃないから……」

 

私もデッキを持ってきてるからね……。

 

「静雄くんおかえり〜。あ、氷牙くん達も来たんだ」

 

奥の部屋から星野さんが出てきた。

 

「はい!お疲れ様でーす!」

「お疲れ様です」

「元気でよろしい!」

「それにしても何かありました?」

 

虹海の言葉に星野さんは首を横に振った。

 

「特になかったよ。まあ、平和が一番だよ」

 

まあ、それはそうだ。毎日、昨日みたいなことがあったら命がいくつあっても足りない……。

 

「そういや、井亜鈴達はそろそろ林間学校の時期だろ。準備したのか?」

「来週ですね。全然準備してないっすね」

『林間学校?』

「あー、スカーレットは知らないよね。うちの学校の方針で、1年生は野外活動で二泊三日でお泊まりをするんだよ」

『へぇ~、そんな行事があるのね』

 

クラスの人は面倒くさそうだったけど、学年全体だからいろんなクラスの人と触れ合えるから私自身は結構楽しみなんだよね。

 

「だけど、全く準備してなくて……」

『それなら早く準備しないといけないないわね』

「そうなんだけど、面倒くさくて……」

『はぁー……こういった準備を怠るのはよくないわよ』

 

ごもっともだ……しっかりもののスカーレットが呆れるのもよくわかる……。

 

「よし、やることねぇなら、彩火!俺とバトルしよ!」

「別にいいよ」

「じゃあ、あたしは離れるね」

 

そう言って反対にいたトアさんは立ち上がり別の場所に移動する。

 

「なら、やるぞ!」

 

トアさんがいた席に氷牙が座る。

 

「グロウ」

 

私の問いかけにグロウは「おう!」と返事して私のデッキに吸い込まれる。

私達はバトスピの準備を終えて、バトルを始めた。

氷牙の使うデッキはアクセル機獣。まあ、案の定、キースピリットは恐竜辛機ターボ・レックス。

 

「行くぜ!アクセル効果発揮!ライズ・グロウをデッキ下に戻す!」

「なら、掴み取れ!果てなき道の先にある勝利を我が拳に!相棒竜グロウに緋炎龍皇グロウカイザーを契約煌臨!」

「しまった!!ソウルコア残ってた!!」

「甘いね!グロウ・カイザーでアタック!」

「ま、負けたぁ……」

 

実はあまり氷牙にはバトスピで負けたことがない。決して弱いわけじゃないけど、対策しやすいんだよね。

 

「おぉ~グロウを使いこなしてるじゃん彩火ちゃん」

「はい。おかげさまで」

 

連合国軍とかなり戦ってるし、スカーレットの戦いもよく見てるから嫌でもデッキの特徴を覚えてしまう。

 

「まあ、オレは最強になる予定のドラゴンだからな!」

 

初めて聞いた……。

 

『まずは、最強になるにはわたくしを倒さないといけないしね』

「え、グロウってスカーレットに負けたことあるの?」

『まあ、そうね』

 

人間がスピリットに勝つってどういうこと?

 

「つ、次こそは……」

「デッキレベルに差があるから、何度やっても結果は同じだと思うな〜」

 

星野さんの言葉は辛辣だけど、それはなんとなくわかるかも。デッキレベルうんぬんは置いといて何度やっても私が勝つような気がする。

 

「やっぱり……俺も誰かと契約が出来ればぁ……もっと強くなれるのに」

 

悔しそうに手を握る氷牙。

すると精神世界のスカーレットが『わたくしに変わってもらえる?』と声をかけてきた。

もちろん私は承諾して……わたくしに変わる。

 

「氷牙。あまりそういうことは言うもんじゃないわよ」

「え、だって……」

「だってじゃないわ。スピリットと契約するということは精神とリンクすること」

「精神を一体に……」

「つまり下手に感情を任せると紋章もそれに応えるように強い力を得られる。それが怒りの力で暴走しようとね……もちろんスピリットもその影響を受ける」

「お、おう」

「暴走したスピリットはそう簡単に止められない」

 

“あんなこと”……二度と起こしたくない……。

 

『スカーレット?』

「それに、氷牙なら氷牙なりに出来ることがあるんじゃない?」

「俺なりに出来ること……」

「わたくしが言いたかったのはそれだけ。紋章はそれだけ繊細なものってことと、契約者はどんなことが起きてもブレない精神が必要ってこと」

「そうなのか……なんか、凄い勉強になりました!」

「わかってくれてよかったわ」

「よーし、精神力を鍛えるぞ!」

 

わ、わかってくれたのよね?

 

『あはは……』

 

まあ、わかってくれたことを信じるしかないわね。

さてと、連合国軍が出てきそうな様子はないみたいだし……。

 

「彩火、グロウそろそろ帰る?」

『スカーレットが特に何もないなら』

「ランポともう少し遊びたかったけど、スカーレットが帰るならいいよ」

 

わたくしはやることないし、帰るとしましょうか。

 

「じゃあ、わたくしたちはおいとまを……」

「あっ、帰るのか?」

 

入り口の方から静雄の声がした。手には白い袋……ビニール袋と言うんでしたっけ?それを持っていた。

 

「少し暑いと思ってスーパーで人数分のアイスを買って来たんだけど、食べないか?」

「アイス?」

「あ、スカーレットたちの世界には無いの?アイス」

「アイスって……氷の意味よね?」

「想像している氷の意味じゃなくて、凍らせた甘いお菓子のことです」

「へぇ~。そういった物があるのね……」

 

すると静雄からヴェルデへと変わる。

 

「姫さん。俺も前に食ったんだけど、冷たくて美味かったぜ!」

「へぇ~グルメなヴェルデが言うのだからそうなんでしょうね。なら、食べておいたますることにするわ」

「それがいいでっせ!」

 

ヴェルデに言われるがまま、アイスを受け取る。水色の袋を破ると木の棒の先に水色の固まりがついていた。

 

「この水色の物がアイスなのね」

「そうだぜ。ほら、パクっと一口」

 

ヴェルデがうるさいわね……。

わたくしはアイスを口にする。

 

「こぉれはぁ!」

 

口の中が一気にひんやりして冷たくなる。だけど、ひんやりした中にも味はあって、これは暑いときに食べたら何本でも食べれる。流石、グルメなヴェルデが言うだけはあるわね。

 

「美味しいわ」

「そいつはよかったぜ!」

「まだ欲しいわね……」

『食べ過ぎるとお腹壊すよ』

「そうなのね。お腹壊すのはよくないわね……」

 

残念だけど仕方ないわ。1本だけにしておきましょう……。

そうだ。シーラスはこのお菓子を食べたのかしら?

 

「シーラスは食べないの?」

「あ~私の母親がアイス好きだから……家の冷凍庫に溢れそうになるくらいあるんですよ……」

 

そして、虹海はポニーテールにしてシーラスに変わる。

 

「私は好きなタイミングで食べれますので、私の分を食べてください」

 

あら、そうなの!

 

「なら、いただく……」

『だから、腹壊すって!!!』

 

彩火に止めら渋々諦める。結構美味しかったから食べたかったのだけど……。

まあ、いいわ。切り替えって……あら、天井から「ガタッ」て音がしたような気がする……。

気の所為……じゃないわね!

 

「シャック、槍であそこの天井を突っいてみて」

 

わたくしは深緑の天井の端の方に指を差してシャックに指示をする。

シャックは「おお!」と応えて、手に持つ槍で差した場所を突き刺した。

 

「あぶない!?」

 

若い子供のような声がする……やっぱり誰かいるわね。

 

「ここがバレたらやばいんじゃない?」

「トア、大丈夫だよ。記憶消せばいいし」

 

まあ、そうなんだけど……エマの言う通りなんだけど……もう少し倫理観というのは無いのかしら……。

いや、そんなことよりも!

 

「おらぁ!」

 

グロウの拳の一撃が天井を突き破り、声を出した本人が落ちてきた。

 

「うわぁー!痛え!?」

 

天井から黒髪の子供が降ってきた。

見た目はかなり動きやすいシンプルな白い半袖に緑の半ズボンいかにも子供が落ちて痛めた部分を擦る。

 

「痛いじゃないか!!これがレイカラットのやり方かよ!国を背負う女王として問題でしょ!」

「人の建物の天井でこそこそしている方が問題だと思うけど……」

 

トアの言う通りだ。

 

「てか、君はいつ入ってきたの!?」

「それりゃあ、そこの緑髪の奴が入る直前で入ったからな!」

 

ヴェルデ……というよりも静雄と一緒に入ってきたわけね。

 

「ッ……俺の責任か」

 

ヴェルデから静雄に戻った。それにしても、扉を開けるところを見てなかったとはいえ、一瞬で入り込むとは……かなりやり手のはず……。

 

「静雄、思い詰めることはないわ。そんな一瞬の出来事。人間が反応しろなんて、無理な話よ」

「そうだよ。セキュリティが甘かった私達の原因でもあるし」

 

とにかくあの子をどうにかしないと……。こんな誰も気づかれない隠密行動をするのは、グリューム∴バウムのメンバーだろうし……。

 

「わたくしが……」

「いや、俺がやる!」

「静雄?」

「俺が原因なんだ。俺が相手をする」

「わかったわ。任せるわ」

「よっ……」

「バトスピをするなら外でやってね」

 

まあ、エマの言う通りね。ここでバトルしたら基地が壊れるわね……。

 

「「あ~はい」」

 

2人で話し合ったのかと言わんばかりに息ぴったりな返事をする。

 

「お互い素直だな……」

「ええ……」

 

お互いの素直な性格がわかったことでみんなで外に出て少し移動した後に広めの空き地に移動した。

トアはお留守番とのこと。

 

「じゃあ、早速いくぜ!」

 

左薬指にはまっている指輪型の魔道具が青白く光ると空き地を包むようにドームが展開された。

 

「緑丘先輩!バトスピのルールはわかるんですか!」

「ああ、煌臨までならわかる」

『大まかなルールを知ってるなら教えなくても大丈夫そうね』

「ええ」

 

静雄はポケットからデッキを取り出すと、ランポがカードになり、デッキに入る。

 

「よっしゃーいくぞ!「ゲートオープン界放!!」」

 

静雄達は白い光に包まれた。

 

             ☆ 

 

宣言と同時に眼の前は宇宙のような黒い空間に赤、白、紫、緑、黄、青色の星が辺りをキラリと光っていた。

足に描かれた紋章が光りだすと緑の稲妻が足を伝い体の上に駆け上がっていく。稲妻の制服の分解と同時に白いシャツの上に茶皮のコルセットを付け、緑のジーンズ、緑色のマントを背中に付けて、緑色の羽付き帽子を被り、銃士のような見た目へと変わる。

静雄は皮のグローブをしっかりと付けて、横に振り払うと宇宙のような空間を吹き飛ばした。

 

自分の新たな衣装に目を丸くする静雄。

 

「これが井亜鈴がなっていた衣装かぁ……なんか、湧き上がってくるものがあるな」

 

相手側も緑の忍者の姿となって登場した。

 

[ターン1]

 

「よっしゃー、先行は貰ったぁ!まずはバーストセットしてターンエンド!」

 

[ターン2]

 

『きな臭いな……どうする静雄?』

「とりあえずなんとかする。俺のターンだ。スタートステップ」

 

慣れない手つきでターンを進める

 

「えーと、ランポを召喚!」

 

緑シンボルが割れてランポが出てくる。

 

「よーし、やっちゃうよ!」

 

ランポはやる気満々なのか、後ろ足で地面を蹴る。

 

「井亜鈴のバトルの時にも思ったけど、アニメ見てぇだな……」

 

静雄はスピリットが出てきたことに少し感動を覚えつつランポのカードに触れる。

 

「アタックステップ!ランポでアタック!えーと、カウント+2してボイドからコアをこのスピリットに……カウントってなんだよ……」

BP4000→8000

カウント0→2

 

不思議に思いつつランポのカードを疲労させてアタックさせる。

静雄の指示通りランポは対戦相手に向けて走り出した。

 

「ここはライフで受ける!」

 

ランポはライフ状のバリアを噛み砕いた。

 

「いてぇー!!!」

ライフ5→4

 

余裕な表情で胸についた埃を払うように手を動かす。

 

「痛そうに見えないんだよな……えーと、ターンエンド」

 

[ターン3]

 

「俺のターンだ!……なるほど」

 

引いたカードを見て納得したように頷く。

 

「……俺はターンエンド!」

「何もしないのか?」

「まあまあ、慌てず騒がずに」

 

[ターン4]

 

「樹精フタバを召喚!」

 

緑シンボルが割れてフタバが姿を現す。

 

「効果でカウント+1して、ボイドからコア1個をこのスピリットに。このコアを使ってランポをレベル2に上げる」

BP8000→10000

カウント2→3

 

「ねぇねぇ!遊び足りないよー!」

「はいはい。ランポでアタック!カウント+2してボイドからコア1個をこのスピリット」

カウント3→5

 

ランポが駆け出し、少年に襲いかかるが、緑の竜巻が立ち上がりランポの道を阻んだ。

 

「なんだ!?」

「ちょっと、邪魔!!」

 

ランポは怒りの言葉を発するが、そんなことを言っても竜巻は消えることはない。

 

「いでよ!烈風、疾風、忍風を纏う忍者!【ソウル神速】!烈風忍者キリカゲ!」

 

緑色の竜巻が真っ二つに斬り裂かれ、カミキリムシのようなスピリット、キリカゲが召喚された。

 

『いきなり高コストスピリット!?』

 

「【ソウル神速】かぁ……ソウルコア1個で出てくるから中々コスパいいんだよな〜」

 

氷牙の言葉通りソウルコアのみをトラッシュに置くことで手札から召喚が出来る。

 

「ブロックだ!キリカゲ!」

 

キリカゲはランポに向けて緑の手裏剣を放ち切り裂いた。

 

「え?」

 

斬られた意識がないうちにランポは破壊され、緑色の魂のようなものになった。

 

「え?ランポが人魂に……」

 

「魂状態になっただけよ。気にすることはないわ」

 

「そ、そうか……ターンエンド!」

 

[ターン5]

 

「フッフッフッ、見せてやるぜ!グリューム∴バウムの神速暗殺術を見せやる!キリカゲにソウルコアを乗せる!」

 

「キリカゲでアタック!」

 

キリカゲは風のような速さで移動して静雄に近づく。

 

「行くぞ!【起導】を発揮!」

『【起導】?』

「バーストを強制的に発動させる効果だ。カードによっては面倒だな……」

 

キリカゲは緑の竜巻をバーストに当てることでバーストのカードが表になった。

そして、緑の嵐とともに巨大でガタイのいいクワガタのようなスピリット、大地の忍ダイビートがバースト召喚される。

 

「バースト効果でコアをこのスピリットに!そしてキリカゲのアタックはどうする?」

「ライフで受ける」

 

キリカゲはライフ状のバリアをムーンサルトキックで破壊した。

 

「ぐわぁっ!?」

ライフ5→4

 

全身に突き刺さるような痛みがしゃがみ込む静雄。

 

「ッ……こんなの……殴られるよりは痛くねぇ!」

 

痛みに耐えながら立ち上がる静雄。

 

「ダイビートは守りに残して。ターンエンド」

 

[ターン6]

 

静雄のターンとなり、1回大きく深呼吸をし、スタートステップを宣言する。

 

「とは言っても参ったな……ドローステップ」

 

引いたカードの効果を確認しつつ相手の盤面、自分の盤面を整理する。

 

「なら、まずはカウントを溜めたほうがいいな……コバサンを召喚。召喚時効果でカウント+1とトラッシュにコアを1個を増やす」

カウント5→6

 

緑シンボルが割れて黄緑色の羽を持つ鳥、コバサンが現れる。

 

『なるほど確実にスピリットを出していく作戦だな』

「……まあ、そうだな。アタックステップ。フタバでアタック!アタック時効果でカウント+1して相手のスピリットを疲労させる!」

カウント6→7

 

フタバは小さな頭の双葉をパタパタと動かして何倍の体格のあるダイビートを疲労させる。

 

「ぐぬぬ……ライフで受ける……」

 

フタバは小さな双葉を使い往復ビンタでライフを破壊する。

 

「ぐわぁっ!?」

ライフ4→3

 

少年は思わず膝をついた。

 

「ターンエンド」

 

[ターン7]

 

「クソぉ……やりやがって……バーストセット!ソウルコアを乗せてアタックステップ!キリカゲでアタック!」

 

キリカゲは再び風のような速さで移動して静雄に近づく。

 

「再び、【起導】を発揮!」

 

緑のクナイをバーストに突き刺り無理やり発動させる。

 

「バースト発動!双身転化!コバサンを疲労させて、手札の忍風スピリットをノーコスト召喚するぜ!」

 

手札から風魔上忍ハイウィンド、風魔上忍ケツアールが召喚される。

すると、ある違和感に気がついた静雄。

 

「お前のデッキって……Sバーストしか入ってない?」

 

Sバーストとはさっきから【起導】の効果でバーストを発動しているバーストカードのこと。少年が使っているスピリット及びマジックは全て【起導】で発動出来るSバーストを持っている。

言葉に少年はあからさまに「ギクッ!?」と声を出す。

 

「そ、そんなこと、と、と!?僕はに、に、忍者だぞ!!」

「なら、もう少し忍べ……」

「リュイさんは、この世界に順応するように勉強したら、この世界の忍者はド派手に暴れるみたいだし……」

「何だよ……それ……」

 

少年の言葉に思わず頭を抱えてしまった。

 

「まあ、いいんだよ!!ケツアールの効果発動!【分身】スピリットを召喚!」

 

ケツアールは4体に分身する。

【分身】とはデッキトップのカードをフィールドに出し、<1>Lv1/BP3000/[緑]のスピリットとして召喚する効果。

 

「このターンで決めてリュイさんに報告するぜ!」

 

これでフィールドには8体のスピリットが並び、残り4つのライフを削るには充分だ。

 

「ッ……フラッシュタイミング!エクレル・モンキーを【神速】召喚!」

 

緑シンボルが割れて緑の体毛を持つエクレル・モンキーが召喚される。

 

「召喚時効果!カウント+1、コアブーストとカウント4以上なら、相手のスピリットを重疲労させる!疲労しろダイビート!」

カウント7→8

 

緑シンボルからエクレル・モンキーの登場し緑の風が吹き荒れダイビートを重疲労させた。

 

「キリカゲのアタックはライフだ!」

 

キリカゲは緑のクナイを投げつけ静雄のライフを破壊する。

 

「グゥ……ッ……クソ……」

ライフ4→3

 

「ダイビートが重疲労したところで変わらねぇ!!次は分身スピリットだ!!」

「それもライフだ。ぐはぁっ!!」

ライフ3→2

 

痛みのあまり、ついに膝をついた静雄。

 

「ケツアールでアタック!」

「フラッシュタイミング!マジック、バインディングサンダーを発動!分身スピリットを重疲労させて、ケツアールをデッキ下に戻す!」

 

緑の雷が分身スピリットとケツアールに直撃、分身スピリットは重疲労し、ケツアールはそのまま消えていった。

 

「だ、だけど、分身スピリットは残り3体も残ってる!分身スピリットでアタック!」

「エクレル・モンキーでブロック!」

 

分身スピリットとエクレル・モンキーがぶつかり合う

エクレル・モンキーの周りに分身スピリットが飛び回る。蚊を殺すように空間を叩くが、分身スピリットに当たらない。

 

「フラッシュタイミング!ウッドゴリラの効果でコスト5にして召喚する!」

 

疲労状態のフタバとコバサンが消滅して樹木の体を持つ緑のゴリラ、ウッドゴリラが姿を現す。

カウント8→9

 

「カウント2につき相手のスピリットを疲労させる!」

「何だと!?」

 

緑の巨大な木の枝が分身スピリット2体、ハイウィンド、キリカゲに絡みつき、重疲労させる。

 

「おのれぇ〜ターンエンド〜」

 

『ふぅ~危ねぇ〜』

「ああ、ウッドゴリラが手札に無かったら終わってた」

 

表情を変えてはいなかったが、内心かなり焦っていた静雄

思わず大きく息をつき一安心する。

 

[ターン8]

 

「さてと……」

『どうする?次のターンは多分、乗り切れないぞ』

 

スピリットの数を考えてこのターンで決めないと勝ち目はないのは本人が一番わかっていた。

しかし、静雄も考えなしに動いていたわけじゃない。

 

「さてと……」

 

静雄は首を左右に動かし力を入れると、手札にある1枚のカードを手に取る。それと同時に左足の紋章が光り出した

 

「お前の力、見せてもらうぜ!青天の霹靂。雷を呼び込む雷鳴のような遠吠え!相棒狼ランポに雷狼牙王グローム・ランポを契約煌臨!」

 

晴天の空から緑の雷が魂状態のランポに落ちる。まさに青天の霹靂。

黒煙が晴れると青いプラズマで逆だった体毛に、威嚇の声を出しながら対戦相手の少年を睨みつけていた。可愛げのあったランポとは思えないくらい厳つく、本来のオオカミのような姿をしていた。

 

「よーし、さっきやれなかったぶん、張り切っちゃうぞ!」

 

体格にしては可愛らしい声にギャップを感じてしまう静雄とヴェルデ。

 

「さあ、行こう!静雄!」

「おう!アタックステップ!グローム・ランポでアタック!」

 

ランポを疲労させてアタックさせる。ランポは指示通りに雷を纏って攻撃を仕掛ける。

 

「これで終わりだ!アタック時効果!分身スピリット2体を重疲労させる!」

 

雷が残りの分身スピリットに落ちて重疲労させる。

 

「さらにキリカゲ、ハイウィンドをデッキ下に戻す!」

 

落雷の次には竜巻が発生。緑の竜巻でキリカゲとハイウィンドはふわっと浮き上がりデッキ下に戻る。

 

「そして、スピリットを戻した数だけ相手のライフを破壊する。今回は2体だからライフを2つ破壊する!」

「え?」

 

ランポの遠吠えで少年の真上から雷が落ちて体を貫いた。

 

「ぎゃあー!!!そんなのありかよぉぉぉぉ!!!」

ライフ2→0

 

そのまま膝をつき倒れた。

 

             ★

 

『久々のバトスピなのにここまで出来るなんて……』

「ええ、ある意味才能ね」

 

すぐに適応する力はある意味最強の才能。羨ましいわね。

 

「さてと雷に打たれたこの子をどうしよう」

 

エマの言う通りで基地がバレた以上このまま返すわけにはいかない。

 

「記憶を消すって出来ないのかな?」

「わからない。やってみるよ」

 

すると空から粉雪のように赤い粒子が降ってきた。粒子は肌に吸収されていく。

レクリスの人が入っている人の記憶は消えるのか……。これで消えなかったら、どうしたものか……。

少年の指がピクリと動いた。そして、ゆっくりと体を起こし囲うわたくしたちを見渡す。

 

「えーと……リユ・ニオン・スカーレットがここで……イタタタァ……」

 

雷に打たれてるし体を痛めたのね。

 

「帰るといいわ。わたくしは逃げないし」

「ぐぬぬ……今日のところはこれくらいにしといてやるぜ!」

 

辺りつむじ風が起きる。

 

「ちょっと!!」

 

つむじ風が晴れると少年の姿はいなくなっていた。まるで瞬間移動したように消えたような……流石はグリューム∴バウムってことね。

 

「ほんとに記憶消えたのか?」

「消えたと思いますよ。緑丘先輩」

「まあ、水浅葱の言う通りだといいのだけど」

 

正直、あの反応だと記憶が消えてるか怪しいのよね……。グリューム∴バウムのことだから、隠している可能性もあるし……。

でも、今はこれを気にしたって仕方ないわね。

 

「さてと、帰りましょう。こんな空き地に長居しても仕方ないわ」

「そうだな」

 

静雄の言葉にみんなが賛同して基地に戻ることになった。

何事も起きないことを祈るわ。

 

             ☆

 

「ここがミドリが言っていたリユ・ニオン・スカーレットがいる場所みてぇだぜ!」

 

完全に人っけが消えた深夜の路地裏。ガブリエルの基地として使っている雑居ビルの前に立つリュイとガタル。

リュイは眠いのか目をこすりながら大きなあくびを繰り返していた。

 

「ふぁ~、眠いし。さっさと殺って寝よ」

 

リュイがドアノブに手をかけた瞬間に謎の電撃が体全体に流れ込んだ。

 

「あぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

思わず変な悲鳴な上げながら手を離し、数cm後ろに下がり座り込んだ。

 

「なんだこれ!?全身が痺れたよ!!」

 

それを聞いたガタルはドアノブに指先を少しだけ触れると。

 

「フギャァァァァァ!!!」 

 

ガタルはその場に座り込んだ。

 

「殺す気かぁ!?なんちゅうボルト数で守ってんだ!!」

「これ……普通の人なら死んでたよ……」

「ああ、確実に殺りに来てるなぁ……」

 

リュイたちは立ち上がり、撤退という形で路地裏の闇へと消えていった。リュイたちが撤退したことによりガブリエルは再びの静かな夜を過ごすのだった。




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