─ 場面切り替え
☆ 一人称から三人称の切り替え
★ 三人称から一人称の切り替え
こんな感じです。今のところなんで、ちょこちょこ変わると思います。
バス内に響き渡る同級生の声。声色的にかなり楽しみなのがよくわかる。もちろん、私の心も高まっている。
目の前の席に座る担任……まだ20代後半くらいだったかな、瓶山先生が振り向く。
「そろそろ到着するよ」
先生の言葉に同級生は祭りかのように盛り上がる。
「井亜鈴ちゃん!楽しみだね!」
通路を挟んだ向こう側に座る虹海が話しかける。もちろん私の心ももっと高まっているため。
「うん。楽しみ!」
長い坂を登ると古びた校舎が現れた。
外壁にはツタが苔が生えた木製の校舎。いかにも古い!というのがよくわかる。
バスの扉が開くとともにクラスの生徒が一斉に出た。バスの中は窮屈だったからね、やっと解放されたぁ……。
『到着したのね……』
寝てたスカーレットが目を覚ました。
「うん。とりあえず荷物を取らないと」
バスの下のトランクルームに置いてある、キャリーバッグとリュックサックを取って、先生のいる廃校へと向かった。
─────────────────────────────────
荷物を昔使われていた教室に置いて、校庭に全員集合した。
2泊3日の林間学校の1番最初の活動は“フィールドワーク”。3人グループの班に分かれて、決められた範囲で自然と触れ合い、観察し、記録をすることが活動内容。
もちろん、私は虹海と氷牙のいつもの3人。まあ、グロウとシャックもいるから3人と2匹だけど……。
まあまあ、そんなメンバーで荒れた道を登り山へと向かった。
「なんか出るかな!」
「元気だね。虹海」
「だって、体調がいい状態の林間学校だから、テンションも上がるよ!」
久々に体調万全が数日続いているらしい。まあ、健康が1番だからよかったけど。スキップすらしている虹海はなんか微笑ましいや。
『それにしたって、静かね。なんだか落ち着くわ』
「そう、虫とか鳥の声とかするけど」
『いえ、町のようなけたたましい音がしないから』
「あ~そういうことね」
『それにスピリットが襲ってこないぶん気が楽だわ』
どんだけ危ないのよレクリスって……。
「てか、自然と触れ合うってなんだよ」
「確かにざっくりな説明だよね」
「虹海は休んでいたから仕方ないけど、氷牙は授業を聞いてたでしょ。生き物の写真を撮ってレポートにまとめるだけ。写真撮影はスマホでいいし」
「へぇ~結構楽ちんじゃん!鳥や虫を撮ればいいんだろ!」
そう簡単じゃないと思うけど……
鳥を観察するにも飛び回るし、虫はあまり得意じゃないしな〜。
「ちょっと、森の奥に入ってみない?」
虹海の提案に少し難色を示した。レポートを書くには森に入った方がいいけど……先生の確認があるとはいえ危ないよね。あまり森の奥には行かないでくださいとは言われたし……。
私はとりあえず、スマホを確認する。
「電波はあるな……」
『彩火?どうしてスマホを見ているの?』
「ああ、なんかあった時に連絡出来るようにね」
『なるほどね』
「よし、少し奥に入ろうか!」
「やったー!!」
私の言葉にルンルンとスキップしながら道を外れ木々の方に足を進める虹海と氷牙。
まあ、楽しそうだしいっか。
私も2人を跡を追うように森の方へと足を進めた。
─────────────────────────────────
薄暗い森をどんどん進んでいく私たち。辺りから風で草木が揺れる音、鳥の声くらいしか聞こえず、車や人が騒がしい六色市とはまた違うゆったりとしていてどこか落ち着く。
「うーん。なんか落ち着くな〜」
『そうね。レイカラットと似ていて落ち着くわ』
「へぇ~、レイカラットもこんな場所なの?」
『いえ、中心地を抜けたらこんな感じだから。気晴らしいによく郊外に出ていたわ』
なるほどね〜。
「それにしてもなにもないな」
「ええ、案外あるもんだと思ったけど……」
「ん~、勘が外れたな〜」
「まあ、虹海が悪いわけじゃないよ。3人ともこの森のことを知らないわけだし」
すると、私のリュックからガサガサと動き始めた。きっと、グロウが出たがっているんだろう。私はリュックを下ろしてジッパーを開けるとグロウが頭を出して、猫のように頭を振る。
「ふぅ〜やっと出れたぜ」
「ごめんね。窮屈な所にずっといさせて」
「ほんとだぜ……」
そしてグロウの言葉に反応するように虹海の白い大きい手提げからシャックが飛び出した。
「はっはっはーッ!こいつは他の奴に蹴られてたからな!」
「くぅ……全身が痛い……」
そういや、隣に座っていた宇野さんが寝相の悪さで私のリュックを蹴っていたな〜。
グロウは体を解すように首や体を動かす。
「よし、さっさと終わらせようぜ!れぽーととかいうやつ」
「ええ、そうね」
「とは、言っても何にしよう……」
「とりあえず、鳥でも撮ろうぜ!」
「そうだね。氷牙の言う通り、鳥を探そっか」
『確かにそうね。それが一番いいかしらね』
そんなわけで森を飛び回る鳥の撮影を行う。
まあ、飛び回る野鳥を撮るのはかなり大変だ。
野鳥は警戒心が強いから近づけばすぐに逃げ、木を上ろうとすれば音ですぐに逃げる。遠くから撮ろうとするとスマホのカメラの限界があり、写真がボケてよくわからないという……。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ダメだ……全然撮れない……」
「そりゃそうよ。そんなことで野鳥を撮れるわけないでしょ。」
「じゃあ、彩火が撮れよ」
氷牙の怒りがヒシヒシと伝わる……。まあ、いいけど。
そんなわけで、スマホのレンズをマックスにして、息を殺して私はゆっくりとヒヨドリに近づき、ヒヨドリがこちらを首を向けながら警戒をした所でスマホを向けて連写で撮った。
「これで、よし!」
『ハッキリ撮れてるわね』
私の言葉に飛び立つヒヨドリ。撮影ありがとね!
「ほら、こんな感じ」
私は撮った写真を早速氷牙たちに見せる。
「すげぇ……わかりやすく撮れてる……」
「彩火にこんな特技あったんだな!」
「どうやって撮ったの?」
「物音を立てず息を殺してゆっくり慎重に近づいて遠目に撮るのがポイントだよ。後は連写はかなり有効」
私のワンポイントアドバイスを受けて虹海と氷牙は野鳥の撮影を始めた。
「凄い!バッチリ撮れるよ!」
「それならよかった」
まあ、どう考えても虫の方が撮りやすいと思うけど……。2人とも撮影にハマりだして黙々と撮影してるから、まあいいか。
そして数時間かな?日も落ちて空を見上げたら茜色に染まっていた。
「そろそろ戻らない?」
「そうだな。そろそろ帰ろうぜ」
「もう、こんな時間か……」
リミットは5時だから今戻れば全然余裕で間に合う。
とりあえず、引き上げて……あれ?
「グロウは?」
私の言葉にみんなが辺りを見渡し始めた。
虹海と氷牙はいて……シャックも虹海の足元にいる……やっぱりグロウだけがいない。
「え?いつの間に消えた!?スカーレットしらない?」
『ごめんなさい。わたくしも周辺で遊び回っていたのは見てたけど、目を離していたら……』
スカーレットも見失っていたのは厄介ね……。
「とりあえず、グロウを探してくるよ!2人は先に戻ってて!」
「いや、私も探すよ!」
「俺も!」
「2人とも……。わかった!なら、暗くなる前に手分けして探そう!そんな深い森じゃないはずだから」
この森は島のように周辺1キロくらいで道に囲まれているから、そんなに深いわけじゃなかったはず……。
「とりあえず2組に分かれよ!私とシャックで探すから井亜鈴ちゃんと鷺白くんで探して」
「スピリット込で2組に分かれるわけね」
「たくぅ……世話のかかるやつだ……」
虹海とシャックと別れて、氷牙と私でグロウを探すことになった。
全く……どこに行ったのよ、グロウは!
─────────────────────────────────
彩火が消えたグロウを探し始めた中、グロウはというと……。
「同じ森なのにレクリスとは全く違うんだな。凶暴なスピリット出ないし余裕余裕!!」
調子乗りながら森を何も考えず進んでいた。
ふと、グロウは茜色の空を見上げた。
「もう夕方か〜彩火!虹かぁ……」
グロウは辺りを見渡すと誰もおらず、不気味に鳥が鳴いていた。今自分の状況を理解したグロウは顔が青ざめる。
「ヤバい……完全に迷子だ……今、どこにいるんだ!」
グロウは辺りを慌てて見渡すが、同じ雰囲気、同じような風景、空を見上げてもどこにいるかわからなかった。
急に寂しさがこみ上げて来たグロウ。
「とにかく戻らないと!」
グロウは反対を向くと、来た道であろう方向に戻る。
それからグロウはひたすら歩いていた。疲れで足が重くなっていくことを感じつつ、小さな足で彩火たちがいる場所を目指す。
薄気味悪く鳴くカラスの声を耳に入れ「彩火!」と叫びながら歩く。
「はぁ〜どこにいるんだよ……いや、俺も考えなしに歩いていたのが悪いんだけど……」
自分の行動に後悔しつつへたり込む。(自分がグロウ・カイザーになれれば森すら吹き飛ばせるんだけどな〜)と考えていると、草を踏み抜きこちらに近づく足音が聞こえた。
「誰だ!」
グロウは再び立ち上がると拳を握りしめて音がした方に構えた。
すると、長い雑草が倒れて姿を現した。姿を見たグロウは目を丸くした。
「……おまえは!?」
─────────────────────────────────
だんだん暗くなる森の中を探索する私と氷牙。あまり広くないから迷うようなことはないと思ったけど……もっと暗くなったら流石にまずいよね……。
「いい感じのところで切り上げないと……」
『彩火。少し変わってもらえない?』
「え?うん。いいけど」
私とスカーレット入れ……替わって、わたくしは紋章が描かれた右手を胸に持っていく。
よし、わかった……。
「こっちよ!」
「え?スカーレットさん!?」
『なんで、わかったの?』
「契約者は契約スピリットの場所がなんとなくわかるのよ」
『わかるなら、さっさと変わってよ!!』
まあ、それはそうね……。
わたくしと氷牙はグロウがいるであろう場所へと向かった。
そして、草木を掛け分け、紋章で感じ取ったグロウの居場所に到着する。そこにはグロウと誰か他にもいる……。てか、見覚えしかない。
青紫色の肩まである髪に男性か女性かわからないくらい中性的顔つきに灰色の瞳。服装も氷牙と同じものを着ている。そして足元にはコウモリの鎧を纏い紫のマントを付けた小さなスピリット。
そして、彼女はわたくしを見て驚いたように目を見開き、女性のように口を手で押さえる。
「おまえ、リユなの!?」
「だったらなに?マーリン」
「あはは!!マジ!!?」
私に駆け寄ってくるマーリン。そのまま体に抱きついてきて、わたくしもそのまま抱きついた。
「会いたかったよ!!!」
「ええ、わたくしもよ」
いろいろとね……。
「あ、あれ?り、リユ……会えたのは嬉しいんだけど、そろそろ離してくれないかな……って、アチ!!!」
わたくしはそのまま肩の方に右手を高熱にして当てる。
「あの!!!マジでヤバい!!?本当に火傷するって!?」
「当たり前じゃない。火傷するようにジワジワ苦しめてるの」
「鬼姫!!!!」
『てか、本人の体じゃないから火傷したら流石にヤバいって!!』
「あ……」
しまった完全に我を忘れて……。
わたくしは慌ててマーリンの体を離した。
「はぁはぁはぁはぁ……危なぁ……」
「ごめんなさい。彩火がいなかったらそのまま燃やしていたわ……」
『危なぁ!?』
ほんとに……。
わたくしの手から離れたマーリンは一安心したのか体勢を崩し座り込んだ。
「全く、相変わらず私にだけは当たりが強いな……」
「まあ、そうね」
「認めたね!!!自覚はあったんだ!!!」
相変わらず元気で何より。
すると、隣で見ていた氷牙が一歩前に出て口を開く。
「あの〜こちらの人は?」
「そうね。彼女はマーリン・ヴィオレ。彼女はわたくしの従者であり、親友よ。そして、下にいるのはマーリンの契約スピリットのバットよ」
『あ、前に言ってた……』
「親友の扱いじゃなかったよ!?」
「け、喧嘩はよくないであります!!ここは再会を嬉し合うのです!」
バットに言われたら仕方ないわね……
すると、後ろから草を倒す音がした。わたくしは振り返ると虹海とシャックの姿があった。本当にタイミングがいいわね。
「えーと、どういう……」
「ちょうど良かったわ虹海。シーラスに変わってもらえないか?」
「え?うん。……どうしました姫様?」
「こちらマーリン」
わたくしはマーリンの方に手を向ける。
「マーリン!?」
「あー、シーラスか?久しいな」
「シーラスか?おまえ女性の体に宿ったのか!?なんか面白いな!!」
ゲラゲラ笑うマーリンにシーラスは呆れたため息をついた。
まあ、好きで虹海の体に宿ったわけじゃないからね。
「まあ、とりあえず説明して貰うわ。どうして彩火の体に宿ったのか」
「とは言ってもな〜私もわからないからな……」
「なに?焼かれたい?」
わたくしは脅しで手のひらに炎を滾らせる。マーリンは驚いて慌てて口を開く。
『完全に怒ってる……』
「私、最初に言ったよね!!正直わからないって!!!死ぬ可能性だってあったわけだし!!」
確かに最初の方で言っていたわね。
「だから、どうなるかは私にもわからなかったし、紫雲には申し訳ないって思っているよ!!」
「しうん?」
「ああ、この子のことね」
マーリンは胸に自分の手を当てる。
「はぁ……まあ、いいわ。余裕が無かったとはいえ、あなたの話をちゃんと聞いていなかったわたくしにも非があるし」
「俺やシャックは問題なくこっちの世界に来れたしな!」
「そうでありますな!!」
グロウたちを含めればほとんどがこちらの世界に無事に来れたし、いろいろ強いことは言えないわね。
「いろいろ怒る前にあなたに感謝しないといけないわね。ありがとう、マーリン!」
「ありがとうございます」
わたくしとシーラスの言葉にマーリンは嬉しそうに鼻を擦りながら立ち上がる。
「そろそろ戻りましょう!」
『そうだね。氷牙の言う通りもうすぐで日が暮れるかも』
流石に暗くなる前に森を出ないとね。
「そろそろ行きましょう。暗くなるといろいろ面倒くさいわ」
「……わかりました」
あ、シーラスから虹海に変わったわね。
わたくしたちは暗くなる前に森を出て行ってそのまま廃墟へと戻った。
─────────────────────────────────
私達は森を抜けて廃校に戻る。もちろんグロウたちを隠して。
すると、なんか同級生達が集まって騒がしく何かをしていた。
「何をしてるの?」
『さあ、なんでしょうね』
円形に人が集まっていて、なんか中心でやっているみたい。
私達は同級生の顔の隙間から中心を覗いた。よくは見えないけど、テーブルと椅子を持ってきてバトスピをしているみたい……。
だけど、対戦相手はうちの学校の人じゃない。
群青色の長髪で、私が着る虹宝の藍色のブレザーとは対の緋色のブレザーを着た少女。
「あの赤い制服どこかで……」
『あれじゃない病院の時に出会った』
あ~そうだ、思い出した。病院の時に……。てか、あの時落としてくれたメモで虹海が助かったな。本人は覚えているかわからないだろうけど。
「あの制服って桜和女学院だよね?」
「桜和女学院って偏差値の高い国立の女子校よね」
「うん。六色市屈指のお嬢様高校だよ」
虹海って本当に詳しいよね……。
「あ~負けたぁ!!」
あ、同級生がライフが0になって負けたみたい。
「おい、次に対戦する奴はいるか?」
対戦している少女の隣にいた長い青紫髪の高身長の凛々しい桜和女学院の生徒が大きな声で次の対戦相手を探していた。
誰も手を上げる人はいなさそうだし、私がやるか!
私は手を挙げて人混みをかき分けて前に出る。
「次は私がバトルしたい!!」
「頼むぞ井亜鈴〜こいつかなり強いぞ。今のところ負けなしだ」
ふーん、負けなしか〜。それは面白そうかも。
「ええ、任せて」
私は同級生と席に変わり、椅子に座りリュックからデッキを取り出した。
「負けるなよ!!今のところ虹宝は全敗だ!」
「虹宝の意地を見せてやれ!」
「頑張って井亜鈴さん!!」
「任せなさい!!」
同級生やクラスメイトのエールを受けて真っ直ぐと対戦相手を見る。
「あ、はい。よろしくお願いします」
「よろしく」
「なあなあ、俺も戦う!」
他の人にバレないように小声でグロウが話しかけてきた。グロウか……あまり、グロウの存在はあまり知られたくないし……。
「今回はじっとしてて。別にいなくてもデッキは40枚だから」
「うぅ……わかった……」
私はそのままリュックのファスナーを閉めた。
「よし、やろう。私は井亜鈴 彩火」
「わ、私は
「うん「最初はグーじゃんけん、ぽん」!」
私はパー、獅子堂さんはグーを出して私は手札を確認する。
「うん、先攻で」
[ターン1]
「スタート、ドロー、メイン、えーと……バーストセットしてターンエンド!」
[ターン2]
「私のターンですね。私もバーストをセットします。創界神ラクシュミーを配置します」
神託:WBS新人レスラー アールシュ WBSレジェンド 炎神ファイアドラゴン パイオニア 異海人ドルフィーナ
神託0→3
「創界神!?」
ラクシュミーってことはWBS軸の闘神デッキか。
「ゴッドシーカー WBS専属実況者ヴィハーンを召喚します。召喚時を使います。3枚捲って、ラクシュミーと、系統起幻、化神のカードを加えます」
オープン:WBS初代王者ザ・ビースト 水没都市遺跡 WBSエース 吉祥女神ローカマーター
神託3→4
「ろ、ローカマーターを手札に加えます」
早速、WBSのキーカードを手札に加えてきた。今は大丈夫だけど、あの効果は厄介だな……。
「た、ターンエンドです」
[ターン3]
「私のターンね」
それにしても華奢な印象なのに、かなり逞しいデッキを使ってるな〜。まあ、ドラゴンばっかのデッキを使ってる私が言えた立場じゃないけど……。
「ロケッドラを2体召喚!そしてリボルドローを発動。デッキ下から2枚ドロー!」
よし、これなら相手の行動によってはすぐに手を打てるわね。
「ターンエンド」
[ターン4]
「私のターンですね。WBSレスラークラウドを召喚します」
神託4→5
「召喚時に2枚ドローして、WBSを破棄します」
破棄:WBSレスラーマスク・ザ・ミステリオ
「破棄されたWBSレスラーマスク・ザ・ミステリオの効果でコア1個をリザーブに置きます」
「その召喚時でバースト発動!ドレットノーズの効果でヴィーハンとミステリオを破壊!そしてバースト召喚!ロケッドラ1体を不足コストで消滅」
「……見たことのないカードですね」
「ま、まあね」
『いいの彩火、緋炎のカードを使って?この世界にはないんでしょ?』
確かに私の世界に系統緋炎のカードは無いけど、私が使っていた機竜デッキはグロウのデッキに混ぜてるし、いちいち緋炎のカードを抜くのは面倒くさいしね。
「まあ、グロウのカードが出さなかったらいいでしょ」
「……ターンエンドです」
[ターン5]
「よし、私のターン」
てか、今頃かこのカードを引いたか……。
「溶岩海のエルデ砦を配置!スピリットは破壊出来ないからカウントだけを増やすね」
カウント0→1
「そして、来なさい!エスパシオン!ロケッドラのコアを使うわ。さらに、バーストセット、アタックステップ!アタックステップ開始時にエスパイオンの効果でトラッシュのコア5個をエスパシオンとエルデ砦にコアを乗せる!エスパシオンでアタック!」
「フラッシュは無いです」
「こっちもフラッシュは無いよ」
「ライフで受けます」
ライフ5→4
追撃はしなくてもいいかな……。
「ターンエンド」
[ターン6]
「わ、私のターンです。ど、どうしよう……」
よしよし、追い込んでる。
「とりあえず、バーストをセットします。えーと……、ラクシュミーの筋肉神殿を配置します。そして、WBSレジェンドタイガーマスターを召喚します。召喚時に筋肉神殿にコア2つのせます!」
神託5→7
「アタックステップです。レジェンドタイガーマスターでアタック!」
BP10000→13000
ラクシュミーの筋肉神殿で地味にBP上がってるのがなキツイなー。
「アタック時効果で、2枚ドローしてレスラークラウドを破棄します!」
破棄:WBSレスラークライド
「ラクシュミーの神域の効果でコスト6以下のスピリットを破壊します!」
コスト5以下だとエスパシオンだね。私はそのままエスパシオンをトラッシュに送る。
「……フラッシュは無いな。ライフで受ける。ッ……」
ライフ5→4
「大丈夫ですか?」
しまった、いつも連合国軍とバトルしているから、思わず顔を強張ってしまった……。
「だ、大丈夫よ。さあ、続けて」
「え、えっと……はい。ターンエンドです」
[ターン7]
「さて、私のターンだ。エルデ砦の効果で2枚ドローして1枚破棄!」
破棄:リューキン
「コスモミラージュをセット!」
コアはまだある……。私がずっと使い続けているキースピリットを見せてやる!
「輝けアストラ!無限の星々を紡ぐ方舟となれ!瞬け!航宙龍アストラ・ドラゴン!」
『……彩火?』
「なによ?」
『空気がなんか冷めてるけど……』
え?
私は辺りを見渡すと、クスクスと笑っている人、固まって呆然としている人、虹海は頭を抱えて、氷牙はゲラゲラと笑っていた。
なんでか……私もわかりたくないのに、すぐにわかってしまった。
「召喚セリフを癖で言ってしまった!!!!!」
いや、マジで!!もの凄く恥ずかしいんだけど……。
「べ、別にいいんじゃないですか?私は気にしませんけど……」
他校の獅子堂さんに言われてもな〜。
「と、とにかく!アタックステップ!アストラ・ドラゴンでアタック!アタック時効果で合計BP15000以下のスピリットを破壊させる!レジェンドタイガーを破壊する!」
「うぅ……」
「さらに破壊したスピリット1体につき、ライフを破壊する!」
「え!?」
ライフ4→3
これが機竜デッキのキースピリットの力!相手の手札にもよるけどこのターンで決めれる!
「コスモミラージュの効果で1枚ドロー!」
「手札から発動させます!絶甲氷盾です!」
「……絶甲氷盾」
うぅ……!!やっぱり防御マジックを持ってたか……。
「アタックはライフで受けます……」
ライフ3→1
「ターンエンド」
これで私の終了。獅子堂さんのターンになる。
[ターン8]
「メインステップ。WBSレスラークライドを召喚します。召喚時効果を発揮します。2枚ドローしてローカマーターを破棄します」
破棄:ローカマーター
神託7→8
「WBSエース吉祥女神ローカマーターの効果を使います。コスト6として召喚します」
神託8→9
「召喚時にコスト8以下のアストラ・ドラゴンを破壊します」
うぅ……やられた……。グロウが入ってないこのデッキだとアストラ・ドラゴンがキースピリットになるから破壊されるとキツイんだよね……。コールオブロストでも入れとけばよかった。
「そのままアタックステップに入ります。ローカマーターでアタックします」
BP15000→18000
「このタイミングでラクシュミー筋肉神殿を《転醒》させます。WBSトレーナーマクガルドに《転醒》します」
カウント0→1
「さらに転醒時の効果でこのスピリットと、ラクシュミーにコアを置きます」
神託9→10
「そして、アタック時効果でドレット・ノーズを破壊します」
スピリット全滅……。スピリットを並べなかったのがここで響いてきた。
「さらにブロックされません」
「スピリットがいないからブロックできないよ……」
「そ、そうですね……。さらにカウント1つにつき、シンボルを1つ追加します」
ダブルシンボルか……。
「フラッシュ無いよ」
「では、フラッシュタイミングでラクシュミーを【転神】させます」
神託10→7
創界神の効果……ていうよりか、系統インディーダの特有の効果でスピリットとなってアタック出来るんだよね。それも破壊出来ないのおまけ付き……。状況的にはかなりヤバい……。
「ライフで受ける。ッ……」
ライフ4→2
「ライフ減少時にバースト発動!アドベントドロー!バースト効果で合計BP7000以下のスピリットを破壊する!」
マクガルドの効果でBPが上がっているから、クライドしか破壊出来ない。
「フラッシュ効果で2枚ドローする!」
デッキから逆転を祈って2枚ドローする。
あ、このカードなら行けるかも。
「さらに3枚オープン!」
オープン:ザ・マジシャン グロウ・カイザー リューキン
あ、グロウのカードが捲れた。
「まあいいや。グロウ・カイザーを手札に加える!」
「また、見たことのないカード……」
「まあね。次はどうする?」
「ラクシュミーでアタックします。アタック時効果で1枚ドローして1枚破棄します」
破棄:WBSレスラーマスク・ザ・ミステリオ
「効果でコア1個をリザーブに置きます」
「フラッシュ無いよ」
「こっちも無いです」
「ライフで受ける」
ライフ2→1
残り1……。だけど!
「見せてやる私の運命力!!このタイミングで覇王爆炎撃を発動!20000以下のスピリット……マスガルドを破壊!」
「ッ……ターンエンドです」
なんとか首の皮1つ繋がった……。
[ターン9]
「私のメインステップ!」
さて、どうするか……。キースピリットはいないしな……。グロウ・カイザーはそのまま出しても意味ないし……。
「……やっぱりコールオブロストを入れるべきだったな〜。とりあえず、モロバトカゲ、エスパシオン、マグマンモスを召喚!そして、えん……」
召喚セリフを言うところだった……。でも、言わないとなんかムズムズする……。
「……どうしましたか?貧乏ゆすりをして」
あ~、もういいや。恥ずかしいなんて知るか!!
「チィ!逆巻く炎よ!魔神となれ!異魔神ブレイヴ、炎魔神!そのままエスパシオン、マグマンモスにブレイヴ!アタックステップ!アタックステップ開始時にマグマンモスとエスパシオンの効果でトラッシュのコアを回収!」
ほとんどのトラッシュのコアを回収完了!
「マグマンモス以外の緋炎のスピリットに置かれた時にBP12000以外のマクガルドを破壊する!」
「……え」
よし、これで永続的にBPを上げるマクガルドを破壊できた。
「エスパシオンでアタック!炎魔神の追撃でバーストを破壊!」
「ファイアドラゴンまで……」
「さあ、ダブルシンボルのアタック!」
「フラッシュはありません……ライフで受けます」
ライフ1→0
「よーし、私の勝ち!」
『はぁ~』
私はガッツポーズをした。まあ、スカーレットからため息は聞こえたけど……。
「……ありがとうございました。お強いのですね」
「うん。まあね!」
散々、連合国軍とバトルしているからね。嫌でも上手くなってしまう。
「やったね井亜鈴ちゃん!」
「うん!」
私は虹海とハイタッチした。
「ふむふむ、これがリユの宿主の実力だな!」
「宿主は止めてください。私は井亜鈴 彩火です」
「まあまあ、そうカリカリするな」
なんだろ……スカーレットが扱い雑になる理由もなんとなく似てるかも……。てか、なんかムカつくなと思ったけど調子に乗った氷牙と似てるところがあるからか。
「何をしているんですか?」
「あ、青島さん。どうしたの?」
「いえ、皆さんそろそろ夕食を作る時間ですよ!」
あ、そっか自分達で夕食を作らないといけないんだっけ。
青島さんの言葉に同級生がぞろぞろと離れていった。青島さんは私の方を見た。
「早く夕食の準備をしてください」
そう言って炊事場の方へと行った。ガブリエルの時は話しやすいけど、学校の時はしっかりしすぎて話しづらいな……。
「確かにお腹空いたな……」
「なら、さっさとカレーを作ろうぜ!炊事場は12しか無いからな」
そうね。早くカレーの準備をして作らないと食べるのが最後の方になってしまうわね。
「さっさと行こう!」
「あ、ちょっと先に行ってて」
「え、うん」
「おう、早く戻って来いよ!働かず者食うべからずだからな!」
「うん。わかってる」
虹海と氷牙はそのまま炊事場へと向かった。
さて……私は。
『どうしたの彩火?』
「いや、獅子堂さんに対戦の感謝を言ってなかったな、って思ったから」
『なるほどね。彩火はそういう細かいところ“だけ”は気づくわね』
「“だけ”は余計よ!!」
『ふふ、そうね。ごめんなさい』
全く……。最近、スカーレットが少し愉快になったような気がする。まあ、緊張が解れたと考えるならいいのかな。私の中にいる時くらいは精神的に休んでほしいし。
私はそんなことを考えつつ獅子堂さんがいるであろう桜和女学院が集まっていたような気がする、校庭の隣に隣接する野球グランドへと向かった。
「あ、あの……」
私の言葉に桜和女学院の生徒が一斉にこっちを向いた。
いや、ビビるって!
「えーと、獅子堂さんはいますか?」
「え、獅子堂?」
私の目の前にいた赤茶のポニーテールの高身長の女性が離れて呼びに行った。
そして数分待っていると獅子堂さんが姿を現れて軽く会釈した。私もつられるように会釈した。
「……えっと……井亜鈴さんでしたよね?なんか用ですか?」
「いや、さっきのバトルのお礼を言っていなかったから……。ありがとうございました。いいバトルでした」
私は獅子堂さんに向けて手を差し出した。獅子堂は困惑したように辺りを見渡す。そして獅子堂さんは戸惑いながら口を開いた。
「え、えっと……それだけなんですか?なんか、こう……いろいろ言われるのかと……」
「え?いろいろって?」
「プレイングとか……デッキのこととか、なんかヘマしたんじゃないかって……」
え?なんか斜め上の回答が来たんだけど!?
「いやいや!!なんで、そんな文句を私が言わないといけないの!獅子堂さん、プレイングも間違って無かったと思うし、デッキも文句は無かったよ!私もしくじれば負けてた部分もあったし!」
WBSデッキを使ったことのない私が言っても説得力があるわけじゃないけど……。
「そ、そうなんですか?なら、よかったです……」
獅子堂さんはホッと胸を撫で下ろす。
獅子堂さん、案外自分に自信を持ててないのかな?デッキとかプレイングをとやかく言う人は少ないと思うけど。
「とにかく、私はバトルの挨拶をしてなかったから来ただけ。だから、ありがとうございます。いいバトルでした」
私は再び手を差し出した。獅子堂はそっと私の手を握って握手する。凄くひんやりしてる。
「こ、こちらこそ、あ、ありがとうございま……した」
「また、どこかでバとぉ……というか、連絡先交換しよ?またバトルしたいし」
「え、ええぇぇぇぇ!?」
うわぁ!?急に大きな声を出さないでよ!!
「い、いんですか?私となんかと……」
「べ、別にいいわよ……。そんなに驚くこと?」
「あ、いや、すみません。嬉しいです!」
パッと明るい笑顔を見せる獅子堂さん。さっきまで怯えた表情とは思えない。
私は獅子堂さんと連絡先を交換。これでいつでも連絡出来るようになった。
「じゃあ、私は戻るから」
「あ、はい」
「また、バトルしよ」
「は、はい!」
嬉しそうな彼女の表情を横目に私は虹海の元へと戻った。
それからは夕食のカレー作りだ。
私が火起こし、虹海達は料理と役割を分けて夕食を作っていく。
私は薪を先生から貰い、膝下くらいのレンガかまどに薪を入れてマッチに火をつける。そして薪に火を近づけて……あれ?
「火が付かないんだけど……」
とりあえず火がついたマッチ棒を薪の中に入れて、もう1回マッチに火をつけて、薪に近づけるけど火がつく様子はない……。
「あ~!!」
だんだんイライラしてきた!!動画とかじゃ簡単についてたじゃん!
私は3回の正直でマッチに火をつけて薪に近づけるが火が移らない。もういい!!
目を閉じて手のひらに焚き木がつくようなイメージで……ゆっくりと火を起こすイメージで……。すると、だんだんと手のひらが熱くなってきた。
「よし、ついた!」
私の右手のひらにはマッチの火よりも大きな火が燃え上がっていた。
よし!とりあえず熱すぎるからそのまま薪に向けて火を放った。すると薪は一瞬で燃え移り、さっきの苦難が嘘みたいに燃え上がる。
さっきの数分なんだったの……最初からこうすればよかった。
「よし、これで……」
『彩火?』
うぅ……声色が怖いスカーレットの声が聞こえた。この声は完全に怒ってる……。
『あなた。契約の力をこんなことで使わないで!!』
「いや、だって火がつかなかったもん!」
『小さな枝や燃えやすい紙で火を移してゆっくりと薪に火を移すように風を送れば時間はかかるけど契約の力を使わずにつくわよ』
あ、なるほどそんな手があったのか。流石グロウの契約者!って、教えるのが毎回遅いんだよスカーレットは!!
『あなた……少し契約者の自覚を持ってほしいわ……。わたくしが原因とはいえ彩火だって命が狙われているのよ』
「いや、でも、連合国軍ってこんな所にはいないと思うんだけど……」
『そんなのわからないでしょ!わたくしだってリーダー格の一部しか把握してないのだから、今日バトルした獅子堂って子も連合国軍の可能性だってあるのよ!』
「考えすぎだって!スカーレットはそういう考えはいろいろと失礼だよ!」
『ッ……』
スカーレットはぐぅの音も出ないのか黙り込んでしまった。まあ、私を心配して言ってくれているのはよくわかるけど……。お母さんじゃないんだからそんな口酸っぱく言わなくてもいいのに。
まあ、とりあえず火起こしは終了したから虹海達に報告しないと。
「虹海、氷牙、火起こし終わっ……」
「凄い!その場で水が使えるの超便利!」
「いいな〜。俺もそんな力が使えたらな〜」
虹海は右手から水を出して野菜を洗っていた。完全に契約の力を使ってる。
「スカーレット、あれ?」
私はスカーレットを嘲笑うように虹海の行動に指を差した。すると、スカーレットから『はぁ~』と大きなため息が聞こえた。
『……もう、好きにしなさい』
「よし!」
なんか、スカーレットに初めて勝ったような気がする。
そんな感じで私達はカレーを作りを続け、日が完全に落ちたくらいにカレーが完成した。ごはんをついだ紙皿にカレーを注ぐ。
うん。凄く美味しそうな香り。さっきから腹の虫が鳴ってるけどさらにうるさく鳴き始めた。お腹空きすぎて早くカレーを食べたい。
とりあえず近くの木製のテーブルに運んで座る。スプーンは氷牙が先生から持ってきてくれたからすぐに食べれる状態になった。
虹海と氷牙が座り食べれる準備を終えると。
「「「いただきます!!!」」」
やっとご飯だ〜
私はスプーンでカレーをすくい上げ口へと運ぶ。
「うん!美味しい!」
カレールーは市販のだから味は普通なんだけど、かまどで作ったのと雰囲気とかでさらに美味しい感じ。2日目のカレーに負けてない。
「うめぇ~」
「美味しい……。こんなに美味しいカレーが出来ると思わなかった」
するとガサガサと私のリュックが動き出した。私はリュックを開けるとグロウが顔を出した。
「なあなあ!」
「ちょ、グロウ!バレたらどうするの!」
「大丈夫だってそれなりに離れてるから!」
確かにそれなりに距離は離れているけど……。まあ、バレなきゃいっか。
私はグロウにスプーンを渡す。グロウはカレーをすくい上げ口に持っていく。
「ん~~!メッチャうめぇ!!」
「これがカレーだよ」
「かれーかぁ!」
「スカーレットも食べる?」
『……そうね。いただくわ』
……早速いただくわ。
わたくしはグロウからスプーンを貰い、カレーを口に運ぶ。
「うん。美味しいわね」
何度か彩火のお母様のカレーをいただいたことがあるけど、確かにみんなの言う通りなんとなく違うわね。
『でしょ!』
「ええ、そうね。こんなに落ち着いて外で食べるのは初めてね」
レクリスではこんなこと出来ないもの。
「はっはっはーッ!これはうまいな!」
「ちょっと声がデカいぞ!シャック!」
虹……じゃなくてシーラスがシャックに注意してる。これをいうのはあれだけど、シーラスも声が大きいのよね。
「シャックとシーラスも少し声を小さくしなさい!」
「申し訳ありません……」
「うぅ……すまん」
謝ったのならいいわ。
「それにしても美味しいですね姫!」
「ああ、これは美味い」
「ええ、そうね」
「だろ!」
シャックもシーラスも美味しそうに食べれていてよかったわ。
すると、こちらにアリアが近づいてきた。
「お食事中すみません。あの3人に少しお話があって、誰にも聞かれてない場所についてきてもらえないでしょうか?」
「今からかしら?」
「はい」
「わかったわ。わたくしは別に構わないわ」
「私も問題ないですよ」
「俺も別にいいよ」
「助かります」
アリアに案内されるまま、誰も気にしないであろう廃墟横に訪れた。
アリアは軽く咳払いをして口を開いた。
「それでは本題に入ります。この近くでオラクルスピリットの反応があったと荻野さんから連絡がありました」
「え?」
「本当なのか!!」
これはとんでもない朗報ね。こんな山奥じゃ再び行けるかわからないし、行ける時に行かないとね。
「それでどこにあるのかしら?」
わたくしの言葉にアリアは話を続ける。
「昼のフィールドワークの範囲。森の中にあるとわかりました」
「森って昼わたくしたちが行った……」
『多分、そこだよね』
確かフィールドワークの範囲はわたくしたちが入った森を中心に円を書くように整備された道まで。その中で森と言われたら必然的に今日わたくしたちが入った道だけになる。
「あんな所にあるのか」
「全く、そんな気配は感じませんでしたが……」
「俺様もだ……それっぽいの見かけなかったな。グロウは迷子の時に見かけたか?」
「いや、見かけてねぇな」
誰も見てないのね。
「とりあえず、明日も外での野外活動なので時間やタイミングを見て調査した方がいいですね。今からだと時間はありますが危ないので」
確かこの後はイベントはないのだっけ?まあ、彩火が疲れているのがわかるから、明日以降の方がいいわね。
「そうしましょうか。彩火も疲れてるみたいだしね」
『なんか、ありがとね』
「はい。姫が言うならそれで」
「まあ、俺も疲れてるッスからね。スカーレットさんと青島さんの意見に賛成ですよ」
「では、明日調査しましょう。伝えたいことは以上です。すみません、お時間をいただいて……」
「いえ、アリアありがとう」
小さいけど確実にレクリスに帰ることに近づいているような気がする。
わたくしはアリアに感謝し夕食を取っていた木製のテーブルへと戻った。
にしても……話している時に誰かの目線を感じたような……。まあ、気のせいよね。
カレーは少し冷めてるけど、味は変わらず美味しいわね。
─────────────────────────────────
夜街明かりもなく不気味に鳥が鳴いている寝静まった廃校。幽霊や未確認生命体が出てきたそうな不気味な空間に廊下を歩く人影があった。
ゆっくりとした足取りで出来るだけ足音を立てずに歩く少女。窓から差す月明かりに反応するように振り向く。
そこには群青色の髪を持つ獅子堂葵の姿だった。
しかし、彩火とバトルした時のようなおどおどしたような感じではなく、キリッとした戦士のような勇ましさすら感じ取れる。
網戸の付いていない窓を開け、葵は軽く息を吸う。
「ラオン!」
ラオンの名を呼ぶと、窓からラオンがひょこっと顔を出した。
「どうしたアスル!何か情報があったか?」
「近くでオラクルスピリットの反応があったらしい」
葵……アスルはスカーレットたちが話していた内容をラオンに報告した。
ラオンは納得するように頷く。
「なら、明日はスカーレットを止めに行くのか?」
「いや、兵を送る。井亜鈴彩火のバトルを見たが、グロウは使っていなかった……。もう少し彼女の手の内を見たい」
「なるほど、わかった」
そう言ってラオンは顔を引っ込めた。
アスルに肩の力を抜くように目をつむると、ハッと目を開いた。さっきまでのキリッとしたオーラは無くなりキョロキョロと辺りを見渡す。
「あれ?私……なんでこんな所にいるの?さっきまで寝てたのに……」
アスルから葵の人格へと戻り、今の状況に整理が出来ず混乱した。
「と、とにかく戻ろう……」
葵は先生に見つかる前に自分が寝ていた教室へと戻った。
レオザード獅国の魔の手が彩火とスカーレットたちに襲いいかかるのだった。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします