バトルスピリッツ W-LINK   作:けんき

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視点切り替えの記号

─ 場面切り替え
☆ 一人称から三人称の切り替え
★ 三人称から一人称の切り替え

こんな感じです。今のところなんで、ちょこちょこ変わると思います


鉄鋼のボス

「ん~~面白いことないかな?」

 

薄ピンク色に赤いメッシュのような細い毛が混ざった髪を束ねてポニーテールにし、この世にはないような服装と髪飾りを付けた少女が人差し指を自分の唇に当て、悩むように辺りを見渡していた

そんな奇抜な服装の彼女に辺りの人はもの珍しそうに見ていた。しかし、彼女はそんなことは気にせず、辺りを見渡していると、ある一つの建物が目に入った

そこは彩火達が通う虹宝高等学校の校舎だった

 

「へぇ~なんか面白いことありそう」

 

彼女はそう言って黄色く光だし、人の型から鳥の型へと変化して虹宝高校に人目を気にせず羽ばたいて行った

 

─────────────────────────────────

 

私、虹海、氷牙のいつもの3人組はいつものように体育館前でたむろしていた

いや、本当にいつも通り……

私は2人に休日に起きた緑丘先輩の話した

 

「へぇ~そんなことがあったんだ」

「緑丘先輩も契約者になったのか……なんか、羨ましいな〜」

 

別に羨まれるような力ではないと思うけど……

 

「俺も誰かと契約して連合国軍と戦いてぇ〜」

「きっと、誰か契約してくれるよ!」

「遊びじゃないんだよ!いつ死ぬかわからないのに……」

 

この間の洞窟の崩落や、グラムバルトに襲われた時に助かったのだって、運の要素が強かったし……

正直、この2人を巻き込みたくない……

 

「やっぱり、お前らか」

「あっ、噂をしたら緑丘先輩だ!」

 

虹海の言葉に振り返った先には緑丘先輩が私たちを見ていた

 

「聞いたことのある声がするなっと思って来たけど……こんな所で何してるんだ?」

「いつもここで昼休みは過ごしているんです」

「へぇ~」

「それにしても、ランポはいないんですね」

 

氷牙の言う通りランポを連れてきていない……いや、グロウを連れてきている私がおかしいのか

 

「まあな、あいつはラボで『暇になるよ〜連れて行って〜』って言っていたな。まあ、面倒くさそうだから連れて行かなかったけどな」

「そうなんだ。ランポなら文句言ってそうだな」

「今度、シャックでも置いていこうかな」

「それならあいつも暇つぶしになるよ」

 

あっ、そうだ緑丘先輩に聞きたいことがあった

 

「最終的にはお父さんは……」

「逃げたよ。だから、星野さんが捕まるまで安全のためにラボに止めさせてもらってる。まあ、ちゃんと学校に通うが条件だけど」

「え!?何かご家族であったんですか?」

 

そっか、虹海達は緑丘先輩の過去を知らないんだ

 

「まあ、虐待を受けてたからな」

「「え?」」

 

まあ、そんな反応になるよね……

緑丘先輩は淡々と昨日の話してくれた、過去の出来事を虹海達に話した

さっきまで楽しそうに私と喋った虹海達はショックを受けたような表情に変わり、驚いたように口を開けていた

 

「そんなことが……」

「警察とかには相談しなかったんスか?」

「相手にしてくれなかったからな」

 

深刻な話に一気に暗くなる空間。当然と言えば当然なんだけど……

 

「今はラボを借りて暮らしてるし、父親に関しては気にしてないし、別におまえらが気にしなくていいよ」

『静雄は……強いわね』

 

確かにスカーレットの言う通りかも……それに比べて私は……

 

『彩火?』

「何でもない……」

「そろそろ戻ろうぜ!チャイムが鳴る」

「そうだね。先生に怒られるのは面倒だし」

 

この間、ギリギリまでいたら怒られたからね……早めに教室に戻ろうか

 

─────────────────────────────────

 

5時間目は数学

訳のわからない数字を聞き流しながら呆然と青い空を見ていた

 

『ちゃんと授業を聞きなさい!』

 

お母さんかよ……

 

「井亜鈴!ここの問題が解けるか?」

「え?」

『ほら、気が抜けているからよ』

 

ヤバい……どうしよう……多項式なんてろくに聞いてないよ!!

 

「スカーレットわかる?」

『一応、聞いていたわよ!』

「なら、任せた!」

『え?』

「何をごちゃごちゃ言っている早く答えろ!」

 

この先生の声……ヤクザみたいで怖いんだよ!

 

『はぁ~まあ、いいわ』

 

私はスカーレットと変わって……文字や数字が書かれた黒い板の前に向かう

全く……文字や数字が似てて助かったわ……

周りから雰囲気が違うみたいな声が上がるけど、気にしていても仕方ないし……さっさと書いて戻ろう

 

「えーと、確か……」

「誰だあれ!?」

 

何よ……うるさいわね……

 

「すげぇ、鳥人間だ!」

「SNSに上げよう」

「めっちゃ、かわいい!」

「どうやって窓に張り付いているんだ?」

 

窓?

わたくしは窓の方に向くと、見覚えしかない姿が窓に大の字で張り付いていた

彩火はこの世界では異質な服装を見て気がついたのか

 

『変わった服装だね……レクリスの人だよね?』

「ええ、フェニルよ……」

 

グロウ達がこの世界にいるから、来てるとは思っていたけど……もう少しマシな再会をしたかったわ

私に気がついたのかフェニルは私に向けて手を振る

……このままだと彩火に迷惑になるから、わたくしはどこかに行くように手を動かした。フェニルはガラス越しで察してくれたのか鳥の姿に変えて空に飛び立って行った

よし、とりあえず解決ね……。まあ、授業はそれどころじゃなくなったみたいだけど……

 

─────────────────────────────────

 

そんなわけで数学の授業を終えて、わたくしはフェニルが飛んで行ったであろう空に見るために屋上に向かった

彩火曰く、屋上は立ち入っていいらしい

わたくしは最後まで階段を上がって、重々しい屋上への扉を開ける

扉が開けると返しのある城壁のような巨大な檻が屋上を囲っていた

 

「落ちないようにしているのかしら?学校から街が見づらいわね……」

『まあ、フェンスがなかったから危ないからね』

 

……だとしても、これは檻よ

すると、黄色い翼を広げた小鳥のフェニルが降り立つ。そして、小鳥の姿から人の姿に変え、体を慣らすように首を左右に動かす

 

「ふぅ~やっぱり人型の方が楽だわ〜」

『元が鳥じゃないんだ……』

「この子はクラウディア王国の王女よ」

『へぇ~スカーレットと同じだ』

「まあ、そうなるわね」

「ねぇねぇ、誰と話しているの?」

 

そうだった……フェニルには彩火の声は聞こえていないのよね

 

「この体の宿主に話しているいるのよ」

「え!?リユの体じゃないの!?」

「そうね。また、後で自己紹介させるわ」

「わかった。にしても、リユに再会出来て良かったわ!」

「その感じだとかなり探していたようね」

 

わたくしが来てから約1ヶ月近くが経とうとしている。その間、フェニルは飛び回っていたと思うとかなり苦労をしていたと思うわ

 

「にしても、あたしの勘は100%ね。本当に面白いことがあった!」

「その勘が100%当たるような人はカジノで負けないと思うのだけど?」

「痛いところ相変わらずついてくるじゃん……でも、トータルでは負けてないわ!それと、そろそろリユもカジノしない?」

「わたくしはそういうのに興味ないからいいわ」

『私も興味ないや……』

「え〜、相変わらずだな〜」

 

頭の後ろで手を組みふらふらとするフェニル。ヴェルデとはまた違う軽さよね。でも、変わった様子がなくてよかったわ

 

「あっ、マーガレットはいるの?」

『マーガレット?』

「わたくしの専属メイドで、そしてフェニルの契約者よ。……シーラスとヴェルデはいるのだけど……マーガレットはまだ見てないわね……」

「そっか……いたら面白かったんだけどな〜」

 

そうね。わたくしもマーガレットに会いたいわ……

 

『スカーレット……そろそろ次の授業が始まる……』

「あっ、そうね。また後で会いましょうフェニル!」

「ええ」

 

そう言って飛び去っていくフェニル

わたくしも教室に戻らないとね

 

『そろそろ行こう』

「ええ、そうね」

 

わたくしは屋上の扉を開けて、教室に戻っていく

階段をゆっくりと降りていると、不意に肩を伝い体の半分に衝撃が走る

バランスを崩して足が数歩をふらついた

 

「ッ……」

「痛ぁ〜」

 

ふらふらと立ち上がる金髪カールポニーテールに彼女。同じクラスには居なかったわね

 

「大丈夫かしら?」

「ッ……別に……」

 

わたくしを赤い細い瞳で睨みつける。しかし、わたくしはその輪郭に見覚えがあった

 

「マーガレット?」

「!?」

 

一瞬、驚いた表情を見せた後に走り去っていた

さっきまでマーガレットの話をしてたから、思わずマーガレットの名前を出しちゃったけど……

 

「彼女がマーガレットな訳ないわね……」

『スカぁ……』

 

マーガレットはあんな視線をわたくしには送らないわよね……

 

『スカーレ……』

 

いや、もしかしたら……ヴェルデやシーラスのことも考えると……

 

『スカーレット!!!!チャイムが鳴ったって!』

「え?」

 

しまった。わたくしとしたことが……マーガレットのことで気にしすぎた!

わたくしは慌てて彩火の教室に戻った

 

─────────────────────────────────

 

「やっと……終わった……」

 

私は大きく背伸びをしながら帰路を辿る

 

「にしても、フェニルに会うんでしょ?どこで会うか知ってるの?」

『さあね』

 

え?10分休みの時間にまた会うみたいな話してなかったけ?

 

『だけど、好きそうな所は知っているわ』

「好きそうな所?」

『あそこの建物のよ』

 

“あそこ”の文脈的に……

 

「このパチンコ屋さん!?」

 

レンガ造りに見せた大きな建物。窓からギラギラと光が漏れて騒がしそうなのは一瞬でわかった。……こんな所が好きなんだ……

 

『あっ、いたわ』

 

窓から覗き込む人型のフェニルの姿。スカーレットの言葉通り本当にいた

とりあえず声をかけるか

 

「あ、あの〜」

「うわぁっ!!?て、リユかぁ……」

「スカーレットじゃないんだけど……」

 

私の言葉に海外ドラマのような驚いたリアクションをとるフェニル

 

「え!?あ、確かに雰囲気違うかも……」

「私は井亜鈴彩火。まあ、この体の本人だよ」

「そうなんだ!あたしはフェニル。よろしく!にしても、不思議ね。転移出来たと思ったらそっくりさんの体に宿るなんて」

『ええ、全くよ……』

「うん……」

 

本当に……どうしてこうなったのか……

すると私のリュックがガサガサと動き出した

 

「よっ、フェニル!」

「グロウも来てたんだ!」

「今は彩火の家でお世話になってるぜ!」

「いいな〜いつも野宿だから、そろそろ温かい場所が恋しいわ〜」

「野宿って大変……」

「離れて!!」

 

フェニルは私をいきなり突き飛ばした

そしてフェニルの腕に何かが被ったのが見えて、赤い血が吹き出した

 

「ッ……」

「え?」

 

いきなりのことで頭が回らない……どうしていきなり血が……何で周りから悲鳴が上がっているの……何で逃げ回ってるの……

 

『彩火!!』

「え……」

 

私の足元に小さな穴が出来る。小さい穴に覗き込むと煙が出ていた。そのまま穴の中にあるのを手を取ると

 

「なにこれ……銃弾!?」

『風で弾道が寄れたみたいね……』

 

確かに今日は風は強いけど……

 

「早く離れないと……」

 

完全に私を狙ってる……

 

『その前にフェニルをどうにかしないと!』

 

フェニルに手を伸ばすと赤いラインが私の手首を透す

身の危険を感じた時に人は全てスローに見えると聞いたことがある、だから今スローに全てが見えてるのは絶対にまずい……

このままじゃ、手首が吹っ飛ぶ……

 

「ッ……あっ、あれ?」

 

赤いラインは急に消えた

手が吹き飛んだはずじゃ……

 

「大丈夫?彩火?」

 

声がした方に振り向くとトアさんが渦を出していた

 

「トアさん!!」

「転移の魔法を応用して弾を別の場所に転送することが出来るみたい」

『彩火。一番高い建物の上!』

 

確かに目を細めればビル上に誰かがいる

 

「早く行こう!フェニル大丈夫?」

「ッ……あまり激しく動けないかも」

「なら、弾が当たらない所で休んでて!いくよ、スカーレット!」

『ええ!』

「あたしも行くよ!」

「なら、トアさんも一緒に!」

 

私はトアさんと一緒にに敵で撃ってきたであろうビルへと向かった

 

─────────────────────────────────

 

ビルの足元に到着した私達。しかし、どうやって最上階まで登ろう……よりによってテレビ局だから、簡単には屋上までの階段を使わせてくれなさそうだし……

 

「中に入らないの彩火?」

「いや、テレビ局なんで、多分追い出されます」

「そんな殺生な!?」

 

まあ、私達にとっての緊急事態と、他の人の緊急事態は違うからな〜。ガブリエルが一般認識されていたら、警察みたいに入れたんだろうけど

 

「どうしよう……」

『なら、スピリットの力を借りたらどうかしら?』

「それだ!!」

 

私はさっそくドレッドノーズを召喚して、一気に屋上へと飛んだ

ものの数秒で屋上の上空に到着

やっぱりスピリットは早い!

 

「えーと、敵は……」

「あ、あそこ!」

 

トアとさんが指差した所に人影が見えた。手には大きな銃が見える。……あれで撃ってきたんだな

 

「グロウ!」

「おう!」

 

グロウがリュックから飛び出して、数メートル下の人影の方に飛び降りる

よし、グロウがごちゃごちゃしている間に……

 

「なら、私達も。ドレッドノーズ!安全な場所に降ろして!」

 

私はドレッドノーズの長い首をポンポンと叩く。伝わったのかビルの上にゆっくりと着陸してくれた

ドレッドノーズは飛び降りて

 

「ありがとう。ドレッドノーズ!」

 

感謝の言葉と共にドレッドノーズは赤い光の粒子になって消えていった

 

「うっ、」

「彩火!?急に膝をついたけど!」

 

そっか……スピリットを召喚すると相当体力使うんだったけ……

 

「うん……体力の限界で……」

『なら、わたくしが出るわ』

「うん……お願い……」

 

私は静かに目を閉じて……わたくしに変わる

さてと……あの感じだとタンブルウィードヴィレッジのギャングでしょうね

白いスーツを着た男がこちらに大きな銃を向ける。銃には詳しくないから……何の銃かわからないけど……撃たれたら終わりね

なら、銃を破壊してもらおう

 

「グロウ!」

「あいよ!」

 

グロウは男が持つ大きな銃に一撃を与えて破壊した

 

「ッ……」

「よくやったわ。グロウ」

「まあな!こんな安っぽい武器なんか簡単に破壊出来るぜ!」

 

頼りになるわね。……後は

 

「あなたはブラン・ライフルの部下かしら?」

「……」

 

わたくしの質問に口を開かない男。……喋るなと言われているのかしらね

すると、屋上の扉が軽々と開いた。黒いつばの長いに白いピシッとスーツを着こなした灰色の髪の青年……

 

「ハッハー!一発でリユ・ニオン・スカーレットが釣れるとはな!!」

 

やっぱりブラン・ライフル……

 

「あなた達の仕業ね。高いところから狙撃してきたのは」

「まあ、さっさとターゲットを撃って報酬を貰いたかったからな!」

「報酬ねぇ……」

 

これはわたくしのせいね……

 

「どちらにせよ。彩火や他の人を狙ったあなた達を許すわけにはいかないわ」

「なら、どうするんだ?」

 

そう、この世界での連合国軍との決着は

 

「バトスピで勝負よ。あなたも出来るでしょ?」

「ハッハー!いいぜ!ヴリック!」

 

すると契約スピリットのヴリックがどこからか降りてきて姿を現した

わたくしもカバンからデッキを取り出す

 

「グロウ。行くわよ!」

「おう!」

 

グロウはカードになってデッキの中に入る

 

「行くわよ!「ゲートオープン界放!!」」

 

              ☆

 

宣言と同時に眼の前は宇宙のような黒い空間に赤、白、紫、緑、黄、青の星が辺りをキラリと光っていた

右手に水色の手袋が重力のままに外れ、赤々と輝く紋章が露わになる

紋章がある右手で、なぞるように制服にかざすと、どんどんと焼けていき中世風の紅色のプリンセスラインドレスへと変わり、丈も制服のスカート以上に伸び、地面に付きそうなくらい長くなり、茶色の革のローファーは高級感のある赤いチャンキーヒールに変わる

スカーレットは天を掴むように両手をそれぞれ掴み、力強く離すと金色の火花が散りティアラを描き、そのまま小さくなり金色のティアラとなって頭に被る

ドレスのスカートを掴み軽くステップを踏みながらクルッと回り、パッと両手を下に広げ宇宙のような空間を吹き飛ばした

 

そして、ウエスタンの白いカウボーイ衣装に身を包んだブラン

お互いバトルの準備を終えて

 

[ターン1]

 

「ヘイ!リユ・ニオン・スカーレットからターンを進めていいぜ!」

「なら、遠慮なく。グロウを召喚するわ!」

 

赤いシンボルが割れて相棒竜グロウが姿を現した

 

「ターン終了」

 

[ターン2]

 

「なら、俺のターンだ!射抜け!ヴリックを召喚するぜ!」

 

白いシンボルが割れて茶色いウエスタンハットを被った機械仕掛けのスピリット、相棒無頼ヴリックが召喚される

 

「そのままアタック!カウント+2,さらに、ヴリックの効果で【装弾】を発動!」

『装弾?』

「彩火も初耳なのね」

『うん』

「なら、ブラン・ライフル。説明してもらえないかしら」

「ハッハー!知らないまま勝っても面白くないからな。【装弾】はヴリックの下にカードを溜める効果だ!」

BP2000→6000

カウント0→2

装弾0→2

 

ヴリックは腰に閉まっていた銃を取り出しシリンダーに2つの弾を込めてスカーレットに構える

 

「悪いですがぁ、目的のために引き金を引かせてもらいまっせぇ!」

 

ヴリックはスカーレットに向けて引き金を引いた

 

「ライフで受けるわ」

 

スカーレットの眼の前にバリアが出てきた

そのまま銃弾でバリアを破壊した

 

「ッ……」

ライフ5→4

 

「ハッハー!ターンエンドだ!」

 

[ターン3]

 

「わたくしのターン。バーストセット」

『スカーレット。ここでネクサスを配置したら……』

「わかっているわ。とは言っても……」

 

手札には紅きオベリスクとエデラの砦。どれも使えばこのビルは一発で倒壊するだろう

スカーレットは軽くため息をつき、他の手札にあるカードに目を向ける

 

「なら、ロケッドラを召喚するわ」

 

シンボルが割れてロケットを背負った小さなドラゴンが姿を現した

 

「よろしく頼むわ。ロケッドラ」

 

スカーレットの言葉にロケッドラを頷く

 

「アタックステップよ!グロウでアタック!アタック時効果でカウント+2追加して、1枚ドローするわ!」

カウント0→2

 

グロウは拳を引き、一気にブランに近づく

 

「ライフで、受けるぜ!」

 

グロウは容赦なくブランのバリアを破壊した

 

「ッ……」

ライフ5→4

 

「ハッハー!このくらいどうってことないぜ!」

「ターンエンド」

 

[ターン4]

 

「行くぜ!俺のターンだ!Hey C'mon!ガンドック!」

 

白いシンボルが割れて銃が装備された機械仕掛けの鋼の犬が姿を現した

 

「召喚時、カウント+1、【装弾】だぜ!」

カウント2→3

装弾2→3

 

「さらにもう1体、同じ効果を使うぜ!」

カウント3→4

装弾3→4

 

ヴリックは着実にシリンダーに弾を込めていく

すると、スカーレットは手の平を天高く上げて

 

「このタイミングでバースト発動させるわ!ガンドック2体を焼き払いなさい!ドレッドノーズ!」

 

バーストが開き、火柱が上がると強靭な翼に赤い体色、銀色の鎧のようなものを身にまとったドレッドノーズが姿を現した

その後、ドレッドノーズはガンドック2体を焼き払った

ビルが溶ける音が立ちながらゆっくりとドレッドノーズはビルの上に飛来する

 

「ハッハー!やるじゃねぇか!!」

「それはどうも」

「レベル2に上げて、ヴリックでアタックするぜ!同じように【装弾】だぜ!」

BP6000→10000

カウント4→6

装弾4→6

 

ヴリックは銃をスカーレットに向けて放った

しかし、スカーレットの前に強靭な羽が現れ、ヴリックの銃弾を防いだ

 

「さすがね。ドレッドノーズ」 

 

腕を組み余裕な表情を浮かべるスカーレットに応えるようにドレッドノーズは咆哮を上げて、ヴリックを衝撃波で吹き飛ばした

ヴリックはそのまま鋼のような銀色の魂になる

 

「Wao!やるねぇ〜ターンエンドだぜ!だけど、ギャラリーが増えてきたな」

 

バトルの騒ぎに駆けつけて、住人や報道人が集まってきた

スカーレットは冷静に空を見上げて、ホバリングしている報道ヘリを見つめる

 

「ええ、そうね」

 

スカーレットは目線を手札に戻して、バトルに戻る

 

[ターン5]

 

「わたくしのターン。……このカードは」

 

ドローステップで引いたライズ・グロウのカード

 

『使うの?』

「いえ、まだこの力は使わないわ。メインステップに移るわ。カウントドローを発動させる。カウントが4だから3枚ドローするわ」

 

手札を整えるスカーレット

 

「見せてあげる!」

 

スカーレットは1枚のカードを手に取り天高く上げる

 

「迷える者を導く、可能性の光!」

 

スカーレットは空に向けてザ・マジシャンのカードを投げると赤々とした炎がカードを包みこんで球体を創り出した

 

「レベル2で顕現しなさい!オラクル二十一柱の1体!ザ・マジシャン!」

 

投げたカードがスカーレットのテーブルに生成されると、球体は弾け飛び、降り注ぐ火の雨と共にザ・マジシャンが姿を現した

 

「さらに、オラクルI オーバーマジシャンを発動させるわ!」

「この間、彩火がやった展開と同じだ……」

「バーストを伏せて。行くわよ!オーバーマジシャンの効果を発動させるわ!」

カウント2→3

 

「トラッシュのコアを回収して、グロウでアタック!」

カウント3→5

 

「なるほど、全てのスピリットで俺を殴れば勝てるというわけか」

「ええ。そうね」

 

ブランの残りライフは4、フィールドにはスピリットは0

対してスカーレットのフィールドには4体のスピリットがいるため、フルアタックが決まれば勝つ

絶望的な状況でも、ブランはいつものように高笑いをする

 

「ハッハー!だが、リユ・ニオン・スカーレットの割には早計じゃないか?」

「なんですって?」

「ハッハー!スティールバラッジを発動!」

 

ブランの辺から無尽蔵に放たれた銃弾がグロウの体を打ち抜き魂状態にする

 

「グロウ!?」

「さらに【早撃】の効果で自分はライフは1しか減らない」

『【早撃】?』

「【早撃】とはどんな効果なのかしら?」

「え?ああ。装弾したカードを破棄して追加効果を発動するらしいぜ」

「なるほどね」

装弾6→5

 

放たれる銃弾の雨が壁のような働きをし、スカーレットのスピリットの攻撃を阻む

 

「さらに、装弾で破棄されたカルヴァリーの効果だ!」

 

追跡者ジェノ=カルヴァリーの効果でドレッドノーズがデッキ下に送られる

さらに効果で【装弾】を発動させる

装弾5→7

 

そして白いシンボルが割れて骸骨の顔を持つ機械仕掛けのスピリット、追跡者ジェノ=カルヴァリーがブランのフィールドに召喚される

 

「ハッハー!これでお前の信頼するスピリットはいなくなったぜ!」

『どうするのアタックを続けてライフを1つでもいいから削る?』

「いや、ここは何もせずにターンを終了させるわ。無理にアタックする方が危険よ」

 

無理にアタックして自分のスピリットが減る可能性よりも、スピリットをブロッカーに回して次のアタックを耐える方が懸命と判断するスカーレット

 

『スカーレットの判断に任せるよ』

「ありがとう。ターンエンドよ」

 

[ターン6]

 

「ハッハー!消極的だな!俺は……そうだな……カルヴァリーのレベルを2に上げて攻撃に移るぜ!」

BP6000→8000

 

カルヴァリーを疲労させてアタックする

カルヴァリーは手に持つ銃をスカーレットに向けて乱射する

 

「ッ……」

「フラッシュタイミングだ!」

「何ですって!?」

「ハッハー!敵味方関係なく撃ち抜け!ヴリック、俺の元で新たな姿になれ!銃皇機神ガンズ・マーヴリック、契約煌臨!」

 

ヴリックの魂に鉄板や銅やネジが吸い付いて人型になる。ヴリックを大きくしたような姿の機械仕掛けのスピリット、銃皇機神ガンズ・マーヴリックが現れる

 

「ヴリックの効果でバーストをデッキトップに戻す!」

 

伏せていたアドベントドローがデッキの上に戻される

 

「さあ、このアタックはどうする?」

「ロケッドラ、あなたに任せるわ!」

 

カルヴァリーの銃弾がロケッドラの体を射抜き破壊した

 

「なら、ヴリックだぜ!ヴリックの効果だぜ!」

BP13000→24000

カウント6→8

装弾7→9

 

「さらにヴリックの効果だ!ザ・マジシャンにはデッキ上に帰ってもらうぜ!」

『スピリットにも適用されるの!?』

 

マーヴリックが放った銃弾を受けたザ・マジシャンがデッキの上に戻される

これでがら空きになったスカーレットのフィールド

 

「さらにOC効果を発動させるぜ!」

 

マーヴリックは巨大な銃をスカーレットに向けて構えて発砲。スカーレットの胸を貫いた

 

「ガハァッ!?」

ライフ4→3

 

スカーレットは膝をついて胸を押えた

 

「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……なぜ、ライフが削れた?」

 

いきなりのことに普段冷静なスカーレットも息を荒げ、頭の整理が出来ていなかった

そんなスカーレットにクスクスと笑い

 

「ヴリックは【早撃】の効果でライフを破壊できる。フラッシュを挟むたび何度でもな!」

早撃9→7

 

「何度もですって!?」

「ほらほら次だ!」

早撃7→5

 

ヴリックは容赦なく次の銃弾を放つ。再びスカーレットのライフを破壊する

 

「ッ……うわぁっ!?」

ライフ3→2

 

倒れるスカーレット

 

「じゃあ、次だ!」

早撃5→3

 

ヴリックは三度、スカーレットに向けて銃弾を放つ。しかし、白い波紋がヴリックの銃弾を弾きスカーレットのライフを守った

 

「何だと!?」

「2つ目のライフが削られる前に白晶防壁を発動させてもらったわ!もうライフは削られているからこれ以上のライフは削られない!」

「ッ……これ以上撃っても無駄撃ちかよ……」

 

スカーレットに向けてヴリックは二丁拳銃を使い乱射するが白い波紋に阻まれる

 

「ターンエンドだ」

 

[ターン7]

 

「さてと……次に番を渡せばわたくしの負けね」

 

次にヴリックの攻撃を受けたら確実に負ける

 

「行くわよ!暗き空に昇り、我が国に日の出をもたらせ!相棒竜グロウよ、頂点を掴むの力を解き放て!!灼炎竜ライズ・グロウを契約煌臨!」

 

赤い魂が日差しを浴びてみるみるうちに姿を変えていく

腕と一体になった赤々と燃える飛膜にグロウ・カイザーと思わせる赤い逆鱗を持つ、巨大な龍が日差しを噛み砕き姿を現した

 

「再び顕現しなさい!オラクル二十一柱!ザ・マジシャン!レベル2!」

 

再び球体は弾け飛び、降り注ぐ火の雨と共にザ・マジシャンが姿を現した

 

「このターンで終わらせる!アタックステップ!やりなさいライズ・グロウ!オーバーマジシャンの効果でソウルコアをザ・マジシャンに!」

カウント5→6

 

「さらにザ・マジシャンの効果でカウント+1、カウント6以上だから、ライズ・グロウに力を捧げるわ!」

カウント6→7

ライズ・グロウ シンボル1→2

 

「グロウの効果を発動するわ!」

カウント7→9

 

「さらにライズ・グロウを効果を発動!カウント+1するわ」

カウント9→10

 

「さらにOC効果を発動!ドレッドノーズを煌臨元に加えて回復するわ」

 

カウントを溜めて青い空を舞うライズ・グロウ

 

「ハッハー!回復は面白いが、そう簡単にはいかないぜ!」

 

ブランは銃を打つように手札のカードをテーブルに向けて放つ

 

「【早撃】!襲撃者グラットン・ジョーをフラッシュタイミングで召喚!!」

装填3→2

 

白シンボルが割れ、鋼鉄の体を持つロボットが姿を現した

 

「ヴリックの効果で【早撃】で破棄されたバレル・ドラゴンを回収するぜ!さらにグラットン・ジョーの効果で……ライズ・グロウを手札に戻すぜ!」

 

グラットン・ジョーのレーザー光線がライズ・グロウの体を貫いた

 

「クソぉ!!!」

 

断末魔と共に消えるグロウ

 

『グロウがぁ!』

「問題ないわ」

 

スカーレットは1枚のカードを手に取る

 

「勇猛な翼を広げよ!我が国に繁栄をもたらせ!相棒竜グロウよ、本来の力を解き放て!!緋炎龍皇グロウ・カイザーを契約煌臨!」

 

グロウの魂の場所から火柱が上がり、火柱から拳が出てくる。すると火柱が弾け、緋色の鱗を纏う勇猛なドラゴン、グロウ・カイザーが姿を表した

 

「グロウ!三度復活!!」

「グロウ・カイザー!攻撃しなさい!」

 

スカーレットの言葉に脇を引き締めて、ビルの天井を凹みを作りブランに一気に近づく

 

「グロウのアタック時効果!カウント+して1枚ドローする!」

カウント10→12

 

「さらに、グロウ・カイザーの効果でBP20000以下のスピリットを破壊するわ!」

「ハッハー!だが、ヴリックのBPは24000!破壊されない!」

「ええ、だから、グラットン・ジョーを破壊するわ!」

 

グロウは炎の拳でグラットン・ジョーの体を貫く。鋼で出来た体は炎の耐性はなく、溶けるように破壊された

 

「さあ、このアタックを受けてもらうわ!」

「ッ……ライフだ!」

「くらえぇー!一撃必殺!!灼炎轟龍拳ーーーーーッ」

 

グロウの拳がブランの3つのライフを砕いた

 

「グウォッ!!!?」

ライフ4→1

 

「これで最後よ!ザ・マジシャン!」

「ハッハー!ブラボーだぜ!……流石、レイカラットの姫様だ……OK、ラストを持っていきな!」

 

ザ・マジシャンの杖から放たれた炎が最後のライフを砕いた

 

「うわぁっ!?」

ライフ1→0

 

              ★

 

吹き飛ばされ強く打ち付ける

本当にいい気味だわ

 

「やったね!スカーレットさん!」

 

バトルが終わり安全な場所に避難していたトアが出てきた

 

「ええ」

「ハッハー!流石だな」

「まあね」

 

すると空から赤い粒子が降ってきた

これでみんなの記憶からわたくし達のバトルは消えるのね

 

「さてと、わたくし達も粉が消えるまでに帰りましょうか」

「そうだね」

 

わたくしはドレッドノーズを呼び出してトアを乗せる

あ、そうだ

 

「もし、次も彩火を狙うのようなら、容赦はしないから」

 

わたくしはドレッドノーズに乗り青空に飛び立つ。ブラン・ライフルが何かをブツブツと最後に言ったような気がするけど……まあ、わたくしにはどうでもいいわ

ドレッドノーズにフェニルがいる、ぱちんこ?の場所まで送ってもらう

赤い粉が消える前にたどり着いて、ドレッドノーズも到着と同時に消える

 

「フェニル!」

「やっほーリユ!」

 

人間状態のフェニルがぱちんこの花壇に腰をかけて、銃弾が当たった逆の手でこちらに振っていた。銃弾で掠った方は包帯が巻かれている

とりあえず、大丈夫そうでよかった……

 

「いや~不意を突かれたわ〜。ありがとね恋春(こはる)!」

「別にいいよ」

 

金髪カールポニーテールに彼女。さっき学校で会った子ね

 

「あなた、恋春(こはる)と言うのね」

「え、まあ。あたしは黄菊(きぎく) 恋春(こはる)

「わたくしは、リユ・ニオン……」

 

いや、わたくしの名前で話すよりは彩火の名前を使った方がいいわね

 

「井亜鈴 彩火よ」

『ちょ、勝手に名前を!?』

「いえ、あなたはリユ・ニオン・スカーレットなのはわかっています」

「え、何で?」

 

わたくし……名乗ってないわよね……

 

「だって……」

 

恋春は静かに目を閉じて、力を抜くように肩を落とすと、髪色が金髪の色がどんどん薄くなり、白混じりな金髪になり、ポニーテールを解いた

そして目を開き、肩下まであるカールの後ろ髪をなびかせて微笑み。片手を広げて優しく自分の胸に置いた

  

「それは私が教えてからです。姫様」

「え、」

 

さっきまでツンケンした口調からトゲが取れたような優しい口調になった

わたくしはその声と喋り方に聞き覚えしかなかった

 

「マーガレットなのよね?」

「はい。マーガレット・アマリージョです。姫様に再び会えて光栄です!」

 

少しぎこちないカーテシーは間違いない!

 

「ッ……よかったわ。無事にこちらにこれて」

「はい!これも恋春様のおかげ……」

「……勝手にいろいろ話さないで!!」

 

髪色が変わりマーガレットから恋春に戻った

 

「ビックリだわ。まさか、リユみたいになっていたなんてね」

 

わたくし、シーラスといい、ヴェルデといい、マーガレットもそうだけど、誰かの体に宿る感じなのかしら?……それも似た者……

 

「これはマーリンに早く会っていろいろ聞き出さないと」

『マーリン?』

「わたくしの従者1人よ。気分によって結構口調がコロコロ変わるから変わっている人ではあるのだけど、悪い奴ではないわ」

『ふーん』

「まあ、マーリンの魔法でこの世界に来たから、会うことが出来ればいろいろ聞けると思うのだけど……」

『根気よく似た人を探さないとね』

「そうなるわよね……」

 

骨が折れそうね……

にしても、もうすぐで日が暮れる

 

「フェニルはどうするの?野宿するの?」

「あたしんちにつれて帰ります。マーガレットと仲も良さそうですし、鳥状態なら問題ないと思うし」

「そう、いろいろ助かるわ」

「いえ……あたしはマーガレットの意見に賛同しただけだから……」

 

なんだか言い方が気になるわね。まるでマーガレットの意見に合わしたような……

 

「まあ、会っすぐでこういうことを言うのはどうかと思うけど、マーガレットの意見も大事だけど、恋春の意見も大事にしなさい」

「え」

『スカーレット、説教くさいよ!』

「あら!」

 

あまり自分では思ったことはないのだけど、わたくしの言い方は他の人からしたら説教ぽく聞こえるみたい

 

「そ、そう。気をつけるわ!じゃあ、また会いましょう。恋春」

「あぁ……はい」

 

そう言って恋春と別れてトアと共にガブリエルの基地へと戻った

フェニルにも会えたし、マーガレットも無事にこちらの世界に来ていた。連合国軍の攻撃は激しくなってはいるみたいだけど、こういった出会いは大切にしないとよね

 

─────────────────────────────────

 

「ッ……やっぱり強いなぁ〜」

 

スカーレットに負けたブランとヴリックはトボトボと廃工場に帰っていた

 

「やはり、これから一国を治めようとする姫。一筋縄ではいかないと言うことか」

「そうだな〜でも、そう簡単にくたばる弾じゃないってことはいいことだ!楽しみがいがある!」

 

笑みを浮かべるブラン。すると廃工場の入口で、腕を組み静かに目を閉じ佇んでいるアスルの姿

 

「おう。アスルじゃねぇか!」

「おい!」

 

アスルは普段より低く声を出し、ゆっくりとブランに近づく

 

「リユ・ニオン・スカーレットを直接狙っただろ?」

「ああ!ハッハー!それがどおぉ……」

 

アスルはブランの頬を裏手で叩き、ブランはそのままの勢いで倒れていく。ブランはいきなりのことに頭の整理がつかなかったが、慌ててリボルバーをポケットから取り出しこめかみを狙って発砲。アスルは発砲を分かっていたかのように顔を少し傾けて脳の位置を外す

ブランはすぐさま回転して体制を整え、アスルに向けてリボルバーを構える

 

「なんのつもりだ!?」

 

普段はヘラヘラしているブランも思わず声色を変えてアスルに問い詰める

そんなブランに怯まず真っ直ぐと見つめて

 

「貴様、リユ・ニオン・スカーレットを直接狙ったんだろ。井亜鈴 彩火を無視して……」

「そうだな。運が無いやつだよ」

「我々の条約はこの世界の民を直接殺さないが、条約内容のだったはずだが?」

「俺は賞金が貰えればなんだっていいんだよ!ギャングは、細かいルールは守らねぇんだよぉ!アンタみたいにルールの中でカスみたいな遊びをしてないんだよ!」

「あんたはこの体のことは考えたことはないの?井亜鈴 彩火を殺せば罪がかかるのは元の宿主よ!」

「ハッハー!知ったこっちゃないねぇ。俺はさっさと賞金を貰って国に帰る!」

 

ブランの自分勝手の考えにアスルはため息をついて

 

「……呆れた。これが国の上に立つ者なんて……」

「今のはカチンっときたぜ!リユ・ニオン・スカーレットの前にアンタから殺してやるよ!」

 

ブランはリボルバーの引き金に力を入れる

 

「そこまで!」

 

廃工場から紫色の着物を身を包んだ詩苑が廃工場からゆっくりとすり足でアスルとブランの争いを止める

 

「……詩苑」

「なんだよ!シラケるな……」

 

ブランは呆れながらリボルバーをポケットにしまう

 

「ッ……俺は帰るぜ!」

 

そう言ってブランはやる気なさそうな手を振り、ヴリックと共に来た道を戻った

アスル、ブランの2人だけになった空間に風が吹き、アスルの群青色の長髪をなびかせた

 

「悪い。少し頭に血が登っていたよ」

「あのままほっとけば、どちらかが死んだ可能性があったからな。拙者からしても王が減るのはいろいろ避けたい」

「……そうだな」

 

アスルは青い空を見上げる

美しい絵画のようなシーンに詩苑は口を開き

 

「そなたは優しすぎるな」

「え?」

「拙者もこの世界の者には手を出したくないが、リユ・ニオン・スカーレットを殺るのなら、井亜鈴 彩火を殺る覚悟を持っていたほうがいい」

「……」

 

詩苑の言葉にアスルは口を閉ざし返事をしなかった

 

─────────────────────────────────

 

暗闇の中で髪の毛を解いた恋春は自室の天井を見ていた

 

「『マーガレットの意見も大事だけど、恋春の意見も大事にしなさい』かぁ……」

 

ブツブツとスカーレットの言葉を繰り返す

 

『どうされました?』

「起きてたの!?」

『はい。主が寝付くまでメイドは寝られないので』

「あんたの主はスカーレットさんでしょ……あたしが起きていても寝ていい……いや、あなたはそんなことは言っても聞かないよね……」

 

恋春は呆れたようなため息をつきつつ、静かに目を閉じる

 

「1ヶ月近くの付き合いだけど、やっぱり慣れないな……」

 

その言葉を残し恋春は深い眠りにつくのだった




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