《原本》がある世界で抗い続けろ!―原本が猿の始まり― 作:ぐぐぐああ
「やっ、ザンゲくん」
突如として現れたのは、真っ白な肌で悲哀の仮面により顔を隠されていた謎の人物?だった。ただ、体中から魔力が溢れ出しているのを感じていた。
「だれ?」
「親愛なる君の神様だよ」
「神って、他に神はいるんですか?それとも、この黒雨教団が本当の神を祀っているとか?」
「君はかなり良いことを考えるね。不正解だけど、祀っているのが神になると、ボクは‘‘全て’’に干渉出来るよ。少し君に助言をしようと思ってね」
………なんだろう。無◯転生のあいつと似たような雰囲気を感じるな。言葉とかそういうのは違うけど。
「助言しといて後で何か請求しようとか思ってるんじゃないですか?」
「失礼だね。ボクがしてもらいたいことは使命に書いてあるよ。塗りつぶされてるけど、力を強めるたびに分かってくるよ。使命は確認してないだろうけど、一部見れるようになってるだろうね」
疑いながらも原本を取り出した。確認してみると、解放条件としか書いていなかった。それ以外は塗り潰されていて見ることが出来ず、実質変わらない。
「まぁ、助言は教団と敵対をしないことだ。黒雨教団だけじゃないよ。分かったね」
パンッと神の手を叩く音が聞こえた。
「おぉ、お告げの通りだ。神の像の前に置けば、神聖力で繋がっているのが分かる」
神聖力というのは、個人の持つ魔力とは違って神から分け与えられるものであり、量で教団の立場にもかなり影響がある。
起こされていたシンリーは黙って見守る他なかった。
「神、使命」
ザンゲが言葉を発したかと思えば、神聖力の繋がりは切れて起き上がった。
「おぉ、神の使命っ」
「素晴らしい。この目であんな光景が見れるなんて」
狂っている。シンリーは信徒の顔を見ながらそう思った。
だが、ザンゲは何事も無かったかのようにシンリーの手を掴んで
「行こう」
と言った。当然、シンリーも断る訳も無く、行くことにした。
まるで長年ここに住んでいるのか疑ってしまう程、すぐ道を進んでいってしまう。
「なんで、間取りとか分かるんですか?」
シンリーは恐怖ではなく好意的な顔を見せながら、ザンゲに尋ねた。
「あぁ、なんか知らない奴に教えてもらったんだ」
「知らない奴って………」
ただ、こんな出来事があって黒雨教団と繋がりを疑わないので説明の手間が省ける。
部屋の扉を開けば一人の男がいた。
「君が来ることは知っていたよ。武器などの装備品は手入れしてあるはずだ」
「ありがとうございます。宗教に入る気はございませんが、何かあった時は仲良くしていきましょう」
「それは嬉しいお言葉だな」
装備品を確認してみると、新品同然であり何故ここまでしてくれるのか?とシンリーは疑問に思った。だが、その思いを頭の片隅に置いた。
迷宮へ出てみれば魔物の数が少し少ない。
「強い奴でも現れたのかな?確か、階層にあってない魔物を『渡り鳥』って言うんだっけ」
「確か、そうですね」
ゾンビが現れた!
死体は迷宮に吸収されるか食われるのがほとんどだが、たまに原型を留めてゾンビ化するのだ。しかし、基本的にゾンビは弱い。
「喰らえ!」
ザンゲはゾンビを刺し倒した後に数回頭に蹴りを入れて殺した。魔石の確認をしていると誰かが近づいてくることが目視出来た。
「やぁ、君た、ちぃ薬りりっはいるかぁい!」
「なんだこのおっさん!」
「おそらく、賞金首のマージ・クヤマという男です。魔術が使えるようなので気をつけてください!」
「了解」
今日は厄日だと愚痴をこぼしながら、重い一撃を与える。
「薬ぃ。ああ、薬!」
ただ、賞金首とあってかかなりの防御力を誇っている。おそらく、二人よりも上位の原本に違いない。クヤマがザンゲに向かって殴りかかる。
「―――っ!」
ザンゲが魔力を放出して横に避けると、目標を見失い「アァアア!」などと叫びだした。
「何をしたんですか?」
「『猿知恵』の効果、かな?急に発想が出てきたんだ。周りに粉があって魔力で繋がってるし、それにあの攻撃で接近したのは僕だけだった」
◇
このクヤマには辛い過去があった。医者であったのだが症状の似ている病と間違え、母の病気を治すことが出来ずに他界。男は薬に溺れながらも仕事を続けた。
そして、新しい家族ができて薬を一旦止めるが、人種を理由に迫害され妻が自殺し、今に至るまで暴れ続けた。
◇
クヤマは薬を魔術によって撒いた状態で固定をしたようだ。天然の結界というやつだ。剣を防具の無い生身で意識を失わずに耐えたのもそれがあったからだろう。即効性があるやもしれないので迂闊に近寄れない。
「あ、たわっまはぁゆまなたっったのなまか」
突然、クヤマが倒れ、薬もパラパラと落ちていく。確認をしてみれば死んでいた。
「意外と楽勝……ん?」
周囲を見渡してみると、黒雨教団に連れ込まれる前に通った道だということを思い出した。職業柄、迷わないためにも道順を覚えることは必須だからだ。そして、クヤマは深層に潜っており、ザンゲが知らないのも情報収集の時に聞いていなかったからだ。
「もしかして、それを分かってて………」
ザンゲは俯いて考え出した。
「少しは、信頼していいのか?」
色々なことが起こり続けていたが大銅貨が三枚とかなりの出世をしていた。賞金首に関してだが、小銀貨を一枚でかなりのお金になった。