《原本》がある世界で抗い続けろ!―原本が猿の始まり―   作:ぐぐぐああ

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 冒瀆の存在に気がついてしまった。体は粘液で出来ており、取り込んでは人型に戻ることを繰り返す魔人。指が鋭利に尖り、背中から触手が無数に生えている魔人。

「これが、魔人?」

 目を疑うような存在ばかりだ。表現が出来ない、得も言われぬ状況を前にしながらも奴らが蔓延っている。


革新

「タスゲテぐれぇぇえ!」

 

 逃げ遅れた人だろうか。下半身は粘液の化け物によって侵し溶かされ血と内容物をぶちまけながら叫んでいる。

 

「あ、ぁあ、あの人、助かりますか?」

「………無理です」

 

 その言葉を聞くとタナトルは瞬時に動き出して、叫んでいた人を殺した。ただ、それだけで叫び声を抑えられたりはしない。

 人々は叫び続ける。

 身元不明の死体が、上半身がない死体が、動き出す。まるで主人を追い求めるかのように

 

「ハハハハハ!脆弱!雑魚!人間はやはり弱いなァ!革命、いぃや、まずは冒険者ギルドの革新だ!フハハハ!我らに冒瀆あれ!」

 

「ちょっと暴れてくるわ」

「え?クレーンさん?」

 

 魔術によって姿勢を制御しながら自分を打ち出して、高速の移動を可能にしている。魔術士という名にふさわしい魔術の数々。

 

「くそ、魔術士だ!やっちまえ!」

「多重展開[串刺し(ウラド・ツェペシュ)]×[毒の沼(ポルポト)]!」

「うわぁああ!」

 

 魔人の足元にから杭が生え出て突き刺し、毒沼によって足から腐っていく。さらにクレーンは動き回りながら薄くではあるが、魔力をそこら中に撒いていることが分かる。ただ、攻撃を逃れた魔人達は必死にクレーンを追っていて分からない。

 

「殺してやるぞ。生意気なゴミ虫がァ!」

「怒れ[(怒りは自分に盛る毒)]」

 

 罪の無い達は怒り、苦しみ叫び声を発した。それとは別の魔人達の怒号が混じり合い、カオスになる。

 

「状況、悪化してる………」

「凄い魔術ですけど、術式とか複雑ですね」

(また、シンリーが才能発揮してる。僕ももっと見えるようになりたい―――)

「よぉ、坊主共」

 

 話しかけてきたのはタナトルだった。たくさんの返り血を被っていて少し怖い。

 

「私は女子ですけど」

「どっちでもいいだろ」

 

 タナトルがシンリーの頭をくしゃくしゃにしながらそう言い返した。

 

「……仲いいね」

「まぁ、ちょっとした知り合いだからな」

「昔は内気だったのにね」

「ま、それよりも、今はあれを眺めてよぉや。昔に比べてクレーンも成長したぜ」

「昔話とか聞けるんですか?」

「聞かしてやるか。あいつは昔、魔術戦士だったんだ。それが、足の健をやっちまってな。いつもあいつはあれで魔術を行使しながら動いてたんだぜ。それで、途中段階の風魔術で浮かぶとかを魔力バカのエイナにやらせてんだ」

 

 正直、動きに違和感を感じていなかったらしく、ザンゲ達は驚いた表情だった。「ここに来た目的の物を持ってきた」と言いながらクレーンが魔人を持ってきた。エイナも運ぶのを手伝ったのか魔人を担いでいる。

 

「さ、こいつら殺しちゃって原本の造形をより深くしよう」

「魔人なんて取り込みたくないです」

「宗教みたいなこと言っちゃってさ。すぐに強くなれるからやろう。原本も力が強すぎて強制的に成長しちゃうだろうけど……」

「分かりました」

 

 魔人が復活して暴れられても困るので、ザンゲは魔人を殺した。体の芯から熱くなり、新しい能力が目覚めた気がする。

 

「はぁっはぁっ、疲れる。どうして疲れるんですかね」

「理由としては、魔人に供給されている魔物の力ですら、一部吸収出来ちゃうからだね。シンリーもやりなぁ」

「う……………はい、分かりました」

 

 シンリーの場合は刃が震えてさせないので、魔術を行使して殺害をした。

 

「あ、原本が《友人》になってます!能力は……『連鎖』で二人以上で攻撃していくと威力が上がるのと、『相称』がある」

「たぶん、‘‘廻り’’だと思う」

「そうだな」

「え、廻りってなんですか?」

「簡単に言えば、どんな原本でも使えるワンランク上の能力ね。見た目が変わる系もそうよ。本当のところは原本を戻せるけど、そこは固定されたのが正解ね」

 

 そんな他愛もない会話を悲鳴が響く地獄でしている。

 

「あれ?原本が……罪人に…『死亡記録』?」

 

 突如現れた変化にザンゲは驚きを隠せなかった。手に原本がある状況に、『死亡記録』にどんどん文字が書き足されていく。

 気色悪さしかないが、その本を恐る恐る読む。

 

「10秒後に上からきた凶撃によって皆死亡………クレーンさん!上にバリアを!」

「―――!」

 

 クレーンがバリアを張った直後に眩い光が見えた。まさか、失敗かと焦っていたが、徐々に視界が安定した。

 

「ありがと、たぶん、最後の魔人よ。私と同格以上だからタナトル、頑張りましょ」

 

 二人が位置を一瞬のうちに特定したのか去ってしまう。

 

「ふぅ、疲れた。相変わらず、魔人に容赦ないわね」

「ですね。知ったのは噂ですけど」

「どうして、あんななんですか?」

「直球だね。まぁ、魔人もさ、人ってついてある通り欲があるのよね。クレーンと同じ故郷の人は売り払われ、タナトルは妹が………ね。察して。それで、どうやって攻撃分かったの?」

 

(重いのに軽く会話してきたなぁ〜)

「罪人の死亡記録のおかげですね」

「それが廻りになったら凄いものになりそうね」

 

 ふふっとエイナが少し笑った。




冒険者ギルドは倒壊したが、従業員を至急用意して建物を借りて仕事を続けている。戦っていた人がクレーンやタナトルだったので、その付き添いとして金貨1枚をもらった。
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