《原本》がある世界で抗い続けろ!―原本が猿の始まり― 作:ぐぐぐああ
「お前も出たらどうだ?」
「ご主人様の恥をかかせるだけですよ。私など一回戦で負けてしまうでしょう」
「いいから出ろって!」
やはり、奴隷というのは自由が無くて酷いものだ。
ひっそりと一階層で二人は魔物と戦っていた。
魔物の種族名は―――
「‘‘ムー’’がそっちにいったよ!」
「ナイス」
ムーは臆病で隅で暮らしていることが多いが、怒ると毛で隠れた顔をさらけだすようになり、その顔の表現は目が多い猪だ。
『パルクール』により壁を走って上からのしかかる。
『パルクール』は、《猿》から新たに生まれた能力である。
「プギィィイイイイ!」
だが、体重が軽いからなのかムーは、ザンゲを振り解こうとしてあちこちに走り回った。急いで剣で刺したが、筋肉と皮膚のせいで刺しきれない。魔物のことに関しては分からないが、今の体力的に自分がまずいことは分かる。
ザンゲのキャッチをしてくれ!という言葉に対してか、シンリーが頷いたように見える。『パルクール』により綺麗な姿勢を保ち、ダイナミックに飛び降り、キャッチされた。
「ブゥ゙!」
野太い声がしたかと思って振り返ると、壁にぶつかったムーがいた。急に軽くなったが力を弱めることが出来ずに衝突したのだろう。
気絶している間に首を斬って、肉と魔石を売りに帰る。
「えっと、御主人様に命令されて、今日は長く迷宮に潜れないという事ですか?」
「あぁ、端的に説明するとそうだ」
しかも、その命令が闘技場で戦えといったものだ。正直、やる気がでていない―――それもそのはず、開催される闘技場では参加賞は無いし、少なくとも三位以内にいなくてはならない。
母数が異常に多く、参加費用を出させる割に合わないのだ。
「私も出ます」
「え?」
「私も出場するということですっ!」
いきなり、ライバル出現だがはっきり言っておこう。《助っ人》は自身に使えないので、ただただ体力の無い冒険者が出るのだ。
「もう、参加するための受付とかにサインしました?」
「うん、御主人様が―――」
空を切る速さで闘技場の方へ向かっていった。冒険者ギルドでも入場許可はおりるらしいが、見えなくなっているので無理な話だ。
「闘技場いきましょう!戦ったり勉強をすれば原本は成長するといいますしね」
戻ってくるの早、と思うザンゲだがその言葉を聞いて、切り方や体の動かし方を学ぼうと思ったのだった。
シンリーに連れられ午前の20歳以上を対象にした試合を見る。
「勉強になるな」
「やっぱ、こういうのは見たりしていかないと、上達しないと思うんですよねぇ」
ザンゲが注目しているのは、四人だ。一人目はウイップと呼ばれる魚人だが自ら体液を発して、ぬるっと動いたりしているが避けているのは単純に体が柔らかいからである。
二人目はエイナと呼ばれるエルフで風魔術を使っているが、あくまで徒手空拳の補助であるようだ。
三人目はクロッカスの巨人族、体格を生かしての戦闘が得意のようだが、相手の手札どんどんと切らせていくのがとても上手い。
四人目はウィンと呼ばれている人族で、圧倒的に基礎が積まれている。素人が見てもかなりの鍛錬をしているのが、分かってしまう。
ついに午後の部となった。最初からかなり離れてるがシンリーはすぐである。出来れば仲間として勝ち進んで欲しいものだ。
「僕の相手は………」
フロムと書いてあり、さらにウィンと同じ道場の人だった。