Final FantasyⅨ-リリカル・クロニクル RE. 作:竜の蹄
以前、書いていた話を繋げて一部、改変していますが、ほぼ新しい話として読んで頂ければ幸いです。
ジタンは目を覚ますと、周りには無限に白色の風景が広がる何もない場所が広がっていた。
「クジャ?」
自身のそばにいた筈のクジャの姿は忽然と姿を消していた。ジタンは立ち上がりながら、周囲を見渡してみる。だが、此処には自分以外、誰も居ない。
「ひょっとして、俺、死んじまったのかな?」
と、自嘲する様に呟いたが……。
ー聞こえるか……ジタン……ー
ふと頭の中に声が響いた。聞き覚えのある声だ。
「この声は…………ガーランドか⁉︎」
間違いない。かつて異世界テラの管理者として君臨し、自分やクジャ、ミコトを始めとするジェノムを生み出した老人、自分にとっては「生みの親」と言える存在だ。
ーお前は、次元を超えたー
「どういう意味だよ⁉︎ クジャは、どうなったんだよ⁉︎」
何処までも続く白い空間を仰ぎジタンは叫んだ。だが、ガーランドの声は至って静かだ。
ークジャの事より自分の事を心配しろ。お前は、ガイアともテラとも違う別の世界へ飛ばされようとしている。お前の身を救う事に手一杯で次元の超越を食い止める事は出来なかった……ー
「おいおい‼︎ 俺はどうなるってんだよ⁉︎」
ガーランドの言葉にジタンは思考が追い付かない。ガーランドの言葉は続く。
ーよく聞くのだ、ジタン。その世界では今迄の常識、価値観全てが通用しないだろう…………だが、必ずガイアに戻るチャンスはある。その時まで、その世界にて機を待てー
「相変わらず軽く言ってくれるぜ……」
ジタンはガーランドの言葉に嘆息するしかなかった。
「わァったよ……ガイアに戻る瞬間まで生きてりゃ良いんだな?」
ーそうだ……その時は、また伝える…………すまぬ、ジタン……お前には……謝らねば……ー
「? 何だよ? 随分、殊勝な物言いじゃねェか…………ッて、ガーランド?」
その言葉でガーランドの声は途切れた。ジタンは困惑しながらも広がりゆく白い空間に飲み込まれてゆく……。
「ん…………」
ジタンは漸く目を覚まし身体を起こす。だが妙だ。自分はベッドの上にいる。布団を押し退けて辺りを見回すと、先程までの光景とは全く違っている。
「あ、気が付きました?」
ふと声がした方に振り返ると金髪で黒い服を着た小柄な少女が座っていた。
「お兄さん、大丈夫ですか? ……まだ動かない方がいいですよ、酷い怪我だったんですから……」
酷い怪我、という言葉を聞いてジタンは自分の身体を見下ろす。腕や頭に包帯が巻かれ短い痛みが走った。
「君が手当てしてくれたのかい?」
「え……は、はい……」
「ありがとうな」
「い、いえ……‼︎」
ジタンの笑顔を交えた礼に少女は赤面する。するとドアを開けて別の女性が入ってきた。
「何だい、やっと起きたのかい? 人様の家で、よく高いびきで寝られるもんだ」
ややトゲのある言い草の赤毛に背の高い女性だった。見た目は金髪の少女より上、ジタンとそんなに変わらないだろうか? いや、それより彼女は……。
「耳?」
ジタンは女性の髪の隙間から覗く耳を見ながら言った。犬を思わせる耳は人間のそれと違う。よく見れば尻尾もある。
「はァ? 耳が付いてるのが珍しいかい? 自分だって似た様なもんだろ?」
「似た様な?」
赤毛を女性の指摘にジタンは自分の尻尾を持ち上げる。
「もしかして、これの事?」
「あんたも使い魔だろう、って言ってんだよ。この界隈で使い魔を見たのは初めてだけどさ」
「アルフ! そんな失礼な言い方したら駄目だよ……ごめんなさい、ちょっと口が悪いけど悪い子じゃないんです……」
アルフと呼ばれた女性の非礼を金髪の少女が詫びる。端から見れば、まるで姉と妹の様だが立場があべこべだ。
「いや、それは良いけど……今、使い魔って言ったけど、どういう意味かな?」
「? 貴方は、誰かの使い魔じゃないんですか?」
金髪の少女は疑問そうにキョトンとした。金髪の少女は短く説明した。魔力を与えた動物と使い魔として力を共有し、人の姿が持つ事が出来るのが使い魔であると……。
「成る程ね……だけど、俺は使い魔じゃないぜ。この尻尾は、まあ生まれつきだな」
「う、生まれつき?」
少女は困惑している様子だ。尻尾を生やした人間を見たのは初めてなのだろう。ジタンは話を変えようとする。
「そういや名前が、まだだったな。俺はジタン。ジタン・トライバルだ。君は?」
「あ……失礼しました。私はフェイト・テスタロッサと言います。それで、この子はアルフ。ほらアルフ、挨拶して」
「フン……よろしく……」
ジタンはフェイトを見ながら、彼女を食い入る様に見つめた。鮮やかな金髪、赤い瞳、見た目も所謂、美少女だった。だが……
(あと、10歳くらい年上だったらな……)
ちょっと惜しげに思うジタンだった。彼は自他共に認める女好き、ひいては可愛い子には目が無い。ジタンの様子をアルフは目を吊り上げながら睨みつける。
「…………あんた、何か物凄く変な事、考えてるだろ? 言っとくけど、フェイトに妙な気を起こしたら、ガブリといくよ?」
殺気を交えた視線に、ジタンはたじろぐ。
「いやいや! 何にも無いって!」
「あ、アルフったら⁉︎」
フェイトは、ますます赤面しながら慌てた。
「さてと……そろそろ、お暇しようかな」
「えッ⁉︎ 行っちゃうんですか⁉︎」
ジタンは身体を起こしながらベッドを降りようとする。フェイトは驚いてジタンを見た。
「? 何驚いてんだ? これ以上、迷惑は掛けられねェだろ? 大丈夫。野宿するのは慣れてるし……」
「でも! ジタンさん、怪我してるんだし、もう少し休んで行かないと……!」
「いや心配してくれるのは有難いけど……」
「お願いします‼︎ 居て下さい‼︎」
フェイトは迫る様にジタンを引き止める。普段のフェイトは大人しく無口だが、こんなに必死になるのは初めてだった。
アルフも、小さく溜息を吐きながら思う。
(なァに必死になってんだか……)
長い付き合いになるが、彼女が必死になる姿を見るのは初めてのアルフだ。アルフとしても、フェイトが助けたい、と思って連れてきた男を、このまま放っぽり出すのは良しとしなかった。かつて、群れに捨てられ死にかけていた自分を助けてくれた様に……。
「…………フェイトが、こう言ってんだ……。此処に居たらどうだい。最も、他に行く宛があるんなら、話は別だけどさ……」
ぶっきらぼうに、アルフは言った。此処まで言われたら、流石のジタンも「出て行きます」とは言い辛くなった。
「……分かったよ。そこまで言ってくれるんなら……怪我が落ち着くまで厄介になろうかな?」
「はいッ‼︎」
フェイトは満面の笑みでジタンに応える。その笑顔を見てジタンも微笑んだ。
「俺の事は「ジタン」って呼び捨てで呼んでくれよ。さん付けなんて、むず痒いからさ」
「うん、分かった、ジタン!」
ジタンの何気無い言葉にフェイトは嬉しそうだった。何だか、かつてビビと出会った時に似ていた。アルフは無言のまま睨みつけてくるが、ジタンは笑っていた。心から笑ったのは久しぶりだった。
ー此処は何処なんだろうー
気がつくとと、ビビは真っ暗な力を空間を漂っていた。周りには何も無い。只々、永遠の漆黒と静寂な虚無が広がっているのみ……。
ーああ……きっと、此処が死後の世界なんだ……ー
昔、育ての親だった祖父から教わった。全ての生き物は死んだ後、真っ暗な世界にやってくるんだと。つまり、ビビは死んだという疑い様の無い事実だ。
だが、様子がおかしい。死んだ世界なのに、ビビの意志はハッキリしている。下を見れば足を踏み出す大地も無く、ビビは重力に反して浮遊していた。だが、ビビは自分を理解している。どうしてか……?
気が付くと、ビビの前に人影がいた。目を凝らして見ると、それは女性だった。腰まで伸ばした銀髪の女性で俗に言う美人だ。
ー貴方は誰ですか? ー
ビビは彼女に語りかける。が、彼女にはビビの声は聞こえていない様子だ。彼女は両目を固く閉ざしながら小さく囁く。
ー主を……助けて……私を……止めて……ー
その言葉はビビの頭の中に響いてきた。まるで、テレパシーの様に……。
ー? 主って? 貴方を止めるって? ー
ー私は闇の……主を死なせないで……ー
彼女の言葉は機械的で無機質だったが、誰かを強く労っている事が伺える。その時、ビビの後ろに光が差し込む。
振り返って見ると、光の中に車輪がついた椅子に腰掛けた女の子が見える。彼女は悲しそうに泣いていた。もしかして、彼女の言う主とはあの子の事か……? ビビは確信した。
ビビは迷わずに光に手を伸ばす。今の自分に何が出来るか解らないが、彼女が苦しんでいるなら助けてあげたい……。かつて、自分を“彼“'が救ってくれた様に……。
光に触れたと同時に、ビビの身体は光の粒子となり飲み込まれていく。そこで、ビビの意識は途切れた……。
目を覚ますとビビの目の前には、見知らぬ天井が広がっていた。上体を起こすと、身体から毛布がずれ落ちた。誰かが掛けてくれたのだろうか?
「あ、お早うさん。よう眠れた?」
ビビは声の方を見ると、車椅子に乗った女の子が座っていた。
「貴方、誰?」
「ああ、そない言うたら自己紹介がまだやったな。私は八神はやてや。宜しゅうな」
「やがみ……はやて?」
ビビは帽子を直しながら起きた。はやてはニコニコと笑っている。
「そや。貴方の名前は?」
「……僕は……ビビ。ビビ・オルニティア」
「ビビ君か……可愛らしい名前やね」
はやてが微笑みながら言った。だが、ビビは表情を曇らせたままだ
「ビビ君は、おうちは何処なん?」
「僕……分からないんだ。思い出せない……」
「ヘッ?」
はやては素っ頓狂な声を上げた。だが、ビビの様子を見るにふざけている訳じゃ無いらしい。
「何で、此処に居るかも分からへんの?」
「……うん……」
ビビは頷く。その際、帽子がズレた為、ビビは帽子を手直した。
「う〜〜ん、記憶喪失なんかなァ……?」
「何それ?」
「自分の事が分からへん様になる事。一種の病気かな?」
はやては腕組みをする。9年間、生きて来てこんな事態は初めてだ。
突拍子も無く現れた少年が記憶喪失……まるで物語やドラマみたいだからだ。ビビも困った様に項垂れる。その際……
グゥゥ〜〜……ビビのお腹から、可愛らしい音が聞こえた。はやては一転して、クスクスと笑う。
「お腹空いとるって事は覚えてるんやな?」
「…………」
ビビはバツが悪そうに、モジモジした。
「じゃァ、朝ご飯にしよか? 其れから考えよう!」
「……うん……」
はやての提案により、ビビは朝食に有り付く事となった。
「……いただきます……」
「はい、召し上がれ〜」
はやてが用意したのは、日本人ならメジャーな和食だった。白米、味噌汁、煮物、焼き魚……極めて普通の食事だが、空腹のビビにとっては夢の様な馳走に見えた。
ビビはハシを両手に一本ずつ持ち、ごはんを食べようとするが、どうも上手く行かない。
「……あれ?」
「ビビ君、ハシはこうやって持たな……ッて、ハシを使った事無いのん?」
はやてがハシの使い方を教えるが、ビビはピンと来ない様子だ。コックリと頷くビビ。余程、酷い記憶喪失なのか、単純に使った事が無いのか……。
だが、はやての持ち方を真似してビビはハシを握り直すと、スイスイとハシを使い始めた。
「……出来た……‼︎」
ビビは嬉しそうにする。まるで小さな子供が、初めて物事を上手く出来た時みたいだ。
「凄い凄い! ビビ君、飲み込みが早いんやね!」
はやても嬉しくなり、ビビを褒める。恥ずかしそうに、ビビは照れた。
「……えっと……美味しいよ、はやて……さん?」
「さん、なんかええよ。呼び捨てで呼んだらいいから」
「……でも……」
ビビは困った様に考える。その際、ビビの頭の中にとある声が聞こえた。
〜ビビ……〜
何故か懐かしい様な優しい響き……暖かな気持ちが胸を埋め尽くす。
「……お姉ちゃん……」
「えッ?」
ビビの発した言葉に、はやては目を丸くした。
「……お姉ちゃんッて呼びたいん?」
「え……違うよ……! ただ、なんか懐かしくて……」
ビビは慌てて訂正するが、はやては少し考える。そして笑顔になった。
「……うーん、お姉ちゃん……か。何や良い響きやね。ええよ、ビビ君がそう呼びたいんなら」
はやてに言われて、ビビは戸惑うが正直、悪い気はしない。ビビは頷く。
「分かった……えっと、はやて……お姉ちゃん……」
「うん、なーに?」
ビビは多少、むずかりながらも応え、それに対して愛想よく返事をするはやて。
長い事、一人で暮らして来たはやてにとって、自分を慕ってくれるビビの存在は嬉しかった。
その後も、ビビは「味噌汁を初めて食べた」や「焼き魚の付け合わせの大根おろしが美味しい」等と、見る物触れる物が全て新鮮に感じるらしく、その度に、はやては大いに笑わせて貰えた。はやてからすれば、こんなに和やかな朝食は久しぶりだった。
食後、はやてはすっかり空になった食器を片し始めた。ビビも、日本料理にすっかり堪能したらしく、食器を片付けるのを手伝いながら、はやてと会話した。
「はやてお姉ちゃんは1人で暮らしてるの? お父さんとお母さんは?」
屈託なく疑問をぶつけるビビ。こんな大きな家で、はやてが1人で暮らしてるのは不自然だ。だが朝食の時は、自分とはやての2人だけだし、それ以外に人が住んでいる気配が無い。ビビが訝しがるのも、当然と言えば当然だ。
だが、はやては食器を洗いながら沈痛な顔となる。ビビは聞かない方が良かったか、思いながらも、はやての顔を覗き見た。
「私な……両親は居らへんねん……。私が小さい頃に死んでしもて……今は遺産を使い潰したり、お父さんの友達やった人に援助を受けながら暮らしてるんや」
はやての口から語られた言葉は、幼いビビにとってショッキングな内容だった。知らなかったとは言え、無神経な質問をしてしまった事を、ビビは強く悔いた。
「…………ごめんなさい、僕…………」
素直に謝るビビに対し、はやては笑顔に戻した。
「謝らんといて! ビビ君を責めとる訳や無いんやから‼︎」
「……でも……」
「今度は私から質問や。ビビ君、色んな事を忘れとったけど自分の名前を覚えてたやろ? 何で?」
はやての質問に、ビビは答えに困った。何故か分からないが、自分の名前がビビである、と言う事だけは覚えていた。
そんな時、またしても、ビビの頭の中に言葉が過る。
〜お前の名前は、ビビでアルよ。今日から、ビビと呼ぶアル〜
「……お祖父ちゃん……」
「お祖父ちゃん?」
「よく覚えて無いけど……僕に名前を付けてくれたのは、お祖父ちゃんだった気がする……。名前だけじゃ無くて、色んな事を教えてくれたんだ……」
記憶の根底に焼き付く思い出……確か、そうだった気がする……。はやては優しく微笑んだ。
「そっか……きっと優しいお祖父ちゃんやったんやな……。ビビ君を見とったら、よく分かるわ……」
「……うん、僕もそう思う……」
途端に、ビビは悲しげに俯く。
「……でも折角、教えて貰った事を全部、忘れちゃった……」
「忘れたんちゃうよ。思い出されへんだけや……1度、あった事は忘れへんもん」
「……そうかな?」
「そうや! やから、此れから思い出して行けば良いやん! 現に、ビビ君は色んな事を思い出してるし、私が教えた事を皆、覚えていってるやろ? 大丈夫、私が保障する‼︎」
まるで弟を元気付ける姉の様に振る舞うはやて。ビビは、帽子を直しながら俯いた。
「……分かった……お姉ちゃんが、そう言うなら……」
「よし、良い返事や‼︎ そや、ビビ君の帽子、ちょっと大きいんちゃう? さっきから擦れては直してるし……」
はやては小柄なビビには不釣り合いに大き過ぎるとんがり帽子を指摘した。だが、ビビは帽子を大切に撫でる。
「……これは……僕にとっては大切な帽子な気がするんだ……上手く言えないけど……」
「そうなん? ひょっとして、それもお祖父ちゃんに貰った帽子かもな」
「……そうかもしれない……」
出会って間を置かず、2人はすっかり仲良しになった。
「それは、そうとや……ビビ君、これからどうする気なん? 行く宛はあるん?」
はやての質問に、ビビは頭を左右にを振る。
「そやんな……ビビ君な、信じられへんかも知れんけど、いきなり家に来たんやで。光に包まれて……」
「そうなの?」
「本当やで? 何があったか、って言うとな……」
はやては昨晩の出来事を話し始めた。そろそろ寝ようと思って、はやては寝室に向かおうとした。と、その時、庭が眩しいくらい輝き始めたのだ。
慌てて庭に出てみると、光に包まれたビビが横たわっていたのを発見し、現在に至る訳だ。
「……と、言う事なんな……。でな? 私、思うんやけど……ビビ君は魔法使いちゃうかなって……」
「魔法……使い……」
ビビは、何気無いはやての言葉に、再び思案に暮れた。
魔法使い……荒唐無稽な話だが、不思議にビビは、そんな気がした。と、同時に言い様の無い不安に襲われた。
「どないしたん?」
「分からない……分からないけど……はやてお姉ちゃんの言う通りなら、僕は危険な魔法使いかも知れない……」
「どうして?」
ビビの言葉に、はやては不審に思う。
「このまま、此処に居たら……僕は、はやてお姉ちゃんを危ない目に遭わしちゃうかも……だったら、此処に居ちゃ駄目なんだ……」
そう言って、ビビな背中を向けた。
「……僕、此処を出て行くよ……御飯、ご馳走様……あと、さようなら……」
「ちょっと待ち‼︎」
家を出ようとするビビを、はやてが強い言葉で止めた。ビビは振り返ると、はやてが怒った様な悲しい様な顔で、ビビを見ていた。
「そんなん聞かされて尚更、ビビ君を追い出す訳に行かへんやん!」
「……でも……」
「デモもストも無い‼︎ ビビ君が危険な魔法使いやったら、とっくに私なんか死んどるよ⁉︎ そやから、大丈夫や‼︎」
はやての言葉は何の根拠も無いが、妙な説得力があった。
「だから、ビビ君は此処に住んだら良いやん! 心配せんでも、ビビ君1人を養う位、全然、平気や‼︎」
「……はやてお姉ちゃん……」
此処まで言われたら、出て行きますとは言えないビビは、はやてに抱き付いた。
「うん……ありがとう……よろしくね、お姉ちゃん」
「礼なんて良いよ、困った時はお互い様や! 此方こそ宜しゅうね、ビビ君」
はやては、ビビを抱きしめ返しながら笑った。ビビは人の温かさに感激した。ビビは何か大切な事を忘れている気がしたが……はやての言う通り、時間が思い出させてくれるだろう……。それ迄、はやての側に居たい……そう考えた。