本日も新横浜は晴天、月のある良い夜だ。しかし、事務所に遊びに来たものの、私は留守番中である。
ロナルドさんがいないうちにメビヤツと写真交換をしていると、背後で窓が開いた。
「こんばんは、ロナルドしゃ……いない?」
振り返ると、ピンクの髪に黒いスーツの女性が窓から顔を出していた。その特徴に私はピンときて、胸を張って対峙する。彼女こそ、私が最も警戒している人物に違いない。
「ロナルドさんは退治のお仕事中ですよ」
彼女は私を指をさしてわなわなと震える。私が彼女を知っているように、彼女も私のことを知っているのだろう。初対面であろうとも、私たちは互いを無視できない。譲れない。
「お前は!ロナルドさんの、か、彼女とかいう、ふざけた吸血鬼!!何を留守中に堂々と居座ってやがるんです!」
「あなたこそ!私のロナルドさんに粉かけてる編集者ですね?公私混同が過ぎるんじゃないですか?迷惑、かけないでいただけます?ただでさえ多忙なのに」
「キィーっ!お前のようなぽっと出の女が彼の何を分かっているというんですか!フクマの野郎が認めようともサンズちゃんは認めませんよ!!」
「あなたに一体何の権利があるというのです。担当編集でもない分際で!」
「うるせぇー!!フクマを倒してあっという間に担当編集になってやりますとも!そしたら、会社で急に泣き喚くような女、相応しくないってロナルドさんも気付いてくれるはず」
「どうしてそれを!い、いえ、いいんです。泣き喚いてもロナルドさんは許してくれたので問題ありませんとも!!」
「そんな甘えたやつが彼の隣に立つのはますます許せません!お前こそロナルドさんに迷惑かけるな!」
「なんですって?あなたこそ、事務所倒壊させたくせに……キリがありませんね。いいでしょう思い知らせてあげます。正妻の力というものをね!」
「勝手に結婚してんじゃねーですよ!でも、乗ってやります。吠え面かかせてやりますよ!」
恋人として、負けるわけにはいかないのだ。
「「
LP
10000
10000
「はぁはぁ、なかなかやりますね……」
サンズさんとのロナデュエルドは熾烈を極めている。
古参ファンだけあり、しっかり基本を押さえた展開は隙がない。的確なページを開くロナ戦は読み込みが窺え、グッズも公式のものを幅広く揃えている。吸血鬼退治人ロナルドのファンとして、彼女は間違いなく最高峰だ。
「お前こそ、ロナリストになって日が浅いくせに強いじゃないですか……」
しかし私も、もちろん負けてはいない。
私はロナルドさんと関わりを持って日が浅いが、密に彼との時間を過ごしてきた。ロナルドさんしか知らない私も、私しか知らないロナルドさんも確かにある。そのような部分は私だけが知っていれば良いので手札にはしないが。それでも、愛しいひとをより知りたいと奮闘した日々は、間違いなく私の力となっている。
「先程の非礼は詫びましょう。あなたは確かに、ロナルドさんと仕事に対して真摯に接しています。担当にあらずとも立派な編集者、そしてなにより強大なロナリストであると」
「私も、さっきは言い過ぎました。気に入らないのは変わりませんが、お前のロナルドさんに対する愛と献身は認めてやらんこともないです」
私たちは知らずのうちに笑っていた。
「これからはロナルドさんを共に支える戦友として扱ってやります」
「ん?いえ、私、退治人は正直辞めてほしいと思っているので……」
友情さえ感じてはいたが、やはり私は彼女と相容れないらしい。いやだって、私はロナリストにはなりえない。どちらかというと、|見ず知らずの他人に尽くすロナルドさんは嫌い《退治人ロナルドアンチ》なのだ。
「はぁー!?なんですかこのヤロー!」
「だって、ロナルドさんは私だけ見ているべきでしょう」
「前言撤回!!サンズちゃんは絶対にお前を認めません!」
「そうですか、残念です。ですが、私も引く気はありません。徹底的にやりましょう……!」
私たちは互いに新たなる一手を構える。譲れない主義主張ならば、勝利によって捩じ伏せるまでだ。
〜一方その頃、事務所前では〜
「ドラ公?なにしてんだ玄関で」
「おかえり若造。いやーちょっと大変なことになっていてね」
「はぁ?何言ってんだよ。お前またなんかしたのか?」
「あ、ちょっと!」
ガチャ
「なにぃ!?ロナルドさんの寝顔写真だと!!」
「それだけではありません!これはお兄様がロナルドさんの食事に少しづつセロリを混入させたときのレポートです!!ロナ戦一巻の152ページでは、あっ、ろ、ロナルドさん……これはその……」
「ロナルドしゃん!?」
「「「「………………」」」」
「「さよなら……」」
(窓からバーンする二人)
「エリ!!サンズさん!!」
「そっとしておいてやりたまえ……」
にゃんこ対とかげちゃんのロナデュエルド 両成敗