何かを運ぶ傭兵稼業   作:大金剛

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たくさんの感想ありがとうございます!
読ませてもらっていると、幻覚がたくさん見えてきて幸せになれます。

もっとコーラルを食べて色んな幻覚が見えるようにならないといけませんね。


また長くなった気がしますが、日曜日なのでヨシ。
ヨシということにしたい。


第12話

 

このルビコン3で半世紀前に起きたコーラルの発火現象、それがアイビスの火というものらしい。

半世紀ってことは50-60年くらい前かな?コーラルがそりゃーもうとんでもないレベルで、星ごといくか!って位……ちょっと調べると周りの星、つまり星系レベルで燃えたらしい。

 

そのせいでこの星はどこもかしこも、土地は死んだわ、当時の建物もボロボロだわになって。

酷い世紀末惑星になってるのは、このアイビスの火が全部悪いらしいんだな。

各地に建ってるグリッドも外観とか外周部が焦げてるのは、アイビスの火に焼かれたからなんだろうなあ。

 

なんでアイビスって言うのかは知らないが……

 

お陰でルビコンじゃあ農業なんか壊滅的で、頑張って耕しても作物なんかロクに育たないらしい。

それでもやらないよりマシというか、やらないと、マジでミールワームしか食うものがないので、それだけでは……と。

 

海で漁業とかできないもんなんだろうかね?と思ったが……

アイビスの火で海水の温度が急上昇した結果、海の中も大ダメージを受けたそうで。

 

実際、今どうなってるのかはしっかり調査しないと分からないそうだが、そんなことをしている余裕はないし、知見もない、と。

いやあ、解放戦線ってマジできついわ。

 

ちょいちょい、灰を被ってどーとかこーとか、コーラルはルビコンのものだーって叫んでる人を見かけるけどさ。

あれって横から見てると宗教みたいでちょっと怖いんだけども、そういうのに縋らないともうやってらんないのかもしれないな。

 

 

 

 

解放戦線の担当者と通信して状況を聞きながら、そんなことを思いました、ええ。

通信を繋いだら、今までで一番焦った声を出してたので、緊急事態なんだろうなあって伝わってきましたよ。

兎にも角にも急いで届けてくれって必死だったもの。

 

報酬ちゃんと払えるのかな?と思ったが、それはちゃんと確保したので大丈夫らしい。

まぁ、元々が荷物運びの仕事ってアレだ、普通の傭兵の仕事、要するに戦闘するのよりも安いしな。

 

急ぎの割増料金で払ってくれるらしいので、こっちも急いで行きまーすって返事で契約は成立した。

 

 

荷物を積み込む場所として指定されたのは、解放戦線の大きめの物資集積基地。

急いで走って行ったら、輸送トラックだとかヘリだとかが渋滞してる上に、警備の人らはすごい殺気立ってて、今回の件は大事になってるんだなあって改めて思った。

 

普段と違う大騒ぎで警備のMTもストレスやばいんだろうな最初、「貴様誰だ、何のようだ!」って怒鳴られたけど、流石に怒る気にはなれなかった。

頼まれた仕事とかを話したら、すぐに案内してくれたしね。

 

 

背負ってきたコンテナに詰め込まれたのは、聞いてた通りに医療品、生活必需品、食料品、後は必要になりそうなものとか、なんか入るだけ放り込まれた感じ。

 

積み込みされてる間は基地の様子を眺めたり、今回の件で何か新しく更新された情報が無いか?とか聞いたりしてた。

 

基地の様子はあれだ、運び屋してから分かったことだけど……人や物を動かすのって、一回、流れができて動き始めると、それを変えるのって大変なんだよな。

人体でいう血管、血の流れみたいなもんだから、流れを変えて届かない場所ができたり、足りなくなったりすると、えらい事になる。

 

今回は特に、後方の施設、拠点が襲われたってことで、いつもやってる戦線の動きに合わせた変更じゃなくて、不足するものの試算とか、どう埋めるかとか、まぁ考えることは一杯で。

現場も動きたいけど、動く指示が来たり来なかったりで、結果的にこんな大渋滞になってるらしい。

 

言っちゃなんだが、解放戦線ってそういうのを中間で上手く捌ける人材ってあんまり居なさそうだしなあ……

自分のやってる運び屋は目の前の混乱の間にやる臨時の手当とか、応急処置みたいな感じなんだろうなーとか、思ってたわ。

 

 

あ、今回やらかした相手、上からナパーム弾ばら撒いた野郎については、まだ目新しい情報は無かった。

 

飛び去った方角だけは分かってるので、怒り狂った解放戦線のAC乗りとか、MT部隊の一部が捜索に回ってるらしいが……1機のAC探し回るのって無理があるもんなあ。

映像データから「どこの所属なのか?」「個人の特定はできないか?」の分析もしてるらしいけど、まだ結果は出てないんだって。

 

一応、自分も独立傭兵の端くれなので、情報貰えれば何か分からないか調べてみるよ?って言ってみたものの。

この基地の人間ではそういう判断はできないので、自分に依頼した担当者に聞いてくれって言われた。

 

そりゃそーだと納得したので、メールは出しておいたからそのうち返事が来るだろう。

 

とかやってたらコンテナが一杯にされまして。

基地の人間からも早く届けに言ってくれって背中を押されて、出発したのでした。

 

 

 

ガッションガッション、急ぎながら、でも、できるだけ人目につかなそうなルートを選びつつ、目的地を目指してACが進む。

いけそうなところでは軽くブースタも吹かせて、あまり揺らさないように気にしながら、滑るように移動する。

 

運び屋をするようになってから、アレだ、こういう操縦は上手くなったと思う。

 

精密部品とか運ぶことも多いし、急いで欲しいってよく言われるし。

急ぎつつもあんまり衝撃を与えないように……ってな。

 

オールマインド提供のアレ、動作テストのできる仮想空間のアレとかで、動き方の模索したりとかやったりね。

 

延々と歩き?スライド移動?を繰り返し繰り返しやってたら、オールマインドから「素早く動き回るわけでもなく、敵を出して戦うわけでもなく、何をしているのですか?」って聞かれたっけな。

これこれこうで~~って理由を説明したら、それ以降は何も言われなくなったから多分、理解してくれたんだろうって思う。

 

そういえば、オールマインドと言えば。

前に、他の傭兵はACを派手なカラーリングにしたり、目立つエンブレムをつけたりするが、そもそもエンブレムをつけていないのは?って聞かれたのも思い出した。

 

カラーリングは、荷物運びが目立ってもしょうがないしなあ。

自分が派手好みじゃないのもあるけど。

 

エンブレム作れるシステムがあるのは知ってる、試したこともあるんだけど……

絵心がない上に、これっていうのも思いつかないままやったら棒人間が四角い箱背負ってるような、ぶっちゃけ、標識みたいになっちゃったからさ。

まぁ、別に、もう無くてもいいかなーって。

 

確かに、傭兵教育プログラムをコンプした時に、オールマインドがエンブレムくれたけど。

あれつけてなんか下手なことしちゃったら、オールマインドの看板にも迷惑が掛かるからなあ、気軽にはつけれないわ。

 

カッコいいから好きだけどね、あのデザイン。

 

そんなようなことを答えたら納得してくれたのか、それ以上は聞かれなかったな、あれも。

 

 

と、そんなこと考えてたら目的地が近くなってきた。

ベリウス東部って全然、来たことないんだよなあ。マップデータは貰ってきたから迷うことはないけども。

 

荒れた平野に、ひび割れみたいな崖、ちょくちょく、瓦礫の山とか廃墟みてーなビルが斜めになってたりとか……いやあ殺風景だなあ。

 

といっても、ルビコンはどこでもこんなもんだけど。

 

遠くにグリッドみたいな建物が見えるけど……ここからでも大分、ボロボロなのが分かる。

下部分に山みたいになってるのはグリッドから崩落しまくったのが積み重なってるんじゃないかな?もう、巨大な廃墟になってるよなあ、あれじゃあ。

 

指定された座標は少し山みたいになってる場所の付近にあるらしいので、平坦な地形だしそちらに向かってブースタを吹かせて急ぐことにした。

 

 

 

 

えー……

 

目的地にはつきました。

つきましたが、目に入った光景は……こりゃあ酷いわ。

 

結構な範囲が焼け野原っていうか……焦げ焦げ。

 

焼け落ちた施設だったらしきものとか、何かを育ててたらしき跡とか、昔、なんかのニュース映像で見た大規模火災の後みたいになってるわ。

空気も色んな物が燃えた匂いが混ざってそうだし、特に気になったわけじゃないが、ACのコクピットの空気清浄レベルを少し強めちゃった。

 

 

到着したよって通信を入れたら、誘導されたのは比較的マシというか、半分くらい焼けたので済んだ……済んだって表現が正しいのか分からないけど。

そういう建物の横に誘導されたので、指示されるままにコンテナを降ろしたら、作業用らしいMT数機と人が物資の運び出しを始めた。

 

なんかもう、そのMTも人も疲労が見て取れたので、流石にちょっと運び出しを手伝ったよ。

大きめなやつはこっちで取り出して、地面に置いたりとかさ。

 

慈善活動っていうよりも、なんかもう、早くここから帰りたいなあって気持ちのが強いかな。

 

戦闘の後って場所ならもう何とも思わないけど、こういうのはちょっとなあ。

 

 

大きな荷物は地面に下ろしたんで、後はいいかなと場所を開けたら、銃持ったMTが近づいてきたので、少し話を聞いてみる。

このMTは元々ここに居たんじゃなくて、ここが燃やされた後に派遣されたらしい。

 

犯人を探してるACやMT部隊は今も東部を走り回ってるらしいが、まだ見つけてないらしい。

担当者から返事は来てないが、ちょっと犯人の映像データとか見せてくれない?って聞いたら、この人は何か分かるかもしれないならって共有してくれた。

 

映像をスクリーン出してみてみるが……これは燃やされたMTから回収したのかな。

 

時間帯が夜だし、下が炎で明るいせいか、上に飛んでるACがすごく見辛い。

映像データ自体がノイズ混じりなのは、MTが焼かれてるせいなのかもしれないけど、それもあって、うーんって感じだ。

 

足が広がってるっぽいから、ホバリングしてるらしいのは分かるから、4脚なのは確定でいいのかな。

ACの色とか、さっき言ってたエンブレムなんかは判別できないし、うーん?

 

 

「COM、これで特定ってできる?」

《はい、検証を行います。》

《検証完了しました。データ粒度の問題から一致する対象を特定できませんでした。》

 

 

やっぱり無理かあ。

 

データ共有してくれたMTの人にはゴメンって謝っといたが、向こうもあんまり期待して無かったのか、気にした感じではなかった。

 

 

その後は、待ってる間にオールマインドのところに登録されてる独立傭兵を眺めたりしてたが、機体データの詳細が載ってるわけじゃないから、意味が無いなあって途中で止めた。

 

これよりは傭兵コミュにある自分のAC自慢みたいなページの方が良かったかもしれない。

あれは大体は外見とかエンブレムだけなんだけど、装備とか使ってるパーツまで細かく自己紹介してる奴がたまに居るからなあ。

 

 

『運び屋、荷物の運び出しが終わった。』

「了解した。じゃあ、部外者が突っ立ってても気になるだろうし、早めに帰るよ。」

『気遣い感謝する。すまないな、急いで届けてくれたのに。』

「いやいや、元々、運び終わったらすぐ帰るようにしてるからさ。

 ここ……復旧できそう?」

『……ミールワームの養殖は地上だけでなく、地下施設でも行っているから、そちらの状況次第だな。

 今は出入り口が焼け落ちているから確認ができていないが……

 

 人手が到着次第、最優先で確認を行う予定だ。

 この施設から移動させるにしても、育ち過ぎたミールワームは危険になってるから、早めに対応していく。』

「なるほど……

 じゃあ、また運ぶものがあれば言ってくれ。」

『ああ、来てくれてありがとう。』

 

 

コンテナの前でACをしゃがませて、背中のユニットとコンテナを接続してロックして、ゆっくり立ち上がる。

箱だけになったから大分軽くなったし、早くドックに帰ろう。

 

話してたMTに軽く手を振って、建物から離れて帰路につく。

 

 

 

 

ドックに帰ったらACのクリーニングでも頼もうかなーって考えてたら、解放戦線の担当者から通信が入った。

 

 

『頼んだ物を無事に届けてくれて感謝している。

 すでに施設からは出たと報告を受けているが、貴方にも追加情報を共有しておきたい。

 

 今回の犯人は解放戦線のACが発見した。

 他のACやMT部隊と連携して撃墜、もしくは拿捕を試みたのだが、ナパーム弾をばら撒く犯人を追い込み切れず、途中で取り逃がしたそうだ。』

「まじかー、確かにナパーム弾とか厄介だもんなあ。」

『ああ、MTでは近づくのが難しく……

 

 火炎放射器らしき武器も持っていたそうだが、それは腕ごと破壊したとのことだ。

  更に脚を1本へし折ったところで、犯人は自分が燃えるのも構わずにナパーム弾を間近で撃ったらしい。

 

 そのナパーム弾を撃つ武器はそこで爆発したそうだが、流石に距離を空けざるを得なかった瞬間に飛び上がって、そのまま飛んで逃走したというのが最新の情報だ。』

「もうちょっとだったのにってところだなあ、じゃあ、今も追いかけてる最中か。」

『ああ、推定進路も共有しておくので、もし、見つけたら連絡して欲しい。』

「分かった分かった、情報ありがとう。」

 

 

送られてきた情報をマップに表示してみると、戦闘自体は今の位置から離れてるけど……逃走した方向は確かに、こっちに近いっちゃ近いな。

 

 

「COM、システムを戦闘モードに切り替え。レーダーを広範囲にして、ACサイズで動くものがあったらすぐに教えてくれ。

 誤検知でも構わない。

 あと、コンテナのロックもすぐに外せるように。」

《はい、システムを切り替えます。》

《システム、戦闘モードを起動します―――索敵範囲を最大に設定しました。》

 

 

聞いた限りじゃ、もう武器もロクに残ってなさそうだけど。

AC相手は突っ込んできて激突されるだけでも、結構な損傷受けるからな。

 

別に足を止めるわけじゃないから、ガッションガッション進んでいたわけだが。

 

 

《低空を高速で移動する飛翔体を検知しました。》

《進行方向をスクリーンに表示します。会敵まで30秒以内と推測されます。》

 

 

マジかよぉ……

 

 

「COM、コンテナのロックを外せ。

 解放戦線の担当にも状況データを共有しといて、リアルタイムで制限無しでいい。」

《はい、データリンクについてメッセージを送信します。》

《コンテナのロックを解除します。》

 

 

ガコンって音がして背中のコンテナが地面に落ちる。

 

一気に軽くなったACが背筋を伸ばすように姿勢を正す。

予想方向に機体を向けたら、もうスクリーンにも相手が映った。

 

片腕無し、4脚のうち1本無し、更に全体が焦げたみたいに汚れてるから確定だわ。

 

 

「COM、相手ACのデータ照合も頼む。」

《はい、照合を開始します。》

 

 

相手もこっちのACに気付いたのか、進路を変えるかどうか悩むように左右に揺れた。

 

 

「そこのAC!

 こちらは独立傭兵 Transporter だ、そっちの名前と所属は!このままだと撃つぞ!」

 

 

こっちがバーストライフルを構えてるのを見て諦めたのか、結局はそのままこっちに来た。

フラつきながら少し手前で着地してきたので、しっかりと照準をつけて胴体、コアの真ん中を狙っておく。

 

 

『待て待て、こっちはやる気はねえって!

 

 見て分かるだろ、こんなんじゃ戦えねえ。

 解放戦線の土民どもにいきなり襲われたんだよ、おかげでこんなにされちまった。』

「へー……お前は何もしてないのに?」

『あ、ああ!

 オレはたまたま、この辺に居ただけだってのによ!これだから……って、そんなのはどうでもいいんだ!

 

 あの土民どもがまだ追っかけてきてるかもしれねえんだ!

 独立傭兵なら手え貸してくれよ!』

「それは、こっちにも解放戦線と戦えって言ってるのか?」

『あ、ああ……あ!

 それか、逃げるの手を貸してくれりゃあいい!』

「そう言われてもな、そんなボロボロの機体じゃどうにもならなくないか?

 それとも、手足を切り離すか?胴体だけなら持てるぞ。」

『は、はぁああ!?』

「だって、そんなのと一緒に速度合わせて……とか嫌だしさ。

 自分の仕事って逃がし屋じゃなくて、運び屋だしなあ。」

『っく、じゃあ……!』

「あ、動くと敵対と見なして撃つぞ。

 

 解放戦線に見逃しただろ!仲間か!って巻き添えにされるの嫌だし。」

『テメェぇ……!!』

「それで、どうする?

 あんまり時間も無いんじゃないか?」

 

 

今も解放戦線が追いかけてきてるだろうしな。

 

 

《データ照合に成功、スクリーンに表示します。》

 

 

あら、データがあるってことはドーザーじゃないのか、コイツ。

スクリーンの脇に出たウィンドウをちらっとだけ見る。

 

 

―――-―――-―――-

 登録番号:Fr448

 識別名:ホー・ビー

 機体名:Flame fest

 ランク:--/-

 所属:独立

―――-―――-―――-

 

 

コイツ、独立傭兵かよ。

何で解放戦線の施設をわざわざ焼き払ったりしたんだ。

 

 

「そろそろ決まったか?

 自分はどっちでもいいよ、撃つのでも運ぶのでも。」

『クソがよぉ……本当に運べるんだろうな。』

「大丈夫だよ、前にアーキバスの輸送ヘリの人間、コンテナに入れて運んだこともあるんだ。

 

 あれに比べればACの胴体なんか、もっと手軽に運べるさ。」

 

 

自信たっぷりに言ってやると、諦めたみたいに相手のACが脱力した。

 

まぁ、見逃されない以上は、このまま撃ち抜かれるか、そうするかの二択だもんな。

選択肢なんか無いに等しいから、そうするしかない。

 

 

「決まったのなら、早くパージしろよ。

 時間、無いんだろう?」

『ッチ!!』

 

 

すっごい舌打ちの後、少しして相手のACで大きな機械音がして、残ってた腕が落ちた。

下半身の4脚とコアの接続部分からも複雑な音がして、4脚が脱力してガクっと沈み込む。

 

アーキバスの4脚っぽいけど、ボコボコになってて正直良くわからないな。

この状態でも倒れないのはすごいけど。

 

 

『終わったぞ、早く運べ!』

「分かった分かった、ちゃんと運ぶよ。心配するな。」

 

 

持ってたバーストライフルをコンテナの上に置いて、相手のACのコアに両手を伸ばす。

ゆっくり持ち上げると、残ってた頭が忙しなく前後左右に動き回る。

 

落ち着かないのは分かる、手足のないACのコアなんか、ただの箱だもんな。

 

 

「COM、解放戦線の人らの想定進路を出してくれ。

 そっちに向かうから。

 

 あと、こっちとのリンクはちゃんと繋がってる?こっちの音声も繋いでくれ。」

『なっ、おい!!テメエ!!話が違うじゃねえか!!

 あいつらとグルだったのかぁあ!!』

「いや、運ぶのに嘘はないぞ。

 ちゃんと運んでやるよ、行き先は指定が無かったから、お任せコースで。」

『ふざけんじゃねぇぞテメェエエエああエエああ!!』

 

 

うるさいので、箱もといACの方の通信は切っちゃおう。

 

 

「というわけで、捕まえたのでそっちに渡すよ。

 追いかけてきてる人らにも伝えて貰っていいか?そっちに向かうからって。」

『ああ、聞こえている。

 どうするのかと思ったが、理解できた。

 

 すぐに連絡を入れるので、今、指定した方向に向かって欲しい。

 彼らも近くまで追いかけて来ているから、合流はすぐだ。』

「分かった、合流したらそのまま渡すから。

 あとはご自由に。」

『ああ、聞きたいことを聞いた後、報いは受けてもらう。

 

 運び屋―――今回の件、感謝する。』

 

 

通信は切れた。

 

表示された方向に向かってACを進ませる。

ガッションガッション、すぐにスクリーンに解放戦線の部隊が見えてくるだろう。

 

 

 

 

あの後。

 

もうほんとすぐに解放戦線のAC、MT達と合流した。

みんな煤で汚れてたから、火炎放射とかで酷い目にあったんだろうなって分かったわ。

 

一団を率いてたリーダーのええと、ダナムだっけ?って名乗った人に持ってた箱を渡しておいた。

 

すっごい感謝されたが、まぁ……あの焼け落ちた施設とか見ちゃったからなあ。

あれで犯人を見逃すってのは、ちょっとなあって感じだったし。

 

 

依頼の内容には無かったが、捕まえて引き渡した分は追加で報酬を払ってくれるらしい。

 

襲撃の理由やら、依頼人やら、そういうの聞き出して報復するかどうかは聞いてないので知らない。

聞けば教えてくれそうだけども、聞いたら聞いたで、流れで付き合うことになりそうだし。

そこまではちょっと乗れないので、今回の件はこれで手を引いておきたい。

 

また、荷物運んでくれっていうのなら、全然、やってもいいけどな。

 

 

というわけで、今はまた、リビングのソファに寝転びながらPDAを見てる。

 

 

「でもなー、暫く解放戦線とは距離を置きたいなあ。

 RaDはカーラのお怒りが冷めたら……あ、アイツ、頭は結局受け取ったのか。」

 

 

適当に色んなサイトとかメールを見たりとか、ダラダラしてたんだけど。

 

 

『独立傭兵 tr-227 Transporter。

 撃墜された機体の回収依頼があります。』

 

 

あれ、今度はどこからだろ。

アーキバスかな?ベイラムかな?

 

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

 

 

 




今回、敵として出てきたのは作者がアセンブルの画面を見ながら思いついた、NPCでした。

原作に出てきたネームド以外だと、どういうのが居るかなー?と考えながら色々パーツ交換して遊んでいた結果、こういうのが生まれました。
今後もこういうのは時々、出てくるかもしれません。


<<今回の敵ACの簡単な紹介>>

登録番号:Fr448
識別名:ホー・ビー
期待名:Flame fest
ランク:--/-
所属:独立

背景:

元々は溶接工。火が大好き。

稼ぎはコーラルを飲んで飲んでしてるのでACのメンテ、修理もおざなり。
ガタのきた壊れたパーツは安い中古品に交換して凌いでるので、統一性はないし、カタログデータ通りの性能は無かった。

自分のACの状態はある程度は理解できていたのか、主に企業間の間で補給部隊を焼いたり、ドーザー同士の小競り合いで適当に火をばら撒く仕事をしていたらしい。

今回、どこの依頼で解放戦線を襲ったのかは主人公が聞いていないため、不明。



次は10月の仕事の忙しさ具合で前後すると思います。
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