何回も眺めて、つい夜更かししちゃってます。
あと、誤字報告も感謝です。
へ、減らしたいんですけどね。
灰かぶりっていうと、超古典の童話で自分でも知ってるくらいに有名なシンデエラ、あれ、シンデレラ?だっけ?
それに出てくる主人公が家で意味不明のイジメを受けてて、定期的に灰ぶちまけられて……でも魔法使いが出てきてカボチャのトラックで城にアサルトブースト……??
それはいいとして。
このルビコンで灰かぶりっていうとその古典じゃなくて前に言ってた、周りの星まで燃やした?燃やしかけた?ヤバイ災害のアイビスの火を生き延びた人のことを指す。
当たり前だが外からきた企業には居ないが、解放戦線とかそれに保護されて後方支援に回ってる人の中には、稀に居るらしい。
直接話したことは無いけど、荷物運んで行った先で遠くに爺さんが歩いてるのを見たことがあるから、ああいう人なんだろうなあ。
解放戦線ってよく「灰かぶりて我らあり」って叫びながら突撃していく、してくるんだけどさ。
この「灰かぶりてー」って下りは自分たちこそ、アイビスの火のあともルビコンで生き続ける正当なものなんだーって主張なのかもしれない。
機会があれば生き残ってる爺さんにでも、アイビスの火が起きる前のルビコンのことを聞いてみたいもんだ。
あわよくば、その頃にべリウス地方にあった街とか工場とか、研究所とかの場所を教えて貰えれば、コンテナ担いで探しに行ってみたりとかしてみたい。
先日、星になって海にばら撒かれた傭兵みたいに、向うの大陸目指すよりは良いんじゃないかなって。
そういえば、RaDの頭目のカーラも灰かぶりらしいとか聞いたことがあるが、正直、信じてない。
直接会った事があるけど、婆さんじゃなかったし。
あれでアイビスの火の経験者だっていうなら、相当な見た目詐欺になる。
強化人間は外見もある程度は保てるっちゃ保てるけど、それにしたって……という感じだからさ。
え、本人に確認?
ははは、惨たらしく死にたいのか。
とかいう益体も無いことをですね。
オンラインで行われてるブリーフィングで表示されてる、べリウス地方のマップ見ながら考えてました。
自分は今、アーキバスの依頼を受けて、ベイラムの色んな所を同時に襲撃し、被害を出して注目を集めろという、分かりやすい陽動作戦に参加している。
今やっている作戦開始に向けて最後の意識合わせ、確認のための打ち合わせってところだ。
打ち合わせっていうか、実際はアーキバスからの指示を聞くだけだけど。
なので、特に発言の必要も無いから静かに静かに黙って話を聞いている。
決して、会議の参加者に傭兵たちとアーキバスの作戦担当者だけじゃなく、"V.VI メーテルリンク"って名前があるので空気になっているわけではない。
はい、嘘をつきました。
怖くて喋りたくないから黙っているだけです、さっきの灰かぶりがどうとかも現実逃避したかっただけです。
主に喋っているのは作戦担当者で、傭兵たちは余裕とか報酬が楽しみだとか、実に勇ましくて、ああ傭兵だなあって感じのことを言ってアピールしているわけだけど。
自分は一切、何一つ、全く喋っていない。
元々、頭パーツを貸しているアイツに誘われただけのオマケみたいなもんだし、ここでアーキバスに名前を売り込みたいのは自分じゃないからな。
だから他の傭兵の邪魔にならないように静かにしている方がいい、うん、完璧なロジックだ。
"お前まさか寝てないよな?"
"いや、緊張してるだけだ。"
"ならいいけどよ、なんにも喋らねえから心配になっちまったぜ。"
"人が多い作戦に慣れてないからさ、悪いな。"
黙ったままの自分を変に思ったのか、アイツから個別チャットが来たので、それには迅速に返事をしておく。
嘘は言ってない、嘘は。
『なお、本作戦では襲撃ポイントに元から存在する戦力以外に、ベイラム側からどの程度の増援が出てくるかは反応次第です。
増援に対して更なる被害の拡大を狙うか、適度に切り上げて離脱するかは各自の判断にお任せします。
ただ、この作戦行動の主旨は陽動ではあるものの、ベイラムに与えるダメージは大きければ大きいほど、皆さんへの評価と報酬は上昇するということは改めてお伝えしておきます。』
うーん、この評価と報酬をチラつかせて限界まで戦わせようっていうのを隠さない姿勢、ある意味では傭兵の正しい使い方ではあるよな。
引き際を見誤って撃墜されても、どのタイミングで離脱するかは任せるってちゃんと言ったよね?って返せるし。
流石はアーキバスの担当者だなあ。
『また、既に聞き及んでいるかと思いますが。
本作戦にベイラム側の目を引きつけ、意識を誘導する策の1つとしてヴェスパー部隊から1名をアサインしています。
襲撃ポイントのどこに向かうか、更に別ポイントを設定し、そちらを壊滅させるかは状況次第ですので、各自そのつもりで。』
『ヴェスパー部隊 V.VI メーテルリンクです。
参加理由は先ほどのとおりですので、特に改めて言うことはありません。
陽動とはいえ、しっかりと仕事をしてください。
ベイラムには個人的に返したい借りもありますので、皆さんの成果には期待しています―――私からは以上です。』
傭兵たちが殊更、やる気アピール発言で騒いでるが、自分は今すぐブリーフィングから退出して、なんならベッドに帰りたいです。
"なあなあ、メーテルリンクの個人的な借りってなんだと思う?"
"さぁ、何があったんだろうなあ。"
うるさい、今だけは自分に話しかけないでくれ。
頼む、もうその頭パーツ返さなくていいから、自分を空気のままにしておいてくれ。
『同時にそれぞれのポイントへ襲撃を開始することに意味がありますので、作戦開始時刻は厳守です。
それでは、ブリーフィングは以上として解散とします。
よろしくお願いいたします。』
担当者がそう言って、ブリーフィングが終わった。
通信が切れたと同時に、はぁああああって大きな息を吐いてコクピットのシートにもたれ掛かる。
始まる前から疲れたよ。
『いやあ本当にヴェスパー部隊が出てくるとはなあ。
ありゃあ、陽動だけどベイラムの戦力削れるだけ削っちまおうってことだよな。
こうなるんなら、でかい基地の方に手え挙げるんだったなあ。
そうすりゃメーテルリンクが来て、直にアピールするチャンスだったのに。』
コイツは暢気に何を言ってるんだ、気でも狂ってるのか。
メーテルリンクと仲良く横で戦うだなんて、考えるだけでも気絶しそうだわ。
前からじゃなくて横からうっかりプラズマキャノンが飛んできたらどうなると思ってるんだ?死ぬんだよ、自分が。
「そういうのは今回、きっちり仕事して次の機会を狙う方がいいんじゃないか。
結果出してる傭兵の方が相手も話を聞いてくれると思うよ、アーキバスって結果出して当然みたいな所あるし。」
『あー、それはそうかもなあ。』
「それよりちょっと聞いていい?」
『なんだよ?』
「何で頭を買い直す前に、肩に新しい装備増えてんの?」
『ばっかお前、良さげなもん買えるなら買っちゃうだろ、傭兵なんだから。
お前だって同じもん肩に乗ってるじゃねーか。』
「いや、そんな金あるんなら頭買い直して、それ返せっていうさ。」
『今回の報酬でちゃんと稼げばいいんだよ、細けえこと言うなって。』
こ、コイツは本当にもう。
ちなみに自分達の現在地は、最初の襲撃を行うベイラムの小規模補給施設から少し離れた林の中。
林といってもACは割と見えてるけど、まあ気持ち的には隠れてる感じ。
ベイラムは勢力下に置いたところや、前線の手前は色んな所にこういうのがある。
ベイラムって兵隊の全体数が多いからさ。
大きな補給施設だけじゃなくて、その合間合間に小さい補給ポイントを作って、状況に合わせて迅速に補給を届けられるようにしてるんだよ。
常駐してる部隊は多くないが、定期的に一時的な補給も兼ねてMT部隊が回ってるから、警戒が緩いってわけじゃないけど……
それでも大きな前線基地や施設にカチ込みかけるよりは全然マシだから。
『それより取り分は6:4で良いんだな、本当に。』
「いいからいいから、前みたいにログはくれよ。」
減った取り分を埋める程じゃないが、AC同士の戦闘じゃなくても、MTでも多数相手とか、襲撃とかのログはそれなりにRaDに売れるから。
RaDとの繋がりは良好にしときたいから、その必要経費だと思えばちょっと取り分減るくらいは許容範囲だ、別に赤字になるわけじゃないしな。
そんなこんなで、時間は作戦開始時刻。
スクリーンに開始されたカウントダウンに合わせ、ベイラムの補給施設に二人のACが突っ込んでいく。
まずは施設自体を狙って背中のミサイルを両方とも発射。
水平に飛んでいくミサイルが小さい燃料タンクみたいなのを吹っ飛ばし、少し遅れて上からプラズマミサイルが降り注ぐ。
ベイラム側がこちらを認識する頃にはもう、2機のACとも施設端まで近付いてる。
『敵襲!ACが1機、いや2機!』
『2機だと!?本部に通報、増援の要――』
アイツのACが他のより少し大きかった建物にミサイルを撃ち込んで、吹き飛ばしたら通信が途絶えた。
「通報とかはさせた方が良かったんじゃないか?
その方が騒ぎ、大きくなるし。」
『そういやそうだな、反射的に撃っちまったよ。』
「分かる。」
気持ちは分かるので、それ以上は言わずにマシンガンっぽいものを持って走ってくるMTに向かってジャンプして、上からバーストライフルを撃ち込む。
こちらが細かく施設のタンクや輸送トラックを潰してる間に、アイツは目についたMTや飛び立つ前のヘリとかを順番に潰してた。
そっちの方が戦果として目立ちやすいだろうし、文句は無いから頑張ってくれ。
「そろそろ行こうぜ。」
『最初はこんなもんでいいか、よし。
そんじゃあ、先行くぜ!』
一通りというか、この施設は作り直す方が早い気がする位には壊したので、アイツにも合図して離脱する。
ブースタ吹かせて元気いっぱいに空に飛んでいったアイツのACを追いかけるように、自分もACのブースタを全力で吹かす。
幾つ回れるかは他のポイント襲撃に行ってる傭兵次第でもあるから、やれる間にできるだけやっておこう。
その後1つ、同じような規模の補給施設を襲って、同じように破壊した。
施設の警備か担当か分からないが、襲撃を受けてるって通報されたところは、ちゃんと確認できた。
他も上手く行ってれば、大きな基地とか施設と一緒に複数が襲われてるってベイラム側が認識したはずだ。
どの程度、引っかかるというか、乗ってくれるかは分からないけど、まぁ、それは自分が気にするところじゃないしな。
今は施設の一番外側に居て、比較的に綺麗に撃墜できたMTからアイツがデータを吸い出してるところだ。
今日の巡回部隊のルートとか数とか、ベイラム側の対応状態とか、何か取れないかなって頑張ってる。
元泥棒はそういうのが上手い。
『下っ端じゃあ全体データみたいなもんは持ってねえなあ。
他の基地だのも襲撃されてるってのは知らされたみてーだが……ああ、コイツらはそろそろ交代が近かったらしい。
スケジュール通りなら別のアレだ、襲撃ポイントにも入ってる大型基地から交代部隊が近付いてきてるはずだ。』
「引き返して無ければ、次行く途中に見つけられるんじゃないか?」
『居ればついでにやっちまうか。
そんじゃあ、次は今までのより大きな整備基地だ、さっさと行くぜ!』
今のところ、作戦前に考えた仮スケジュールとそうズレはない。
想定通りに次の襲撃予定ポイント目指して飛んでいく。
って思ってたのに、交代のMT部隊には遭遇しなかった上に、次の整備基地で想定外がありましたーー!
前の2つと同じように施設にミサイル撃ち込んだら、4脚MTが出てきたよ!!
何でかな!?
メンテでもしてたのかな!?
先に突っ込んでたアイツのACがマシンガンで撃たれて、慌てて横っ飛びして更に距離を空けてる。
《ログハント・プログラム対象を検知しました。》
《MT-J-048 BAWS製 ベイラム所属 4脚MTです。》
《スクリーンにマーカーを表示します。》
「知ってるよ!!」
見たら分かるよ!
4脚MTがアイツのACを見てる間に背中のミサイルを両方とも、右手のバーストライフルも撃ちながら叫ぶ。
「そっち右、こっち左!」
『だぁああクソが分かったよぉ!!』
マシンガン、ショットガン持ってるからあんまり近付きたくないが……
距離取りつつ左右から挟んで、1人を狙えばもう1人から撃たれるって形にして戦闘に入る。
乗ってる連装ミサイルをあんまり撃ってこないのは、きっと、敷地の施設や残ってる味方に当たるからかな。
頑張って動きに緩急つけて避けてるが、マシンガンもショットガンも端っこが避け切れなくて、こっちも少しずつ装甲とバリアが削れていく。
だがしかし、テスト用の仮想空間で4脚MTとは散々やったからな!
ありがとうオールマインド!
それに、それに!
あの時のメーテルリンクのパルスガンより怖くない!
あれに比べればお前なんか怖くねぇえええ!!
4脚MTは上から引っ切り無しに降ってくるプラズマミサイルが大分効いてるのか、大分、装甲がガタついてきたのが見て取れる。
行けるかと思った矢先、このままじゃ削り殺されると自分でも分かったのか、4脚MTがブースタージャンプしてアイツのACに体当たりみたいに飛び掛かっていく。
『あぶねぇえええ!』
アイツが悲鳴を上げて後ろに飛んだが、ギリっていうか、ちょっと掠ったたらしい。
反撃にプラズマミサイルを撃ってるが落ちてくるのに時間が掛かる。
なので自分が背中に向けた4脚MTに向かってアサルトブーストで突っ込んで、蹴りを入れる。
ちょっとだけ前につんのめったように揺れたところに、左手のパルスプレードで思い切り斬りつける。
「っメぇてぇるリンクより怖くねぇええええ!」
パルスブレードは2回綺麗に入ったが、まだ、死んで無い……いや、ガクンと機体が沈んで動きが止まった。
『どけ、トドメ刺してやらあ!!』
キレ散らかした声にそっちを見ると、しっかりレーザーライフルをチャージしたアイツのACが見えた。
というかプラズマミサイルが落ちてくるから言われなくても離れる、後ろに全力で下がる。
『いい加減死ねや!!』
プラズマミサイルが落ちてきて、4脚MTを上から叩いて押さえるみたいに爆発。
装甲が目に見えてひしゃげていくところを、チャージされたレーザーライフルが撃ち抜く。
ダメージが限界を越えた4脚MTは次の瞬間に爆発して、周りに破片を撒き散らした。
「ふー…ふー……
よっしゃ、勝ったぁあああ!!」
《指定された戦闘ログを取得しました。》
って叫んでてもまだ戦闘は終わってないので、余韻とかそんなのに浸る暇は無く。
基地から離脱しようとするMT達が見えたものの、基地自体を壊す方を選ぶことにして、パルスブレードで大雑把に幾らか斬っておく。
『おいおい、4脚やっちまうとかコレ報酬跳ね上がるんじゃねえの!』
「あーそうかも。
幾らになるんだろうなあ、4脚MTって。
どーする?次行くか……行くにしてもちょっと一息だけ入れたいが。」
『だなぁ、他のヤツらどーなってるか聞いてみるか。
それで決めようぜ。』
「そうし―――」
基地から離れたところで爆発音がした、慌ててそちらを向くとまた爆発音と一緒に火が見える。
「なんだなんだ、あっちに何かあったっけ。」
『マップにゃ何もねえが……あれ、逃げたMTどもが行った方向じゃねえか?』
《高速接近する機体有り、速度とサイズからACと想定されます。》
あ、なんか嫌な予感がしてきた。
《戦闘記録と照合、一致データあり。》
《アーキバス ヴェスパー部隊 V.VI メーテルリンクと想定されます。》
思わず、反射的に反対方向に逃げそうになったのを鋼の精神力で踏み止まる。
今は味方だから大丈夫、今は味方だから大丈夫。
『おいおい、ヴェスパー部隊かよ。
メーテルリンクの機体は初めて見るわ。』
そっかー、自分も今日が初めてなら良かったのになあ。
結構な速さで飛んできたメーテルリンクのACが近くにあった基地施設の残骸の上に着地。
4脚MTと戦った余波もあって、ほぼ全損状態の基地を見てからこっちを見た。
《ログハント・プログラム対象を検知しました。》
《アーキバス ヴェスパー部隊 V.VI メーテルリンクです。》
《スクリーンにマーカーを表示します。》
ごめん、聞きたくない。
今すぐその表示消してくれないかな。
『急いで移動していたベイラムのMTの一団が居ましたので、片づけましたが……
ここからの撤退中のものでしたか。
仕事に励んでいるようで何よりです。』
『へへへ、当たり前さ。
今なんか、ここに居た4脚をやったところだぜ。』
おいバカ、余計なことを喋るんじゃない。
頭引っこ抜くぞ。
『4脚MTを2人で?
成る程、それは良い成果ですね。
後で戦闘レポートを提出してください、確認します。』
『そりゃあありがてえ、報酬も期待できそうだ。
と、何でここに?』
そう、そういうのをもっと言ってやれ!
何で居るんだよ!
『作戦は一部を除いて順調ですが、ベイラム側も対応してきています。
ACとMTの混成部隊が接近してきていることが確認できたので、仕上げに潰しておこうという判断になりました。
ああ、レッドガンではありません。
彼らは別の区域に展開中の確認は取れていますので。』
さらっとレッドガンとか、怖い名前出すの止めて欲しいんですけど。
出てこないなら良いけどさ。
あ、さっきから自分は一言も喋ってません。
というか、一切動いてません。
なれるなら今すぐ石になりたい、そんな気持ち。
『へぇ、それじゃあ あ、オレらも一緒にいきますか?』
はあああぁぁぁぁぁ!?
おい、今何つったんだこの野郎!?
オレ ら つったか今!?
『――――』
待って、メーテルリンクも黙って検討しないで!!
アイツとこっちのACを交互に見ないで!!
『―――いいでしょう。』
良くないよ!!
『邪魔にならないなら構いません。』
こっちが構うから!!
ていうかこっち見て言わないでくれませんかねえ!!
考えろ、考えろ自分。
このまま一緒に行くとか冗談じゃない、レーザーキャノンをギリのギリで避けた記憶が蘇ってきた。
あ、そうだ!!
『マジですか、じゃあ早速……』
「あ、申し訳ないんだけどさ。
さっきの4脚で結構、弾使っちゃったからさ、ついていくのは厳しそうなんだ。
だから、自分はここで離脱させてもらおうかと。」
『は?なんだよお前、そんな撃ったの?』
アイツが呆れたような声を出す。
"2人で行けば派手に活躍すれば直接、印象に残るぞ。"
"お前、天才かよ。よし、後は任せて早く帰れ。"
よし、余計なことを言い出したバカ野郎とは個人チャットで話はついた。
『―――
まぁ、そういう事なら仕方ないでしょう。
残念ですが、"次の機会"としましょうか。』
こっちを凝視してるみたいに見ていたメーテルリンクのACが向きを変えて、ブースタ吹かして飛んでいった。
『じゃあオレは行ってくるぜ、弾が少ねえなら気を付けて帰れよ!』
「ああ、途中抜けして悪いな。
ログは後で送ってくれれば良いから。」
『はいよ、そんじゃあ後でな!』
アイツのACもメーテルリンクのACを追いかけて飛んでいった。
これから良いとこ見せようって魂胆が見え見えな、張り切った声だったなあ……
まぁ、なんだ、頑張ってくれ。
自分は4脚MTとメーテルリンクでもう疲れたから帰るよ……
大きく息を吐いた後、飛んでいった2人とは別方向に向かって、ACのブースタを吹かせて。
確かにベイラムの部隊とうっかり遭遇しないよう、慎重に飛んで帰る事にした。
ドックに帰った頃には疲労困憊でぐったりだったので。
ACから降りると、ログをいつものアーカイブに入れて、そのまま服を適当に脱ぎ散らかしてソファに倒れ込む。
おかしいなあ、ここまで疲れるはずじゃなかったのになあ、この仕事。
ああ、ドックにつく前にメーテルリンクについて行ったアイツから連絡があったよ。
ミッション自体も終わって解散したって。
後はなんか、いかに頑張ったか長々言ってたが、あんま聞いてなかったから覚えてないや。
アイツの方の戦闘ログはちゃんと送られてきてたから、後で確認しておこう。
と、片手に持ってたPDAに音声通信が来た。
『独立傭兵 tr-227 Transporter。
ログハント・プログラムの対象となる戦闘ログを確認しました。
今回は2点、これで貴方のポイントは5点となります。』
「ぉ、おお。
いつも確認ありがとう。
そうなんだよ、今回は頑張ったんだよ。
仮想空間で4脚MTとめちゃ戦ったからな、あれのお陰だから。
ありがとうオールマインド。」
『提供しているシステムが戦闘技術の向上に寄与しているのであれば、幸いです。
オールマインドは引き続き、貴方の健闘を期待しています。』
あ、良かった。
メーテルリンクについては不問にしてもらえた。
あれ、メールも来た。
ああACの修理についてとかなな。
その辺もやらないとなあ……ってよく確認せずにメールを開く。
えーと…………
[これは私的なメールですが、1点確認したいことがあります。]
[各傭兵から提出された戦闘レポートの精査と評価はこれからですが、私に同行した傭兵から提出された戦闘レポートを軽く確認しました。]
[4脚MTとの戦闘時にそちらから"メーテルリンクよりまし"という発言がありましたが、これはどういう意味でしょうか?]
[回答をお待ちしております。]
自分は気絶した。
――――――――――――
――――――――
――――
忙しいはずなのに、すごく長くなった気がします。
毎回、話の長さが一定しませんが……
もうそういうものだと、大らかな心でお許しください。
浮かんでくる幻覚次第で長くなったりささっと終わったりします。