AC乗ってない時の傭兵って何してるんだろうなあと思いつつ、温めたコーラルを飲んでたら幻覚が見えてきました。
もう今は人間が絵を描く時代じゃなくて、AIに欲しいものを入力すれば出力してくれるAI絵が主流になっているんだが。
そういうAI絵じゃなくて、まだ手書きで絵を描いてる人間が居るらしい。
いきなり何の話だって思うかもだけど、その手書きで描くSTVって人の絵がルビコンで見つかる事があるらしい。
結構な高値で取引されるので、見つけたら売り飛ばして貯金か、何か買いたいなあと思ってるけども。
色んな所でコンテナ背負って物拾ってるのに、1回も見つけたことが無い。
STVって人が今でもルビコンに居るのかも分からないが……
エンブレム作成ツールでヘンテコな何かを作っては消し、作っては消しをしながら、いつか1枚くらいは見つけたいもんだなあって思った。
こんなのがいいってオーダー出せばオールマインドが作ってくれるのかなあ。
とかいう夢を見て意識を取り戻した後。
ソファで1件のメールを見て、恐怖のあまり意識を手放した後の話だな。
食べた覚えが無いコーラルの幻覚であってくれと思ってPDAを見たが、メールは現実としてそこにあった。
脳内会議では3人の自分がそれぞれ「正直に言う」「メールを消す」「すっとぼける」で譲らなくて纏まらないし、こんなのは流石にオールマインドに相談はできない。
相談したら撃墜したらいいのでは?って言われる気がするし、それはそれで2手先で詰みになるので駄目だ。
ふと、こういうの得意かもしれないって思って、不用意なデータを渡した戦犯野郎に「女の人を怒らせたらどうすればいい?」って聞いたんだけどさ。
あのバカは「ベッドで誤魔化せばいいじゃん。ていうか女居たの?」って何の役にも立たない答えを返してきたので、アイツに聞いた自分が悪いってすごく反省した。
結局のところ、どう頑張ってもとぼけようがないし、だからと言って無視は余りにも悪手なのは分かるから、正直ベースでこんな感じで書いて返信しておいた。
[貴方は今まで戦ったどんな相手よりも強く、あんなに必死に戦ったのも初めてだった。]
[あのまま戦っていたら確実に負けていたと思っている。]
[あの戦闘は今でも隅々まで鮮明に思い出せるほど、頭に焼き付いている。]
[そういったわけで、貴方のことを忘れることはできない状態で、あれから強敵と戦う時にはあの戦闘を思い出している。]
[相手は貴方ほど強いわけではない、だからやれると自分を奮い立たせて戦っている。]
[今回、4脚MTに勝てたことや、今も強くなろうと努力を続けられているのは貴方のお陰とも言えるくらいだ。]
[あの叫びは、そういった思いや、そんな貴方と戦った自分が目の前の相手に負けるものかという感情が重なった結果、口から出てしまったものである。]
[悪意などは全く無かったが、本人である貴方が聞いて愉快なものでなかったのは容易に想像できるため、その点については謝罪させていただきたい。]
[未熟なAC乗りが栄えあるヴェスパー部隊の隊長であるところの貴方に言うのもどうかと思うが、今後の貴方の更なる活躍を願っている。]
見直してみると……正直?
…………いや、嘘はついてない、うん。
暫くしてから
[わ、わかりました。]
って短い返信だけ来てたから、今回は許して貰えたと思ってる。
やっぱりね、こういうのは正直ベースで行かないとね。
意外にも話の分かるメーテルリンクで良かったと思う。
え、あれが正直な内容かって?まぁ、まぁ……思って無いことはないというか、言葉の修飾は必要だと思うというか。
だってね、もう、次のメールでぶっ殺してやるからちょっと出てこいって言われるかと思って、ビビりまくってたんだからさ。
でも、もう会いたくないので、やっぱり知らないところで撃墜されて欲しいと強く、それはもう強く思っている。
え、なんですかオールマインドさん。
メーテルリンクはログハント・プログラムでは3点になる?
ええっと、その話は慎重に検討に検討を重ねて、熟考の必要がありまして。
もういっそ、でっかい頑丈なトラバサミでも用意して、メーテルリンクに踏ませて動きを封じたところをバズーカとかで……
グレネードならトレーニングのご褒美にDF-GR-07 GOU-CHENを渡している?
いや、確かにドックの壁にありますけども、前向きに計画を練りたいって話ではなくてですね……
シャワーを浴びて着替えて、気持ちを切り替えて。
リビングの壁にかかってるモニターにべリウス地方の地図を出して、分かる範囲で得られた情報を書き込んでいく。
昨日のベイラムへの陽動作戦のお陰か、アーキバスは解放戦線の勢力下にあった地区を幾つか確保したらしい。
その辺にコーラルを採取可能な場所、通称で井戸って言われるものがあると睨んでるんだってさ。
アーキバスのことだから、本当は既に解放戦線の捕虜を丁寧に尋問して、井戸のある場所を吐き出させていて。
そこにあるって分かってるからこそ、結構大き目な陽動しかけてベイラムの邪魔が入らないようにして、確保に動いた可能性もあるけどね。
ベイラムは被害にあった場所を復旧させるか何かしつつ、アーキバスに殴り掛かると思われる。
それこそ怒りのレッドガンを投入して、アーキバスの基地の1つ2つも潰してくるかもしれない。
補給線の再構築もあるだろうから、仕事を回して貰えるかもしれないが……壊した自分が直す資材担いで行くのはちょっとなあ。
現地で襲撃した傭兵連中の中に居たって話になると、ややこしくなるかもしれないから、無しだな。
行くにしても、今回の襲撃とは関係ない離れた場所とかなら考える感じ。
解放戦線はどうだろうなあ。
正直、奪還に動けるような戦力を抽出できるのかどうか……かなり怪しい気がする。
放火魔騒ぎの立て直しをしようって時に、アーキバスから殴られたのはかなり手痛いダメージになってると思う。
そういう意味では、BAWSからの届け物とか、アーキバスにやられた機体の回収とかが依頼としてあり得るかな。
内容によっては受けてもいいかもしれない。
最後にアーキバスだが……仕事は無さそうかな。
昨日の作戦で提示された襲撃ポイントは壊せるだけ壊して撤収してるから、占領してないアーキバスがすることは無い。
本命の解放戦線から奪い取った場所も、コーラルが採取できる重要区画なら、外部の傭兵なんか入れずに全部自前で対応するはずだし。
あ、一番大きなベイラムの基地にカチ込んだ傭兵2人は撃墜されたらしい。
頑張り過ぎた結果、離脱のタイミングを逃して包囲されてボコられたんだって。
レッドガンじゃないけど、ACが居たとか居なかったとか……怖いなあ。
テストの仮想空間では4脚MTだけじゃなくて、ACと戦う練習ももっとしよう。
まぁでも、次の仕事を何にするにせよ、ACの修理が終わってからだけどな。
情報の整理が終わると、ふっと暇になる。
ルビコンには当たり前だけど、娯楽施設とかない以前に、そもそも、マトモな都市とか街がない。
ルビコニアンは解放戦線とその身内、協力者や保護されてる人たちか、ドーザーかって位の二極化してるので、そんな状態で誰でも入れる街なんかできるわけがない。
傭兵同士も仲間ならドックが近いとかあるかもしれないけど、自分にはそういうの居ないし。
え、頭を返さないヤツ?
あれはタダの知り合いです。
企業のでかい基地なら娯楽提供もあるのかもだけど、社員や契約してる傭兵でもないのに入れてくれるわけないしね。
つまり、何が言いたいかというと。
ACの修理中はドックで一人で過ごすしかないのである。
……仕事でACに乗って外に出ても、一人なのが大半だけどさ。
なので、ACのパーツや武装のカタログとか企業のPV見たり、傭兵コミュ覗いたりとか。
誰が持ち込んだか分からん、実に怪しい流通の仕方してる映像データを見て暇潰しするくらいしか、やることがない。
こういう時、オペレーターが居るとダベって時間潰せたりするんだろうか?
うちには人を雇う余裕なんかありませんけどね!
しょうがないので、RaDに流してる撃破されたMTやACから取り出した戦闘記録とかプロジェクターに流してる。
これ基本的に自分が撃墜されるまでが映ってるんだけど、たまに、相手が企業のAC乗りでも有名なのが映ってたりするんだよね。
ソファでダラダラしながらぼけーっと映像を見てると、ちょっと気になったのがあるから巻き戻してみる。
「結構、囲まれて撃ち込まれてるACが急に持ち直すのは、何でだろ?」
ACはパーツそのものが持ってる装甲と、パーツごとに内部装置にバリアを発生させる機構があって、合わせて2重の防御構造になってる。
バリアも完全に何でも防げるわけじゃなくて、過負荷になったり、バリア張りながらでも抜けてくるもので装甲が傷ついたりするんだけども……
映像のACはバリアが段々弱くなっていってるのに、いきなり戻ってる?
「というわけでオールマインドに聞きたいんだけども、これってどういう仕組みなんだろう。」
分からないことは誰かに聞くしかないから、話しかけやすい身近な相手に聞いてみた。
『傭兵支援の一環として、指定された戦闘ログを確認しました。
対象のシーンにおけるACの動作については、リペアキットの使用と判断します。』
りぺあきっと?
リペアキット……ああ!
「あーーー!
搭載費用がすっげーーー高いあれか!」
そういえばそんなのあったなって、言われて思い出した。
「段々思い出してきた。
昔、値段見て諦めた記憶も思い出してきた。
肝心の値段は思い出せないが!」
『リペアキットの搭載にかかる費用が高額なのには複数の理由があります。
まず、ACの各パーツに個別に組み込まれたバリア発生装置をグループ化しますが、搭載されたOSで統括制御させるための改造が必要な点。
次に、バリア発生に必要な装置それぞれに、予備バッテリーを追加する改造が必要な点。
この改造、特にOSの改造に掛かる費用そのものと、このシステムを利用するには別途、ライセンス購入が必要になりますので、その費用が掛かるためです。』
「ライセンス料とか要るんだ……オールマインドの説明はいつも分かりやすいなあ……」
『傭兵支援システムとして、当然の説明を行っているだけです。』
「これ、周り見ても使ってる奴居ないから、忘れてたんだけどさ。
あんまり普及してないの?」
『登録されている独立傭兵では、搭載していない方が圧倒的に多い状態です。
企業側でも全てのACではなく、アーキバスのヴェスパー部隊や、ベイラムのレッドガン部隊など、一部の精鋭部隊に搭載されている程度のようです。』
「うへぇ……やっぱり値段のせいかなあ。
ちなみにお値段って?」
『はい、リペアキットの搭載費用について見積もりを作成し、そちらに転送しましたのでご確認ください。』
「ありがとう、どれどれ ははは。」
PDAに表示されたウィンドウに掛かれた値段を見て、思わず笑っちゃった。
「ACのコア2個くらい買えそうな値段するなあ。
そりゃ、全員持ってますってならんわなあ……」
『生存率向上のため、購入については前向きに検討されることをお勧めします。
見積もりは保存しておきますので、注文の際はまたご連絡ください。』
「はい……いつもありがとう……」
オールマインドはオススメして通信切れたけど。
こんなのポンって買えるような貯金はない。
でも、これがあると確かに生き残る確率は上がるよなあ。
次はこれ目指して仕事頑張ろうかなあ。
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リペアキットの設定については、この作品のみの解釈になります。
どういう仕組みなんだろうって考えながらコーラルを食べた結果、こういう幻覚を見ました。
そうかなあ?って思う所も色々あると思いますが、元々、ふわっとした思い付きで書かれてる話なので許していただければと。
主人公は欲しいものができたので、また仕事を頑張るでしょう、多分。