ルビコンは地区?地方?どっちでもいいが、そういう大雑把な分け方とグリッドっていうクソでかい構造物の位置を住所変わりに使ってることが多い。
明確な拠点とか基地とかあればそっち使うけどな。
例えば、べリウス地方の南部はグリッド135ってのがあって、そこの近くに街があって……みたいな。
といっても、その街はもう廃墟っていうか、大体ぶっ壊れてて水浸しだから住人はほぼ居ない……解放戦線は居るけど。
前にBAWSからの荷物運んだ時は、移動砲台設置するとかしないとか?言ってたっけな。
幾らキャタピラついてるっても建物の上にどうやって置くんだと思ったけど。
輸送用のヘリで吊るのかな?
ま、どうでもいっか。
どっかの企業が偵察してるって噂もあるし、近づきたくない。
グリッド135は設備生きてるけど、ベイラムがもう結構展開してて、使えそうなものを拾いに行くには色々やり辛いし。
とまあそんな感じで。
この星には色んな場所に、ホントによく建てたもんだと思うけど、グリッドっていうバカみたいに大きな構造体があって。
ベリウス西部のボナ・デア砂丘の名物、ボコボコ壊されたMTの残骸を見ながら進んで行くと見えてくるグリッド086が、今日の行先だ。
ちなみに、砂丘にめっちゃ転がってる各種MTとかヘリとかの残骸はマジの屑鉄にしかならないんで、拾うのはお勧めしない。
経験者の言う事だから間違いない。
ヒーコラ言いながら持って帰っても、業者には"うーん、ゴミ"って言われて逆に引き取り料取られそうになったから。
え、ゴミ?はどうしたって?
夜中に海に捨てたよ。
ドックにゴミ置いてるとオールマインドから片づけろってメールが来ちゃうし。
ちなみにグリッド086はRaDっていうドーザーが占拠してるから、ここも不用意に近づくのはオススメできない。
ドーザーは基本的にコーラルをキメキメしたヤク中ばっかりのアブネー集団で、それがMTやら何やら乗り回してるバカの群れだからな。
RaDはまだ比較的マシだが、どういう集団なのか知らんけどやけに技術力が高くてちょっと怖い。
ヘンテコなMT作ってたりACの武器やらパーツやらも作って市場に流してるくらいで、ACのパーツで作ってないのはFCSとジェネレータくらいじゃないか?
傭兵連中にも使ってる奴をちょいちょい見るし、かくいう自分も頭と脚がRaD製だから、あんまり文句も言い辛いけど……
……何の話だっけ?
ああ、RaDだっけ。違うか、グリッド086だっけ、どっちでもいいか。
マーカー目指して、自動操縦でゆるゆるブースター吹かせて進んでると、見えてきました、グリッド086。
どこのグリッド見ても山よりでかい。
こんなもの、あちこちに作ってたのに星が燃えたとか何があったんだろな、と、スクリーンに何か映ったので一旦停止。
スキャンするにも遠いから、カメラを向けて範囲指定して拡大、拡大……見えた。
「2脚に箱みたいな胴体、腕はあるような無いような、頭は無さそう。多分、MT?が幾つか。
COM、外見の輪郭から過去の戦闘記録と一致しそうなもんがないか検索して。」
操縦を手動に切り替えて近くにあった残骸に近づいて隠れる。
いや、背負ってるコンテナが飛び出してて全く隠れられてないけど、気分的には遮蔽を取ってるつもり。
《検索完了しました。表示します。》
スクリーンに出たのはやっぱりMT、過去に不法占拠してるドーザー片づけてこいって仕事の時に居たのと同じだから、多分ドーザーだろう。
問題はRaDなのか、そうでないのか?
RaDなら話せばいいんだが、そうでないなら見つかると、絶対面倒なことになる。
分かりやすく言うとコンテナ寄越せになる。
いっそこっちから仕掛けるか?
オールマインド提供のトレーニング「初等傭兵教育プログラム」をやったら、ご褒美に貰ったリニアライフルを右手に持ってはいるんだが。
「でもなぁ、RaDだったら壊すのマズイよなあ。
これからお伺いするのに、おっす、今しがた家のもん壊してきたけど良いよね?うん、良いよにはならないよなあ。」
それに結構遠いから、やるなら近づかないといけないし。
うーん。
よし、このまま、ここで少しじっとしてよう。
どうせ連中、コーラル食ってバカになってるだろうし、この距離なら気付かないだろう。
近づいてきたら通信試して、その結果で決めよう。
念のため、コンテナをすぐ下ろせるようにだけしておこう。
RaDだったら話して仲良く肩組んでグリッド086に行く。
RaDじゃなくて、ヒャッハーしてきたらコンテナ下ろして、ダッシュで近づいてリニアライフルで撃って、パルスブレードで切ろう。
脳内であーしてこーしてのイメトレはできたんで、あとは離れて行ってくれることを祈ろう。
「あっちいけー、あっちいけー。」
できるだけ戦闘はしたくない。
特に、明確な依頼でもないのにドーザー叩いても、弾代もACのメンテ代も誰も払ってくれないからな。
出費は嫌だ、出費は嫌だって、あっちいけ電波を送ってると、どうやら推定ドーザーのMT達はこっちじゃない方向に移動していったから、ほっとした。
というか、蛇行してるやつ居たからアレ、絶対にコーラルをキメながら操縦してるわ。
あーやだやだ。
結局どこのドーザーだったんだろうなあ、もしかしてコヨーテスかな?
アイツらちょいちょい、RaDにちょっかいかけてるみたいだし。
背負ったコンテナのロックをし直してる間にレーダー圏内からも消えたんで、ブースター吹かせてグリッド086に向かうのを再開する。
そんなこんなで、到着しましたグリッド086。
「あーぁー、こちら運び屋。
RaDの人聞こえますか、どーぞー。
不定期のお届け物でーす、今日行くって連絡してたんですけどー。」
垂直カタパルトの近くには今回は誰も居なかったから、公開チャンネルで通信を入れる。
この辺、めっちゃでっかく【RaD】とか【Reuse and Development】とか看板ついてるんだよなあ、すごい自己主張だわ。
『へぇーい、聞こえてるよぉー。
そういや今日だっけぇー、あーハー、ラミーには言っとくよー。』
「ありがとうなんだけど、声がバカになってない?大丈夫?
頼むぜ?前に、何だテメェってラミーがチェーンソーで突っ込んできた時みたいなのは勘弁だからな?」
声のふにゃふにゃ具合でコーラルのキマリ具合が分かってきてる自分がちょっと嫌だ。
『あッハっはッハ、アレは傑作だったなあ!
コンテナ背負って逃げ回るオマエの映像、皆に大ウケだったぜ!』
「こっちは必死だったんだが!?
一回、自分でもチェーンソーで頭もぎ取られてみろよ!」
『アレな!
壁際でコンテナが引っかかったせいで、避け損ねて頭吹っ飛んだシーンには皆大喝采だったぜ!イったーーー!って!』
「次はじゃあアンタが出演してみてくれない?自分はポップコーンとビール片手に見てるんで。」
『アっはッハァ!
あーいうのは見てるからオモシレーんじゃねーか。
それに、後でカーラの姐さんが謝ってたじゃねーか、お詫びに頭とついでに脚も貰っただろ、新しいの。』
全く悪びれた様子のない通信相手にため息が出る。
コイツが雑な仕事するせいで、ここの入口の番人、物忘れの激しいラミーってAC乗りにちゃんと連絡が行ってなかったことがあるのだ。
そのお陰でオマエ不審者だろ!って追いかけ回されて、こっちはコンテナ背負ってるのに逃げ回るしかない状況になってしまい。
コーラル中毒者が操縦するACがチェーンソー持って襲って来るっていう、ホラームービーみたいなドタバタさせられることになって……最後には騒ぎを聞いて出てきたRaDの頭目、灰かぶりのカーラが出てきてラミーを叱り飛ばして何とか収まったんだが。
そのカーラには苦笑いで謝られて……頭目にわざわざ謝罪されるの居心地悪いし。
吹っ飛んだ頭の代わりと、荷物運びするならってRaDの開発した頑丈な脚パーツも提供して貰ったんだけども。
お陰でコンテナ背負っても前より動けるようにはなったものの、あーいうのは二度と御免だからな。
次は胴体と腕を貰えるかもって?
バカ、胴体無くなったら操縦席にいる自分も無くなってるんだよ!
頭の良くない通信しながら、垂直カタパルトに乗ってアクセスパネルに繋いでコードを送信。
すぐにガギャン!!ってすごい音がして、コンテナ背負ったACが上に跳ね上げられていく。
あー、この押さえつけられる感覚、嫌だわ。
まぁ浮いてるのは数秒なので、グリッドの中層部分に到着したら重たい音立てて、着地。
綺麗な見飽きた景色を横目にしながら通路を歩いて、突っ立ってるMTにはこっちから手を挙げて挨拶しておく。
でかいゲートの前には……ラミーは……あれ、そもそも出てこないな。
もしかして寝てんのかな?
出てこないならそれが一番楽だから、気にするのは止めよう。
「ゲートの前まで来たぞ、開けてくれ。」
『はいよー。いつも通り歓迎するよ、運び屋。』
連絡を入れると、さっきの通信相手が応答してすぐにゲートが音を立てて開いていくから、通れるくらいに開いたらもうガッションガッションAC進めて入っていく。
この先に進んで少し広くなった場所がいつもの受け渡し場所だ。
コンテナの中は戦闘のあった区画で集めた、比較的壊れてないMT、ACから抜き取ったデータストレージや戦闘記録のログとか、まだ使えそうなベイラムやアーキバス製の武器やパーツ類だ。
ちなみに集めて回ったのも自分だ、廃品漁りのドーザーにあっちいけ!って文字通りに蹴り入れながら集めて、ある程度溜まったらこうしてRaDに渡してる。
RaDはこういうのをあっちこっちから回収しては、研究する材料にしてるらしい。
自分達でも集めてるみたいだが、わざわざ自分みたいなのにも集めさせて、引き取ってるあたり、研究熱心というかドーザーらしくないというか……
こうなったのは頭目のカーラが来てかららしいけども。
おっと、好奇心で詮索するのは良くないな。自分は廃品回収してもらって金を貰う、それだけで十分だ。
RaDに深入りしたいなんて微塵も思って無い。
客のプライバシーは大事にするのも、傭兵の仕事だな、うん。
最近、あんまり戦闘してないが、自分はこれでも独立傭兵なのだ。
アリーナのランクとか圏外だけどね、あれ上がると仕事来るらしいけど、派手な仕事とか怖いしなあ。
コンテナを指定された場所に下ろすと、周りにいた人間が群がって中身を運び出し始める。
こういうのはどこも行っても変わらない光景だ。
届けたもんで喜んでもらえるのは嬉しいね。
……なんか、変な笑み浮かべてデータストレージチェックしてる変態とかは見ないことにするけど。
『そういや運び屋、この後って暇?』
「後は帰って……あ、ACのメンテ予定あったなー。」
暇だよって言いかけて、嫌な予感がして咄嗟に適当に誤魔化す。
『メンテならウチでやればいいだろ、頭も足も、なんなら他もやってやるよ。
しかも今ならサービス期間中で安い!良い話だろ、よし決まり。
ついでにもっと良い話があるんだよ、メンテしてる間に聞いていこうぜ?
良いコーラルもあっから。』
……あ、コレなんか嫌な話だ。
『カーラの姐さんもそう言ってるからさ。な!』
…………ア、ハイ、ヨロコンデ、オウカガイイタシマス。
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まさか感想いただけるとは思ってもおらず。
ありがとうございます。
自分もゲームの中で描写されないような、背景にいる人の話が自分も大好きです。
背負ってるコンテナはトレーラームービーって言えばいいんだっけ、PVで出てきたやつですね。
621に届けるのは命がけになりそうで、依頼受けるの嫌がりそう。
どこに行っても居るのは企業の連中とドーザーがドンパチしてそうで、物資の輸送が大変なんじゃないかなーと思ってこういうの想像してました、はい。
引き続き、ふわふわイメージのまま思いついたら続けていこうと思います。