何かを運ぶ傭兵稼業   作:大金剛

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大分治ってきたので、咳止めコーラルを飲んでおります。
コーラルは喉にも効く万能物質。


第20話

 

あれから2日ほど経っているわけだが、その間はやっぱり空振りばかりだった。

 

まず、どこの構造物もそうなんだけども、全体の電源が死んでると当たり前だが入れない。

 

しかし入れませんでは調査にならないので、どこかに入れそうな亀裂がないか探したりとか、屋上から入れないか登ってみたりとか。

 

隣の構造物が生きてれば、内部の壁のパネルを外してケーブル引き出して……

こう、延長ケーブルみたいに継ぎ足して伸ばして、継ぎ足して伸ばしてを繰り返し、近いゲートだけどうにか開けようとしてみたりとか。

 

もう面倒だからってパルスブレードで斬れないか何回か試したが、やっぱりアイビスの火以前の構造物は頑丈過ぎて、とても切り裂けるようなもんじゃなかった。

内部のパネルだの、その内側のケーブルだのなら兎も角、建材はマジでどんな素材でできてるんだろうか。

 

この建材をどうにか切り出して、棍棒みたいにすれば、そのまま武器になるんじゃないかって思う。

ACが両手で握ってフルスイングしたら、やばい鈍器になる気がする。

 

ベイラムとか似合うんじゃないかな、ド偏見で喋ってるけど。

RaDに提案してみようかな、ノの字みたいな鈍器。

 

 

一応、生きてるデータサーバとか、放置されてた作業用MT?無人機っぽかったけど……そういうのから断片的に取れたログを突き合わせていくと、だ。

地下施設について言及してるのがちょいちょいあるから、どこからか入れるか、砂に埋まっちゃってるかどっちかだろうなあと思って、ウロウロと探索してたわけだ。

 

ああ、毎日、オールマインドを通じて成果はちゃんと報告してる。

 

時間かかる仕事とはいえ、今どうなってるのか分からないと依頼人も不安になるかもしれないしな。

RaDと解放戦線に事前に話は通したとはいえ、それとは関係ないのと遭遇してトラブルが起きる可能性だってあるわけだし。

 

なので、探索した場所とかチェックしたマップと、拾えたデータログとかは夜に纏めて送信してた。

 

 

そんな感じで歩き回って、色々収集したデータを纏めてみた結果、ついにそれっぽい場所を見つけたわけだよ。

 

今は、大き目の建造物だったのが真ん中でへし折れて、上半分はどこかに吹き飛んでいったような建築物の地下に居る。

この地下通路のフロアの1つに、更に地下へと続くゲートがあったので、アクセスポートをハッキングして、どうにか開けーと……頑張ってくれてるのはCOMなんだけども。

 

 

 

《ゲート開閉パネルの掌握を進行中、現在89%  残り時間 51秒です。》

 

 

コンテナはゲートのあるフロアの端っこに置いていくとして。

何か見つけたら細かく戻って来ることにしよう。

 

何があるかは地下に降りていってみないと分からないけど、警備装置とか生きてたりすると、多少動けないとやばいかもだしな。

こういう時になると、前使ってたシールドが欲しくなるんだけども、肩の装備は持ってきても自分じゃつけられないから、この辺は諦めるしかない。

 

 

《ゲート開閉パネルの掌握を完了しました。ゲートをオープンします。》

 

 

お、終わった。

 

ガゴンってすごい重たい音がして、分厚いゲートが上に開いていく。

中を覗くと、斜め下に向かってる伸びてる四角い穴みたいだなあ、これ。

 

床にレールみたいなのがある?から、下まで降りていくと、エレベーター床があるのかもしれないな。

一応、壁や天井に点々と光があるから電源は生きてるっぽい、少なくとも途中までは。

 

 

「よし、やっとそれっぽいの見つけたわけだし。

 行くかあー……これで、ただの地下倉庫でしたってオチにだけはなりませんように。」

 

 

ゲートが完全に上がりきったのを確認すると、真っ暗な中にACをゆっくり進ませていった。

 

 

 

 

一回、踊り場みたいな場所に出て折り返した後、更に下に向かって降りていく。

 

踊り場みたいな場所は多分、物資を一回仕分けするところ?だったのかな。

コンテナが幾つか残ってたが、中身はありふれた資材や部品類だったので、中身を出して1つ、小型のコンテナを左腕で抱えていくことにした。

 

何か見つけたら、これに入れて持っていくことにする。

 

 

ガッションガッション、ゆっくり降りていくと、結構な時間が掛かるが……ああ、やっぱり最下部まで降りると可動式っぽい床に辿り着いた。

スキャンしてみると少し離れたところにアクセスポートがあるから、何かデータが引き出せないか試してみる。

 

 

「COM、引き出せるデータがあれば何でもいいから。」

《はい、アクセスとデータ取得を開始します。》

 

 

頭返さないアイツから貰ったハッキングアプリ?ツール?がめちゃ役に立ってるから、暫く催促はしないでおこう。

これで簡易版だって言うんだから、アイツはやっぱり本職の泥棒だったんだなあって良く分かったよ。

 

この床エレベーターが動かせれば、帰りはこれに乗って帰ろう。

 

COMにハッキングを任せてる間に、ACの各種ライトを強めにして周りを見てみる。

スキャンしてみても、ここは特に何も残ってなさそうだな。

 

 

《エレベーターのアクセス権とデータ取得を完了しました。》

《データをスクリーンに表示します。》

 

 

おお。

 

といっても、表示されたデータの量自体は多くないが……ここはメインになる大型ゲートを作るために一時利用されてた、作業用の出入口なのか。

だからきっと、メインゲートができたから後は使われてなくて、余り物も残ってないんだな。

 

近くに色んな建築する間だけ使われていた簡易管制室みたいのがあるらしいから、一旦はそっちを目指してみよう

システムが生きてればマップとか手に入るかもしれないし。

 

というわけで、ガッションガッション、ACを進ませてほぼ真っ暗な通路を歩く。

 

うーん、何十年も誰も歩いてなかったっぽい場所を進むのはワクワクするなあ……

定期的にスキャンしているが、たまに、天井とかに張り付いてる変な虫みたいな作業用ロボは稼働中なんだろうか?

 

通り過ぎる時に落ちてきて襲ってこないか、ちょっと心配したりもしたが……

全く無反応なので多分、稼働中でもガードプログラムとかそういう機能は無いんだろう。

 

 

取り立ててトラブルも無く、簡易管制室の中に入れたので、生きてそうなサーバやアクセスポートが無いか調べてみる。

 

やっぱり役割を終えてるっぽいのか、がらんとした室内の端っこに転がってたデータストレージは左腕に抱えてたコンテナの中に一旦、入れておくとして。

ウロウロしてると、コントロールパネルみたいな大型モニターと、コンソールみたいのがあったので、COMにアクセスを試してもらう。

 

 

《アクセスポートの生存を確認、アクセスとデータ取得を開始します。》

《取得されたデータを順次、スクリーンに表示します。》

 

 

スクリーンに表示されたデータのうち、テキストとか画像データを優先して見てみる。

 

この画像は見取り図というか、設計図かな?

結構な枚数があるので流し見しつつ、テキストはえーとえーと……

 

 

「この施設はもっと大きな地下施設を作るための前座だったのか。

 本当に作りたかった地下施設はもうちょい離れた場所にあって、そっちも建設済だし、大型の通路で繋がってはいる、と。

 

 向こうが稼働し始めた後は、人手とかはリソースはそっちに移ってて、ここでは若干の坑道拡張が進められていた、と、ほへー。」

 

 

この見取り図とか、このテキストだけでも全然、成果になりそうだが……

COMが頑張ってくれてて、この施設の全体マップみたいなのも少しずつ見えてきてるので、データ取得が終わるまではテキストを読みながら待つ。

 

ほうほう、あの虫みたいなロボは「AM01:REPAIRER」っていうのか。

想像してたとおり、施設のメンテとか修理とかするために居るらしい。

 

特にちょっかい掛けなければ、反応して攻撃したりはしてこないらしいので、今後も触らないでおこう。

 

資料だと警備用に所属不明の相手を攻撃するヤツも居て、電撃ユニットなんて物騒なもの装備したヤツもいるらしいが……

隣の……隣って言っていいのか分からないけど、作りたかった大型施設が稼働し始めた段階でそっちに移されたので、ここには居ないらしい。

 

良かった、警備用が居たら面倒が増えてたな、これは。

 

 

《データ取得を完了しました。》

《本施設の構造をスクリーンに表示します。》

 

 

と、COMの作業が終わったらしい。

 

表示された全体マップを見ると、この下にもう2階層くらいあって、更にその下が拡張中の坑道なのか。

 

隣の大型施設への通路もあるけど、それはこの施設からじゃあ開けられないらしい。

そういうのは全部、隣の大型施設からコントロールしてたみたいだ。

 

こっちの施設の倉庫や無人機の整備フロアとか……ああ、一応、坑道まで見に行ってから帰るか。

 

 

 

 

暗いままだと歩き難いので、さっきの簡易管制室で施設全体の照明をONにできないか試したが……

操作はできたものの、やっぱり物理的に断線とか故障してる部分も多いのか、廊下も一部だけ明るかったり、反対に暗かったりとか、一定しない状態だった。

 

ホラームービーみたいでちょっと怖くなったけど、照明がACのライトよりはマシだろう、うん。

 

 

無人機の整備フロアにつくと、ちょっと大き目のMTみたいのの部品が散らばってたり、半分くらい組み立てられたまま置き去りにしたりとかが目についた。

きっちり組み立てれば動くのかもしれないけど、無人機って今でも使えるもんなんだろうか?

 

とりあえず、一番原型を保ってるっぽい無人機の横にある作業台にアクセスしてみる。

 

 

「この無人機はIA-05: WEEVILっていうのか。

連装機関砲、大型キャノン、垂直ミサイル……胴体にミサイル?このスペック本当?

 

現役のMTじゃ束になっても勝ち目がないと言うか、ACも余裕で粉砕しそうなデータ並んでるけど……」

 

 

無人機だから、どれだけ積んでもパイロットの負荷とか考えなくていいよねってこと?

コーラルジェネレータって何だよ、初めて見たよ、そんなジェネレータ。

 

ここにあるのは全部、そういうのは取り外されて隣の大型施設に運ばれたらしいから、残ってないみたいだけども。

コーラルってジェネレータにもなるんだなあ……

 

 

「作業台にあるのは無人機用のFCSか、IA-C01F……が型番かな?

 取り外されてるってことは、他に何かと乗せ換えようとしてたのかな。」

 

 

とりあえず成果にもなりそうで、持ち出せそうな部品を見つけたので、抱えていたコンテナの中に色々と入れていく。

このコンテナの中身と、この施設と大型施設の位置情報とかあれば、依頼人も満足してくれるだろう。

 

一旦、床エレベーターのあるフロアまで戻って、コンテナを置いておく。

 

最後に拡張してたっていう坑道を見に行って終わりにしよう。

 

 

 

 

坑道は思ったより広くて入り組んでて、迷路みたいだなーと思ってたまでは良かったんだが。

 

先に進むにつれて、COMが引き出してくれた坑道のマップと合わないところが出てきた辺りで、引き返してれば……マップを埋めておこうとか思わなければ。

途中ででっかい歯車みたいな機械が倒れてたりしたが、掘削に使ってたんだろうなって深く考えなかったのも良くなかった。

 

 

坑道の端っこまで辿り着いたらさ。

その、でっかい歯車が岩盤に食い込むみたいにして直立してたんだよ。

 

あーこんな風に掘削してたのかー、すごい音しそうだなーとかって暢気に近付いて、刃物部分の構造とか眺めてたらさ。

 

 

ギュイイイイイイイイイイイイイイイン!!

 

 

っていきなり動き出したんだよ、掘削機械が!

もう驚いたのなんのって、うわぁ!?って悲鳴上げながらACをバックさせたよ!!

 

だって、この掘削機械が稼働してたのって50年とか前だよ?

動くと思わないじゃないか、しかも、唐突に勢い良く!

 

 

それで、この掘削機械はまた坑道掘るのかって、じーって見てたらさ。

突然、ガチャガチャ!って中で音がしたから、今度は何だよって思ったらさ。

 

刃物部分が逆回転始めて、食い込んでた岩盤から抜けてこっちに突っ込んできたんだよ!

 

 

「は?」

 

 

そりゃこんな声も出るわ。

多積層のヤベー歯車ブレード?が高速回転してこっちに突っ込んで来るという、現実感ゼロの光景に全く動けなくて。

 

掘削機械が目の前を通り越して行ったのはただの偶然。

さっき、いきなり動き出したのにびっくりしてACを後ろに下げてたから、偶然、外れただけでさ。

 

そうしてなかったら、もうこの時に掘削機械と石壁に挟まれてバラバラにされてたかもしれない。

 

掘削機械が石壁に激突した音で我に返れたから、慌ててブースタ全力で逃げに走ったものの。

恐ろしい事に掘削機械はまた、ギュイイイイイン!って音させながら追いかけてくるしさ。

 

正直、何で追いかけてくるのか全く分からない。

 

所属不明の侵入者を検知すると、追い掛けてミンチにするようプログラムされてるのか?

ACの全力機動と似たような速度で転がってくる、同じくらいの大きさの掘削機械って、どういうこと?

 

振り切れないんだが?

技研っていうのは頭がおかしいのか?

 

 

たまたま、別の坑道に繋がる横道があったので、ブースタの左肩と足部分を真横に吹かして、垂直横飛びみたいな機動で飛び込む。

掘削機械はそのまま真っ直ぐ転がっていったので、一旦は助かったか?

 

 

「COM、何あれ……」

《はい、本施設から取得したデータから対象を検索します。》

《対象はIE-09: HELIANTHUSと思われます。》

「へりあんさす?」

《はい、岩盤破砕を目的とした作業用無人機です。》

「……じゃあ何でACを追い掛けてくるんだよ、そのまま岩盤掘ってろよ!?」

《はい、データ不足により不明です。》

 

 

誤作動にしても酷過ぎる。

乗ってるのがACだから良かったものの、MTだったら速攻で追いつかれてバラバラにされてるぞ、あれ。

 

うわ、今横をちらっと見たら、そのヘリアンサスっていうのがいつの間にか戻ってきてて、こっちを見てる。

いやヘリアンサスが向けてるのは側面だから、見てるって表現が正しいのかは分からないけど。

 

 

「マジで何なんだ、もうアレを避けて帰ろう。

 こっちの道から    ぎゃあああああああああああああああ!??!」

 

 

おい、ふざけんな、おい!

 

側面の穴から火い吹いてきたんだけど!?

しかもACのバリアが、装甲が目に見えて溶ける!?どんな高温なんだよ!?

 

悲鳴と一緒に転がるように横道を出て、反対の道の火炎放射が届かない位置まで退避する。

 

スクリーンに表示されるダメージレポートが目を疑うレベルで酷い。

一瞬しか浴びてないのに、こんなにダメージが入る火炎放射って何なんだ!?

 

 

「COM!なんだよ今のはぁ!!」

《はい、岩盤融解用の火炎放射機構と想定されます。》

「何を燃料にしたらあんな勢いで火を噴けるんだよ!!」

《はい、設計、カタログデータは取得できていませんが、IA-05: WEEVILの構成から推測するとコーラルジェネレータと考えられます。》

 

 

コーラル燃やすとあんなになるの!?危険物質過ぎないか!?

 

ルビコンの人間はそんなものでワーム育てて食ってるの??

そりゃドーザーも、コーラルキメたら脳が弾けるって言うわ、神経が燃えちゃうんじゃないか??

 

もういい、もういい、こんな地獄みたいな場所からはとっとと逃げよう。

 

とか思ってたら、さっき飛び出した横道からギョリゴキャギリリリリって、本当に地獄みたいな音がして……

ヘリアンサスが地面と天井を抉り取りながら強引に抜けてきた、そして、側面の岩壁に突き刺さった。

 

つまり、ヘリアンサスはこっちに側面を向けてるわけで。

 

 

「また燃やされる!?」

 

 

慌てて大きく距離を取って、火炎放射されても大丈夫だろうってぐらいには離れたら。

今度はヘリアンサスの側面でガコンって音がして、側面の装甲が回ったと思ったら、なんと。

 

 

「いやなんでだああああああああああ!!??」

 

 

今度はミサイル撃ってきやがった。

 

本当に何で?なんで岩盤掘削するのにミサイルが要るの?

何に使うって言うんだよ、必要無いだろ、ミサイルは。

 

慌てて下がりながら右手のバーストライフルを乱射するが、当たって1-2発、全部撃ち落せるわけがない。

更に、狭い通路では逃げ場も無い。

 

直撃でバリアと装甲が、直撃しなくても爆風でバリアが消し飛んでいく。

 

 

「死ぬ、死んじまう!!」

 

 

その頃には自分を側面から引っこ抜いたヘリアンサスがまた突っ込んでくるし、逃げながらバーストライフル撃っても高速回転するブレードに弾かれて全く通じない。

 

決死の覚悟ですれ違いざまにパルスブレード振ったが、これも駄目。

少しだけ、手応えはあったが、反撃に火炎放射されて今度こそ溶けるかと思った。

 

ダメージレースで圧倒的に負けてて、全く勝負にならない。

 

 

「技研は頭がおかしい!!」

 

 

結局、半泣きになりながら、坑道を逃げ回った。

 

横道移動を繰り返して時間を稼ぎ、そのせいで道に迷ってパニックになったりもした。

あと、突っ込んで来るのを除け損ねて、右腕がボロボロにされた挙句、バーストライフルはヘリアンサスのブレードに噛み砕かれて木っ端微塵になった。

 

 

今、やっと坑道の出入り口まで逃げてきて、COMに指示して非常用の隔壁を閉鎖しようとしてる。

 

ACの各パーツが展開してるバリアはエネルギー切れで落ちてるし、装甲も溶けるわ爆ぜるわで、ちょいちょい中身が見えそうになってるから、もう本当に限界だ。

どこにも繋がってない坑道なんか塞がせて貰う、というか、あんな危険物を間違っても外に出すわけには行かない。

 

砂丘を移動してるストライダーにでも突っ込まれたら、下手したらストライダーでも足を切り落とされかねない。

 

 

「COM、早く閉じてくれ!

 ヘリアンサスの音がする、ギュイイイイインって聞こえてくる!!」

《はい、高速接近する音源から到着速度を推定しています。》

《隔壁閉鎖の方が1.2秒早い計算です。》

「いってんにびょう!?」

 

 

悲鳴になったのも仕方ないと思う。

 

機体は中身も限界なので、ジェネレータが熱処理し切れなくて出力が上がらない。

つまり、閉鎖が間に合わなかったら、逃げ切れない。

 

そうなったら通じないと分かってても、パルスブレードで切り掛かるしかないという絶望感。

 

 

そしてギュイイン!!って爆音がもうすぐそこまで……というところで、ロック機能がパージされた非常隔壁が落下してきて出入口を閉鎖した。

 

非常隔壁が床に激突する音も凄かったが、ヘリアンサスが非常隔壁に激突する音は更に凄かった。

 

激突音というか、爆発音みたいな音がした。

非常隔壁が壊れなくて本当に良かったよ……

 

 

「い、生きてる……生きてるよ、自分……」

 

 

狭い坑道の中だから、こっちも逃げ辛いけどヘリアンサスも動き辛かったのが幸いしたんだと思う。

これが広い場所で縦横無尽に動かれたら、逃げ切れなかったと思う。

 

あと、動いてたのが1機だけで良かった。

もう1機いたら、それも逃げ切れなかったと思う。

 

 

「よ、よし。

 少し休んだら帰ろう。

 

 床エレベータで上がって外に出よう。

 調査は終わりだ、外に出たらオールマインドに連絡入れてくれ。

 

 トラブルで酷いダメージを受けたので、ACの修理の手配お願いしますって。」

《はい、了解しました。

 地上に戻り次第、帰投の連絡と修理依頼のダメージレポートを作成し、送信します。》

 

 

 

 

その後は特にそれ以上のトラブルは無く。

いや、何かあったら、自分はドックに帰り着けなかっただろうけども。

 

というかあれ以上のトラブルってなんだってレベル。

話が一切通じない無人機って時点でメーテルリンクより酷いぞあれは。

 

 

今はボロボロになったACをハンガーに置いて、必死に集めてきたデータ類を指定のアーカイブにアップロードしながら、物理的に回収してきた品の引き取りを待ってる。

 

 

地上に出てからオールマインドに連絡したら、返事は相変わらず凄い早くて。

持ち出したデータの一部とか、他にも施設がありそうだとか、そういうのを送信したら、依頼人への確認も直ぐやってくれた。

 

依頼人もずっと待機してたのか、確認が早くて……結果には大変満足らしい。

まだ全部のデータとか渡す前なのに、ACの修理費とか無くしたバーストライフルとかは全部保証してくれるって言ってくれてるらしかった。

 

いやほんと、ありがたい。

 

 

ドックに帰ったらすぐに回収してきた品を引き取る手配を回すので、それが終わったらゆっくり休んでくれとさ。

 

行動ログとか、ヘリアンサスの戦闘……戦闘っていうか逃げ回った戦闘ログだけど、そういうのとかもアップロードだけしてくれれば、レポートは休んだ後で構わないそうだし。

依頼人が優しいのか、オールマインドが調整してくれたのかは分からないけど、どっちにしてもお礼は言っておいた。

 

 

お、ヘリの音が聞こえてきた。

 

多分、引き取りの人だよな、さっさと渡して持って行って貰おう。

最終的な報酬が幾らになるのか分からないけど、最後の方で死に掛けたし、高値がつくといいなあ。

 

リペアキットに足りるかなあ?

それは無理かなあ、半分くらいにはなるかなあ。

 

リペアキット買えたら、次は増えたアーキバス製品でも見て……よし、なんかそういうの考えてたら元気が出てきたなあ。

 

 

おっと、ドックの入り口までは迎えに行かないとな。

 

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

 

 

 




長さの分量というか、配分どうなってるんだと思われそうですが。

幻覚の見える長さが一定しないので、思いつくままに書くとこうなる次第でして……配分を考えるとかはできないようです。
あと、幻覚を文章化するのって難しいですね。

全てはコーラルの導きなのです。

次回はACの修理が終わったら。


ちなみにノの字の鈍器はハベルの大竜牙みたいな……?


あ、別の大型施設はきっと依頼人が後日、自分で準備を整えて調査に入るんじゃないですかね。
そこには稼働するWEEVILとかHELIANTHUSも一杯あるのかもしれませんね。

そこで起動したのがうっかり外に出ちゃったりとかして、それがたまたまストライダー……いえ、なんでもないです。
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