何かを運ぶ傭兵稼業   作:大金剛

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ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON 公式ガイドブックが届いたので、早速読んでいます。
マップを見てるだけで色んな幻覚が見えてくるようです。
これもコーラルの導きに違いありません。

あと、凄く長くなってしまいました。


第29話

 

ルビコンには海があって、強引に越えようと星になったヤツがいるって話は前もしたよな。

 

ベリウス地方の西にあるアーレア海にはベイラム、アーキバスとかの企業も全然、調査の手を入れて無かったりする。

コーラルって地下から取れるなら、海底にもあるんじゃないの?って思うかもしれないが、これにはちゃんと理由がある。

それは浅瀬ならまだしも、水深が深くなってくると、ACやMTが入れないからだ。

 

ACって水の中はある意味で真空の宇宙よりも動かせない状態になって、沈んじゃうと上がれなくなっちゃうんだよ。

気密周りはしっかりしてて、浸水とかするわけじゃないんだが、水中だとブースタが上手く吹かせなくて大きく動けなくなる。

 

そうするとジェネレータの出力を幾ら上げても駄目で、逆にエネルギーの行き場が無くなって……とか、まぁとにかく水は駄目なんだ。

ACでそうなんだからMTが水中で動けるわけも無く、気密処理もACほどじゃないから、一回沈んだら中に水が入ってそのまま終わりなんじゃないかな。

 

そういうわけだから、コーラルが無いかなって海底調査をしたいなら、船と専用の機器、機材を用意しないといけない。

 

 

ルビコンでマトモに大きな船を作れるとしたらBAWSとかか?

当然、船の生産とか価格もバカ高くなるわけで、そんなリソースを払うよりは、地上を探す方が良いよねってなるわけだ。

 

だから今のコーラルを巡る争いは少なくとも、ベリウス地方を全部調べ終わるまでは、地面の上で続くんじゃないかな。

 

それが終わった後?

さぁねえ、勢力図がどうなってるか分からないし。

それか、どうしても何か海を越えなきゃならない理由ができたら、その時には話が変わってくるかもしれないな。

 

現状じゃあ、解放戦線が企業を押し返せる未来は余り無さそうだからなあ。

じわじわ削られながら耐えてる間に起死回生の何かが起きない限りは、そのうち企業が全部制圧して、さてどうなるかって感じじゃないか。

 

 

 

 

さて、今回の仕事先はオールマインド指定の区域。

 

勢い良く飛んできたここは、えーとああ、詳しく言うのは止めておくか。

記録や何やらは後で消すとは言え、最初から残さない方が楽だし。

 

指定の座標は特に何もない丘の上で、見渡しても何か施設とかがあるわけでもない。

カメラを遠距離にして見れば、遠くに廃墟みたいなものがあるかな?その程度だ。

 

 

現地に到着したので、メールで送られたプログラムを通して指定された手順と方式で通信を入れる。

これ、秘匿通信な気がするな。

 

 

「こちら運び屋、聞こえてるかな。現地についた。」

『はい、こちらはオールマインドです。通信に問題ありません。

 それでは指定のルートを進行し、排除対象となるドーザーを発見の際は対処をお願いします。』

「了解した。

 排除対象かの判断はお願いしていいって話だったよな。」

『はい、発見次第、マーカーを付与します。

 

 指定区域はコーラル探査も終わっており、今後の展開にも有意な場所ではないと企業が放棄した場所です。

 現状の戦線に向かうルートとしても適さないため、区域内に存在する可能性があるのは企業勢力ではない想定です。

 

 一時的に激化した企業、解放戦線の戦闘において、その端を狙うことから弾き出された、または明確な目標のないドーザーや、敗走して迷い込んだ解放戦線の部隊を想定しています。』

「なるほどね。

 理解できたよ、特に問題も思いつかない。」

『はい、それではよろしくお願いいたします。

 

 なお、別の区域で同依頼を担当している者が居ます。

 特に顔合わせなどは想定していませんが、急を要する事態が発生した場合には別途、ご相談します。』

「ん?ああ、どこかで同じような掃除の担当者が要るのか。

 はいよ、そんな緊急事態が起きないといいなあ……それじゃあ始めるよ。」

 

 

通信回線はそのままでいいって話だったので、回線を開いたままマップに表示された指定ルートに沿ってACを飛ばす。

低空飛行でゆっくり飛ぶとして、隠れやすそうな地形や廃墟がある時は降りて何回かスキャンするか。

 

指定された範囲はかなり広いが、焦らずやろう。

こういうのは時間が掛かるよりも見逃す方がまずいからな。

 

 

 

えー、仕事を始めて1時間くらい経ったわけだが。

既に1つ、ドーザーっぽい小集団を排除したところです。

 

スキャンするまでもなく、移動してるMTと箱に足をくっつけたような、MTに分類していいのか微妙なアレを見つけたから、近付いたら向こうから撃ってきたよ。

オールマインドのマーカーも即座についたし、照準も適当なのか撃ってきた弾も当たるコースじゃなかったんで、無視してミサイルとバーストライフル撃ち返したら早々に終わったよ。

 

ろくに回避する動きも無かったから、ドーザーにしても大分、質が悪そうだったなあ。

 

一応、一番マシな残骸になったMTの傍に着地してデータを吸い出してみてる。

 

 

「何か取れるかなあ。」

『取得したデータはこちらでも確認を行います。

 有用な情報があるといいのですが。』

 

 

心なしか、オールマインドも期待して無さそうな声に感じるような。

 

 

《取得データのうち音声ログは破損状態で再生可能な時間は34秒でした。

 その他、テキストファイルをスクリーンに表示します。》

 

 

どれどれと先にテキストファイルを眺めてみると、メールのやり取りが残ってた。

こいつらはドーザーというか、食うに困ってたドーザー未満の現地民だったようだ。

 

ドーザーが企業や解放戦線の輸送トラックとか、撤退中の部隊を襲ってるって知って、それなら自分達でもいけるんじゃないか?って思ったらしい。

でも、そんなのどう探せばいいか分からないし、戦闘してる区域に近づく度胸もないから、彷徨ってる間にこの区画に流れてきたと。

 

そうだな、生きるのが苦しいからって人のものに手を突っ込む。

気持ちはわかるが、でも、それをやるなら命と引き換えになってもしょうがないんだよな。

 

MTが持ってた銃は以前に戦闘のあった場所で拾ったもので、手入れもロクにされてないから、そりゃ狙いも定まらないなって納得の代物。

音声ファイルは特に意味のない雑談しか無かったから、これはもういいや。

 

 

「うーん、ルビコンの世情は本当に世知辛いなあ。」

『特に他集団の位置を示すような情報はありませんでした、引き続き対応を行ってください。』

 

 

オールマインドも興味が無さそうだ。

それもしょうがないな、今のやつらを纏めるなら、何もかも運が悪かったってことで。

 

 

そんな感じで頻繁にって程じゃないが、小集団を見つけると片付けていく感じで飛んでいる。

一応、片付けた後はデータを吸い出せるなら、確認はしてみてる。

 

一回、略奪に成功したドーザーが逃げ延びてきた後だったのか、戦利品の分配で揉めてるところに遭遇したが、それも片付けた。

ヒートアップして身内で撃ち合いそうな怒鳴り合いしてたから、むしろ一番楽に不意打ち気味できたかもしれない位だったわ。

 

その場にあった戦利品、多分、解放戦線から奪ったものかな?

これについてはオールマインドからは不用品として処理してくれって要望だったので、肩の4連ミサイルで処分した。

 

 

「やっぱり細かい集団しか居ないのかな。」

『本来の目的区域からあぶれて押し出されただけであれば、今回の激化した戦闘が沈静化するに従い、以前と同じ状況に戻ると考えています。

 しかし、この区域での略奪、または通るルートを構築され、その成功例を作られるのは問題ですので、全て排除していただく必要があります。』

「ぉお、説明ありがとう。

 そうか、ここを仕事場にしなくても、通り道にされるのも駄目なんだな。」

 

ぽろっと口から出た感想にオールマインドが律儀にコメントしてくれた。

そうだ、通信繋ぎっぱなしだったんだっけ。

 

聞いたりはしないけど、オールマインドの輸送ルートって定期的に掃除してるんだろうなあ。

 

今回の仕事により理解が深まったところで、また調査というか巡回かな?を再開。

ブースタ吹かせて、また低空飛行に戻る。

 

 

 

 

指定区域の1つ目はそれ以上の発見は無くて、2つ目の区域も幾つか小さい集団を見つけて対応したくらいだった。

 

取れたデータで分かるのは、やっぱりドーザーの中でも下っ端というか、端数だったということくらい。

元々人数が少ない集団だったり、ある程度力がある集団でも、立場が悪かったりとか、そういうのしか居なかった。

 

良さげな襲撃場所や相手を見つけられなくて、なんなら他の自分たちみたいなのを探して襲えばいいかって考えでこの辺まで来ちゃったようだ。

 

オールマインドが言うには過去のデータと比較すると、見つける回数がやっぱり多いらしい。

以前は同じように巡回しても何も無いか、迷い込んできたのを1回くらい見つける程度だったんだとか。

 

今回の補給線の叩き合いとその報復による戦闘は、広範囲・複数の箇所で相当に激しくやってるので、周辺への余波も大きいんだろうとのことだった。

 

 

独立傭兵にとっては稼ぎ時な状況になったなあ位にしか思ってなかった今回の件。

 

稼ぐぞーって好き勝手に動く独立傭兵を十全に支援できるようにって、どこの勢力にも属さず、独自にこういう風にやってるオールマインドって凄いんだなと改めて思った。

 

 

というようなことをオールマインドと喋りながら飛んでると、3つ目の区域でレーダーに結構大きめな反応が表示されたから、一旦、地上に降りる。

 

 

かなり離れた場所にある丘の上から、カメラを遠距離にして確認する。

MTが6-7くらいか?あとは4脚っぽい大きさのが1つ……いや、あれ上に胴体乗ってるな、4脚ACかな?

 

大型輸送トラックを囲んで歩いてて……積み荷はコンテナの他に、何か細かいのが積んであるみたい、と。

 

 

「ちょっと多いが、どうやろうかな。

 もうちょっと状態見て決めるか。」

 

 

このまま突撃ーとかは絶対にしないのが自分のやり方だからな。

目立たないように少し大回りで近づいて、距離を縮めて再度、集団を観察する。

 

 

「やっぱり4脚ACか、アーキバスの4脚に他がBASHOって似合ってないなあ。

 しかも4脚だけ他より綺麗で、持ってるのもベイラムとBAWSのマシンガン、あれは解放戦線かな。」

 

 

あれで企業の部隊だったら、どういう組み合わせだって感じだし。

ドーザーって可能性も残るが……まぁ、どっちでもやる事は変わらないしな。

 

 

『Transporter、必要であれば別区域の担当者へ支援を要請することもできますが?』

「ん?ああ、攻めるのに不安があるわけじゃないんだ。

 どういう流れにしようかなっていうのと、あとは、どこでやろうかなってマップ見て考えてた。」

『――承知しました。

 では、何かあればご相談ください。』

「ああ、気遣いありがとう、オールマインド。」

『いえ――依頼をしている以上、問題なく進むように提案をしているだけです。』

 

 

なんか、オペレーターが居るみたいでちょっと楽しいな、これ。

今までそんなの居たことないけど。

 

ああ、今回の依頼中限定だが、識別名だけで呼んでもらうことにしてる。

いつもの識別名から始まる呼び方だと長いから、急ぎの時に無駄に時間が掛かるから。

 

 

「輸送トラックを中心に前にMT3、左右に1、後ろに2の、ACは前歩いてるので……」

 

 

マップにある地形の通りやすそうなルートで進むと考えると、こうなってこうなって。

 

 

『――Transporter、依頼に直接関係ないことの確認ですが。

 こういった襲撃や、戦い方についての経験が多いのでしょうか?』

「んー……AC乗りになる前も、後も、正面からよりはコソコソしてるのは多いかな。

 他の傭兵みたいに派手に撃破数稼いだり、真っ向勝負で腕だけで勝つ!みたいなのは向いてないみたいでさ。」

『回答をありがとうございます。

 興味深い戦闘パターンの構築だと考えます、そのまま続けてください。』

 

 

突撃して薙ぎ倒すみたいな、そういうことができればいいんだけどね。

そんなカッコいいことができる傭兵ばかりじゃないんだよ。

 

よし、大体の流れを頭の中で決めたので、行くか。

 

といってもすぐ攻撃とかじゃなくて、できるだけ幅の狭い場所を通るまで後をつけて行くんだが。

 

 

 

 

横から狙えるようにちょい高い場所に陣取って……まあ見えないように隠れながらだけど。

うん、カッコ悪いね、でもしょうがないね。

 

それじゃあ、集団がイメージしてた場所に差し掛かったし、行動を開始しよう。

 

 

もう相手から見られても構わないので、全体が見える場所まで移動して。

先頭を歩いている4脚ACをロックして垂直プラズマミサイルを撃つ。

 

次、横を歩いてるMTに4連ミサイルを撃って、結果を見る前に自分はブースタを吹かせて急いで後ろに回るように動く。

 

プラズマミサイルは落ちてくるまでに時間があるので、もう見えてないけど、先に4連ミサイルが横のMTに直撃、吹き飛ばして輸送トラックに激突するはず。

 

ほら、爆発音がした。

MTから外れても輸送トラックの横に当たっただろ、きっと。

 

 

『なんだぁ!?』

『敵だ!?右が食われた、確認しろ!!』

 

 

そっちを見る頃には自分は集団の後ろに居る、移動が何とか間に合った。

プラズマミサイルが上から4脚ACに落ちていくのが見えるよ。

 

 

『っく、総員前方も ぐぁあ!?』

 

 

4脚ACは上に気づいたみたいで、慌てて前に飛び出したけど。

そのプラズマミサイル、近接信管で範囲も広いから、ちょっと動いたくらいじゃ逃げられないんだよ。

 

ついでに前にいたMTも巻き添えになってくれてれば嬉しいな。

というか、自分のACも姿を晒してるのに、まだ捕捉してないのは解放戦線の中でも結構、練度が低い方な気がするな。

 

輸送トラックの後ろでまごついてるMT3機をロックして、4連ミサイルを撃ってからちょっと緩めに接近する。

 

 

『後ろにあぁあああ!?』

『AC何でこんなとっ』

 

 

なんか言いながら爆発していくMT2機はもういいとして。

1機は当たり方が中途半端だったのか、動きそうだったのでバーストライフルで撃って処理しておく。

死体蹴りの追い打ちになったとしても別にいいんだ、しっかり殺しておくのが大事だから。

 

で、前に逃げてもプラズマミサイルに当たった4脚ACがこっちを狙おうとするなら。

勢い良く後ろに回ろうとするなら、多分。

 

 

『お前えぇ、企業の犬か!!』

 

 

そう、ジャンプして飛び上がって、輸送トラックを越えてくるよな。

お前らは大事な輸送トラックを巻き込んでは撃てないもんな。

 

そのまま上から撃ってくるサブマシンガンに多少被弾するのは必要経費と割り切って、相手が着地する前に体当たりするようにジャンプしてパルスブレードで斬りかかる。

 

 

「残念、もっと良いところの使いだよ!」

 

 

避けられるタイミングじゃなかったのか、2回とも綺麗に切れたから腕と胴体のバリアを吹き飛ばし、装甲にもダメージが入ったのは分かるけど。

 

ACはこの位では落ちない、4脚MTでも落ちないだろう。

 

 

必死にバランス取って4脚ACが輸送トラックを避けて着地しようとするのを見ながら、自分もブースタを吹かせて下がりつつバーストライフルで撃つ。

ちょっと距離を空けれたら、4連ミサイルもプラズマミサイルも撃つ。

 

うん、場所も狭いし、輸送トラックが邪魔で思うように動けないだろう。

 

 

「輸送中は身動きし辛いよな、よく分かるよ!」

『ぁああ!

 良くも、お前ぇえ企業がこの程度の物を追いかけるのか!』

 

 

ミサイルの衝撃と爆発に悲鳴上げながら叫んでるが、自分は企業の犬じゃないから、それは分からないわ。

 

喚きながら左右のマシンガンを乱射してくるけど、自分のACを左右に振って、ジャンプしたらあんまり当たらなかった。

もっと食らうかと覚悟してたのに、あれかな、解放戦線だから整備がイマイチなのかな。

 

そのままアサルトブーストで突っ込んで胴体狙って蹴りを入れる。

 

直撃してまた悲鳴を上げてるが、よく舌を噛まないな。

後ろに吹き飛ばされてもしっかり立ってるあたり、4脚ACの安定性は流石だわ。

 

でもお陰で狙いやすいので、パルスブレードで更に斬る。

 

おっと、動きが止まったな。

じゃあコアの真ん中、コクピットにバーストライフを突きつけて

 

 

『待っ』

 

 

3点バーストで撃つ。

 

 

『てぁよぅおおお!!』

 

 

衝撃で照準がズレまくってるみたいで、この距離でも両手のサブマシンガンを乱射されても、ブースト吹かせた横に回り込む動きだけで、大して当たらない。

 

そのまま踏み込んでパルスブレードを振る。

 

4脚ACは装甲が限界だったみたいで、ブレードが胴体に思い切り食い込んで真っ二つに……とかは無理だけど。

相当深くまで溶断したっぽく、切断面から火を吹いてそのまま爆発した。

 

 

「――ふぅ、思ったより楽だった。」

 

 

動き辛いようにしたお陰かな?

 

さて、残り。

少なくとも、特に狙わなかった左側のMTは残ってるはず。

 

ぐるっとACの向きを変えてスキャン。

 

うん、残ってるわ。

前に居たMTはプラズマミサイルで全部落ちてたんだな。

 

 

『こ、こんなところで死ぬは嫌だ!

 あのバケモノみたいなのに紛れて抜けたってのによぉ!』

 

 

あ、向かってくるんじゃなくて背中向けて逃げるんだ。

じゃあ楽になったよ。

 

逃げるMTの背中に向けて、バーストライフルを撃つ。

3発も当たったら、そのまま軽く爆発して倒れて動かなくなった。

 

 

「これで終わったかな。」

『はい、こちらでもスキャン結果を確認しました。

 この集団は先程のMTで全て撃墜されました。』

 

 

よしよし。

じゃあ、輸送トラックも破壊……の前に。

 

 

「ちょっと時間取っちゃうが、こいつらのデータ取らせて欲しい。

 所属だの何だの、一応見ておきたい。」

『はい、構いません。』

 

 

というわけで、この胴体がしっかり爆発した4脚ACはデータ取れるかなあ?

 

 

「COM、頼んだ。」

《データ取得を行います……取得したデータをスクリーンに表示します。》

 

 

―――-―――-―――-

 登録番号:ks871

 識別名:カゼイ・ジョーナン

 機体名:Igor

 ランク:--/-

 所属:解放戦線

―――-―――-―――-

 

 

ああ、やっぱり解放戦線だったんだな。

脚だけ新しかったのは最近、アーキバスから強奪した物資の中にあったものらしい。

 

おいおい、解放戦線は相当に派手に襲撃やったんだなあ。

そりゃあベイラムもアーキバスも、気合いれて報復しようとするよ。

 

 

4脚ACが終わったら、他のMTからも取れるデータは取っていく。

情報を纏めればもうちょっと、解放戦線側の状況が分かるかもしれないし。

 

 

『Transporter、取得データからの判断ですが、この集団は解放戦線を脱走したようです。

 この区域を抜けて戦線から大きく離れ、ドーザーのどこかに加わろうというやり取りをしているログがありました。』

「確認するの凄い早いな、オールマインド。

 輸送中じゃなくて脱走兵だったのか、あんまり士気も高く無かったのはそのせいかな。」

 

 

今回の件がなくても解放戦線って劣勢だもんなあ。

苦境が続けばそういうのも出るか。

 

全員が全員、覚悟のガン決まりな人間ばっかりなわけないもんなあ。

 

このタイミングで新しいACパーツが分配されたのも、悪い方向に踏ん切りつかせたのかもしれない。

 

後は分かるところだけ纏めると

 

 

・輸送任務の途中でベイラムの部隊と戦闘になった

・その最中、更に別の敵性集団?が乱入してきて、場が大きく混乱した

・混乱に乗じ、輸送トラックを離脱させるフリをして1台を奪い、そのまま逃走した

 

 

とまぁ、こんな感じだ。

 

脱走兵がお土産持っていくのは、あんまり珍しい光景じゃないので、分かると言えば分かる。

 

 

「別の敵性集団ってなんだろ。気合の入ったドーザーかなあ。」

『MTの映像ログに少しですが姿がありました。

 スクリーンに共有します。』

 

 

まるでCOMみたいに、いや、COMより早くオールマインドが情報処理してくれてる。

スクリーンに映ったのはえーと、下半身は他のMTとかに隠れてよく見えないが……

 

 

・頭が壊れかけてるっぽいBASHO

・胴体が大豊の天槍

・腕がBASHO、左腕にチェーンソー

 

 

いや、これアレじゃん。

ゲテモノACじゃん。

 

右腕直ってるじゃないか。

 

背中に背負ってるのも影になってて良く分からないけど、アレにしか見えないのがチェーンソー振り回して暴れてるわ。

 

 

『この武装はWB-0010 DOUBLE TROUBLE、余り出回っていませんが、RaD製のチェーンソーです。』

「あー、流石によく知ってるなあ。

 コイツさ、RaDからも話を聞いたり、自分もコイツ自体と他でやりあった事があって……このチェーンソーはRaDからの強奪品らしい。」

『なるほど、承知しました。

 では、それ以外の所属になるということですね。』

「他のどこかは分かんないけどな。」

『はい、詳細な分析を行うかは後ほど検討するとして、輸送トラックの処分をお願いします。』

 

 

了解と短く返事をして、4連ミサイルを撃ち込んで輸送トラックを爆破しておく。

積み荷も吹き飛んだから、これでいいだろう。

 

 

「多少ダメージあるけど、まだ全然いける。

 リペアキットもあるしな、続けるよ。」

 

 

意識を切り替えて、また軽くジャンプしてACを低空飛行で飛ばせる。

 

今は仕事をしっかり終わらせることを考えないとな。

 

 

 

 

その日の巡回は更に別の区域で1つ小さい集団を見つけただけで、問題無く終わった。

 

依頼は1日だけじゃなく、2日ほど空けて何回か巡回して欲しいっていう話なので、その後もちょいちょいドックに戻りつつ飛び回ったが大きな戦闘は無かった。

 

まぁ脱走兵がそんなひょいひょい湧いてくるなら、解放戦線は瓦解寸前ってレベルになっちゃうから。

流石にそれは待って欲しいから良かったよ。

 

後は巡回の最終日、帰る時に別区域を担当してるっていうACとすれ違ったくらいかな。

お互いに軽く腕を上げて挨拶する位で特に会話は無かったけど。

 

腕が自分も使ってるオールマインド製だって分かる以外、見たことないパーツという珍しい機体だった。

後でオールマインドに聞いたら、他のパーツもオールマインド製で組んだACなんだってさ。

 

乗ってる独立傭兵については、名前とかは聞かない方がいいかなと思ったので聞かなかった。

 

 

「今すれ違ったACのコアの、胴体のあのデザイン、すごいカッコいいな。

 

 前部分があれだ、甲冑みたいなラインでめっちゃ好きだわ。

 良いなあ、あれ欲しくなったよ。」

 

『――評価していただき、ありがとうございます。

 あのコアパーツはログハント・プログラムを進めることでお渡しすることができます。

 入手されたい場合には、ハンタークラスを5まで上げていただく必要があります。』

「5って……うぁ、遠いなあ……」

『オールマインドは引き続き、今後に期待しています。』

「時と場合と……状況によるなぁ……」

 

 

こんな会話をしたりはしたが。

 

企業と解放戦線の戦闘はまだ沈静化してないが……

今回の依頼はここ迄にして、情勢を見つつまた依頼を出すかもしれないそうなので、それは了解しておいた。

 

別の仕事中じゃなければ、いつでもやらせて貰おうと思う。

 

最終的な話とかは戻ってから改めて纏めてという話になり。

ドックに向かってACを飛ばして……ちょっと長めに掛かった仕事は無事終わった。

 

 

 

 

――――――――――――

――――――――

――――

 

 

 

 

 

 





いつもたくさんの感想ありがとうございます。
誤字報告も、へ、減らないのはまずいのですが、ありがとうございます。

一話の長さもバラバラだったり、話の展開もこんなの良いのかなあと思いつつですが、引き続き楽しんでいただければ幸いです。

次は公式ガイドブックを読んで幻覚が纏まってきたら……
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